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吹田市で無人の駐車場に火災通報装置はいらないのか|大阪市・豊中市・堺市も比較

自走式立体駐車場の写真に、吹田市で無人の駐車場に火災通報装置はいらないのかを問うタイトルを重ねた画像

商業施設やマンションの横に建つ自走式の立体駐車場は、ふだん係員がいないことも珍しくありません。
それでも消防法施行令は、延べ面積1,000平方メートル以上の駐車場に、火災を119番へ知らせる火災通報装置(消防機関へ通報する火災報知設備)を求めています。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集が無人の自走式駐車場の火災通報装置をどう答えているかを入口に、大阪市・豊中市・堺市の基準を原文で比べます。
吹田市は火災を防災センター等に表示できることを条件に不要とし、ほかの3市は電話や高架下といった別の切り口で特例を書いています。

吹田市で延べ1,200平方メートルの自走式駐車場を建てます。
無人の駐車場にも火災通報装置を付けるのですか?

吹田市の質疑応答集は、無人で、火災を防災センター等で覚知できるようにすれば不要と答えています。

大阪市や堺市に建てても同じ扱いですか?

大阪市は出入口の電話、豊中市と堺市は高架下の駐車場という形で、条件が違います。
順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 駐車場は消防法施行令第23条第1項第3号により、延べ面積1,000平方メートル以上で火災通報装置の設置対象になり、同条第3項の電話を置けば設置しないことができます
  • 吹田市の質疑応答集 第6節 答4は、延べ面積1,000平方メートル以上の自走式駐車場でも、無人であることと、駐車場の火災代表を防災センター等で容易に覚知できるようにすることの2つを満たせば不要としています
  • 吹田市は覚知の方法を「自動火災報知設備の受信機等へ表示」とし、移報の配線はHP以上と指定しています
  • 大阪市は令第32条の特例として、無人の駐車場等の出入口に119番できる電話を置き、通報内容と電話の場所を表示する形です
  • 豊中市と堺市の特例は高架下の駐車場に限られ、堺市は別に携帯電話の圏内で装置を省く特例も置いています

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吹田市・大阪市・豊中市・堺市で無人の駐車場の火災通報装置の特例を比べた図

駐車場に火災通報装置が必要になるのはどんなときか

外気が通り抜ける3層の自走式立体駐車場を切り開いて車が並ぶ様子を描いたアイソメ図
まず、国の基準です。
火災通報装置を設ける建物は、消防法施行令第23条第1項が用途と延べ面積で決めています。自動車車庫や駐車場は別表第一の(13)項イで、第3号のグループに入ります。
消防法施行令 第23条第1項(抜粋) 消防機関へ通報する火災報知設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。
三 別表第一(三)項、(五)項ロ、(七)項から(十一)項まで及び(十三)項から(十五)項までに掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
駐車場は、延べ面積が1,000平方メートル以上になると火災通報装置の設置対象です。
ただし、同じ第23条の第3項に、電話による例外があります。
消防法施行令 第23条第3項 第一項各号に掲げる防火対象物(同項第一号に掲げる防火対象物で別表第一(六)項イ(1)から(3)まで及びロに掲げるもの並びに第一項第二号に掲げる防火対象物で同表(五)項イ並びに(六)項イ(4)及びハに掲げるものを除く。)に消防機関へ常時通報することができる電話を設置したときは、第一項の規定にかかわらず、同項の火災報知設備を設置しないことができる。
括弧書きで除かれているのは病院や社会福祉施設、旅館・ホテルなどで、駐車場は除かれていません。
つまり国の条文だけを読むと、駐車場は消防機関へ常時通報することができる電話を置けば装置を設けないことができます。
問題は、係員のいない駐車場で、その電話をどう扱うかです。ここから先が、市ごとに書き方の違う部分です。電話による例外の全体像は消防機関へ通報する火災報知設備はどこまで必要かの記事で解説しています。

電話を1台置けばよいなら、話は簡単そうですね?

無人の駐車場では、誰がその電話を使うのかが問題になります。
吹田市の答えを見ましょう。

吹田市の質疑応答集は無人の自走式駐車場をどう答えているのか

駐車場の入口のゲートの横に受話器の付いた電話ボックスが壁に付いているアイソメ図
吹田市消防本部は「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」の第6節 消防機関へ通報する火災報知設備で、自走式駐車場を取り上げています。
吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第6節 問4 延べ面積1,000 ㎡以上の自走式駐車場に、消防機関へ通報する火災報知設備の設置は必要か。
同 第6節 答4 次の(1)及び(2)に該当するものは不要とする。
(1)無人であること。(常駐の警備員等がいない)
(2)自走式駐車場の火災代表を、防災センター等において容易に覚知できるよう措置すること。
(自動火災報知設備の受信機等へ表示させること。移報の配線はHP以上とすること。)
答4を分けて読むと、吹田市での扱いは次のとおりです。
  1. 対象は延べ面積1,000平方メートル以上の自走式駐車場で、令第23条第1項第3号で設置対象になるもの
  2. 1つめの条件は無人であることで、常駐の警備員等がいる駐車場はこの答えの対象外
  3. 2つめの条件は、駐車場の火災代表を防災センター等で容易に覚知できるようにすること
  4. 覚知の方法は、自動火災報知設備の受信機等へ表示させることで、移報の配線はHP以上とする
  5. (1)と(2)の両方を満たせば、火災通報装置は不要
答4は、国の第3項にある電話には触れていません。
また、答4には根拠の条文や「令第32条」の文字も書かれていないので、吹田市でこの扱いを受けるときにどんな手続きが要るかは、所轄の消防署で確かめてください。

無人なのに、なぜ「不要」になるのですか?

駐車場で起きた火災を、人のいる防災センター等で知ることができるようにするからです。
次で条件を細かく見ましょう。

吹田市の条件の防災センター等への表示とは何を用意することか

防災センターの机と赤いランプが点いた受信盤と駐車場へ延びる配線のアイソメ図
答4の(2)は、火災通報装置の代わりに、駐車場の火災を人のいる場所へ確実に伝えることを求めていると読めます。
用意するものを順に整理すると、次のとおりです。
  1. 駐車場の自動火災報知設備で火災を感知する(延べ面積や階に応じて、駐車場に自動火災報知設備が設けられている前提)
  2. その火災を「火災代表」として、防災センター等にある受信機等へ移報して表示させる
  3. 移報の配線はHP以上にする
  4. 表示を受ける防災センター等は、火災に容易に気づける場所であること
「火災代表」は、駐車場のどこかで火災を感知したことを1つの信号にまとめたものです。
「HP」は、消防用設備等の配線で使う耐熱電線を指す表記で、答4は移報の配線をその等級以上にするよう求めています。
答4は「防災センター等」とだけ書いていて、隣のショッピングセンターの防災センターでよいのか、警備会社の監視でもよいのかは書いていません。どこへ表示するかは、計画の段階で所轄の消防署に相談するところです。
吹田市は第5節でも、自走式駐車場の屋上にはベルのみを設け、対角に2か所以上置くよう答えていて、駐車場の自動火災報知設備にも細かい扱いがあります。

表示する場所がない、単独の駐車場ならどうなりますか?

答4の(2)を満たせないので、この答えは使えません。
国の基準どおり、装置か電話の扱いを消防署と確かめます。

大阪市・豊中市・堺市は無人の駐車場の火災通報装置をどう扱うのか

鉄道の高架の下の柱の間に車が並ぶ外気に開いた駐車場を歩道から見たアイソメ図
大阪市消防局の「消防用設備等の設置に係る運用基準」は、第2章 第4節 火災通報装置の「第5 特例基準」で、令第32条の規定を適用し設置しないことができるものの2つめに、無人の駐車場等を挙げています。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第4節 第5 特例基準 2 無人の駐車場等で、次に該当するもの
(1) 消防機関へ常時通報することのできる電話(鍵等の操作による切替を要しないものに限る。)が、駐車場等の出入口で利用者が容易に到達出来る場所に設置されており、必要なときに119番通報のできる体制が確保されていること
(2) (1)の電話の直近に通報内容が明示されていること
(3) 駐車場等には、見やすい位置に(1)の場所を表示すること
大阪市は、無人の駐車場で利用者自身が119番できる電話を出入口に置く形です。鍵の操作が要らない電話であること、電話の近くに通報内容を書くこと、駐車場の中に電話の場所を表示することが条件です。
防災センター等への表示を求める吹田市とは、通報する人の想定が違います。
豊中市消防局の「消防用設備等の設置に関する運用基準」は、火災通報装置の第5 特例基準で、高架下の駐車場だけを挙げています。
豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」消防機関へ通報する火災報知設備 第5 特例基準 1 鉄道又は道路に使用される高架工作物の下に設けられる駐車場のうち次のいずれにも該当するもの。
(1) 車両の入出場時のみ人が存するもの。
(2) 駐車場全体が外気に十分開放されているもの。
(3) 前面の道路又は通路(歩道)から駐車場内の各部分を視認でき、火災の発生を通行人が容易に気付くことができるもの。
豊中市は、通行人が火災に気づける開放的な高架下の駐車場に限って装置を外せるとしています。吹田市の答4のような、高架下以外の無人の駐車場の特例は見当たりませんでした。
堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」も、駐車場の特例は高架下です。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第15 消防機関へ通報する火災報知設備 Ⅱ 細目 8 特例適用基準(2) 周囲が外気に開放された高架工作物(鉄道又は道路等に使用しているもの)下に設けられた駐車場については、当該防火対象物の外気への開放性及び使用実態等を勘案して、政令第32 条の規定を適用し、火災通報装置を設置しないことができる。
堺市は同じ8の(1)ウで、(5)項イと(6)項イ・ロ・ハ以外の建物について、所在地が携帯電話事業者(MNO)のサービスエリア内であるか、検査で携帯電話から通報できると確かめられれば装置を省けるとしています。駐車場はこの「以外の建物」に入るので、携帯電話の圏内かどうかも検討の材料になります。詳しくは堺市で火災通報装置は携帯電話があればいらないのかの記事で解説しています。
東大阪市消防局が公開している運用基準には、火災通報装置の基準が含まれていません。4市を並べると、次のとおりです。
市無人の駐車場の扱い主な条件
吹田市延べ1,000平方メートル以上の自走式駐車場で不要(第6節 答4)無人+火災代表を防災センター等の受信機等へ表示(配線はHP以上)
大阪市無人の駐車場等で令第32条により設置しないことができる(第5 特例基準 2)出入口に119番できる電話(鍵等の切替不要)+通報内容の明示+電話の場所の表示
豊中市高架下の駐車場に限り令第32条で設置しないことができる(第5 特例基準 1)入出場時のみ人がいる+外気に十分開放+通行人から各部分が見える
堺市高架下の駐車場は令第32条で設置しないことができる(8(2))外気への開放性と使用実態を勘案/別に携帯電話の圏内などの特例(8(1)ウ)
4市とも、無人の駐車場では「誰が火災に気づき、誰が119番するのか」を条件にしています。
吹田市は防災センター等の人、大阪市は利用者、豊中市と堺市の高架下は通行人を想定していると読めます。

同じ大阪府内でも、ずいぶん考え方が違うのですね?

はい、公開資料の書き方が市ごとに違います。
所在地の基準で確かめるのが前提です。

吹田市で無人の駐車場を計画するときは何を確かめればよいのか

駐車場を青く塗った平面図とスマートフォンとバインダーとメジャーとヘルメットを置いた机と消火器のアイソメ図
吹田市で自走式駐車場を計画したら、次の順に確かめます。
  1. 駐車場の延べ面積を確かめます。1,000平方メートル未満なら、令第23条第1項第3号の設置対象になりません。
  2. 常駐の警備員や係員を置くかを決めます。置くなら答4の「無人」に当たらないので、国の第3項の電話などで検討します。
  3. 無人にするなら、駐車場の火災を表示させる防災センター等がどこにあるかを決めます。
  4. 自動火災報知設備の受信機等へ火災代表を移報する系統と、HP以上の配線を設計に入れます。
  5. 表示先や手続きを含めて、着工前に所轄の消防署へ相談します。
吹田市の質疑応答集は、駐車場の床面積の数え方も答えていて、吹田市で機械式駐車場の床面積は1台15㎡で数えるのかの記事で豊中市・堺市と比べています。延べ面積が1,000平方メートルを超えるかどうかの判断にも関わるので、あわせて確かめてください。

同じ駐車場を大阪市に建てるなら、出入口の電話を考えればよいのですか?

大阪市の特例は出入口の電話が軸です。
所在地の基準で一つずつ確かめましょう。

よくある質問

Q吹田市で常駐の警備員がいる自走式駐車場にも答4は使えますか?
A答4は(1)で無人であること(常駐の警備員等がいない)を条件にしています。警備員がいる駐車場は対象外なので、国の第3項の電話などの扱いを所轄の消防署に確かめてください。
Q吹田市で機械式の駐車場にも答4の扱いはありますか?
A答4の問いは自走式駐車場について答えたものです。機械式駐車場に同じ扱いがあるかは書かれていないので、個別に相談してください。
Q延べ面積が1,000平方メートル未満の駐車場に火災通報装置は要りますか?
A駐車場は令第23条第1項第3号のグループで、延べ面積1,000平方メートル以上が設置対象です。それより小さい駐車場は、この条文では設置対象になりません。
Q豊中市で高架下ではない無人の駐車場は、どう相談すればよいですか?
A豊中市の第5 特例基準は高架下の駐車場だけを挙げています。それ以外の駐車場は、国の第3項の電話を含めて所轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔駐車場は令第23条第1項第3号により延べ面積1,000平方メートル以上で火災通報装置の設置対象になり、第3項の電話で設置しないことができます
✔吹田市の質疑応答集 第6節 答4は、無人で、火災代表を防災センター等の受信機等へ表示できる自走式駐車場なら不要としています
✔吹田市は移報の配線をHP以上と指定しています
✔大阪市は出入口の電話、豊中市と堺市は高架下の駐車場という形で、無人の駐車場の特例を書いています
✔堺市には別に、携帯電話の圏内などで装置を省く特例があります
✔運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まず駐車場の延べ面積と表示先を決めます。
そのうえで無人にするかを消防署に相談します!

特例は設計の段階で相談するのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・堺市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。「見当たらない」としたものは、公開資料を確認した範囲の結果です。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。火災通報装置を設けないことができるかどうかは、個々の建物ごとに所轄の消防署にご確認ください。

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