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消防用設備の工事を無資格者がするとどうなるのか|第17条の5が定める禁止行為と第42条の罰則を解説

無資格で消防用設備の工事をすると罰則の対象になることを解説する記事のアイキャッチ画像

消防用設備等の工事や整備には、専門的な知識と技術が求められます。
この分野には消防設備士という国家資格があり、対象となる工事や整備は誰でも行えるわけではありません。
免状を持たない業者に工事を依頼してしまうと、施設の側にも思わぬ影響が及ぶことがあります。
この記事では消防法第17条の5が定める禁止行為と、違反したときの罰則を解説します。

工事業者さんに免状があるかどうか、正直あまり気にしたことがありませんでした。
確認しなくても大丈夫でしょうか。

対象になる設備の工事や整備は、消防設備士でなければ行つてはならないと法律で定められています。
まずはその仕組みから確認しましょう。

免状がない人がこっそり工事をしていたら、それは違反になるということですか。

はい、無資格での施工そのものが罰則の対象です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 対象設備の工事や整備は消防設備士でなければ行ってはなりません
  • 対象になるのは屋内消火栓設備や自動火災報知設備など政令で列挙された設備です
  • 違反すると消防法第42条第10号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処されます
  • この違反には両罰規定が適用されず、罰せられるのは行為者個人だけです
  • まずは工事業者の免状の種類と有効性を確認することが重要です

消防用設備の工事を無資格で行うと消防法第42条の拘禁刑と罰金の対象になり法人は両罰規定の対象外になる仕組みを示した図解

無資格で消防用設備の工事をするとなにが起きるのか

免状を持たない作業員が火災報知設備の制御盤に工具を当て禁止マークが示された様子
消防用設備等の工事や整備には、専門的な知識と技術が求められます。
そのため消防法は、対象となる設備の工事や整備を誰でも行えるわけではないと定めています。
消防設備士免状の交付を受けていない者は、次に掲げる消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない。(消防法第17条の5)
対象設備の工事と整備は消防設備士の免状を持つ人しか行えません。
条文がいう「政令で定めるもの」の中身はこのあとの項目で確認しますが、設置工事と整備の両方がこの規定の対象です。
免状のない人が請け負って作業してしまうと、それだけで禁止行為に当たります。
発注した施設の側が免状を確認していなかった場合でも、無資格者が作業した事実自体は変わりません。
まずは対象になる設備の範囲を具体的に見ていきましょう。

工事の見積りを取るときに免状の提示を求めたことがありませんでした。
これは確認したほうがいいということですね。

はい、免状の種類と有効性は契約前に確認しておくべき点です。
次はどんな設備がこの規定の対象になるかを見ていきましょう。

どの設備の工事に消防設備士の資格が必要になるのか

屋内消火栓設備と火災報知設備とスプリンクラー設備が並ぶ様子
対象になる設備は、消防法施行令が具体的に列挙しています。
設置工事の対象と、整備の対象では範囲が少し異なります。
法第17条の5の政令で定める消防用設備等(略)の設置に係る工事は、次に掲げる消防用設備等(略)の設置に係る工事とする。一 屋内消火栓設備 二 スプリンクラー設備(略)九 自動火災報知設備(略)十一 金属製避難はしご(固定式のものに限る。) 十二 救助袋 十三 緩降機(消防法施行令第36条の2第1項)
屋内消火栓設備や自動火災報知設備など主要な消防用設備等の多くがこの規定の対象です。
設置に係る工事だけでなく、施行令第36条の2第2項により整備も同じ規定の対象とされています。
さらに整備については、同項が消火器や漏電火災警報器も対象に加えている点が設置工事とは異なります。
つまり消火器そのものの設置に免状は不要でも、詰め替えなどの整備には免状が必要になり得るということです。
自施設で使っている設備がどの区分に当たるかを、工事や整備を依頼する前に確認しておきましょう。

消火器の詰め替えくらいなら誰でもできると思っていました。
これも対象になるんですか。

はい、消火器や漏電火災警報器の整備もこの規定の対象です。
次は違反したときの罰則を確認しましょう。

違反するとどんな罰が科されるのか

木づちと硬貨の脇に書類が置かれた様子
免状のない人が対象設備の工事や整備を行った場合、行政指導だけでは済みません。
消防法は禁止規定への違反に、直接の刑事罰を用意しています。
次のいずれかに該当する者は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。(略)十 第17条の5の規定に違反した者(消防法第42条第1項)
無資格での工事や整備そのものが刑事罰の対象になります。
科されるのは6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金で、命令を経ずに直接処罰される構造です。
消防法第42条第2項では、情状により拘禁刑と罰金を併科できるとも定められています。
処罰の対象になるのは実際に作業を行った無資格の作業者本人です。
次は、この罰則の少し意外な特徴を確認します。

免状を確認しなかった施設の側も、同じように罰せられるんでしょうか。

それは次の項目で説明します。
実は意外な仕組みがあります。

罰則で見落としやすいのはどこか

作業員の頭上に木づちが掲げられ隣に会社の建物が立つ様子
消防法の多くの罰則には、行為者本人だけでなく雇い主の法人も罰する両罰規定が用意されています。
ところがこの規定には、その仕組みが及んでいません。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、(略)その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。三 (略)第42条第1項(同項第七号及び第十号を除く。)(略)(消防法第45条第1項)
第42条第10号のこの違反には両罰規定が適用されません。
第45条第1項第3号は第42条第1項を両罰規定の対象に挙げていますが、条文はかっこ書きで第七号及び第十号を除くと明記しています。
つまり無資格の作業者を雇っていた工事会社であっても、この違反を理由に会社自体が罰金刑を科されることはありません。
罰せられるのは実際に工事や整備を行った個人に限られるという、やや意外な設計です。
この点を知らずに「会社も罰金の対象になるはず」と誤解しているケースもあるため、正しく理解しておく必要があります。

会社は罰せられないなら、業者選びは適当でもいいということでしょうか。

いいえ、両罰規定が無いことと施設側の管理責任は別の話です。
最後に確認の手順をお伝えします。

明日からなにを確認すればよいのか

施設管理者が作業員の資格証と点検表を照らし合わせる様子
ここまでの内容を踏まえて、工事や整備を依頼するときに確認すべき手順を整理します。
免状の確認は、契約前と作業当日の両方で行うのが確実です。 契約前と作業当日の両方で免状を確認しましょう。
まず工事を発注する前に、業者が持つ消防設備士免状の種類が依頼したい設備に対応しているかを確認します。
免状には甲種・乙種の区分があり、扱える設備の範囲がそれぞれ異なります。
作業当日は免状の携帯を求め、氏名や交付番号が契約時と一致しているかも見ておくと安心です。
消火器の詰め替えなど整備だけを依頼する場合も、対象設備であれば免状の確認は同じように必要です。
不明な点があれば、依頼前に所轄消防署へ確認するのが確実です。

なるほど、契約前と作業当日の両方で確認するようにします。

それが確実です。
無資格の作業は施設全体の安全にも関わります。

よくある質問

Q消防設備士免状がなくても行える整備はあるのか?
Aあります。消防法施行規則第33条の2の2は、屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備のホースやノズルなど部品の交換や消火栓箱の補修といった軽微な整備を、免状がなくても行える範囲として定めています。
Q消火器の設置そのものにも免状は必要か?
A消防法施行令第36条の2第1項が定める設置工事の対象一覧に消火器は含まれておらず、設置そのものには免状は不要です。ただし同条第2項により、消火器の整備は免状が必要な対象に含まれています。
Q無資格で工事をした業者を雇っていた会社は罰せられるのか?
Aいいえ。消防法第45条第1項第3号は第42条第1項の両罰規定から第10号を除くと定めており、この違反で会社自体が罰金刑を科されることはありません。
Q免状の種類によって行える工事の範囲は違うのか?
A違います。甲種消防設備士は工事と整備の両方を行えますが、乙種消防設備士が行えるのは整備だけで、工事は行えません(消防法第17条の6第2項)。

まとめ

対象設備の工事や整備は消防設備士でなければ行ってはならないと定められている
対象になるのは屋内消火栓設備や自動火災報知設備など施行令第36条の2が列挙する設備である
消火器や漏電火災警報器は整備だけがこの規定の対象に含まれる
違反すると消防法第42条第10号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処される
この違反には両罰規定が適用されず、罰せられるのは行為者個人だけである
甲種消防設備士は工事と整備の両方、乙種消防設備士は整備だけを行える
工事や整備を依頼するときは免状の種類と提示を契約前と作業当日の両方で確認することが重要である

免状の確認、今度からきちんとします
次の工事のときから早速取り入れます。

ぜひ取り入れてみてください。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の5、第42条、第45条 e-Gov法令検索
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第36条の2 e-Gov法令検索
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第33条の2の2、第33条の3 e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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