火災報知機のボタンを、いたずらで押したことはありませんか。
実はその行為も、消火栓を壊す行為も、同じ消防法第18条が禁じる違反です。
けれど科される罰則の重さは、行為の種類や壊した設備によってまったく違います。
なぜそこまで差がつくのかを、条文から確認します。
うちの敷地の消火栓の蓋を、子どもがいたずらで開けてしまったことがあります。
これって罪になるんでしょうか。
その行為は消防法第18条が禁じる行為にあたります。
ただ、行為の種類によって罰則の重さが大きく違うんです。
壊すのと、いたずらで使うのとでは、そんなに違うんですか。
はい、条文をたどるとその理由が見えてきます。
結論から整理しますね。
- 消防法第18条は、火災報知機・消火栓・消防用の貯水施設・望楼・警鐘台の使用、損壊、撤去、正当な使用の妨害を禁じている
- このうち「使用」と「妨げる」は第44条により30万円以下の罰金又は拘留にとどまる
- 「損壊」と「撤去」には別の重い条文が適用され、拘禁刑が科される
- 望楼・警鐘台の損壊撤去は第38条で7年以下の拘禁刑、火災報知機・消火栓・貯水施設の損壊撤去は第39条で5年以下の拘禁刑
- 設備を壊さなくても駐車や物置きで「妨げる」に該当することがある
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目次
消防用の設備を壊すとなぜここまで重い罪になるのか

けれど消防法は、これらを傷つける行為に強い罰則を用意しています。
一見どれも同じ「壊すな」という条文に見えますが、実際に科される罰則は行為ごとに大きく異なります。
壊す・持ち去る行為には拘禁刑が定められている一方、使う・妨げるだけの行為はより軽い扱いです。
その分かれ目がどこにあるのかを、次で確認します。
同じ第18条の違反なのに、罰則が違うっていうのは意外です。
そうなんです。
次は、どこで扱いが分かれるのかを見ていきましょう。
「使用」や「妨げる」と「損壊」「撤去」で罰則が分かれるのはなぜか

まず軽い方から見てみましょう。
十三 第十八条第一項の規定に違反し、みだりに火災報知機、消火栓、消防の用に供する貯水施設又は消防の用に供する望楼若しくは警鐘台を使用し、又はその正当な使用を妨げた者
これに対して「損壊」と「撤去」は第44条には含まれず、別の条文で拘禁刑が定められています。
壊す・持ち去るという結果を伴う行為だけが、より重い扱いになるということです。
その具体的な年数を、次で確認します。
壊す・持ち去るという結果があるかどうかで、扱いが分かれるんですね。
そのとおりです。
実はその重い方も、設備の種類でさらに分かれています。
望楼・警鐘台と火災報知機で拘禁刑の年数が違うのはなぜか

二つの条文を見比べます。
第三十九条 第十八条第一項の規定に違反して、みだりに火災報知機、消火栓又は消防の用に供する貯水施設を損壊し、又は撤去した者は、これを五年以下の拘禁刑に処する。
条文に理由は明記されていませんが、同じ「損壊」「撤去」でも対象設備によって二段階に分かれていることは条文上はっきり読み取れます。
どちらの条文も罰金刑の選択肢はなく、拘禁刑のみが定められている点も共通しています。
望楼や警鐘台なんて、うちの建物にはありませんが…。
現在の建物では火災報知機や消火栓の方が身近です。
次は日常でつまずきやすい落とし穴を見ましょう。
駐車や物置きで「妨げる」に該当することはあるのか

日常の中でうっかり触れてしまいやすい場面を確認します。
- 消火栓の直近に車両を駐車し続け、ホースの接続や取水を妨げる
- 設備の前に段ボールや資材を積み上げ、とっさに使えない状態にする
消火栓の上に物を置いたり、その手前に車を停め続けたりする行為は、この「妨げる」にあたり得ると考えられます。
罰則は第44条による罰金・拘留にとどまりますが、実際の火災現場では一刻を争う支障になりかねません。
罰則の重さだけでなく、設備の周囲を空けておくこと自体が防火管理の基本です。
駐車場の使い方も、消火栓の位置を確認しておいた方がよさそうですね。
そのとおりです。
最後に、防火管理者として確認すべきことをまとめます。
防火管理者が明日から確認すべきことは何か

最後に、明日から確認できる実務を整理します。
- 敷地内の消火栓・火災報知機の周囲に物を置いたり駐車させたりしていないか点検する
- 設備の破損やいたずらを見つけたら、速やかに所轄消防へ連絡し修理する
- これらの設備が法律で保護されていることを従業員にも共有しておく
定期点検のときに、設備の周囲が空いているかどうかもあわせて確認しておきましょう。
いたずらや破損に気づいたときは、自分で直そうとせず所轄消防への連絡を優先してください。
今度の点検で、消火栓の周りに物が置かれていないか確認します!
それが一番の備えになります。
よくある質問もあわせて確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
同じ「壊す」でも、設備によって罪の重さが違うとはっきり分かりました。
敷地の設備、あらためて見て回ります!
その一言が、いざというときの安心につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第18条(消防の用に供する設備等の使用禁止等)
- 消防法第38条・第39条(望楼・警鐘台・火災報知機等の損壊等の罪)
- 消防法第44条第十三号(使用・妨害の罪)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





