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航空燃料のSAFは石油由来の燃料と同じ屋外タンクに貯蔵できるのか|消防庁が示したニートSAFの混合と受入れの考え方を解説

SAFを同じ屋外タンクに貯蔵できるかを示すアイキャッチ

航空燃料のニュースで「SAF」という言葉を見かけることが増えました。
石油由来の航空燃料に比べて温室効果ガスの排出を減らせる燃料として、利用の拡大が求められています。
その燃料を、いま使っている燃料と同じ屋外タンクに入れてよいのかは、危険物施設の管理者にとって気になる点です。
この記事では、消防庁が令和5年9月25日に示した回答をもとに、混合して受け入れるときの考え方を解説します。

SAFって、いつもの航空燃料と同じタンクに入れていいんですか。

消防庁は混合して受け入れる場合について、支障ないと答えています。

どんな燃料でも混ぜてよいということですか。

いいえ。
規格に適合した燃料が前提です。

この記事の結論
  • 消防庁危険物保安室は令和5年9月25日付け消防危第274号で、ニートSAFと石油由来の航空タービン燃料類を同一の屋外貯蔵タンクに受け入れ、SAFとして貯蔵して支障ないかという問に「お見込みのとおり」と答えました。
  • 対象は、ASTM D7566 規格のAnnexes に適合するニートSAFで、混ぜる相手はJet A、Jet A-1、Conventional Blending Componentsです。
  • 通知が理由に挙げたのは、温室効果ガスの排出削減と既存の燃料輸送インフラの活用です。
  • 通知は消防組織法第37条に基づく助言で、事故を受けたものではなく、利用拡大の流れの中で示されました。
  • 品名・数量・指定数量の倍数を変えるときは、変更しようとする日の10日前までの届出が、法第11条の4で別に定められています。

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SAFを同じタンクに貯蔵できるかを確かめる4ステップの概要図解

なぜ消防庁はSAFの受入れを確認したのか

航空機と樹木で脱炭素の流れを示したイラスト
この通知は、事故の後に出されたものではありません。
脱炭素の取組みとして利用拡大が求められるSAFを、既存の屋外タンクで扱えるのかという質疑に答える形で示されました。
「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(令和5年9月25日付け消防危第274号、消防庁危険物保安室長発出)の別紙(屋外タンク貯蔵所関係)の問には、SAFについて、石油由来の航空タービン燃料と比較して温室効果ガスの排出が削減されることや既存の燃料輸送等に関するインフラが活用可能であることなどの理由から、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みの一環として、利用の拡大が求められていると書かれています。
この通知のきっかけは、事故ではなく脱炭素に向けた利用拡大の流れです。
問の前提には、温室効果ガスの排出削減と、既存の燃料輸送インフラを使えることという2つの理由が置かれています。
消防庁危険物保安室は、これを受けて屋外タンク貯蔵所での取扱いについて「お見込みのとおり」と回答しました。
通知は、危険物規制事務を担う消防本部などへ、執務上の参考として送られたものです。
施設の側から見れば、既存のタンクを使い続けながら新しい燃料に対応できるかを考える手がかりになります。

SAFの利用は、脱炭素の流れから広がっているんですね。

はい。
問の中でもカーボンニュートラルの取組みとして触れられています。

この通知でいうSAFとニートSAFはどう違うのか

灰色と緑のドラム缶と青いドラム缶を並べたイラスト
通知は、混合する前の燃料と混合した後の燃料に別々の名前を付けています。
ここを取り違えると、答えの意味が分からなくなります。
同通知の問には、バイオマス、廃食油、都市ごみ等を原料とした合成炭化水素を含む燃料(以下「ニートSAF」という。)と石油由来の航空タービン燃料類(Jet A、Jet A-1、及びConventional Blending Components)とを混合した航空燃料(以下「SAF」という。)と定義されています。
呼び方通知での中身
ニートSAFバイオマス、廃食油、都市ごみ等を原料とした合成炭化水素を含む燃料
石油由来の航空タービン燃料類Jet A、Jet A-1、Conventional Blending Components
SAFニートSAFと石油由来の航空タービン燃料類とを混合した航空燃料

※通知の問の記載から作成。

ニートSAFは混合前の燃料、SAFは混合した後の燃料です。
混合の相手になる石油由来の燃料は、Jet A、Jet A-1、Conventional Blending Componentsの3つが示されています。
ニートSAFの原料は、バイオマス、廃食油、都市ごみ等です。
これらを混合してできた航空燃料を、この通知はSAFと呼んでいます。
名前が似ていても、混合前のニートSAFと混合後のSAFは、別々に定義されている点に注意してください。

ニートSAFとSAFって、同じ意味じゃないんですね。

はい。
ニートSAFを混合したものがSAFです。

同じ屋外貯蔵タンクに受け入れてSAFとして貯蔵してよいのか

タンクに2本の配管がつながったイラスト
消防庁の答えは「お見込みのとおり」でした。
ただし、答えには前提となる条件が付いています。
同通知の問には、ニートSAFがASTM D7566 規格のAnnexes に適合するものである場合は、当該ニートSAFとASTM D7566 規格で混合が認められている石油由来の航空タービン燃料類とを同一の屋外貯蔵タンクに受入れ、当該屋外貯蔵タンクにSAFとして貯蔵することとして支障ないかと問われています。答はお見込みのとおり。です。
消防法第10条第1項
指定数量以上の危険物は、貯蔵所(略)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。
消防法第10条第4項
製造所、貯蔵所及び取扱所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、政令でこれを定める。
答えは「お見込みのとおり」で、混合して受け入れることに支障はないとされました。
条件は2つです。
1つめは、ニートSAFがASTM D7566 規格のAnnexes に適合していることです。
2つめは、混ぜる相手が、ASTM D7566 規格で混合が認められている石油由来の航空タービン燃料類であることです。
この条件を満たす場合は、同一の屋外貯蔵タンクに受入れ、SAFとして貯蔵する整理になります。

条件を満たせば、同じタンクで大丈夫ということですね。

はい。
規格への適合が前提です。

この通知が答えていないことはどこにあるのか

証明書と虫眼鏡とタンクを並べたイラスト
通知が答えているのは、混合して貯蔵して支障ないかという一点です。
施設の手続きまでは、この通知の中に書かれていません。
同通知には、本通知は消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることが申し添えられています。
消防法第11条第1項
(略)製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しようとする者も、同様とする。
消防法第11条の4第1項
製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しないで、(略)貯蔵し、又は取り扱う危険物の品名、数量又は指定数量の倍数(略)を変更しようとする者は、変更しようとする日の十日前までに、その旨を市町村長等に届け出なければならない。
通知の回答は、混合して貯蔵して支障ないかという点に限られています。
規格に適合しないニートSAFや、通知が挙げた以外の燃料との混合について、この回答は触れていません。
手続きのほうは消防法が別に定めており、位置・構造・設備を変えないで品名・数量・指定数量の倍数を変えるなら、変更しようとする日の10日前までに届出が必要です(法第11条の4第1項)。位置・構造・設備を変える場合は、変更の許可が必要になります(法第11条第1項)。
SAFがどの品名に当たるかは、この通知には書かれていません。
だから、切り替えの前に所轄の消防本部へ、許可書の記載と照らしてどう扱うかを確認しておきましょう。

通知があれば、手続きは何もいらないんですか。

いいえ。
変更する内容によっては、届出や許可が別に必要です。

切り替える前になにを確認すればよいのか

チェックリストとタンクと電話を並べたイラスト
確認することは、燃料、混ぜる相手、許可の内容の順に並べると迷いません。
通知そのものは、執務上の参考として送られたものです。
同通知の本文には、危険物規制事務に関する執務資料を別紙のとおり送付しますので、執務上の参考としてくださいとあります。
  • 納入元の書類で、ニートSAFがASTM D7566 規格のAnnexes に適合していることを確認する
  • 混ぜる相手が、Jet A、Jet A-1、Conventional Blending Componentsのうち混合が認められているものかを確認する
  • 許可書に書かれた危険物の品名・数量・指定数量の倍数と、受け入れる量を照らし合わせる
  • 変更の届出や許可が要るかどうかを、所轄の消防本部に相談する
明日は、燃料の規格と混ぜる相手を、納入元の書類で確かめてください。
規格と混ぜる相手が通知の条件に合っていれば、同一の屋外貯蔵タンクに受け入れてSAFとして貯蔵する考え方に沿って整理できます。
許可書の記載と合わない点が出たら、自己判断で進めず、所轄の消防本部へ相談しましょう。
相談するときは、納入元の規格の書類と、受け入れる量が分かる資料を持参すると話が早く進みます。

まず納入元の書類で規格を見ればいいんですね。

はい。
混ぜる相手と許可内容も続けて確認しましょう。

よくある質問

QニートSAFとはなんですか?
A通知は、バイオマス、廃食油、都市ごみ等を原料とした合成炭化水素を含む燃料と定義しています。混合する前の燃料を指します。
QSAFはどんな石油由来の燃料と混合できますか?
A通知は、ASTM D7566 規格で混合が認められている石油由来の航空タービン燃料類として、Jet A、Jet A-1、Conventional Blending Componentsを挙げています。規格で混合が認められたものが対象です。
QSAFを受け入れた屋外タンクに、別の許可や届出は必要ですか?
A通知はこの点に触れていません。品名・数量・指定数量の倍数を変えるなら10日前までの届出、位置・構造・設備を変えるなら許可と、変更の内容で決まります。所轄の消防本部に確認します。
Qこの通知は法令ですか?
A消防組織法第37条に基づく助言として発出されたものです。危険物規制事務を担う消防本部などへ、執務上の参考として送られました。

まとめ

✔消防庁は令和5年9月25日付け消防危第274号で、SAFの屋外貯蔵タンクへの受入れに支障ないと答えた
✔通知のきっかけは事故ではなく、カーボンニュートラルに向けた利用拡大の流れだった
✔ニートSAFは、バイオマス、廃食油、都市ごみ等を原料とした合成炭化水素を含む燃料である
✔条件は、ニートSAFがASTM D7566 規格のAnnexes に適合していることと、混ぜる相手が規格で混合が認められた燃料であること
✔混ぜる相手として挙げられたのは、Jet A、Jet A-1、Conventional Blending Componentsである
✔通知は助言であり、品名・数量・指定数量の倍数を変えるときの届出(10日前まで)は法第11条の4で別に定められている
✔確認は燃料の規格・混ぜる相手・許可の内容の順に行い、迷えば所轄の消防本部へ相談する

規格と許可内容を確かめてから、切り替えを進めます!

受入れ前の確認や消防との調整も、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(令和5年9月25日 消防危第274号 消防庁危険物保安室長)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第10条・第11条・第11条の4
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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