天井のスプリンクラーヘッドをよく見ると金具に小さな数字が刻まれています。
あの数字は何度で水が出るかを表した標示温度です。
しかも取り付ける場所の温度によって選べる標示温度が条文で決められています。
この記事では消防法施行規則と規格省令の条文だけを見て標示温度の決まりを整理します。
点検の立会いでヘッドに数字が刻まれているのを見つけました。
あれはなにを表しているのでしょうか。
そのヘッドが作動する温度で標示温度といいます。
規格を定める省令に定義が置かれています。
厨房のヘッドだけ数字が大きかった気がします。
場所によって違うものが付いているのですか。
違います。
取り付ける場所の最高周囲温度ごとに選べる標示温度が表で決められています。
- 標示温度はヘッドが作動する温度としてあらかじめヘッドに表示された温度のことです
- 閉鎖型ヘッドは取り付ける場所の正常時における最高周囲温度に応じた標示温度のものを設けます
- 区分は4段階で最高周囲温度が39度未満なら標示温度は79度未満のものになります
- 標示温度の区分ごとに黒や白や青といった色別を表示することとされています
- 色別は作動後においても確認できる箇所に表示することとされています
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目次
スプリンクラーヘッドに表示された温度はなにを表しているのか

まずその数字がなにを指しているのかを条文で確かめます。
標示温度はヘッドが作動する温度としてあらかじめヘッドに表示された温度と定義されています。
定義を置いているのは消防法施行規則ではなく閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令です。
カバーが付いたヘッドではカバーが離脱する温度も標示温度として扱われます。
点検のときにヘッドの数字を読めば何度で放水が始まるものかがその場で分かります。
火災の熱で溶ける温度という理解でよいのですね。
数字が大きいほど溶けにくいわけですか。
そのとおりです。
まずは自分の建物のヘッドにどの数字が入っているかを控えてください。
取り付ける場所の温度でヘッドの標示温度はどう決まるのか

消防法施行規則が場所の温度と標示温度の対応を表で決めています。
基準になるのは正常時における最高周囲温度であって火災のときの温度ではありません。
区分は4段階で最高周囲温度が39度未満なら標示温度は79度未満のものになります。
39度以上64度未満なら79度以上121度未満64度以上106度未満なら121度以上162度未満です。
106度以上の場所では162度以上の標示温度のものを設けることになります。
厨房や乾燥室は上の区分に当たりそうですね。
事務室と同じヘッドでは合わないわけですか。
平常時にどこまで温度が上がるかで決まります。
まずは熱がこもる部屋を書き出すところから始めてください。
天井に付いているヘッドの標示温度はどこを見ればわかるのか

規格省令は色でも区分が分かるようにしています。
標示温度が60度未満は黒60度以上75度未満は色別なし75度以上121度未満は白です。
121度以上162度未満は青162度以上200度未満は赤200度以上260度未満は緑260度以上は黄となっています。
色別は作動後においても確認できる箇所に表示することとされているので放水したあとでも区分をたどれます。
同じ省令の第15条第1項は製造者名や製造年や標示温度や取付け方向も表示するよう求めています。
つまり色を控えておけば刻印が読めなくても区分は追えるのですね。
写真に撮っておくことにします。
良い方法です。
区画ごとに1枚ずつ撮って図面に貼り付けておくと引き継ぎが楽になります。
実務で見落としやすいのはどこか

実際には建物の使い方が変わると条件のほうが動きます。
規格省令は標示温度に0.9を掛けて27.3を引いた温度をそのヘッドの最高周囲温度としています。
標示温度が75度未満のものについては一律39度として扱うことになっています。
そのため厨房に熱源を足すような変更をすると同じ天井でも合うヘッドが変わります。
誤作動を嫌って標示温度の高いものへ替えると作動が遅れるので取替えの前に所轄消防署へ相談します。
厨房の機器を増やしたときは天井のことまで考えていませんでした。
設備の届出だけで済む話ではないのですね。
そこが落とし穴です。
熱源を足した部屋は変更した日とあわせて記録に残しておいてください。
明日からなにを確かめればよいのか

点検の根拠は消防法が定める定期点検と報告の義務です。
厨房やボイラー室のように平常時の温度が高い部屋を先に回りヘッドの色と刻印を控えます。
次に点検票の写しと突き合わせて同じ区画のヘッドがそろっているかを見ます。
熱源を増やした部屋や用途を変えた部屋があれば変更した日付とあわせて記録に残します。
判断が分かれる部分は消防設備士か所轄消防署に確認してから取り替えます。
まずは厨房と機械室から回ってみます。
色を控えるだけなら今日でもできそうです。
そこから始めれば十分です。
控えた記録は次の点検で設備業者に渡してください。
よくある質問
まとめ
ヘッドの数字と色まで見るものだと分かりました。
次の点検で厨房から確かめます。
その視点があれば十分です。
判断に迷ったときは㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第14条(スプリンクラー設備に関する基準の細目)第1項第七号
- 閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号)第2条(定義)第五号・第六号
- 閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号)第15条(表示)第1項・第2項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





