自動火災報知設備のある建物では、クローゼットや物入れ、押入、PSのような小さな収納スペースにも感知器を付けるのかが、設計や改修のたびに問題になります。
国の規則には、小さな物入を面積で外す規定がありません。線引きは、各消防本部の運用に任されています。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集がクローゼット・押入・仏間・屋上の簡易物置の感知器をどう答えているかを入口に、豊中市・大阪市・東大阪市・堺市の基準を原文で比べます。
吹田市は、物入れは有効面積1㎡以上なら感知器が必要で、仏間は面積に関係なく必要としています。
吹田市のマンションで、各住戸のウォークインクローゼットにも感知器は要るのですか?
吹田市の質疑応答集は、クローゼットや物入れは有効面積1㎡以上あれば感知器が必要で、種類は問わないと答えています。
屋上に置いた物置や、仏壇を置く仏間はどうなのですか?
仏間は面積に関係なく必要、屋上や倉庫の中の簡易物置は1㎡以上で中で作業できる形なら必要です。
ほかの市とも比べていきましょう。
- 国の消防法施行規則は、感知器を感知区域ごとに1個以上設けるとし、小さな物入を面積で外す規定は置いていません
- 吹田市の質疑応答集は、クローゼットや物入れ(押入を除く)は有効面積1㎡以上で感知器が必要、種類は問わないと答えています
- 吹田市では、仏間は面積に関係なく感知器が必要で、屋上や倉庫の中の簡易物置は1㎡以上かつ奥行1メートル以上または高さ1.4メートル以上なら必要です
- 豊中市・大阪市・東大阪市は、特例基準で1㎡未満の物入の感知器を省略できるとし、堺市の審査基準には物入を面積で外す項目がありません
- スプリンクラーヘッドは、豊中市・大阪市が1㎡未満の物入で省略できるのに対し、吹田市は補助散水栓などで包含できることを条件にしています
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目次
国の基準は小さな物入の感知器をどう決めているのか

(略)
ロ 上屋その他外部の気流が流通する場所で、感知器によつては当該場所における火災の発生を有効に感知することができないもの
ハ 天井裏で天井と上階の床との間の距離が〇・五メートル未満の場所
そのうえで、同じ第23条第4項は、スポット型の熱感知器を感知区域ごとに設けるとしています。
- クローゼットや物入れは、壁で囲われた部分なので、それ自体が1つの感知区域になります。
- 感知区域ごとに感知器を1個以上設けるのが、国の規則の原則です。
- 第23条第4項第1号の除外に、面積の小さい物入は挙がっていません。
- そこで各市は、消防法施行令第32条の特例などを使って、どこまで小さければ外せるかを運用基準に書いています。
国の規則には、物入を面積で外す決まりはないのですね。
はい、そこで各市の運用を読むことになります。
吹田市の答えから見ましょう。
吹田市はクローゼットや押入の感知器をどう答えているのか

有効面積1㎡以上あれば設置は必要であるが、感知器の種類は問わない。(単身者向けクローゼット等も同様とする。)
- 対象は、クローゼット、物入れ、PS(パイプスペース)などです。押入は別の問で扱うので除かれています。
- 線引きは有効面積1㎡以上です。1㎡以上あれば感知器が必要になります。
- 感知器の種類は問いません。部屋と同じ差動式でも、定温式でもよいという答えです。
- 単身者向けのクローゼットも同じ扱いです。ワンルームの小さな収納でも、1㎡以上なら付けることになります。
有効面積1㎡以上あれば天袋の有無にかかわらず最上部に定温特種を設置すること。
押入の感知器の位置は市ごとに書き方が違い、堺市・大阪市・東大阪市の比較は堺市で押入の感知器は省略できるのかの記事で解説しています。
クローゼットは種類を問わず、押入は定温式の特種なのですね。
はい、押入だけは位置と種類まで決まっています。
次は仏間と物置です。
吹田市では仏間や屋上の簡易物置にも感知器が要るのか

答10は理由を書いていませんが、仏壇のろうそくや線香など、小さくても火を使うことがある場所だという点が、ほかの物入との違いだと読めます。 屋上や倉庫の中に置く簡易物置は、問17で答えています。
1㎡以上で、かつ物置内で作業ができる形状であれば必要とする。
なお、物置内で作業できる形状とは、奥行1m以上または高さが1.4m以上とする。(非常放送設備のスピーカーについても準用する。)
- 床の広さが1㎡以上であること。
- そのうえで、物置の中で作業ができる形であること。
- 作業ができる形とは、奥行1メートル以上、または高さ1.4メートル以上です。どちらか一方を満たせば当たります。
- 同じ考え方は、非常放送設備のスピーカーにも準用されます。
答17には、物置の中のスプリンクラーヘッドは「スプリンクラー設備の問2」を準用するとも書かれています。次の見出しで見ていきます。
物置は広さだけでなく、人が中に入れる形かどうかで決まるのですね。
はい、奥行1メートルか高さ1.4メートルが目安です。
スプリンクラーの扱いも確かめましょう。
物入のスプリンクラーヘッドは吹田市と豊中市・大阪市で何が違うのか

面積に関係なく原則必要。
ただし、1㎡未満の物入れ等であり、補助散水栓等で包含ができる場合は、設置の省略は可能。
なお、家具等には設置不要。
豊中市と大阪市の運用基準は、スプリンクラー設備の特例基準で次のように書いています。
| 市 | 1㎡未満の物入のヘッド | 条件 |
|---|---|---|
| 吹田市 | 省略できる | 補助散水栓などで包含できること |
| 豊中市 | 設置しないことができる | 面積のみ(物入) |
| 大阪市 | 設置しないことができる | 面積のみ(物入・押入・SK室) |
※表は各市の公開資料を要旨でまとめたものです。1㎡以上の物入は、3市ともヘッドを設ける前提です。
なお国の規則にも、小規模な社会福祉施設などの収納設備をヘッドの不要な部分に挙げる規定があります。吹田市では、小さな物入でも補助散水栓が届かなければヘッドが要るのですね。
はい、包含できるかどうかが吹田市の条件です。
最後に感知器の線引きを5市で並べましょう。
大阪府内5市で1㎡未満の物入の感知器はどう違うのか

2 次のいずれかに該当するものについては、自動火災報知設備の感知器を設置しないことができる。
(略)
(12) 1平方メートル未満の物入
(略)
なお、SK(掃除用流し)については、掃除用具やトイレットペーパー等の可燃物が存置されるおそれがあるため、感知器を設置すること。
| 市 | 1㎡未満の物入 | 1㎡以上の物入・クローゼット | 仏間・簡易物置・SK |
|---|---|---|---|
| 吹田市 | 答10の文面では設置不要と読める | 必要(種類は問わない) | 仏間は面積に関係なく必要、簡易物置は奥行1メートル以上か高さ1.4メートル以上で必要 |
| 豊中市 | 特例基準で設置しないことができる | 必要 | 個別の記載なし |
| 大阪市 | 特例基準で設置しないことができる(SK室も同じ) | 必要 | SK室は1㎡未満なら省略可 |
| 東大阪市 | 特例基準で設置しないことができる(SK室も同じ) | 必要 | SK室は1㎡未満なら省略可 |
| 堺市 | 面積で外す項目なし | 必要 | SKは感知器を設置 |
※表は各市の公開資料を要旨でまとめたものです。吹田市は「1㎡以上あれば必要」と答えており、1㎡未満を不要と明記した文はありません。「個別の記載なし」は、この記事で読んだ該当箇所に書かれていないという意味です。
吹田市・豊中市・大阪市・東大阪市は、1㎡という同じ線で物入を分けています。違いが出るのは、吹田市が仏間と簡易物置を名指しで答えている点と、堺市が面積の線を持たずSKにも感知器を求める点です。計画するときは、次の順に確かめると漏れが出にくくなります。
- 図面で、壁で囲われた収納をすべて拾い出し、有効面積を出します。
- 1㎡以上のものは感知器を付ける前提で、押入は吹田市なら最上部に定温式の特種とします。
- 仏間や、屋上・倉庫の中の物置があれば、吹田市の答10・答17に当てはめます。
- スプリンクラー設備がある建物では、1㎡未満の物入が補助散水栓などで包含できるかも確かめます。
- 堺市など別の市でも同じ図面を使うときは、各市の基準を読み直し、所轄の消防署に相談します。
同じ1㎡でも、仏間や物置、SKの扱いは市で違うのですね。
はい、名指しされた場所が市ごとに違います。
図面ができたら、所轄の消防署に確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず図面で収納の広さと形を全部拾い出します。
仏間や物置も含めて、消防署に相談します!
感知器の数は内装を決める前に固めるのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第2章 第5節 自動火災報知設備 問8・問10・問17(更新2026-07-13) https://www.city.suita.osaka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/044/807/05jidoukasaihouti.pdf
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備 問2 https://www.city.suita.osaka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/044/807/03sp.pdf
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」(令和6年4月1日改正)自動火災報知設備の基準 第11 特例基準 2(12)(PDF352ページ目)、閉鎖型ヘッドを用いるスプリンクラー設備の基準 第14 特例基準 3(PDF245ページ目) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.files/setubi1.pdf
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第12 特例基準 2(12)、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 3 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」9 特例基準 ⑴ サ(PDF76ページ目) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第12 自動火災報知設備 Ⅱ 細目 2 感知器 (3) 感知器の設置を要しない場所 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第13条第3項・第23条第4項(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
- 消防法施行令 第32条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・大阪市・東大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。感知器やヘッドを省略できるかどうかは、個々の建物ごとに所轄の消防署にご確認ください。






