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地下貯蔵タンクの砕石基礎はなぜ施工管理記録簿が必要になったのか|FF二重殻タンクの破損事例と水張り時の注意点を解説

地下タンクの砕石基礎と施工管理記録簿のアイキャッチ画像

地下に埋めた危険物タンクは、砕石を敷いた基礎の上に固定することが技術基準で決まっています。
ところが実際には、その施工方法を守らずに設置されたタンクの内側が変形・破損する事故が相次いで見つかりました。
消防庁はこれを受けて基準を改め、施工の記録を残すことを新たに求めるようになりました。
今回は、その改正の中身と、現場で見落としやすい水張りのタイミングについて解説します。

うちの現場で地下タンクを埋めるとき、砕石を敷くやり方が最近変わったと聞きました。

はい、平成29年の改正で、施工の記録を残すことが新しく必要になりました。

なぜ急にそんな決まりができたんですか。

実は、基準どおりに施工されていないタンクの内側が壊れる事例が相次いだからなんです。

この記事の結論
  • FF二重殻タンクの内殻破損事例が相次いだことがきっかけで施工方法の指針が改正された
  • 対象はFF二重殻タンク・鋼製二重殻タンク・SF二重殻タンクを砕石基礎で設置する場合
  • 改正で施工管理記録簿の作成が新たに求められるようになった
  • タンクの浮き上がり防止で水を張るなら、埋め戻しが直径の2分の1に達してから行う
  • 記録簿はタンクが廃止されるまで保存する必要がある

砕石基礎の施工管理の4つの工程を示す図解

FF二重殻タンクの内殻破損はなぜ検討委員会が開かれるまでの事態になったのか

内殻が破損したFF二重殻タンクを調査するイメージ
強化プラスチック製の二重殻タンク、いわゆるFF二重殻タンクは、鋼製タンクより軽くて腐食に強いタンクです。
ところが近年、その内側の殻が変形したり破損したりする事例が各地で見つかりました。
「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法について(通知)」の一部改正について(平成29年12月15日付け消防危第205号 消防庁危険物保安室長) 近年、FF二重殻タンクの内殻が破損又は変形する事例等が散見されており、平成27・28年度に、危険物保安技術協会において「FF二重殻タンクの破損要因に関する検討委員会」が開催され、調査検討が行われました。(略)当該検討会での調査検討の結果、内殻の破損等に至った全てのFF二重殻タンクにおいて、127号通知に基づいた施工が行われていなかったことが判明しました
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第13条第2項第2号ハ 当該二重殻タンクが堅固な基礎の上に固定されていること。
基準どおりに施工されていなかったことが、破損の主な原因でした。
検討委員会には大学の研究者も加わり、破損したタンクを一つずつ調べました。
その結果、砕石の種類が指針と違っていたり、支柱の強度が足りなかったりする施工不良が見つかりました。
タンクを仮固定していた土嚢を埋め戻し前に取り除き忘れた例もあり、些細な手順の抜けが変形につながっていました。
だからこそ消防庁は、施工の過程そのものを記録に残す仕組みを新たに作ることにしたのです。

基準どおりに施工されていなかったのが原因だったんですね。

はい、なので今は工事の記録を残すことが求められています。

砕石基礎による施工が対象になるのはどんな地下タンクか

クレーンで砕石の上に地下タンクを据え付けるイメージ
砕石基礎という工法は、どんなタンクにも使えるわけではありません。
対象になるのは、決まった構造と大きさの範囲に収まる地下タンクです。
「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法に関する指針」(平成8年10月18日付け消防危第127号。平成29年12月改正) 本指針は、(略)政令第13条に掲げる地下タンク貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準のうち、「当該二重殻タンクが堅固な基礎の上に固定されていること(政令第13条第2項第2号ハ)」に関する施工方法のうち砕石基礎を用いる場合の施工方法を示すものである。本指針については、概ね容量50kL程度までの地下貯蔵タンク(直径は2,700㎜程度まで)を想定したものである。
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第13条第2項第1号 地下貯蔵タンクは、次のいずれかの措置を講じて設置すること。イ (略)鋼板を間げきを有するように取り付け(略)ロ (略)強化プラスチックを間げきを有するように被覆(略)。
対象はFF二重殻タンク・鋼製二重殻タンク・SF二重殻タンクの3種類です。
いずれも鋼板や強化プラスチックの外側にもう一層かぶせて、危険物の漏れを検知できるようにした二重殻の構造を持つタンクです。
砕石基礎の指針は、これらのタンクをタンク室以外の場所に直接埋める場合を主に想定しています。
容量はおおむね50キロリットルまで、直径はおよそ2,700ミリメートルまでという目安も示されています。
この範囲を超える大きなタンクや、タンク室に設置する一重殻タンクには、別の基準が適用されます。

うちのタンクがどの方式かも確認しないといけませんね。

設置許可の申請書類を見れば、どの方式で施工されたか分かりますよ。

改正で新しく求められるようになったのは何か

施工管理記録簿とカメラ、地下で支柱に支えられたタンクのイメージ
砕石基礎の指針そのものは平成8年からある古いものです。
今回の改正では、その運用に新しい一手間が加わりました。
「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法について(通知)」の一部改正について(平成29年12月15日付け消防危第205号) 施工管理者は、施工管理記録簿を作成し、砕石基礎の構成及び基礎スラブの設置から浮上防止措置まで各工程ごとに、(略)実施状況等を記録すること。施工管理者の確認年月日及び氏名を記載すること。適切な施工が行われたことを示す写真を添付すること。
消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条 消防庁長官は、必要に応じ、消防に関する事項について都道府県又は市町村に対して助言を与え、勧告し、又は指導を行うことができる。
新しく加わったのは、施工の過程を記録に残す仕組みです。
基礎スラブの設置、砕石床や支持砕石の設置、タンクの据付けと固定、埋め戻し、ふたの設置、浮上防止措置まで、工程ごとに記録を残します。
記録には確認した日付と担当者の氏名を書き、写真を添えることが求められます。
この通知は消防組織法第37条に基づく技術的助言なので、条例のように強制する規定ではありませんが、完成検査等の場で施工の適切さを示す材料になります。
記録が無いと、あとから「基準どおりに施工した」と証明する手立てが無くなってしまいます。

記録が無いと、工事のやり直しを求められることもあるんですか。

そこまではいきませんが、完成検査のときに施工業者へ提示を求めるのが確実です。

タンクへの水張りはなぜタイミングを誤ると逆効果になるのか

埋め戻しの高さが異なる2つのタンクへ水を張る比較イメージ
地下水や雨水でタンクが浮き上がるのを防ぐため、タンク内に水を張る施工が行われることがあります。
ところがこの水張り、タイミングを誤ると逆にタンクを傷める原因になります。
「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法について(通知)」の一部改正について(平成29年12月15日付け消防危第205号) タンクの水張は、その水量に関わらず、埋め戻しをタンクの直径の2分の1まで施工した後に行うこと。(略)水張後にタンク固定用バンドの増し締めを行わないこと。ただし、タンクとゴムシートの間に砕石が入り込むような緩みが発生した場合は、隙間がなくなる程度に最小限の増し締めを行うこと。
水を張るなら、埋め戻しが半分進んでからです。
埋め戻しが浅い段階でタンクに水を張ると、重さのかかり方が偏り、局部的な応力が集中して変形するおそれがあります。
だから指針は、埋め戻しが直径の2分の1に達するまでは水を張らないよう求めています。
中仕切りのあるタンクでは、各槽に均等に水を張ることも欠かせません。
水を張ったあとに固定バンドを増し締めするのも、タンクを締め付けすぎる原因になるため避けます。

早く水を張ったほうが浮き上がり対策になりそうな気がしていました。

そこが落とし穴で、早すぎる水張りはかえって変形を招くんです。

明日から何を確認すればよいのか

施工管理記録簿を保管する棚とマンホールのイメージ
これから地下タンクを新設するなら、施工業者との打ち合わせに一つ加えることがあります。
既にタンクを持っている場合は、記録簿が手元にあるかを確かめておきましょう。
「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法について(通知)」の一部改正について(平成29年12月15日付け消防危第205号) タンクの所有者等は、施工管理者が作成した施工管理記録簿を、タンクが廃止されるまでの間、設置に係る許可書とともに適切に保存すること。
まずは記録簿の有無を確認することから始めます。
新設なら、施工業者に施工管理記録簿の作成と写真添付を依頼し、完成検査の前に内容を見せてもらいます。
既存のタンクなら、設置許可書と一緒に記録簿が保管されているかを確認します。
見当たらない場合は、施工時期や施工業者に問い合わせて再確認しておくと安心です。
記録簿はタンクが廃止されるまで保存するものなので、保管場所を決めて長期的に管理しましょう。

うちのタンクの記録簿がどこにあるか、まず探してみます。

見当たらなければ、設置時の施工業者に問い合わせるのが一番早いですよ。

よくある質問

QFF二重殻タンクとはどんなタンクですか?
A鋼板や強化プラスチックの外側にもう一層をかぶせ、危険物の漏れを検知できるようにした二重構造の地下タンクです。強化プラスチックで造られたものをFF二重殻タンクと呼びます。
Q砕石基礎の施工管理記録簿は誰が作成しますか?
A施工管理者が作成します。基礎スラブの設置から浮上防止措置まで、工程ごとに実施状況と写真を記録します。
Q記録簿はいつまで保存すればよいですか?
Aタンクが廃止されるまでの間、設置に係る許可書とともに保存することとされています。
Q水張りのタイミングを誤るとどうなりますか?
A埋め戻しが不十分な段階で水を張ると、タンクに局部的な応力が集中して変形するおそれがあります。

まとめ

FF二重殻タンクの内殻破損事例が相次いだことをきっかけに、127号通知が改正された
対象はFF二重殻タンク・鋼製二重殻タンク・SF二重殻タンクを砕石基礎で設置する場合
改正で施工管理記録簿の作成が新たに求められるようになった
記録簿には工程ごとの実施状況と写真を残す
タンクへ水を張るなら、埋め戻しが直径の2分の1に達してから行う
水張り後に固定バンドを増し締めしてはいけない
記録簿はタンクが廃止されるまで、設置許可書とともに保存する

これで自分の現場の記録簿を確認する手順が分かりました!

地下タンクの点検や設置に関するご相談は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法について(通知)」の一部改正について(平成29年12月15日付け消防危第205号 消防庁危険物保安室長)
  • 「地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法について(通知)」(平成8年10月18日付け消防危第127号)
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第13条第2項
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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