マンションや店舗の敷地に、自転車とバイクを止める駐輪場を建てることがあります。
消防法では、建物の用途を消防法施行令別表第一の「項」に当てはめ、その項ごとに消火器や自動火災報知設備が要る面積が決まります。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集がバイクを止める駐輪場をどの項としているかを入口に、豊中市・堺市の基準を原文で比べます。
吹田市は50cc以上の単車を止める駐輪場を13項イとし、豊中市と堺市は道路運送車両法の原動機付自転車を基準に線を引いています。
吹田市のマンションに、自転車と原付を止める屋根付きの駐輪場を建てます。
消防法では何の用途になるのですか?
吹田市の質疑応答集は、自転車と50cc未満の単車の駐輪場を15項、50cc以上の単車を止める場合を13項イと答えています。
豊中市や堺市でも、同じ50ccで線を引くのですか?
豊中市と堺市は、道路運送車両法の原動機付自転車(二輪は125cc以下)を基準にしています。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行令別表第一は、(13)項イを「自動車車庫又は駐車場」、(15)項を「前各項に該当しない事業場」としています
- 道路運送車両法は原動機付自転車を「自動車」から除いており、施行規則第1条で二輪の原動機付自転車は総排気量0.125リットル以下としています
- 吹田市の質疑応答集は、自転車と50cc未満の単車の駐輪場を15項、50cc以上の単車を止める場合は13項イと答えています
- 豊中市と堺市は、自動車車庫の定義で原動機付自転車を除き、堺市は原動機付自転車を保管する駐輪場を(15)項として扱うと書いています
- 50ccを超え125cc以下のバイクの置場は、吹田市と豊中市・堺市で項が分かれ得るので、所轄の消防署に図面で確かめます
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目次
国の基準では駐車場と駐輪場はどの項に入るのか

消防法施行令の別表第一は、防火対象物を(1)項から(20)項までに分けています。駐車場と、それ以外の事業場は次の項です。
(十五) 前各項に該当しない事業場
そこで各市の運用基準は、「自動車」の範囲を道路運送車両法の定義で読む形をとっています。道路運送車両法の第2条は、次のとおりです。
3 この法律で「原動機付自転車」とは、国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう。
原動機付自転車の範囲は、道路運送車両法施行規則の第1条が数字で決めています。
一 内燃機関を原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。以下同じ。)にあつては、その総排気量は〇・一二五リツトル以下、その他のものにあつては〇・〇五〇リツトル以下
二 内燃機関以外のものを原動機とするものであつて、二輪を有するものにあつては、その定格出力は一・〇〇キロワツト以下、その他のものにあつては〇・六〇キロワツト以下
なお、国の消防庁は昭和54年の質疑で、ラック式の駐輪場を(15)項と答えています。自転車の置場は(13)項イではなく(15)項、という点は各市とも同じ流れです。
バイクの置場が駐車場になるかは、「自動車」に当たるかで決まるのですね。
はい、各市はその「自動車」の線をどこに引くかで書き方が違います。
吹田市から読みましょう。
吹田市はバイクを止める駐輪場を何項と答えているのか

15 項とする。
ただし、50cc 以上の単車を止める場合は、13 項イとして規制すること。
- 自転車と、排気量50cc未満の単車を止める駐輪場は(15)項です。
- 50cc以上の単車を止める場合は、(13)項イとして規制します。
- 線は「排気量50cc」で引かれていて、道路運送車両法の原動機付自転車(二輪は125cc以下)とは別の数字です。
- 答4は根拠条文を挙げておらず、50cc以上の単車が一部だけの駐輪場をどう切り分けるかも書かれていません。
道路運送車両法では原動機付自転車でも、吹田市の質疑応答集では駐車場と同じ項で扱う、という読み方です。 同じ第16節では、ほかの用途の判定も答えています。岩盤浴や調剤薬局などは、吹田市で岩盤浴や調剤薬局は消防法上どの用途になるのかの記事で比べています。
吹田市では、125ccのスクーターの置場も13項イになるのですね。
答4の文面では50cc以上なら13項イです。
豊中市と堺市はどう書いているか見てみましょう。
豊中市と堺市は原動機付自転車の置場をどう扱うのか

道路運送車両法第2条第3項に規定する原動機付自転車とは、同法施行規則第1条で定める総排気量又は定格出力を有する原動機によるものをいう。
同じ表の(15)項では、該当用途例に「駐輪場」が挙がっています。原動機付自転車だけを止める駐輪場を(15)項とする、と一文で書いた箇所はありませんが、定義と用途例を合わせると、125cc以下のバイクの置場は(13)項イの自動車車庫に当たらない読み方になります。 堺市消防局の審査基準は、別記1の政令別表第1の定義で、さらにはっきり書いています。
堺市の定義1も、豊中市と同じく自動車車庫の「自動車」から原動機付き自転車を除いています。 3市の線の引き方を並べると、次のようになります。
| 市 | 自転車・50cc未満 | 50ccを超え125cc以下の二輪 | 125ccを超える二輪 |
|---|---|---|---|
| 吹田市 | (15)項 | (13)項イ(50cc以上の単車) | (13)項イ |
| 豊中市 | (15)項の該当用途例に駐輪場 | (13)項イの自動車から除く | (13)項イの自動車 |
| 堺市 | (15)項 | 原動機付自転車の駐輪場は(15)項 | (13)項イの自動車 |
※表は各市の公開資料を要旨でまとめたものです。豊中市の「(13)項イの自動車から除く」は定義の文言で、原動機付自転車の駐輪場の項を明記した文はありません。ちょうど50ccの単車は、吹田市の答4では「50cc以上」に入ります。
大阪市・東大阪市が公開している運用基準の節には、駐輪場の項を書いた箇所を見つけられませんでした。125ccを超えるバイクは、3市とも(13)項イの「自動車」側になる点で同じです。違いが出るのは50ccを超え125cc以下の帯です。
原付二種のスクーターだけ、市によって項が変わり得るのですね。
はい、吹田市は50cc、豊中市と堺市は125ccが線です。
項が変わると何が違うのか見ておきましょう。
13項イと15項では消火器や自動火災報知設備の基準はどう変わるのか

| 設備 | (13)項イ | (15)項 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 消火器具 | 延べ面積150平方メートル以上 | 延べ面積300平方メートル以上 | 令第10条第1項第2号イ・第3号 |
| 自動火災報知設備 | 延べ面積500平方メートル以上 | 延べ面積1,000平方メートル以上 | 令第21条第1項第4号・第6号 |
※延べ面積で決まる号だけを並べています。地階・無窓階・3階以上の階の号など、ほかの号でも設置対象になることがあります。
たとえば、50ccを超え125cc以下のスクーターを止める平屋で延べ200平方メートルの駐輪場を考えます。吹田市の答4どおり(13)項イなら、延べ面積150平方メートル以上なので消火器具の設置対象です。(15)項として扱う堺市なら、延べ面積の号では300平方メートル未満なので対象になりません。
延べ600平方メートルなら、(13)項イでは自動火災報知設備の500平方メートルを超え、(15)項では1,000平方メートルに届きません。 このほか、消防法施行令には、項とは別に「駐車の用に供する部分」の床面積で泡消火設備などや自動火災報知設備が決まる規定もあります(令第13条、令第21条第1項第13号)。
バイクの置場がこの「駐車の用に供する部分」に当たるかは、この記事で読んだ3市の該当箇所(用途の表と吹田市の答4)には書かれていません。規模の大きいバイク置場は、この点も消防署に確かめておきます。 機械式の駐輪場の床面積の数え方は、吹田市で機械式駐車場の床面積は1台15㎡で数えるのかの記事で豊中市・堺市と比べています。
項が1つ違うだけで、消火器が要るかどうかまで変わるのですね。
はい、延べ面積の線がほぼ倍違います。
最後に確かめる手順を整理しましょう。
吹田市でバイク置場を計画するときは何を確かめればよいのか

- 止める車両を、自転車・50cc未満・50cc以上に分けて想定します。吹田市の答4は排気量50ccで線を引いています。
- 50cc以上の単車を止めるなら、答4どおり(13)項イとして規制されることを前提にします。
- 駐輪場が独立した棟か、建物の一部かを確かめます。建物の一部なら、主たる用途に従属する部分かどうかで項の考え方が変わります。
- 延べ面積と階を確かめ、消火器具(150平方メートル)・自動火災報知設備(500平方メートル)の線に当たるかを数えます。
- 自転車と単車の区画を分けるかどうかも含めて、図面で所轄の消防署に相談します。
吹田市で原付二種のスクーター置場をつくるなら、13項イのつもりで設備を数えればよいのですか?
吹田市の答4の文面では13項イです。
区画の分け方も含めて、設計の段階で消防署に確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず止めるバイクの排気量を確かめます。
そのうえで、項と設備を消防署に相談します!
用途の判定は設計の段階で相談するのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第16節 用途判定 問4・答4(更新2026-07-13) https://www.city.suita.osaka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/044/807/16youtohantei.pdf
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」(令和6年4月1日改正)第1部 第2章 第1節 第1-2表 (13)項イ・(15)項(PDF40〜41ページ目) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.files/setubi1.pdf
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」別記1 政令別表第1に掲げる防火対象物の定義 (13)項イ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第10条第1項・第13条・第21条第1項・別表第一(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 道路運送車両法 第2条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 道路運送車両法施行規則 第1条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。駐輪場の用途の判定は、個々の建物ごとに所轄の消防署にご確認ください。






