スプリンクラーヘッドから水が出たとき建物の中では誰が最初にそれを知るのでしょうか。
ヘッドは音を出しませんし配管の中の水が動いただけでは人は気づけません。
そこで消防法施行規則はスプリンクラー設備に自動警報装置を設けることを求めています。
この記事では消防法施行規則の条文だけを見て発信部と受信部の決まりを整理します。
スプリンクラーが作動したら警備室に連絡が行くと聞きました。
あれはどの装置が知らせているのでしょうか。
スプリンクラー設備の自動警報装置という部分が知らせています。
消防法施行規則に細かい決まりが置かれています。
ポンプ室に赤い箱と丸い計器が並んでいるのは見たことがあります。
あれも警報の仲間なのでしょうか。
その箱が水の流れを捉える発信部にあたります。
知らせを受け取る側は受信部と呼ばれます。
- 自動警報装置はヘッドの開放又は補助散水栓の開閉弁の開放により警報を発するものとされています
- 発信部は各階又は放水区域ごとに設けることとされています
- 発信部には流水検知装置又は圧力検知装置を用いることとされています
- 受信部の表示装置は防災センター等に設けることとされています
- 受信部が二以上あるときは同時に通話することができる設備が求められます
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目次
スプリンクラー設備の自動警報装置はなにを知らせる装置なのか

まずなにが起きたときに鳴る装置なのかを条文で確かめます。
条文はヘッドの開放又は補助散水栓の開閉弁の開放により警報を発するものとすることと定めています。
火災の熱を感じて鳴るのではなく水が流れ出したことをきっかけに鳴る装置だという点が自動火災報知設備との違いです。
補助散水栓の開閉弁を開いた場合も同じように警報を発することとされています。
訓練で補助散水栓を開けたときに警報が鳴るのはこの条文どおりの動きなので故障ではありません。
火災を感じて鳴るのではなく水が出てから鳴るのですね。
順番が逆だと思っていました。
そのとおりです。
まずは自分の建物に補助散水栓があるかどうかを図面で確かめてください。
発信部はどこにいくつ設けることになっているのか

設ける数と使ってよい機器が号の中で決まっています。
条文は各階又は放水区域ごとに設けるものとしています。
ラック式倉庫だけは階ではなく配管の系統ごとという別の数え方が括弧書きで置かれています。
発信部に用いてよいのは流水検知装置又は圧力検知装置とされていて、それ以外の機器を用いることは条文に書かれていません。
階ごとに設けるからこそ受信側でどの階が開いたのかを切り分けられるという構造になっています。
各階に一つずつ弁があるのはそういう理由だったのですね。
建物全体で一つではないわけですか。
階ごとに設けるのが原則です。
点検票の系統の欄と実際の弁の数が合っているかを見てください。
受信部の表示装置はどこに置くことになっているのか

置き場所まで条文が指定している点がこの号の要です。
表示装置に求められているのは開放した階又は放水区域が覚知できることです。
防災センター等とは防災センター中央管理室守衛室その他これらに類する場所で消防法施行規則第12条第1項第八号が常時人がいる場所に限ると括弧書きで定めています。
受信部が二以上あるときはその場所相互間で同時に通話することができる設備を設けることとされています。
盤だけを増やして連絡手段を用意していない状態は条文が想定した姿ではありません。
うちは警備室と管理事務所の両方に盤があります。
その間で話せる必要があるということですか。
受信部が二以上ならそう読めます。
両方の盤の前に通話用の機器があるかを見に行ってください。
実務で見落としやすいのはどこか

点検で見落とされやすいのは配管に付く小さな部品のほうです。
流水検知装置の一次側には圧力計を設けることとされていて任意の付属品ではありません。
二次側に圧力の設定を必要とする設備では設定値より二次側の圧力が下がったときに自動的に警報を発する装置も求められます。
もうひとつの落とし穴は第四号のただし書で自動火災報知設備により警報が発せられる場合は音響警報装置を設けないことができるとされている点です。
音が鳴らないから壊れていると決めつける前に自動火災報知設備の側で鳴らす設計になっていないかを図面で確かめてください。
圧力計が曇っていて読めない箇所があります。
あれも指摘の対象になるのでしょうか。
設けることとされている部品なので読めない状態は望ましくありません。
気づいた時点で写真に残して点検業者に伝えてください。
明日からなにを確かめればよいのか

点検と報告の義務は消防法が関係者に置いています。
まず各階の弁の箱がいくつあるかを数えて階の数と合っているかを見ます。
次にその一次側に圧力計が付いているかを一つずつ確かめます。
最後に受信部の表示装置が常時人がいる場所に置かれているか盤が二以上あるなら相互に話せる機器があるかを見ます。
点検と報告は消防法第17条の3の3が関係者の義務としているので気づいた不備は点検業者にそのまま伝えて記録に残してください。
弁の数と階の数を突き合わせるところから始めればよいのですね。
それなら今週中にできそうです。
そこから始めれば十分です。
数が合わない理由は図面と系統図を見れば説明が付きます。
よくある質問
まとめ
発信部と受信部という言葉で全体がつながりました。
次の点検では圧力計まで見てみます。
その視点があれば十分です。
判断に迷ったときは㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第14条(スプリンクラー設備に関する基準の細目)第1項第四号・第四号の四・第四号の五
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条(屋内消火栓設備に関する基準の細目)第1項第八号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





