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総合操作盤はなぜ消防隊のための機能を持つのか|出火階と上下の階の自動表示と専用電話の基準を解説

夜間の防災センターに設置された総合操作盤と専用電話

総合操作盤は、ふだんは防災センターで建物の消防用設備等を監視し操作するための機器です。
けれど火災が起きた瞬間だけ、もうひとつ別の役目を負います。
それは到着した消防隊に、必要な情報を的確かつ早急に手渡す役目です。
このため総合操作盤には出火階と上下の階を自動で映し出し消防隊専用の電話回線まで備えることが基準で定められています。

総合操作盤は、自分の建物の設備を見るための機械だと思っていました。

実はもうひとつ、到着した消防隊のための機能も基準で定められているんです。

点検のときにその機能まで見せてもらったことはありません。

今日はその根拠と、確認の仕方を一緒に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 総合操作盤には到着した消防隊に情報提供するための専用機能が求められます。
  • CRT表示等には出火階の平面図と5つの作動状況を分かりやすく表示しなければなりません。
  • 表示は出火階だけでなく直上階と直下階まで自動的に切り替わる仕組みです。
  • 情報を見せるだけでなく消防機関と通話できる専用電話機の設置も基準に含まれます。
  • 点検のときは階表示の切り替えと専用電話が実際に動くかまで確かめ、維持管理機能としての点検のしやすさも合わせて確認しておくことが大切です。

総合操作盤の消防活動支援機能の図解

総合操作盤にはなぜ消防隊のための機能が求められるのか

防災センターの前に到着した消防車と制御盤の図
建物の総合操作盤は、ふだんは防災センターで消防用設備等を監視し操作するための機器です。
けれど火災が起きた瞬間には、もうひとつの役目が加わります。
平成16年5月31日消防庁告示第7号(総合操作盤の基準を定める件)第十二 消防活動支援機能
火災発生時に、到着した消防隊に的確かつ早急に情報提供するため、総合操作盤に次に掲げる消防活動支援機能を設けるものとする。
この機能は建物の利用者ではなく消防隊のために存在します。
総合操作盤にはもともと、火災を表示し警報を鳴らし設備を操作する機能が備わっています。
消防活動支援機能はそれとは別に、到着した消防隊が現場の状況を素早くつかむための専用の窓口です。
告示の書きぶりは「設けるものとする」であり、総合操作盤を設置する建物では省略できない機能とされています。
だからこそ設計や点検の段階から、この機能を見落とさないことが求められます。

総合操作盤って、うちの設備を見るための機械だと思ってました。
消防隊のための機能もあるんですね。

そのとおりです。
到着した消防隊にすぐ状況を伝えるための機能なんです。

CRT表示等にはどの階のどんな情報を映さなければならないのか

建物の平面図とセンサー位置を映すモニター画面の図
火災が起きると、感知器やガス漏れ検知器の作動情報だけでは消防隊への説明として足りません。
告示は表示すべき内容をかなり具体的に決めています。
平成16年5月31日消防庁告示第7号第十二第一号 CRT表示等に感知器、発信機又はガス漏れ検知器が作動したすべての階の平面図及び当該階に係る次の事項を分かりやすく表示できること。
(一) 作動した感知器又は発信機の位置
(二) 作動したガス漏れ検知器の位置及びガス遮断弁の作動状況
(三) 防火区画を構成する壁の位置並びに防火戸、防火・防煙シャッター、ダンパー及び可動防煙垂れ壁の作動状況
(四) 排煙機及び排煙口の作動状況
(五) スプリンクラー設備等自動消火設備の作動範囲
映すのは位置情報だけではありません。
感知器や発信機の位置に加えて、防火戸やダンパーが実際に閉まったかまで表示の対象です。
排煙機や排煙口の作動状況、スプリンクラー設備が実際に効いている範囲も同じ画面に映ります。
これらをまとめて見せることで、消防隊は現地に着く前から現場の状況を把握できます。
つまりこの画面は、防火対象物の断面をそのまま写す窓のような役割を担っています。

感知器の位置だけじゃなくて、防火戸が閉まったかまで映るんですか。

はい。
排煙口やスプリンクラーの作動範囲まで、5項目まとめて表示する決まりです。

出火階以外にはどの階まで自動的に表示されるのか

出火階と上下の階が色分けされた建物断面の図
出火した階の情報が分かっても、それだけでは消防隊の判断材料として不十分です。
延焼のおそれや避難経路は、上下の階にも広がるためです。
平成16年5月31日消防庁告示第7号第十二第二号 CRT等には、次の各階の平面図が簡単な操作により分かりやすく表示されること
(一) 出火階の平面図
(二) 出火階以外の感知器、発信機又はガス漏れ検知器の作動した階の平面図
(三) 出火階の直上階の平面図
(四) 出火階の直下階の平面図
表示は出火階だけで止まりません。
出火した階に加えて、直上階と直下階の平面図まで簡単な操作で呼び出せることが基準です。
上の階は延焼のおそれ、下の階は熱や煙が抜ける経路として、それぞれ確認する意味があります。
これらの4つの平面図が同じ操作性で切り替えられることも合わせて求められています。
出火階だけを見て終わりにしないことが、この規定の趣旨です。

うちは3階建てなんですが、出火階だけ見れば十分だと思ってました。

いえ、直上階と直下階まで自動で呼び出せる必要があります。

実務で見落としやすいのはどこか

制御盤と専用の非常電話の図
画面の表示ばかりに気を取られると、見落としやすい規定があります。
それは消防隊や関係者との連絡手段そのものです。
平成16年5月31日消防庁告示第7号第九 情報伝達機能
一 現場確認の指示、火災状況の伝達、自衛消防隊等と防災監視場所の間の連絡及び消防機関への通報等の情報伝達手段は、防火対象物の用途、規模及び管理体制等に応じたものとなっていること。
五 内線電話及び消防機関との通話が可能な専用電話機を設置すること
画面に情報を映すだけでは基準を満たしません。
告示は表示機能とは別の章立てで、情報伝達機能を独立した項目として定めています。
現場確認の指示や自衛消防隊との連絡、消防機関への通報までを一連の手段としてそろえる必要があります。
そのために消防機関と通話できる専用電話機を、内線電話とは別に設置することが求められます。
表示機能の点検だけで済ませてしまうと、この電話回線の確認が抜け落ちがちです。

画面がちゃんと映っていれば、それで十分だと思っていました。

それだけでは足りません。
消防機関と話せる専用電話機があるかも確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと虫眼鏡の図
ここまでの機能は、備わっているだけでは意味がありません。
実際に動くかどうかを、点検の中で確かめる必要があります。
平成16年5月31日消防庁告示第7号第三 維持管理機能
総合操作盤の維持管理に係る機能は、次に定めるところによる。
一 信号を受信した場合の表示及び記録に関する機能の点検が容易に行えること
点検で確かめたいのは表示の有無だけではありません。
告示は「点検が容易に行えること」まで維持管理機能の一部として定めています。
点検の際には、出火階と上下の階の平面図が実際に切り替わるかを操作してみることが確実です。
あわせて専用電話機で消防機関の番号にかけられるかも、通話試験の形で確認しておきましょう。
明日からの点検では、この2つを確認項目に加えることから始めてみてください。

つまり画面の切り替えと電話の両方を、点検のときに実際に触ってみればいいんですね。

そのとおりです。
次回の点検からぜひ加えてみてください。

よくある質問

Q消防活動支援機能はすべての総合操作盤に必須なのか?
A告示第七号第十二は「設けるものとする」と規定しており、総合操作盤を設置する以上は必須の機能です。同じ告示の運用管理支援機能(シミュレーション機能など)は「設ける場合にあっては」という任意規定なので、そこは区別が必要です。
QCRT表示に出火階以外の情報まで映すのはなぜか?
A消火活動は出火階だけで完結せず、延焼のおそれがある直上階や避難経路になりうる直下階の状況も同時に必要になるためです。
Q情報伝達機能の専用電話は普通の内線電話でも代用できるか?
A告示第七号第九は内線電話及び消防機関との通話が可能な専用電話機の設置を求めており、防災センター等の防災要員と中央管理室の管理要員との連絡も別に確保する必要があります。
Qこれらの機能が正しく動くかはどうやって確かめるのか?
A告示第七号第三(維持管理機能)が信号を受信した場合の表示及び記録に関する機能の点検が容易に行えることを求めており、日常の点検の中で階表示の切り替えと専用電話の通話まで確認するのが実務的な対応です。

まとめ

総合操作盤は日常の監視操作だけでなく火災発生時に消防隊へ情報を渡す専用機能を持ちます。
この機能の根拠は消防庁告示第七号第十二(消防活動支援機能)です。
CRT表示等には出火階の平面図と作動状況の5項目を分かりやすく表示します。
表示は出火階・作動した階・直上階・直下階の順に自動で切り替わります。
情報伝達機能として消防機関と通話できる専用電話機の設置も定められています。
表示や電話の点検は容易に行えることが維持管理機能の要件です。
明日からは階表示の切り替えと専用電話の作動を点検のたびに確認することから始めましょう。

画面だけじゃなく、電話まで点検で確かめてみます。

それが一番確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第8号
  • 平成16年消防庁告示第7号「総合操作盤の基準を定める件」第三・第九・第十二
  • 総務省消防庁

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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