BLOG

計量単位のSI化で再検査は必要か|水圧試験の圧力換算から完成検査済証の記載まで

計量単位のSI化に伴う再検査の要否を解説するアイキャッチ画像

危険物規制の技術上の基準は計量単位が国際単位系に切り替えられた時期があります。
このとき現場で一番気になったのは、旧単位で検査を終えた設備をもう一度検査し直す必要があるのかという点でした。
書類の記載や換算の桁数をどう扱うかという細かい問題も同時に生じています。
この記事では計量単位のSI化に伴う実務の取扱いを消防庁の通達に沿って整理します。

単位がキログラム毎平方センチメートルからキロパスカルに変わったやろ。前に試験したタンクはやり直しか。

やり直しません。
平成11年10月25日付け消防危第101号で、再度、水圧試験を行う必要はないとされています。

ほな完成検査済証の圧力の欄はどう書くんや。数字だけ入れ替えたら分からんようになるで。

そこも示されています。
換算は1重量キログラム毎平方センチメートルを100キロパスカルとしてよく、従来単位を併記する等、換算して記載したことが分かるように記載することになります。この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • SI化前に旧単位の試験圧力で水圧試験を終え基準に適合していることを確認しているタンクは再度水圧試験を行う必要はない
  • 移動貯蔵タンクの安全装置についても旧単位で作動が確認されていれば再度確認を行う必要はない
  • 完成検査済証の圧力欄の換算は1重量キログラム毎平方センチメートルを100キロパスカルとしてよく従来単位を併記する等して換算したことが分かるように記載する
  • 日本工業規格の読み替えは既発通知の読み替えを示すものであって実際の使用材質を読み替えるものではない

旧単位で水圧試験を終えたタンクは再度の試験が不要

圧力計の付いた地下貯蔵タンクと緑のチェックマークのイラスト

平成11年10月25日付け消防危第101号は、計量単位のSI化に伴う疑義をまとめた通達です。
最初の問いは地下貯蔵タンクで、消防機関が平成11年9月30日までに0.7重量キログラム毎平方センチメートルの試験圧力で水圧試験を実施し、基準に適合していることを確認しているものについて、当該タンクを設置しようとする施設に係る設置又は変更の許可を平成11年10月1日以降に行う場合、試験圧力が異なることから当該タンクについて再度、計量単位のSI化後の試験圧力(70キロパスカル)で水圧試験を行わなければならないかというものでした。

回答は再度、水圧試験を行う必要はないです。
単位が変わっただけで中身は同じです
なお地下貯蔵タンクに限らず、危険物の規制に関する政令第8条の2第5項に規定する水圧試験の対象となる液体危険物タンクのうち、試験圧力が70キロパスカルで行うこととされているタンクについても同様の扱いをして差し支えないとされています。

0.7重量キログラム毎平方センチメートルと70キロパスカルは実質的に同じ圧力です。
表記が変わったことを理由に同じ試験を繰り返させるのは意味がない、という当たり前の結論が明示されました。

移動貯蔵タンクの安全装置も作動確認をやり直す必要はない

ばね式の安全装置と圧力計を備えたタンクローリーのイラスト

二つめの問いは移動貯蔵タンクの安全装置についてです。
平成11年9月30日までに、試験圧力が0.2重量キログラム毎平方センチメートルを超え、0.24重量キログラム毎平方センチメートル以下の範囲の圧力で作動が確認されている移動貯蔵タンクの安全装置について、当該安全装置を設置しようとする移動タンク貯蔵所に係る設置又は変更の許可を平成11年10月1日以降に行う場合、作動確認圧力が異なることから、再度、計量単位のSI化後の圧力(20キロパスカルを超え、24キロパスカル以下の範囲の圧力)で作動の確認を行わなければならないかという照会です。

回答は再度、確認を行う必要はないです。
安全装置も同じ考え方になります
タンク本体の水圧試験と同じく、旧単位で確認された作動圧力はSI単位でも同じ範囲を指しているためです。

0.2から0.24重量キログラム毎平方センチメートルという範囲は、SI単位では20キロパスカルを超え24キロパスカル以下という範囲に対応します。
範囲の上下が入れ替わったり狭まったりしているわけではないことが、この結論の根拠になっています。

完成検査済証は換算したことが分かるように記載する

二つの数値欄が並んだ完成検査済証のイラスト

三つめは書類の記載方法についての問いです。
問1又は問2に該当する移動タンク貯蔵所について、完成検査済証のタンクの最大常用圧力欄又は安全装置の作動圧力欄の記載に際しての換算は1重量キログラム毎平方センチメートルを100キロパスカルとしてよいかというものです。

回答は差し支えないです。
ただし照会文の中で完成検査済証の当該欄には、例えば従来単位を併記する等、換算して記載したことが分かるように記載するものとするという前提が置かれており、この前提を含めて認められています。
換算したことが分かるように書きます

1重量キログラム毎平方センチメートルは厳密には98.0665キロパスカルですが、書類上は100キロパスカルとして扱ってよいとされました。
そのかわり、後から見た人が元の数値なのか換算した数値なのかを判別できる形にしておくことが求められています。

規格の読み替えは通知の読み替えであって使用材質を変えるものではない

規格書から鋼材への矢印に赤い斜線が引かれたイラスト

四つめは材質の表記についての問いです。
特定屋外タンク貯蔵所で市町村長等に新基準適合届出を行う場合の添付図書として平成6年9月1日付け消防危第73号通知中の別紙1に示す新基準の適合確認計算書中のアニュラ板(底板)の材質欄の記入について、底板図から確認した材質がSM41Cの場合、SM400Cとするのかという照会です。

回答は平成11年9月24日付け消防危第86号通知中の2の日本工業規格の読み替えは、既発通知の読み替えを示しており実際の使用材質を読み替えるものではないというものです。
図面に書かれた材質はそのまま書きます
通知の中に出てくる規格名を新しい表記に読み替えるという話であって、現物の鋼材の呼び名を書き換えるものではないという整理です。

規格の呼称が変わると手元の図面もすべて書き直すのかという疑問が生じます。
ここではその範囲を通知の中に限定し、実際に使われている材質の表記には手を触れないと線を引いたことになります。

換算は原則1kgf=9.8Nだが必要なら桁を増やせる

計算書と電卓と虫眼鏡のイラスト

五つめは換算に使う数値そのものについての問いです。
消防危第86号通知中の4の(2)及び(3)において、換算は1kgf=9.8ニュートンで行うこととしてよいかという照会に対しては、次のように回答されています。

回答は原則は1kgf=9.8ニュートンで行うものであるが、有効数字の桁数から必要とされる場合は、1kgf=9.80665ニュートン(有効数字6桁)のうち必要な桁数とし換算しても差し支えないというものです。
必要な桁まで使ってかまいません

さらに施行日前に作成した図書について、作成時に技術上の基準に適合しているものをSI単位に換算した結果、基準に適合しなくなる場合は、基準に適合しているものとして取り扱ってよいかという問いもあり、回答は差し支えないとされました。
換算の丸めによってわずかに基準を割り込むことがあっても、もともと適合していたものは適合しているものとして扱うという配慮です。

よくある質問

Q. SI化の前に水圧試験を終えたタンクは試験をやり直しますか?
やり直しません。平成11年10月25日付け消防危第101号では、平成11年9月30日までに0.7重量キログラム毎平方センチメートルの試験圧力で水圧試験を実施し基準に適合していることを確認しているものについて、再度水圧試験を行う必要はないとされています。試験圧力が70キロパスカルで行うこととされている他の液体危険物タンクも同様です。
Q. 移動貯蔵タンクの安全装置の作動確認もやり直しますか?
やり直しません。旧単位で0.2重量キログラム毎平方センチメートルを超え0.24重量キログラム毎平方センチメートル以下の範囲で作動が確認されていれば、SI単位に換算した20キロパスカルを超え24キロパスカル以下の範囲で再度確認を行う必要はないとされています。
Q. 完成検査済証の圧力欄はどう書きますか?
換算は1重量キログラム毎平方センチメートルを100キロパスカルとして差し支えないとされています。ただし当該欄には例えば従来単位を併記する等、換算して記載したことが分かるように記載することが前提とされています。
Q. 換算した結果わずかに基準を下回った場合はどうなりますか?
施行日前に作成した図書について、作成時に技術上の基準に適合しているものをSI単位に換算した結果、基準に適合しなくなる場合は、基準に適合しているものとして取り扱って差し支えないとされています。

まとめ

  • 旧単位の試験圧力で水圧試験を終え基準に適合していることを確認しているタンクは再度水圧試験を行う必要はない
  • 試験圧力が70キロパスカルで行うこととされている液体危険物タンクについても同様の扱いをして差し支えない
  • 移動貯蔵タンクの安全装置についても旧単位で作動が確認されていれば再度確認を行う必要はない
  • 完成検査済証の圧力欄の換算は1重量キログラム毎平方センチメートルを100キロパスカルとして差し支えない
  • その場合は従来単位を併記する等して換算して記載したことが分かるように記載する
  • 日本工業規格の読み替えは既発通知の読み替えを示すものであって実際の使用材質を読み替えるものではない
  • 換算は原則1kgf=9.8ニュートンだが有効数字の桁数から必要とされる場合は9.80665ニュートンのうち必要な桁数で換算してもよい

単位が変わっただけで中身は一緒やもんな。せやから試験もそのままか。

表記の切り替えで実態が変わるわけではない、という一点で通っています。
だから試験は繰り返さず、換算の丸めで不利になる場合も救い、そのかわり書類には換算したことを残す、という組み立てです。

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第8条の2 e-Gov法令検索
  • 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成11年10月25日付け消防危第101号 消防庁危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)その他
  • 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について(平成6年9月1日付け消防危第73号)
  • 危険物規制事務に係る技術上の基準における計量単位のSI化について(平成11年9月24日付け消防危第86号)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の計量単位のSI化に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
計量単位のSI化に伴う再検査の要否を解説するアイキャッチ画像
危険物規制の技術上の基準は計量単位が国際単位系に切り替えられた時期があります。 このとき現場で一番気になったのは、旧単位で検査を終えた設備をもう一度検査し直す必要があるのかという点でした。 書類の記載や換算の桁数をどう扱...