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スプリンクラー設備の水源はどれだけの量が必要なのか|ヘッドの種別と高感度型で変わる規定個数の基準を解説

スプリンクラー設備の水源はどれだけの量が必要なのか

スプリンクラー設備の設計図には水源の容量が必ず書かれています。
ところがあの数字がどこから出てきたのかまで説明できる方は多くありません。
建物に付いているヘッドの数をすべて足した量だと思われていることもあります。
実際には同時に開くと決めた個数だけで水源の水量は決まります

点検の報告書に水源の水量が足りていないと書かれていました。
うちの建物はヘッドの数がそんなに多くないのに不思議です。

水源の量は付いているヘッドの数ではなく規定の個数から出します。
まずは建物の階数とヘッドの種別を確かめてみてください。

階数やヘッドの種別で必要な量が変わるのですか。
同じ広さの建物なら同じ量だと思い込んでいました。

用途や規模とヘッドの種別に応じて消防法施行規則の表を引きます。
その読み方を順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 水源の水量は規則が定める個数にヘッドの種別ごとの体積を掛けて出します
  • 閉鎖型の標準型ヘッドと側壁型ヘッドは1.6立方メートル 小区画型ヘッドは1立方メートルを掛けます
  • 高感度型ヘッドを用いると掛ける個数そのものが少なくなります
  • 乾式と予作動式の流水検知装置があるときは個数を1.5倍にします
  • 実際の設置個数が表の個数に満たないときはその設置個数で計算します

スプリンクラー設備の水源の水量がヘッドの種別ごとの規定の個数で決まることを示す図解

スプリンクラー設備の水源はなにをもとに決まるのか

建物の脇に置かれた水槽から配管が伸びて天井のスプリンクラーヘッドにつながっている様子
スプリンクラー設備には水をためておく施設を設けることが求められています。
その量をいくらにするかは消防法施行令が直接は書かず 総務省令に委ねています。
【消防法施行令第12条第2項第四号】
スプリンクラー設備(特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。)には、その水源として、防火対象物の用途、構造若しくは規模又はスプリンクラーヘッドの種別に応じ総務省令で定めるところにより算出した量以上の量となる水量を貯留するための施設を設けること
水源は建物ごとに計算する量です
条文が用途と構造と規模とヘッドの種別を並べているとおり 同じ延べ面積でも条件が違えば必要な量は変わります。
実際の計算方法は消防法施行規則第13条の6に置かれていて そこで初めて具体的な数字が出てきます。
大事なのは 建物に付いているヘッドを全部同時に開く前提では計算していないという点です。
火災のときに実際に開くであろう範囲を規則が個数で決め打ちして その個数ぶんの水を確保させる仕組みになっています。
図面の水源容量を見るときは まずこの個数がいくつで計算されているかを探してください。

全部のヘッドが一斉に開く前提ではないのですね。
それなら水槽がそこまで大きくない理由も分かります。

そのとおりで 規則が同時に開く個数を決め打ちしています。
図面の水源容量の欄に何個で計算したかが書かれているはずです。

ヘッドの種別で必要な水量はどう変わるのか

三種類のスプリンクラーヘッドの下にそれぞれ大きさの違う水のかたまりが置かれている様子
規則は閉鎖型の標準型ヘッド 小区画型ヘッド 側壁型ヘッド 開放型スプリンクラーヘッド 放水型ヘッド等に分けて計算方法を置いています。
まず基本になるのが標準型ヘッドの号です。
【消防法施行規則第13条の6第1項第一号】
閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドを用いる場合は、次の表の上欄に掲げる防火対象物の区分に応じ、スプリンクラーヘッドの設置個数が同表の下欄に定める個数(略)以上であるときにあつては当該同表の下欄に定める個数、スプリンクラーヘッドの設置個数が同表の下欄に定める個数に満たないときにあつては当該設置個数に、それぞれ一・六立方メートル(略)を乗じて得た量とすること
個数に体積を掛けるだけの式です
標準型ヘッドと側壁型ヘッドは1個あたり1.6立方メートル 小区画型ヘッドは1個あたり1立方メートルを掛けます。
掛ける個数のほうは表で決まっていて 標準型ヘッドの場合は令別表第一(4)項のうち法第8条第1項の百貨店にあたるものが15個 その他のものは地階を除く階数が10以下なら10個 11以上なら15個です。
小区画型ヘッドは表が別で 地階を除く階数が10以下なら8個 11以上なら12個 令第12条第1項第一号と第九号の病院や福祉施設で基準面積が1,000平方メートル未満のものは4個になります。
つまり同じ広さの建物でも階数が11に届くかどうかで必要な水量が跳ね上がります。
増築や用途変更で階数や用途区分が動いたときは 水源の量を計算し直す必要があると考えてください。

階数が11以上かどうかで個数が変わるのですね。
うちは10階建てなので境目のすぐ手前でした。

境目のすぐ手前なら塔屋や増築の計画が出たときが要注意です。
階数が動く計画を聞いたら早めに設備の担当へ伝えてください。

高感度型ヘッドを使うと個数はどう減るのか

小さなヘッドが並ぶ部屋と広く散水するヘッドが少数だけ並ぶ部屋を比べた様子
水源の量を左右するもう一つの要素がヘッドの性能です。
規則は早く感知して広く散水できるヘッドに名前を付けています。
【消防法施行規則第13条の2第2項】
令第十二条第二項第二号イの表の火災を早期に感知し、かつ、広範囲に散水することができるスプリンクラーヘッドとして総務省令で定めるものは、閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドで感度種別が一種であり、かつ、有効散水半径が二・六以上であるもの(以下「高感度型ヘッド」という。)とする。
性能がよいと掛ける個数が減ります
規則第13条の6第1項第一号の表は 高感度型ヘッドのうち有効散水半径が2.6のものと2.8のもので個数を分けています。
本来15個で計算する区分なら2.6で12個 2.8で11個になり 10個で計算する区分なら2.6で8個 2.8で7個になります。
標準型ヘッドの1.6立方メートルという単価は変わらないので 減った個数がそのまま水源の量に効いてきます。
ただし感度種別が一種であることも条件なので 有効散水半径だけを見て高感度型ヘッドだと判断することはできません。
図面や試験結果表でヘッドの型式を確認して どちらの数字で計算されているかを押さえておいてください。

性能のよいヘッドにすると水槽を小さくできるのですか。
そんな考え方があるとは知りませんでした。

設計の段階で選べば水源の規模を抑えられる場面はあります。
お手元の試験結果表でヘッドの型式を確かめてみてください。

実務で見落としやすいのはどこか

同じ配管と弁の組み合わせで小さい水槽と大きい水槽を並べて比べた様子
同じ用途と同じ階数でも 設備の方式によって必要な量が増える場合があります。
表の個数に括弧書きでぶら下がっている条件を読み落とさないことが大切です。
【消防法施行規則第13条の6第1項第一号】
スプリンクラーヘッドの設置個数が同表の下欄に定める個数(乾式又は予作動式の流水検知装置が設けられているスプリンクラー設備にあつては、当該下欄に定める個数に一・五を乗じて得た個数。以下この号において同じ。)以上であるときにあつては(略)
方式が違うと個数が1.5倍になります
凍結のおそれがある場所などで使う乾式予作動式は 配管に水が入っていないぶん放水が始まるまでに時間がかかります。
そのぶんを見込んで 標準型ヘッドと側壁型ヘッドでは表の個数を1.5倍した個数で計算することになっています。
もう一つ落としやすいのがラック式倉庫で 等級がⅠからⅢまでは30個 Ⅳは20個と別建てになっており 感度種別が一種の標準型ヘッドならそれぞれ24個と16個になります。
ラック式倉庫は掛ける体積も違い 等級がⅢまたはⅣで水平遮蔽板が設けられているものは2.28立方メートル その他のものは3.42立方メートルです。
自分の建物がこの括弧書きに当たるかどうかを 点検のたびに確かめておくと安心です。

うちは寒い地域なので乾式だと聞いた覚えがあります。
それだと水源の量も変わってくるのですね。

流水検知装置の銘板を見れば湿式か乾式かが分かります。
次の点検のときに担当者と一緒に確かめてみてください。

明日からなにを確かめればよいのか

図面を持った担当者と水位計の付いた水槽とチェックリストを並べた様子
水源は量だけそろっていればよいというものではありません。
規則は同じ条で放水の性能まで求めています。
【消防法施行規則第13条の6第2項第一号】
閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッド 前項第一号に定めるところにより算出した個数のスプリンクラーヘッドを同時に使用した場合に、それぞれの先端において、放水圧力が〇・一メガパスカル以上で、かつ、放水量が八十リットル毎分(ラック式倉庫にあつては、百十四リットル毎分)以上で放水することができる性能
量と圧力は一組で求められています
標準型ヘッドなら0.1メガパスカル以上かつ80リットル毎分以上 小区画型ヘッドなら50リットル毎分以上が求められます。
明日からできることとして まず消防用設備等点検結果報告書の水源の欄を開き 何個で計算した容量なのかを読み取ってみてください。
次に建物の階数と用途区分 ヘッドの種別 高感度型ヘッドかどうか 流水検知装置が湿式か乾式かの五点をメモにして 図面の前提と食い違っていないかを突き合わせます。
食い違いがあれば 増築や用途変更のときに水源の計算が更新されていない可能性があります。
判断に迷う場合は所轄消防署か点検を委託している業者へ相談し 計算の根拠を書面で残しておくと引き継ぎが楽になります。

報告書の水源の欄を開くところから始めてみます。
個数の前提が書いてあれば見比べられそうです。

その五点をメモにしておくと引き継ぎのときにも役立ちます。
食い違いが見つかったら早めに所轄消防署へ相談してください。

よくある質問

Q建物に付いているヘッドの数が表の個数より少ないときはどうなりますか?
Aその設置個数で計算します。消防法施行規則第13条の6第1項は 設置個数が表の個数に満たないときは当該設置個数に体積を乗じると定めています。小さな対象物で表の個数まで届かない場合に効いてくる読み方です。
Q高感度型ヘッドはどの種別のヘッドからでも選べるのですか?
A選べません。消防法施行規則第13条の2第2項は 閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドで感度種別が一種であり かつ有効散水半径が2.6以上のものを高感度型ヘッドとしています。小区画型ヘッドや側壁型ヘッドはこの定義に入りません。
Q水をためる施設がなくてもよい方式はありますか?
Aあります。消防法施行令第12条第2項第四号は特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除いています。水道の用に供する水管を連結する方式で 水量を貯留するための施設を有しないものがこれにあたり 同項第三号の二が設置できる範囲を限っています。
Q水源の量さえ確保できていれば基準を満たしますか?
A満たしません。消防法施行規則第13条の6第2項が放水圧力と放水量の性能も定めており 標準型ヘッドなら0.1メガパスカル以上かつ80リットル毎分以上で放水できることが求められます。量と性能の両方がそろって初めて基準に適合します。

まとめ

スプリンクラー設備の水源の量は消防法施行令第12条第2項第四号が総務省令に委ねています
計算式は消防法施行規則第13条の6にあり 規則が定める個数に種別ごとの体積を掛けて求めます
標準型ヘッドと側壁型ヘッドは1.6立方メートル 小区画型ヘッドは1立方メートルを掛けます
掛ける個数は用途と地階を除く階数で表から引きます
感度種別が一種で有効散水半径が2.6以上の高感度型ヘッドなら掛ける個数が少なくなります
乾式と予作動式の流水検知装置があるときは個数を1.5倍にします
水量だけでなく放水圧力と放水量の性能も同じ条で求められています

水源の量が規定の個数から出ていることがよく分かりました。
さっそく報告書と図面を並べて確かめてみます。

その突き合わせができれば水源の管理は大きく前進します。
読み方に迷ったときは㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令第12条(スプリンクラー設備に関する基準)
  • 消防法施行規則第13条の2(標準型ヘッド等)
  • 消防法施行規則第13条の6(スプリンクラー設備の水源の水量等)
  • 閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号)
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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