危険物の規制に関する政令第二十条第一項第一号は、火災が発生したとき著しく消火が困難と認められる製造所等に、重い消火設備の設置を求めています。
対象になるかどうかは、施設の種類ごとに規則第三十三条が定める面積や数量の基準で判定されます。
製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、屋外貯蔵所という五つの施設が、この基準の対象です(給油取扱所は別の記事で扱っています)。
この記事では規則第三十三条に基づいて、著しく消火が困難と判定される基準と設置すべき消火設備を解説します
消火設備は施設の規模で変わると聞きましたが、何を基準にしているのでしょうか。
実は面積や数量ごとに細かい基準があります。
規則第三十三条が施設の種類ごとに定めています。
うちの施設も対象になるのか気になります。
五つの施設それぞれの基準を順番に確認していきましょう。
- 政令第二十条第一項第一号は、著しく消火が困難な施設に重い消火設備の設置を求めている
- 製造所・一般取扱所は延べ面積千平方メートル以上または指定数量の百倍以上で該当する
- 屋内貯蔵所は指定数量の百五十倍以上、屋外貯蔵所は硫黄等の囲いの面積百平方メートル以上で該当する
- 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は液表面積四十平方メートル以上または高さ六メートル以上で該当する
- 該当すると第一種から第三種のいずれかに第四種・第五種を加えた消火設備を設置しなければならない
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目次
著しく消火が困難とはどの段階の話なのか

消火設備の基準は、施設が火災のときにどれほど消火しにくいかによって三段階に分かれています。
そのうち最も重い区分が「著しく消火が困難」です。
著しく消火が困難な施設は、三種類の消火設備をあわせて備える最も重い区分です。
第一種(屋内消火栓や屋外消火栓など)、第二種(スプリンクラー設備)、第三種(水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の各消火設備)のいずれか一つに加えて、第四種・第五種もあわせて設置します。
これより一段軽い「消火が困難」な施設は第四種・第五種の二段構えで足り、対象になる基準も別に規則第三十四条で定められています。
どの基準に該当するかは施設の種類ごとに違うため、規則第三十三条が種類別に面積や数量の物差しを定めています。
なお給油取扱所の基準は考え方が異なるため、この記事では製造所・貯蔵所側の五つの施設にしぼって解説します。
消火が困難な施設という言葉も聞いたことがあります。同じ意味でしょうか。
別の区分です。著しく消火が困難な施設のほうが一段重い基準になります。
まずはこちらの基準から見ていきましょう。
製造所と一般取扱所はどんな基準で判定されるのか

規則第三十三条第一項は、施設の種類ごとに著しく消火が困難となる基準を列挙しています。
まず製造所と一般取扱所の基準を見てみます。
製造所と一般取扱所は、面積か数量のどちらかが大きければ該当します。
基本になる物差しは延べ面積千平方メートル以上と指定数量の百倍以上の二つです。
高引火点危険物だけを百度未満の温度で扱う場合は、面積千平方メートル以上という基準だけで判定されます。
このほか、地盤面や床から高さ六メートル以上の場所に危険物を取り扱う設備がある場合や、一般取扱所以外の用途を含む建築物に設ける一般取扱所も対象になります。
自分の施設の延べ面積と取り扱う危険物の数量を、まず指定数量の倍数に換算して確認してください。
面積か数量のどちらかで決まるということですね。
どちらか一方に該当すれば対象になります。
両方を確認しておくと安心です。
屋内貯蔵所と屋外貯蔵所はどんな基準で判定されるのか

屋内貯蔵所と屋外貯蔵所は、製造所とは違う物差しで判定されます。
どちらも規則第三十三条第一項に基準があります。
屋内貯蔵所は数量と面積、屋外貯蔵所は囲いの面積で判定します。
屋内貯蔵所は指定数量の百五十倍以上を貯蔵するか、貯蔵倉庫の延べ面積が百五十平方メートルを超えると該当します。
軒高六メートル以上の平家建ての倉庫も同じ扱いです。
屋外貯蔵所は、塊状の硫黄等を容器に入れず地盤面の囲いの中に貯蔵する形態が対象で、囲いの内部の面積が百平方メートル以上になると該当します。
倉庫の床面積や囲いの面積は、図面上の数字だけでなく現地でも実測して確認してください。
硫黄を容器に入れずに貯蔵する屋外貯蔵所があるのですね。
塊状の硫黄等に限られた特有の形態です。
面積が基準の決め手になります。
屋外タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所はどんな基準で判定されるのか

タンクに貯蔵する形態では、液体の表面積が基準の中心になります。
屋外タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所のどちらも同じ考え方です。
タンクは液表面積四十平方メートル以上か高さ六メートル以上で該当します。
液体の危険物を貯蔵する屋外タンク貯蔵所と屋内タンク貯蔵所のどちらも、液表面積四十平方メートル以上または高さ六メートル以上が基準です。
地中タンクや海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所は、面積や高さにかかわらずそれだけで対象になります(この二つの消火設備は別の記事で詳しく解説しています)。
固体の危険物を貯蔵する屋外タンク貯蔵所は、指定数量の倍数百以上で判定します。
タンクの液表面積は、タンクの直径から計算できるので、設計図面の数値を確認しておいてください。
タンクの高さと液表面積のどちらを見ればよいのでしょうか。
どちらか一方でも超えれば該当します。
両方の数値を確認しておきましょう。
該当したらどんな消火設備を設置しなければならないのか

著しく消火が困難と判定されたら、次は設置する消火設備を決めます。
基準は規則第三十三条第二項に定められています。
設置するのは第一種から第三種のいずれかに第四種・第五種を加えた組み合わせです。
放射能力範囲が建築物その他の工作物と危険物の両方を包含するように設置するのが原則です。
高引火点危険物だけを百度未満の温度で扱う製造所・一般取扱所には特例があり、第四種・第五種の消火設備だけで足ります。
ただしこの特例の施設でも、任意で第一種から第三種のいずれかを設ければ、その放射能力範囲内は第四種を省略できます。
自分の施設がどの区分に当たるかを確認したうえで、必要な消火設備の組み合わせを点検表と照らし合わせてください。
うちは高引火点危険物だけを扱っているので、特例が使えるか確認します。
百度未満で扱う条件も忘れずに確認してください。
両方そろって初めて特例が使えます。
よくある質問
まとめ
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
面積・数量・液表面積を、うちの施設の図面と照らし合わせて確認します。
今日から点検に活かします!
基準を超えているかどうかは、早めの確認が安心につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第二十条第一項第一号
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第三十三条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





