岩盤浴や調剤薬局、レンタルショップは、消防法令の上でどの用途として扱われるのでしょうか。吹田市消防本部が公開している質疑応答集の第16節には、用途判定の答えが11項目まとめて載っています。
同じ施設でも、令別表第一のどの項に入るかで、自動火災報知設備が必要になる延べ面積が変わります。(九)項イなら200㎡以上、(十五)項なら1000㎡以上です。
この記事では、吹田市の答えのうち岩盤浴・レンタルショップ・調剤薬局の3つを、堺市・豊中市・四日市市・鈴鹿市・埼玉県央広域の公開資料と比べます。
駅前に岩盤浴のお店ができるそうです。
消防の用途は決まっているのでしょうか?
吹田市の質疑応答集に、用途の答えが載っています。
他の市と比べながら見ていきましょう。
市によって答えが違うことがあるのですか?
あります。
同じ岩盤浴でも、9項イと9項ロに分かれる市があります。
- 吹田市の質疑応答集は、岩盤浴・陶板浴・酵素風呂を9項イ、レンタルショップを15項(物品販売を伴うものは4項)、調剤薬局を15項と答えています
- 同じ岩盤浴でも、堺市と豊中市の基準は9項ロ、四日市市は吹田市と同じ9項イと書かれています
- レンタルショップは、堺市・鈴鹿市・埼玉県央広域が4項、四日市市が15項、豊中市は貸レコード店を15項としています
- 調剤薬局は、吹田市が15項、堺市が4項、埼玉県央広域が15項で、市によって分かれます
- 項が変わると、自動火災報知設備の延べ面積の基準は200㎡・300㎡・500㎡・1000㎡と変わるため、実際の判定は管轄の消防署で確認します
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目次
吹田市の質疑応答集は用途判定をどう答えているのか

問1に11の施設が並び、答1がそれぞれの項を示しています。次の表にまとめます。
| 問1の施設 | 吹田市の答え |
|---|---|
| コミュニティセンター | 1項ロ |
| 無認可の保育所(事業所内の託児所、家庭保育等) | 6項ハ |
| レンタルショップ | 15項(物品販売を伴うものは4項) |
| クリーニング店 | 15項(取次店)・12項イ(クリーニング作業を行うもの) |
| コインランドリー | 15項 |
| 小学校の留守家庭児童育成室 | 15項 |
| 岩盤浴・陶板浴・酵素風呂 | 9項イ |
| 自動車を展示する部分 | 15項(昭和62年10月23日以降は15項規制) |
| 美容整形外科クリニック | 6項イ |
| 障がい者就労支援施設(飲食店・物販店舗) | 6項ハ(平成24年度第1回予防部会) |
| 調剤薬局(処方箋薬局) | 15項(薬剤師が常駐し、処方箋等に基づいて調剤を行い、販売することを主たる業務とする薬局) |
国の条文はどうなっているでしょうか。消防法施行令の別表第一は、この記事に関わる項を次のように定めています。
ロ イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
もう一つ、読み方の注意があります。吹田市の質疑応答集は問と答の形式で、答えの理由はほとんど書かれていません。第16節を読んだ範囲では、義務と行政指導を分ける記載も見当たりませんでした。この記事では「吹田市はこう答えている」の範囲で解説します。
吹田市の答えは、理由まで書いてあるのですか?
結論が中心で、理由はほとんど書かれていません。
他の市の基準と見比べて確かめていきます。
項が違うと自動火災報知設備や防火管理者の基準はどう変わるのか

イ 別表第一(一)項、(二)項イからハまで、(三)項、(四)項、(六)項イ(4)及びニ、(十六)項イ並びに(十六の二)項に掲げる防火対象物
| 項 | 自動火災報知設備(令第21条第1項) | 防火管理者を定める収容人員(令第1条の2第3項) |
|---|---|---|
| (四)項 | 延べ面積300㎡以上 | 収容人員30人以上 |
| (九)項イ | 延べ面積200㎡以上 | 収容人員30人以上 |
| (九)項ロ | 延べ面積500㎡以上 | 収容人員50人以上 |
| (十五)項 | 延べ面積1000㎡以上 | 収容人員50人以上 |
もう一つ、令別表第一の(十六)項イには、複合用途のうち一部が使われる用途として、次のように書かれています。
項がずれるだけで、面積の基準が変わるのですね。
9項イなら200㎡、15項なら1000㎡です。
だから最初の用途判定が大切なのです。
岩盤浴は9項イと9項ロのどちらになるのか

四日市市の審査基準は、補足に岩盤浴場を明記しています。
| 市 | 岩盤浴の項 | 資料に書かれていること |
|---|---|---|
| 吹田市 | 9項イ | 岩盤浴・陶板浴・酵素風呂をまとめて答えている |
| 四日市市 | 9項イ | 補足に「岩盤浴場は、9項イに該当する」 |
| 堺市 | 9項ロ | 公衆浴場法の適用を受けないものは15項 |
| 豊中市 | 9項ロ | 9項ロの該当用途例の欄に岩盤浴 |
堺市は、公衆浴場法の適用を受けるかどうかも条件にしています。吹田市の質疑応答集には、公衆浴場法に触れた記載は第16節の範囲で見当たりませんでした。
サウナや個室付浴場が令のイとロでどう区分されるかは、こちらの記事で解説しています。
岩盤浴は、市によってイとロが違うのですね。
吹田市は9項イ、堺市は9項ロです。
開業前に、管轄の消防署で必ず確認しましょう。
レンタルショップは4項と15項のどちらになるのか

他の市はどう書いているでしょうか。堺市と鈴鹿市は、ほぼ同じ文言で4項の補足に置いています。
| 市 | レンタルショップの項 | 書かれ方 |
|---|---|---|
| 吹田市 | 15項(物販を伴うものは4項) | 客が自ら商品を手に取り購入できる形態を物品販売を伴うものとする |
| 堺市 | 4項 | 4項の補足「本項として取り扱う」 |
| 鈴鹿市 | 4項 | 4項の補足「本項として取り扱うこと」 |
| 埼玉県央広域 | 4項 | 4項の該当用途例「貸しビデオCD店等」 |
| 四日市市 | 15項 | 15項の該当用途例に「レンタルショップ」 |
| 豊中市 | 15項 | 15項の欄に「貸レコード店」(CD、DVD等を貸し付けることを主とする店舗) |
読んだ範囲では、吹田市だけが「貸すだけなら15項、売りも伴えば4項」と分けています。ただし、貸す店と売る店が同じ建物にあるときの面積の分け方は、第16節には書かれていません。
レンタルショップは、市で項が分かれるのですね。
堺市と鈴鹿市は4項、四日市市は15項です。
吹田市は物品販売を伴うかで分けています。
調剤薬局は4項と15項のどちらになるのか

堺市の審査基準は、4項の該当用途例に調剤薬局を挙げています。
| 市 | 調剤薬局の項 | 書かれ方 |
|---|---|---|
| 吹田市 | 15項 | 薬剤師が常駐し、処方箋等に基づいて調剤し、販売することを主たる業務とする薬局 |
| 堺市 | 4項 | 4項の該当用途例に「調剤薬局」 |
| 埼玉県央広域 | 15項 | 調剤を主とし多量の物品販売を行わないものは15項 |
吹田市と埼玉県央広域は同じ15項ですが、条件の書き方が違います。堺市は条件なしで4項に載せているため、同じ薬局でも市をまたぐと項が変わることになります。実際の薬局が、調剤が主か、売り場が広いかで判断が分かれるので、設計の段階で消防署に確認するのが確実です。
調剤薬局は、堺市だけ4項なのですね。
吹田市と埼玉県央広域は15項です。
売り場が広い薬局は特に確認が必要です。
よくある質問
まとめ
まず自分の店がどの項かを調べます。
そのうえで消防署に相談します!
項で必要な設備が変わるので、計画の段階で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第16節 用途判定(問1・答1の3・7・11と※、問2・答2、問3・答3) https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」別記1 政令別表第1に掲げる防火対象物の定義((4)項・(9)項ロ・(15)項) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 総論 第1 第1-2表((9)項ロ・(15)項) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 四日市市「四日市市消防同意事務審査基準」第1章 消防用設備等設置判定基準 第2 用途の判定及び収容人員の算定(9項イ・15項) 四日市市消防本部の審査基準ページ
- 鈴鹿市「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第2章 第1 政令別表第1に掲げる防火対象物の取り扱い(⑷項) https://www.city.suzuka.lg.jp/shobo/1012943/1016101/index.html
- 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第2章 第1 政令別表第1に掲げる防火対象物の取り扱い(⑷項・⒂項) https://www.ken-o.or.jp/notifiappli/equipment-style/page-9867/
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2・第21条・別表第一(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および吹田市・堺市・豊中市・四日市市・鈴鹿市・埼玉県央広域の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。






