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連結散水設備の散水ヘッドはどんな試験に合格しているのか|耐火耐圧と放水量169〜194リットルの基準を解説

地下の天井に設置された連結散水設備の散水ヘッド

「連結散水設備の散水ヘッドは、天井に取り付けるだけで十分なのでしょうか」防火管理者の方からこう聞かれることがあります。
実は、あの小さな部品ひとつにも消防庁の告示が定める性能試験があります。
耐火試験や耐圧試験、放水量の測定など、目に見えないところで細かい基準が決まっているのです。
この記事では、散水ヘッドが合格しなければならない試験の中身と、日頃どこを確認すればよいのかを解説します。

うちの地下にある天井の丸い部品は、ただの水道の蛇口みたいなものだと思ってました。
あれって特別な部品なんですか。

実はあれ、消防庁の告示が定めた試験に合格した専用の部品なんです。
火にも水圧にも耐える性能が求められています。

試験に合格しないと使えないものなんですね。
どんな試験があるのか知りたいです。

構造や材質から耐火性・耐圧性、放水量までひとつずつ試験が決まっています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 連結散水設備の散水ヘッドは、消防法施行規則第30条の3第1号ヘの委任を受けた消防庁告示の試験に合格したものでなければなりません
  • 構造は放水口・フレーム・デフレクターの3部品で構成され、取付けねじも日本産業規格に適合させる必要があります
  • ヘッドには1,000度の炉で10分間加熱したあと水中に入れても壊れない耐火性能が求められます
  • 放水圧力1.4メガパスカル以上でも壊れない耐圧性能と、0.5メガパスカルで169〜194リットル毎分という放水量の範囲が定められています
  • 立入検査では製造者名・製造年・型式番号・取付け方向の表示が消えずに残っているかを確認します

開放型散水ヘッドの試験基準をまとめた図解

なぜ散水ヘッドの基準は消防庁長官への委任という形になっているのか

連結散水設備の告示委任のイメージ
連結散水設備の散水ヘッドは、消防法施行規則の条文だけでは基準が完結していません。
細かい性能の中身は、消防庁長官が定める告示に委ねられています。
消防法施行規則第30条の3第1号ヘ 散水ヘッドは、イからホまでに定めるもののほか、消防庁長官が定める基準に適合するものであること
条文に書かれているのは大枠だけで、実際の合否は告示の試験で決まります。
この委任を受けて定められたのが、開放型散水ヘッドの基準(昭和48年2月10日消防庁告示第7号)です。
条文の号(イ〜ホ)が天井への設置間隔や送水区域の分け方といった基本ルールを定め、告示側がヘッドそのものの試験内容を定めるという役割分担になっています。
つまり、規則の条文と告示の両方を読まないと、散水ヘッドの基準の全体像はつかめません。
次の項目から、告示が実際に何を求めているのかを順に見ていきます。

条文には「長官が定める基準による」としか書いてないんですね。
実際の基準はどこで確認できるんでしょうか。

消防庁が出す告示という文書に、試験の具体的な中身が書かれています。
次でその内容を見ていきましょう。

開放型散水ヘッドはどんな構造と材質でなければならないのか

散水ヘッドの構造分解のイメージ
散水ヘッドは、見た目こそシンプルですが、部品の構成や材質にも細かい決まりがあります。
まずは構造と材質の要件を確認します。
開放型散水ヘッドの基準(昭和48年2月10日消防庁告示第7号)第2 ヘッドの構造は、次に定めるところによる。一 放水口、フレーム及びデフレクターにより構成されたものであること。三 ヘッドの取付けねじは、日本産業規格B〇二〇三(管用テーパねじ)の呼びPT1/2のおねじに適合するものであること。
ヘッドは放水口・フレーム・デフレクターという3つの部品で構成することが決まっています。
取付けねじの規格まで指定されているのは、配管への取付け作業でねじ山が合わず漏水することを防ぐためです。
材質についても、日本産業規格G三一〇一(一般構造用圧延鋼材)などに適合するもの、またはこれと同等以上の強度・耐食性・耐熱性を持つものと定められています。
さびの発生するおそれがある部分には、防錆処理も義務づけられています。
見た目が似ている部品でも、規格に合わないものを勝手に使うことはできません。

部品の見た目は同じでも、規格に合わないものは使えないんですね。

はい、取付けねじの規格まで細かく決まっています。
次は火や水圧に対する強さを見ていきます。

火や高い水圧にどこまで耐えなければならないのか

散水ヘッドの耐火試験と耐圧試験のイメージ
地下室などの火災は炎そのものが激しいだけでなく、消防隊の送水も強い圧力になります。
散水ヘッドはその両方に耐える必要があります。
開放型散水ヘッドの基準(昭和48年2月10日消防庁告示第7号)第4 ヘッドは、1,000度の試験炉の中で10分間加熱した後水中に投入した場合に、機能に影響を及ぼすような変形、損傷又はくるいを生じないものでなければならない。第5 ヘッドは、放水圧力1.4メガパスカル以上で放水した場合に、機能に影響を及ぼすような変形、損傷又はくるいを生じないものでなければならない。
耐火試験と耐圧試験は、どちらも「壊れないこと」を確かめる試験です。
耐火試験は1,000度の炉で10分間加熱したあと、そのまま水中に投入するという厳しい手順です。
急激な温度変化が加わっても、変形や損傷で機能が損なわれないことが条件になっています。
耐圧試験は1.4メガパスカルという高い圧力で放水しても壊れないことを確かめるもので、実際の送水圧力より余裕を持たせた数値です。
どちらも製品の型式ごとに行われる試験で、現場のヘッド一つひとつに炉や水圧をかけて確認するものではありません。

地下の設備なので、火に強いのは当然かと思ってました。
水圧にも耐えなきゃいけないんですね。

消防車からかなり強い圧力で送水されるので、その圧力に耐える必要があります。
次は肝心の放水量の基準です。

放水量や散水のムラはどう確かめられているのか

散水ヘッドの放水量試験のイメージ
耐火性や耐圧性があっても、水がきちんと行き渡らなければ消火の役に立ちません。
放水量そのものにも範囲が決められています。
開放型散水ヘッドの基準(昭和48年2月10日消防庁告示第7号)第6 ヘッドの放水量は、放水圧力0.5メガパスカルにおける全放水量を測定した場合において、169リットル毎分から194リットル毎分までの範囲内でなければならない。
放水量は多すぎても少なすぎても基準を満たしません。
放水圧力0.5メガパスカルという条件で測定し、全放水量が169リットル毎分から194リットル毎分という範囲に収まっている必要があります。
さらに告示第7では、散水試験装置を使ってヘッドの周囲にムラなく水が届くかを確かめる散水分布試験も定められています。
軸心から同じ距離にある採水量の平均が基準の分布曲線を上回り、最も少ない地点でも曲線の値の3分の1以上を確保しなければなりません。
つまり、真下だけ大量に水がかかって周辺が届かない、という偏った散水は認められていません。

放水量が少なすぎても意味がないですもんね。

範囲がきちんと決まっていて、多すぎても少なすぎても基準を満たしません。
最後に日頃の確認ポイントをお伝えします。

明日から何を確認すればよいのか

散水ヘッドの点検チェックのイメージ
散水ヘッドそのものを分解して試験することは、現場ではできません。
日頃の点検では、表示と設置状態を確認することが基本になります。
開放型散水ヘッドの基準(昭和48年2月10日消防庁告示第7号)第8 ヘッドには、次に掲げる事項をその見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。一 製造者名又は商標 二 製造年 三 型式番号 四 取付け方向を示す記号
点検のたびに、製造者名・製造年・型式番号・取付け方向の表示が読み取れるかを確認します。
表示が消えていたり、さびで読めなくなっていたりする場合は、経年劣化のサインとして交換を検討する材料になります。
あわせて、天井の室内側と天井裏の両方に必要な数だけヘッドが設けられているかも見ておきます。
散水ヘッド自体の試験は製品を作る段階で完了しているものなので、現場でやり直すことはできません。
だからこそ、表示という「合格の証」を消さずに残しておくことが実務のポイントになります。

表示さえ確認しておけば、日々の点検はできるんですね。

はい、表示の劣化は交換のサインになります。
気になったら早めにご相談ください。

よくある質問

Q散水ヘッドが古くなって表示が読めなくなったらどうすればよいですか?
A表示が消えていると本来の性能が確認できないため、消防設備業者に相談し交換を検討するのが基本です。表示が容易に消えないことも基準の条件になっているため、消えていること自体が経年劣化のサインとも言えます。
Q閉鎖型スプリンクラーヘッドを使う連結散水設備にも同じ試験基準が当てはまりますか?
Aいいえ。開放型散水ヘッドの基準は開放型のヘッド専用の告示です。閉鎖型スプリンクラーヘッドを使う方式は、施行令が定める標準型ヘッドの規定に沿って別に間隔等が決まっています。
Q耐火試験や耐圧試験は立入検査の現場でも確認できますか?
Aいいえ。これらは型式ごとに行われる製品試験で、現場のヘッド一つひとつに炉や水圧をかけて確かめるものではありません。現場では表示や外観、設置状態を確認します。
Q改正より前からある古いヘッドはどう扱われますか?
A告示には経過措置が定められており、改正の時点で既に設けられていたヘッドについては、なお従前の例によるとされています。ただし更新するときは現行基準に適合したものを選ぶ必要があります。

まとめ

連結散水設備の散水ヘッドには、規則本体とは別に消防庁長官が定める告示の試験基準があります
構造は放水口・フレーム・デフレクターの3部品で、取付けねじは日本産業規格B〇二〇三に適合させます
材質は日本産業規格G三一〇一等、またはこれと同等以上の強度・耐食性・耐熱性を持つものと定められています
1,000度の炉で10分間加熱後に水中投入しても壊れない耐火性能が求められます
放水圧力1.4メガパスカル以上でも壊れない耐圧性能も必要です
0.5メガパスカルで169〜194リットル毎分という放水量の範囲が決まっています
立入検査では製造者名・製造年・型式番号・取付け方向の表示が消えずに残っているかを確認します

散水ヘッドにも火や水圧に耐える試験があるとよく分かりました!
まずは自分の建物のヘッドの表示を確認してみます。

試験に合格した正規品かどうかの確認が交換の目安になります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第28条の2(連結散水設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第30条の3(連結散水設備に関する基準の細目)
  • 開放型散水ヘッドの基準(昭和48年2月10日消防庁告示第7号、最終改正 平成11年9月消防庁告示第7号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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