建築基準法第27条は、劇場やホテル、学校、百貨店など特定の用途の建物について、耐火建築物や準耐火建築物とすることを義務付けています。
この条文が根拠にしている別表第一には、図書館や飲食店、映画スタジオという言葉そのものは出てきません。
ところがこれらの用途も、建築基準法施行令が定める「類する用途」に含まれることで、実際には規制の対象になっています。
この記事では、どの用途が類する用途として指定されているのか、そして対象になるとどのような構造が求められるのかを解説します。
うちは図書館だから、耐火建築物の規制とは関係ないですよね。
実は図書館も類する用途として規制の対象になることがあります。
別表第一には図書館という言葉は無かった気がします。
その通りです。
政令が別に対象の用途を指定しているので、順番に見ていきましょう。
- 建築基準法第27条は、劇場やホテル、学校、百貨店など特定の用途の建物を耐火建築物や準耐火建築物にするよう義務付けています
- 別表第一に用途名が直接載っていない児童福祉施設等・博物館・図書館・スポーツ施設・公衆浴場・飲食店・映画スタジオなども、政令が定める「類する用途」として対象に含まれます
- 対象になるかどうかは、建物の階数や床面積の合計が別表第一の基準に該当するかどうかで判定します
- とくに映画スタジオ・テレビスタジオは、3階以上の階に使うと準耐火建築物では足りず耐火建築物が必須になります
- 既存の建物の用途を変更してこれらの用途にする場合も、建築基準法第87条第3項により同じ規制が新たに適用されることがあります
▼

目次
図書館や飲食店はなぜ耐火建築物の規制と関係があるのか

ただしこの別表第一は、個別の用途名だけでなく「類する用途」という枠も同時に置いています。
法別表第一(い)欄の(二)項から(四)項まで及び(六)項(法第八十七条第三項において法第二十七条の規定を準用する場合を含む。)に掲げる用途に類するもので政令で定めるものは、それぞれ次の各号に掲げるものとする。
別表第一(い)欄には、病院やホテル、学校、百貨店など具体的な用途が並んでいますが、末尾には必ず「その他これらに類するもので政令で定めるもの」という文言が添えられています。
この「政令で定めるもの」の中身を実際に指定しているのが、建築基準法施行令第115条の3です。
つまり別表第一という表だけを見て「うちの業種は載っていないから対象外」と判断すると、見落としが起きます。
次の項目で、実際にどの用途が類する用途として指定されているのかを確認します。
うちの業種は別表第一に名前が出てこないので、対象外だと思っていました。
実は政令が指定する類する用途に含まれていることがあります。
どの用途が類する用途として指定されているのか

まず全体像として、どの区分がどの用途を含んでいるのかを見ていきます。
一 (二)項の用途に類するもの 児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む。以下同じ。)
二 (三)項の用途に類するもの 博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場
三 (四)項の用途に類するもの 公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積が十平方メートル以内のものを除く。)
四 (六)項の用途に類するもの 映画スタジオ又はテレビスタジオ
(二)項に類する用途とされた児童福祉施設等には、幼保連携型認定こども園を含む保育所などが当てはまります。
(三)項に類する用途には、博物館・美術館・図書館のほか、ボーリング場やスキー場、水泳場といったスポーツ施設も含まれます。
(四)項に類する用途には、公衆浴場や飲食店のほか、床面積が十平方メートルを超える物品販売業の店舗が含まれます。
(六)項に類する用途は映画スタジオ・テレビスタジオで、自動車車庫や自動車修理工場と同じ枠に入る点は意外に感じるかもしれません。
自動車車庫と同じ枠に映画スタジオが入っているのは意外です。
はい、この違いはあとの項目で規制の重さの違いとして出てきます。
対象になるとどのような構造が求められるのか

実際に義務がかかるかどうかは、建物の階数や床面積が別表第一の基準に該当するかどうかで判定します。
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、(略)政令で定める技術的基準に適合するもの(略)としなければならない。
一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(略)
三 別表第一(い)欄(四)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートル以上のもの
たとえば図書館や公衆浴場、飲食店などの(三)項・(四)項に類する用途は、その用途に供する階が別表第一(ろ)欄の3階以上の階にあれば対象になります。
床面積で見る基準もあり、(四)項に類する飲食店や物品販売業の店舗は、その用途の部分の床面積の合計が三千平方メートル以上になると、階数に関係なく対象になります。
これらに該当すると、原則として耐火建築物又は準耐火建築物として国土交通大臣が定める技術的基準に適合させなければなりません。
自分の建物がどの階数・面積で営業しているかを、まず確認することが出発点になります。
うちは2階建てなので、対象にはならないということでしょうか。
床面積が基準を超えていないかも、あわせて確認してください。
映画スタジオだけがなぜ重い規制になるのか

なかでも映画スタジオ・テレビスタジオは、ほかの区分より重い規制がかかる点に注意が必要です。
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。
二 別表第一(ろ)欄(六)項に掲げる階を同表(い)欄(六)項に掲げる用途に供するもの
(二)項や(三)項、(四)項に類する用途は、条件を満たせば準耐火建築物でも義務を果たせる場合があります。
ところが(六)項に類する映画スタジオ・テレビスタジオは、自動車車庫や自動車修理工場と同じ枠に入るため、耐火建築物そのものが求められます。
「類する用途に入っている」という点だけを見て安心すると、実際に必要な構造のレベルを見誤ることになります。
どの区分に類するかによって、要求される構造の強さが変わることを覚えておく必要があります。
同じ類する用途なら、どれも同じ扱いだと思っていました。
映画スタジオだけは別枠で、より重い規制がかかります。
明日からなにを確認すればよいのか

最後に、実務でまず確認すべきポイントを整理します。
第三条第二項の規定により第二十七条(略)の規定(次条第一項において「第二十七条等の規定」という。)の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
たとえば空き店舗を図書館や飲食店に転用する場合、その建物がもともと第27条の対象になっていなければ、用途変更をきっかけに規制が新たに適用される可能性があります。
ただし増築や大規模な修繕を伴わず、政令が指定する類似の用途どうしの変更であるなど、一定の場合は準用されません。
自分の判断だけで進めず、用途変更の計画段階で建築士や特定行政庁に確認することをおすすめします。
建物の構造は一度工事すると簡単にはやり直せないため、早い段階での確認が結果的に近道になります。
テナントの用途を変えるだけなら、確認は不要だと思っていました。
用途変更でも第27条が新たに適用されることがあるので、事前確認が欠かせません。
よくある質問
まとめ
類する用途という考え方がよくわかりました。
用途変更のときは事前確認を忘れないでください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第27条(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
- 建築基準法施行令第115条の3(耐火建築物等としなければならない特殊建築物に類する用途)
- 建築基準法第87条第3項(用途の変更に対するこの法律の準用)
- 建築基準法別表第一(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





