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消防設備士免状を返納したらいつまた免状を取れるのか|通常の1年と罰金刑の2年で分かれる欠格期間を解説

免状の返納命令を受けた消防設備士の免状書類と砂時計

消防設備士免状の返納命令は、受けて終わりではありません。
都道府県知事は、返納を命じた日から一定の期間、次の免状交付を行わないこととしています。
聴聞の結果、返納命令を免れて厳重注意で済んだ場合も、措置点数の扱いには続きがあります。
この記事では、免状の再取得を阻む欠格期間の仕組みと、厳重注意のあとに何が起こるのかを解説します。

うちと契約している消防設備士が、免状の返納命令を受けたと聞きました。
もう二度と免状は取れないのでしょうか。

ずっと取れないわけではありません。
一定の期間が過ぎれば、また免状を取得できます

返納命令にならず、厳重注意で済んだと聞いた場合はどうなりますか。

厳重注意は返納命令ではありませんが、点数の扱いには注意が必要です
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 免状の返納命令を受けると、一定期間は次の免状交付を受けられません
  • 欠格期間は通常は1年、罰金以上の刑に処せられた場合は2年です
  • 厳重注意になった場合も措置点数は減点されません
  • 実行行為から3年を経過した違反行為の点数は積算に算入されません
  • 厳重注意のあとに再度違反があれば、改めて返納命令の対象になります

免状の返納には欠格期間があることを示す図解

消防設備士免状を返納したらいつまた免状を取れるのか

返納された免状の書類と動き出す砂時計のイメージ
免状の返納命令は、消防設備士としての資格をいったん失うことを意味します。
では、もう一度免状を取ろうとした場合、いつから交付の手続きに進めるのでしょうか。
消防法第十七条の七 消防設備士免状は、消防設備士試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する。2 第十三条の二第四項から第七項までの規定は、消防設備士免状について準用する。
返納命令を受けた消防設備士には、一定期間、免状が交付されない仕組みがあります。
消防設備士免状の交付そのものは第17条の7に定められていますが、交付を拒否できる場合については、危険物取扱者免状に関する第13条の2第4項から第7項までの規定を準用しています。
つまり、消防設備士免状だけの固有の条文があるわけではなく、危険物取扱者免状のルールがそのまま当てはめられているということです。
この準用によって、返納命令を受けた消防設備士も一定期間、次の免状交付を受けられないことになります。
次は、その期間が具体的に何年になるのかを見ていきます。

消防設備士専用の条文があるわけではないのですね。

危険物取扱者免状のルールを準用しています。
次は具体的な期間を見ていきましょう。

欠格期間はなぜ1年と2年の2段階に分かれるのか

1年用と2年用の2つのカレンダーと裁判の槌のイメージ
欠格期間はひとくちに「取れなくなる期間」といっても、一律ではありません。
何が長さの違いを生むのか、条文の要件を確認します。
消防法第十三条の二第四項 都道府県知事は、左の各号の一に該当する者に対しては、危険物取扱者免状の交付を行わないことができる。 一 次項の規定により危険物取扱者免状の返納を命ぜられ、その日から起算して一年を経過しない者 二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しないもの
欠格期間は、返納命令だけの場合と、罰金以上の刑を受けた場合とで長さが変わります。
第1号は、返納命令を受けた日から1年を経過しない者を対象にしています。返納命令を受けた消防設備士は、この期間中は免状の交付を受けられません。
第2号は、消防法令違反で罰金以上の刑に処せられた者を対象にし、刑の執行を終えた日などから2年を経過しない間は交付を受けられません。
措置点数が20点で返納命令になった者も40点で返納命令になった者も、まず1年の欠格期間という点では同じ扱いです。重大な違反として告発され罰金以上の刑に処せられた場合にだけ、期間が2年に延びる仕組みになっています。
自社の消防設備士がどちらに該当するかは、処分の内容だけでなく刑事処分の有無まで確認する必要があります。

点数の大小ではなく、刑罰の有無で期間が変わるのですね。

そのとおりです。
次は、返納命令に至らなかった場合を見ていきましょう。

厳重注意は返納命令ではないがどう扱われるのか

返納されずに残る免状の書類と厳重注意の印のイメージ
聴聞の結果、情状酌量の余地があると判断されれば、免状は返納されずに済みます。
ただし、それで話が終わるわけではありません。
消防設備士免状の返納命令に関する運用基準 第6 免状返納命令 3 その他 都道府県知事は、聴聞の結果情状酌量の余地があると判断した場合には、免状返納を命じないことができるものとする。この場合、原則として措置点数は減点せず、当該違反者に対して厳重注意書を交付するものとし、再度違反があった場合については免状返納命令を発することができるものとする。
厳重注意は「見逃し」ではなく、点数を持ち越したままの猶予です。
情状酌量で返納命令を免れても、措置点数は減点されません。厳重注意書が交付されるだけで、それまでの違反の記録は消えないということです。
たとえば厳重注意の時点で措置点数が21点だったとすると、その後に4点の違反行為が加われば合計25点となり、再び返納命令の対象になります。
一度厳重注意で済んだからといって、次も同じように情状酌量されるとは限りません。再度の違反では酌量の余地はかなり狭くなると考えられます。
とはいえ、積み上がった点数がいつまでも有効というわけでもありません。次はその点を見ていきます。

厳重注意で済んでも、点数は消えていないのですね。

そのとおりです。
ただ、その点数にも期限があります。

措置点数はいつまでも積み上がるわけではないのはなぜか

古い点数の書類が薄く消えていく積み重なった点数表のイメージ
「一度ついた点数は一生残る」と考えると、判断を誤ります。
運用基準には、点数の対象期間そのものにも区切りがあります。
消防設備士免状の返納命令に関する運用基準 執務参考資料 厳重注意を行った後も、措置点数の扱いは措置点数が二十点未満であった場合と同じとなる。実行行為から三年を経過した過去の違反行為にかかる違反点数は、措置点数の積算に算入しないこととなる点に留意する必要がある。
違反点数には、3年という区切りがあります。
厳重注意のあとに新たな違反があっても、そのすべてが即座に返納命令につながるわけではありません。実行行為から3年が経過した過去の違反点数は、合計から外れます。
たとえば厳重注意の時点の21点のうち、最も古い違反が2年10か月前の6点だったとします。その後、間隔が2か月以上あいて4点の違反が加わったときには、古い6点はすでに3年を超えて算入されず、合計は19点にとどまり返納命令の対象になりません。
この計算を怠ると、実際には返納命令に至らない水準なのに対応を焦ったり、逆に古い点数が消えたことに気づかず放置したりしかねません。
自社の消防設備士が過去に処分歴を持つ場合は、いつの違反が何点で、いつ3年を迎えるのかを把握しておくことが欠かせません。

古い点数がいつ消えるのか、把握しておく必要があるのですね。

そのとおりです。
最後に、明日から確認すべきことをまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

人事ファイルと免状の書類を並べて確認するチェックリストのイメージ
確認すべきことは、今日中に洗い出せる範囲に収まります。
契約している消防設備士について、順番に見ていきましょう。
  • 契約する消防設備士が過去に返納命令または厳重注意を受けていないかを確認する
  • 受けている場合は、いつの違反が何点で、いつ処分を受けたかを書面で確認する
  • 返納命令であれば1年(罰金以上の刑なら2年)の欠格期間が明けているかを確認する
  • 厳重注意であれば、その後の違反の有無と古い点数が3年を超えていないかを確認する
迷ったときは免状を交付した都道府県知事に問い合わせるのが確実です。

迷ったときは、誰に確認すればよいですか。

免状を交付した都道府県知事に問い合わせるのが確実です。
担当者に処分歴の有無を照会してみてください。

よくある質問

Q欠格期間中に消防設備士試験を受けることはできますか?
A試験を受けること自体は制限されていませんが、欠格期間中は合格しても免状の交付を受けられません。返納命令を受けた消防設備士には、期間が明けるまで受験を控えるよう案内するのが実務上の対応です。
Q厳重注意のあと次の違反まで期間があいていれば安心ですか?
A期間があいていても安心とは限りません。古い点数のうち実行行為から3年を超えたものだけが積算から外れる仕組みなので、3年以内の点数はそのまま合計に残ります。
Q欠格期間の起算日はいつになりますか?
A返納命令の場合は返納を命ぜられた日、罰金以上の刑の場合は刑の執行を終え、または受けることがなくなった日が起算日になります。
Q危険物取扱者免状の欠格期間も同じ考え方ですか?
Aはい。消防設備士免状の欠格期間は危険物取扱者免状に関する規定を準用したもので、期間の区分(1年・2年)は同じ考え方に基づいています。

まとめ

免状の返納命令を受けると、一定期間は次の免状交付を受けられません
欠格期間は通常1年、罰金以上の刑に処せられた場合は2年です
欠格期間の根拠は消防法第17条の7による第13条の2第4項の準用です
厳重注意になった場合も措置点数は減点されません
実行行為から3年を経過した違反点数は積算に算入されません
厳重注意のあとに再度違反があれば改めて返納命令の対象になります
迷ったときは免状を交付した都道府県知事に確認するのが確実です

まずは契約している消防設備士に処分歴が無いかを確認してみます
今日中に聞いてみます。

欠格期間と措置点数の3年の区切りを押さえておけば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の7・第13条の2
  • 消防設備士免状の返納命令に関する運用基準(消防庁予防課長)
  • 消防設備士免状の返納命令に関する運用基準 執務参考資料(平成12年3月24日付け消防予第67号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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