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延焼のおそれのある外壁とはどこまでか|1階3メートル2階5メートルの目安と除かれる場合

隣り合う工場の外壁と換気口と貫通配管の写真と延焼のおそれのある外壁とはの文字

製造所の外壁のうち、延焼のおそれのある外壁には開口部を設けられません。
ではどこからが延焼のおそれのある外壁なのか、条文だけでは読み取りにくいところです。
消防庁の執務資料には、距離の数値と除かれる場合が具体的に示されています。
この記事では延焼のおそれのある外壁と配管の支持物の扱いを整理します。

延焼のおそれのある外壁とは、どこからどこまでを指すのでしょうか。

数値で示されています。
境界線等から1階にあつては3メートル、2階にあつては5メートル以内にある建築物の外壁です。

隣が川の場合でも、対象になるのでしょうか。

それは除かれます。
防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面に面する外壁は対象外です。
この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 延焼のおそれのある外壁は境界線等から1階にあつては3メートル、2階にあつては5メートル以内にある建築物の外壁をいう
  • 基準となる線は隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物相互間の中心線である
  • 防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面その他これらに類するものに面する外壁は除かれる
  • ダンパー等を設けた換気及び排出設備や貫通部を不燃材料で埋め戻した場合も技術上の基準を満たしている
  • 配管の支持物は支柱以外の部分で支持機能が維持される場合や有効な散水設備を設けた場合も基準に該当する

延焼のおそれのある外壁は1階3メートル2階5メートルが目安になる

境界線から建物の1階と2階までの距離を矢印で示したイラスト

平成元年7月4日付け消防危第64号は、各都道府県の消防主管部長あてに送付された執務資料です。
危険物の規制に関する政令第9条第1項第5号に関する項目として、次の問いが取り上げられました。

問いは「延焼のおそれのある外壁」とは具体的にどういう外壁をいうのかという、きわめて直球のものです。

回答は隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物相互間の中心線から、1階にあつては3メートル、2階にあつては5メートル以内にある建築物の外壁をいうです。

基準となる線が三つ挙げられています。
隣地境界線道路中心線、そして同一敷地内の2以上の建築物相互間の中心線です。

三つめは自分の敷地の中の話です。
同じ敷地に建物が二つ以上あれば、その間にも中心線が引かれ、そこから距離を測ることになります。
自分の敷地内も対象です

1階と2階で、距離が違うのですね。

数値で示されています。
境界線からの距離を、実測しておいてください。

公園や広場や川等に面する外壁は除かれる

建物の隣に公園と川が広がり緑のチェックマークが添えられたイラスト

同じ回答には、ただし書にあたる部分が付いています。
距離の中に入っていても外れる場合があります。

回答はただし、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面その他これらに類するものに面する建築物の外壁を除くと続きます。

挙げられているのは公園広場川等の空地若しくは水面です。
これらに類するものという受け皿も置かれています。

共通しているのは、そこに建物が建たず、燃えるものが置かれない場所だという点です。
逆にいえば、いまは空地であっても将来建物が建つ土地であれば、この除外にはあたりません。
燃えないものが条件です

建物が建たない場所は、除かれるのですね。

燃えるものが置かれない場所だからです。
周囲の状況を、写真で残しておきましょう。

ダンパーを設けた換気設備や貫通部の埋戻しも基準を満たす

ダンパーを備えた換気ダクトとモルタルで埋め戻された配管貫通部のイラスト

同じ執務資料の次の問いは、実際の設計で必ずぶつかる点です。
延焼のおそれのある外壁には開口部を設けられませんが、換気や配管はどうするのかという問題です。

問いは防火上有効にダンパー等を設けることにより、延焼のおそれのある耐火構造の外壁に換気及び排出設備を設けている場合にも、令第9条第1項第5号に定める技術上の基準を満たしているといえるかというものです。
あわせて危険物配管を延焼のおそれのある耐火構造の外壁に貫通させ、当該壁と配管との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋め戻した場合も、令第9条第1項第5号に定める技術上の基準を満たしているといえるかと尋ねています。
回答は前段及び後段 お見込みのとおりです。

換気設備については防火上有効にダンパー等を設けることが条件です。
配管の貫通については隙間をモルタルその他の不燃材料で埋め戻すことが条件になります。

どちらも、開口部そのものをなくすのではなく、火が通らないように塞ぐという考え方でそろっています。
塞げば認められます

換気や配管も、条件を満たせば設けられるのですね。

ダンパーや埋戻しが条件です。
貫通部の処理を、施工の記録に残してください。

配管の支持物は他の部分で支持機能が保たれるなら足りる

外側の二本だけ耐火被覆された配管の支持柱のイラスト

ここからは配管の支持物についてです。
危険物の規制に関する規則第13条の5第2号は、火災によって支持物が変形するおそれのないものとすることを求めています。

平成元年12月21日付け消防危第114号には、この点についての問いがあります。

問いは火災により配管の支持物である支柱等の一部が変形したときに、支持物の当該支柱等以外の部分により配管の支持機能が維持される場合は、規則第13条の5第2号の「火災によつて当該支持物が変形するおそれがない場合」に該当すると解してよいかというものです。
回答はお見込みのとおりです。

支持物の一部が変形しても、全体として配管を支え続けられるなら足りるという整理です。
すべての支柱に耐火性能を求めるものではないことがわかります。
全部でなくてよいです

平成4年2月6日付け消防危第13号でも、4本の支柱のうち2本だけが鉄筋コンクリート造と同等以上の耐火被覆を施され、配管がその2本だけで十分に支持される場合について、残りの支柱は耐火性能を有しなくともよいかと問われ、差し支えないと回答されています。

支持物は、全体で支えられればよいのですね。

機能が保たれるかで見ます。
支持の方法を、設計者に確認してください。

有効な散水設備を設けた場合も変形のおそれがない場合にあたる

配管の支持柱の上から散水設備が水を放出しているイラスト

もう一つ、設備によって条件を満たす道も示されています。
平成2年5月22日付け消防危第57号の項目です。

問いは火災時における配管の支持物の変形を防止するため、有効な散水設備を設けた場合、規則第13条の5第2号ただし書の「火災によつて当該支持物が変形するおそれのない場合」に該当すると解してよいかというものです。
回答はお見込みのとおりです。

支持物そのものを耐火構造にするのではなく、水をかけて温度上昇を抑えるという方法が認められました。
条件は有効な散水設備であることです。

構造で満たすか、設備で満たすか。
どちらの道も開かれているという点は、既存の施設を改修する場面で意味を持ちます。
設備でも満たせます

散水の設備で満たす方法もあるのですね。

温度の上昇を抑える考え方です。
採用するなら、能力の根拠を用意してください。

よくある質問

Q. 延焼のおそれのある外壁とはどこまでですか?
隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物相互間の中心線から、1階にあっては3メートル、2階にあっては5メートル以内にある建築物の外壁をいうとされています。
Q. 隣が公園や川でも対象になりますか?
除かれます。防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面その他これらに類するものに面する建築物の外壁を除くとされています。
Q. 延焼のおそれのある外壁に換気設備を設けられますか?
防火上有効にダンパー等を設けることにより、延焼のおそれのある耐火構造の外壁に換気及び排出設備を設けている場合も技術上の基準を満たしているといえるかという問いに、お見込みのとおりと回答されています。
Q. 配管に白管を使う場合も外面塗装は必要ですか?
平成元年12月21日付け消防危第114号は、日本工業規格G3452配管用炭素鋼鋼管に規定する白管を用いる場合には令第23条の規定を適用し、令第9条第1項第21号ロに規定する外面の腐食を防止するための塗装をしなくてもよいかという問いに、差し支えないと回答しています。

まとめ

  • 延焼のおそれのある外壁は隣地境界線や道路中心線や同一敷地内の2以上の建築物相互間の中心線から測る
  • 1階にあっては3メートル2階にあっては5メートル以内にある建築物の外壁がこれにあたる
  • 防火上有効な公園や広場や川等の空地若しくは水面その他これらに類するものに面する外壁は除かれる
  • 防火上有効にダンパー等を設けた換気及び排出設備は技術上の基準を満たしている
  • 配管の貫通部を壁との隙間もふくめモルタルその他の不燃材料で埋め戻した場合も基準を満たしている
  • 配管の支持物は支柱等以外の部分により支持機能が維持される場合は変形するおそれがない場合に該当する
  • 4本の支柱のうち2本だけで十分に支持される場合は残りの支柱が耐火性能を有しなくとも差し支えない
  • 火災時の変形を防止するため有効な散水設備を設けた場合もただし書に該当する

構造で無理でも、設備で満たす道があるのですね。
すっきりしました。

そのとおりです。
外壁の開口部や配管の支持方法の検討も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第9条・第23条 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第13条の5 e-Gov法令検索
  • 危険物規制事務に関する執務資料(給油取扱所を除く)の送付について(平成元年7月4日付け消防危第64号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成元年12月21日付け消防危第114号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成2年5月22日付け消防危第57号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成4年2月6日付け消防危第13号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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