消防車は朱色で、救急車は白色です。
どちらも消防機関の車両ですが、塗色が違うのには法令上の理由があります。
また消防車の優先通行については消防法第26条と道路交通法第40条の両方に定めがあり、車両のとるべき措置に違いがあります。
この記事では消防車の定義と優先通行の扱いを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
消防車が赤く、救急車が白いのには決まりがあるのでしょうか。
あります。
消防自動車は車体の塗色は朱であると定められており、救急自動車は法令上これを白色塗とすべきものとされています。
消防車が来たときの避け方は、どちらの法律に従えばよいのでしょうか。
そこも整理されています。
消防法第26条第1項は道路交通法第40条の特別規定であるとされています。
この記事でまとめて解説します!
- 可搬式動力ポンプで専用運搬車にとう載されていないものは消防車とはいいがたい
- 消防法第26条第1項は道路交通法第40条の特別規定である
- 消防運営に使用する自動車は消防自動車でありその車体の塗色は朱である
- 救急自動車は白色塗とすべきものであるが白色の車体に朱線をまいても差し支えない
▼
目次
運搬車に載せていない可搬式動力ポンプは消防車にあたらない

昭和29年5月17日付け国消総発第35号は、消防車の定義についての照会です。
まず可搬式動力ポンプは消防車の中に含まれると思うが如何と問われました。
そのためこうしたポンプについてはサイレン又は鐘を設備する必要はないともされています。
サイレンを鳴らすかどうかについても具体的な考え方が示されました。
消防車の接近を告知する必要上、高速度で走行する消防車がサイレンを鳴らさないのは不適当であるとされています。
帰投の場合には、鐘は慣例により、また鎮火信号的な意味を有するので常に鳴らす必要があるが、警笛は交通上危険があるときに用いれば足りるとされています。
帰りの鐘には意味があります。
運搬車に載せていないポンプは、消防車には当たらないのですね。
積載しているかで分かれます。
自衛消防で機材を備えるなら、車両の扱いも確認してください。
消防法第26条第1項は道路交通法第40条の特別規定にあたる

消防車の優先通行権については二つの法律に規定があります。
昭和37年3月24日付け自消丙予発第26号では消防法第26条第1項と道路交通法第40条がそれぞれ規定しているが、消防車通行の際に車両等のとるべき処置については相違が見られる。この場合いずれの法が優先するのかと問われました。
消防法が優先して適用されます。
特別規定とは、一般的な定めに対して特定の場面についてより具体的に定めた規定のことです。
消防車が通行する場面では、道路交通法の一般的な定めよりも消防法の定めが先に適用されるという整理になります。
なお緊急自動車にあたらない消防車についても消防法第26条第1項の規定により優先的に通行することができるとされています。
緊急自動車であるかどうかと、優先通行できるかどうかは別の話だということです。
消防法のほうが特別の規定になるのですね。
そう整理されています。
社用車の運転者にも、避け方を周知しておきましょう。
消防運営に使用する自動車の塗色は朱色と定められている

昭和30年3月15日付け国消総発第32号では、ポンプ自動車以外の車両の塗色が問われました。
照会では司令車や無線車や通信車や照明車は消防ポンプ自動車と一体となつて活動すべきものであり、これらの塗色を白と朱に区別する理由なくすべて消防自動車として取り扱い塗色は朱とすべきだと考えられるがいかがとされています。
緊急自動車としての要件もあわせて説明されています。
道路運送車両の保安基準においては、消防自動車は緊急自動車であり車体の塗色を朱色とし、警光燈およびサイレンを備えなければならないこととなっているとされました。
サイレンは音の大きさが自動車の前方20メートルの位置で90ホン以上120ホン以下のものとされています。
数値まで定められています。
そのうえで道路交通法令では、保安基準で定めるサイレンを鳴らし警光燈をつけて緊急用務のため運転中の消防自動車は緊急自動車とされていると整理されています。
指揮や連絡に使う車も、朱色と定められているのですね。
消防運営に使う車が対象です。
塗色の決まりは、車両を備えるときに確認してください。
救急自動車は白色だが朱線をまいても差し支えない

昭和29年7月22日付け国消総発第57号は、救急自動車の塗色についての照会です。
問われたのは救急自動車は消防機関に属するものであつても法令上これを白色塗とすべきもののようであるが、当該救急自動車が消防機関に属するものであることを明らかにするため白色の車体に朱線をまいても差し支えないと考えられるがどうかという点でした。
白色という基本は保ちつつ、消防機関の車両であることを示す朱線は認められるという整理になります。
街で見かける救急車の車体に朱色の線が入っているのは、この考え方によるものです。
白地に朱線という組み合わせです。
救急車に朱線を入れるのは差し支えないのですね。
所属を示すためです。
表示を変えるときは、事前に確認しておきましょう。
指揮連絡に使う車も消防自動車として第26条の適用を受ける

昭和33年6月6日付け国消総発第43号は、寄付を受けた自動車を災害現場指揮や団務連絡に使いたいという照会です。
非常時にも使用したいがこの車は緊急自動車と認められるかが問われました。
ポンプを積んでいなくても、消防運営に使う車であれば消防自動車として扱われるということです。
そのうえで緊急自動車になるかどうかは、警光燈やサイレンなどの要件を備えているかで決まります。
なお自衛消防隊が持つ車両についても消防法第26条にいう消防車又は道路交通法にいう緊急自動車には、それぞれ自衛消防隊の有する消防車又は消防自動車も含まれるとされています。
ポンプを積んでいなくても、消防自動車として扱われるのですね。
消防運営に使う車であれば対象です。
緊急自動車の指定は、別の手続きが要ります。
よくある質問
まとめ
- 可搬式動力ポンプで専用運搬車にとう載されていないものは消防車とはいいがたい
- 高速度で走行する消防車がサイレンを鳴らさないのは不適当であるとされている
- 帰投の場合の鐘は鎮火信号的な意味を有するので常に鳴らす必要があるとされている
- 消防法第26条第1項は道路交通法第40条の特別規定である
- 緊急自動車以外の消防車でも消防法第26条第1項の規定により優先的に通行することができる
- 消防運営に使用する自動車は消防自動車でありその車体の塗色は朱である
- 警光燈は前方150メートルから点灯を確認できる赤色のものとされている
- 救急自動車は白色塗とすべきものであるが白色の車体に朱線をまいても差し支えない
帰りに鳴らしている鐘は、火が消えたという合図だったのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
自衛消防組織で車両を備える場合も消防法第26条の対象になります。
体制づくりはご相談ください。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第26条 e-Gov法令検索
- 道路交通法(昭和35年法律第105号)第40条 e-Gov法令検索
- 道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第14条 e-Gov法令検索
- 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第49条 e-Gov法令検索
- 消防車の定義について(昭和29年5月17日付け国消総発第35号 総務課長から石川県民生部長あて回答)
- 救急自動車の塗色について(昭和29年7月22日付け国消総発第57号 総務課長から岐阜市消防長あて回答)
- ポンプ自動車以外の消防自動車の塗色について(昭和30年3月15日付け国消総発第32号 総務課長回答)
- 指揮連絡車は緊急自動車か(昭和33年6月6日付け国消総発第43号 総務課長から宮崎県総務部長あて回答)
- 消防法第26条第1項と道路交通法第40条との関係について(昭和37年3月24日付け自消丙予発第26号 予防課長から福岡県民生部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の消防車の優先通行等に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




