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水圧検査を受けずに埋めたタンクはどうなるか|掘り起こしを求められた事例と検査済証の取り付け

掘削された穴の中の地下タンクの写真と埋めたあとに検査漏れの文字

地下タンクを埋めてしまってから、水圧検査を受けていなかったことに気づく。
実際にそうした事例が消防庁に照会され、回答が示されています。
掘り起こすには大きな費用がかかるため、埋めたまま確認する方法でよいかが問われました。
この記事ではタンクの水圧検査と検査済証の取り付けについて消防庁の質疑応答に沿って整理します。

埋めたあとで水圧検査を受けていないと分かった場合は、どうなるのでしょうか。

掘り起こすことになります。
回答は1によつて処理すべきもので、掘りおこして水圧検査を行う案が選ばれました。

指定数量未満のタンクなら、条例で検査を義務づけられるのでしょうか。

それはできないとされています。
ただし任意の申し出で試験を行い手数料を徴収することはさしつかえないとされました。
この記事でまとめて解説します!

この記事の結論
  • 水圧検査を行わずに工事を完了した地下タンクは掘りおこして水圧検査を行う方法によって処理すべきものとされた
  • 掘りおこさずに規定圧力の2倍から3倍を加圧して確認する方法は選ばれなかった
  • 市町村の火災予防条例に指定数量未満のタンクの水圧又は水張の検査を受ける義務を規定することはできない
  • 設置者の任意の申し出により試験を実施し手数料を徴収することはさしつかえない
  • タンク検査済証は当て板に鋲止めし当該当て板をタンクに溶接する方法でさしつかえない

水圧検査を行わずに埋設したタンクは掘りおこして検査することとされた

掘削された穴の中から姿を現した円筒形の地下タンクとショベルのイラスト

昭和39年11月13日付け自消丙予発第127号は、鳥取県からの照会に答えたものです。
暖房用燃料である重油を貯蔵する地下タンク貯蔵所で、水圧検査を行わないまま工事が完了してしまった事案です。

タンクの容量は2.1キロリットルでした。
照会では、この状況をどう処理すべきかについて二つの案が示され、いずれによるべきかが問われています。

一つめの案はタンクを掘りおこして水圧検査を行うというものです。
二つめの案は掘りおこさずに加圧して確認するというものでした。
回答は本件は、1によつて処理すべきものと解するです。

選ばれたのは一つめ、つまり掘り起こす方法でした。
検査は省略できません

地下タンクは埋設してしまうと外側から状態を確認できません。
だからこそ埋める前に水圧検査を行う手順が定められているのであり、その手順を飛ばした以上は元に戻して検査するほかない、という整理になります。

掘り起こして検査することになったのですね。

そのように処理されました。
工事の工程に、検査の時期を必ず入れてください。

掘りおこさずに加圧して確認する方法は選ばれなかった

埋設されたままのタンクに接続された圧力計に赤い斜線が引かれたイラスト

照会で示された二つめの案は、かなり具体的なものでした。
現場としては掘り起こさずに済ませたいという意図が読み取れます。

二つめの案はタンクを掘りおこさず、設置者及び工事請負者の同意の上、規定圧力である0.7キログラム毎平方センチメートルの2倍から3倍にあたる1.5から2キログラム毎平方センチメートルの圧力をかけ、12時間から24時間後に圧力計に変化のない場合は技術上の基準に適合しているものとして処理するという内容でした。
回答はこの案を採っていません。

照会には、掘り起こしを避けたい理由も具体的に述べられています。
掘りおこし及び再設置には新設置の約2倍半にあたる約40万円を要するという事情です。

設置者と工事請負者の同意があり、規定の2倍から3倍という余裕をみた圧力をかけ、半日から1日置いて確認するという、それなりに慎重な代案でした。
それでも回答は掘り起こしを求めています。
費用は理由になりません

費用を理由にしても、認められなかったのですね。

手順が優先されました。
工程が遅れても、順序を飛ばさないでください。

指定数量未満のタンクに検査義務を課す条例は定められない

小型のタンクと開かれた条例の書面に赤い斜線が引かれたイラスト

次は少量危険物のタンクについてです。
昭和44年11月15日付け消防予第257号は、茨城県からの照会に答えたものです。

指定数量未満の危険物を貯蔵し又は取り扱うタンクについて、市町村の火災予防条例で水圧又は水張の検査を受ける義務を定められるかが問われました。

回答は市町村の火災予防条例に、指定数量未満の危険物を貯蔵し又は取扱うタンクについて水圧又は水張の検査を受けなければならないことを規定することはできないです。
条例では義務化できません

指定数量未満の危険物については、消防法第9条の4を受けて市町村条例が位置づけを担っています。
ただしその条例で定められる範囲には限りがあり、検査を受ける義務を課すことはその範囲に含まれないという整理です。

少量危険物には、義務づけができないのですね。

根拠となる規定がないためです。
自主的な確認は、点検の一環として行いましょう。

任意の申し出による試験と手数料の徴収はさしつかえない

申請書と硬貨の脇で交わされる握手のイラスト

同じ回答には続きがあります。
義務づけはできない、で終わってはいません。

回答はなお、条例を定め、設置者の任意の申し出により水圧又は水張の試験を実施し、それについて手数料を徴収することは、さしつかえないと続きます。

ここで分かれているのは義務か任意かという点です。
受けなければならないと課すことはできませんが、設置者の側から申し出て受けるのであれば消防機関が試験を行うことができ、その手数料を条例で定めることもできます。

少量危険物のタンクであっても、埋めてしまえば後から確かめられないのは同じです。
任意なら受けられます
所轄の消防本部にこの制度があるかどうかは、埋設前に確認しておく価値があります。

任意で申し出れば、試験を受けられるのですね。

手数料を定めることもできます。
不安があるタンクは、相談して確かめてください。

タンク検査済証は当て板に鋲止めして溶接する方法でよい

タンク頂部に溶接された当て板と鋲止めされた金属板のイラスト

検査に通ったあとの話です。
昭和46年10月22日付け消防予第151号は、東京消防庁からの照会に答えたものです。

地下貯蔵タンクにタンク検査済証の副本を取り付ける方法について、位置と方法の両方が示されました。

照会で示された取り付け位置はタンク頂部の適宜な位置、取り付け方法は当て板にタンク検査済証(副)を鋲止めし、当該当て板をタンクに溶接するというものです。
回答は設問の方法によつてもさしつかえないです。

検査済証を直接タンクに留めるのではなく、当て板を介する点が要点です。
タンク本体に穴をあけたり直接溶接したりすることを避けつつ、埋設後も所定の位置に検査済証が残る形になります。

取り付ける位置がタンク頂部とされているのも、埋設後に地表側から到達できる面だからです。

検査済証の取り付け方にも決まりがあるのですね。

当て板を介する方法が示されています。
タンクに直接穴を開けないよう、施工業者に伝えてください。

よくある質問

Q. 水圧検査をせずに埋めてしまった地下タンクはどうなりますか?
掘りおこして水圧検査を行う方法によって処理すべきものとされています。昭和39年11月13日付け自消丙予発第127号は、掘りおこして水圧検査を行う案と掘りおこさずに加圧して確認する案のうち、本件は1によつて処理すべきものと解すると回答しています。
Q. 掘り起こしに費用がかかることは考慮されますか?
照会には掘りおこし及び再設置には新設置の約2倍半にあたる約40万円を要すると述べられていましたが、回答は掘りおこして水圧検査を行う案を選んでいます。
Q. 少量危険物のタンクに水圧検査を義務づける条例は作れますか?
作れません。市町村の火災予防条例に、指定数量未満の危険物を貯蔵し又は取扱うタンクについて水圧又は水張の検査を受けなければならないことを規定することはできないとされています。ただし設置者の任意の申し出により試験を実施し手数料を徴収することはさしつかえないとされています。
Q. 水張検査は誰が行うのですか?
昭和47年1月7日付け消防予第10号は、危険物の規制に関する政令第8条の2にいう他の行政機関にタンク製作地の消防本部及び消防署未設置市町村長は含まないとし、他の行政機関とは消防本部および消防署を置く市町村の長または都道府県知事であると回答しています。

まとめ

  • 水圧検査を行わずに工事を完了した地下タンク貯蔵所は掘りおこして水圧検査を行う方法によって処理すべきものとされた
  • 照会では掘りおこし及び再設置には新設置の約2倍半にあたる約40万円を要すると述べられていた
  • 掘りおこさず規定圧力の2倍から3倍を加圧し12時間から24時間後の圧力計の変化をみる案は選ばれなかった
  • 市町村の火災予防条例に指定数量未満のタンクの水圧又は水張の検査を受ける義務を規定することはできない
  • 条例を定め設置者の任意の申し出により試験を実施し手数料を徴収することはさしつかえない
  • 地下貯蔵タンクの検査済証はタンク頂部の適宜な位置に取り付けるものとされた
  • 当て板に検査済証を鋲止めし当該当て板をタンクに溶接する方法によってもさしつかえない
  • 政令第8条の2にいう他の行政機関とは消防本部および消防署を置く市町村の長または都道府県知事である

埋める前に済ませておかなければいけないのですね。
すっきりしました。

そのとおりです。
地下タンクの設置や検査の段取りについても、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第11条・第11条の2 e-Gov法令検索
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第8条・第8条の2 e-Gov法令検索
  • 水圧検査を行なわずに工事を完了した場合のタンク部分の水圧検査について(昭和39年11月13日付け自消丙予発第127号 予防課長から鳥取県総務部長あて回答)
  • 少量危険物貯蔵タンクの水圧(水張)検査について(昭和44年11月15日付け消防予第257号 予防課長から茨城県総務部長あて回答)
  • 地下貯蔵タンクにタンク検査済証(副)を取り付ける方法について(昭和46年10月22日付け消防予第151号 予防課長から東京消防庁消防総監あて回答)
  • 製造所等のタンクの水張(圧)検査実施者について(昭和47年1月7日付け消防予第10号 予防課長から愛知県総務部長あて回答)
  • 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成

※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

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