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鈴鹿市で加圧防排煙設備の消火活動拠点はどこに置くのか|階段のない乗降ロビーと避難階と15平方メートルを埼玉県央広域・大阪市と比べる

鈴鹿市の加圧式消火活動拠点はどこに置くのかと書いたタイトルと、エレベーターの扉と階段への防火戸が並ぶ乗降ロビーの写真

地下の売場や駐車場が広い建物では、排煙設備の代わりに加圧防排煙設備を設けることがあります。
この設備では、消防隊が活動の足場にする部屋を加圧式消火活動拠点と呼び、国の告示が床面積や区画の要件を決めています。
鈴鹿市消防本部の鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準は、第4章 第18の2の7で、その拠点をどこに置くかを国より細かく書いています。
国の省令と告示から鈴鹿市の基準までたどり、埼玉県央広域・大阪市など6つの消防本部の書き方と比べます。

鈴鹿市で地下に売場がある店舗の改修を担当しています。
設計者から消火活動拠点の位置を相談されて困っています。

鈴鹿市の審査基準には、拠点にできない場所と置くべき階が書かれています。
まず国の決まりから見ていきましょう。

告示どおりに作れば足りるのだと思っていました。

告示にない乗降ロビーや避難階の扱いは、消防本部ごとに書き方が違います。
順番に確かめます。

この記事の結論
  • 国の告示は、加圧式消火活動拠点を避難階段の階段室と連絡する室や特別避難階段の付室などとし、床面積10平方メートル以上・各部分から50m以下などを求めるが、乗降ロビーや避難階の扱いは書いていない
  • 鈴鹿市は、階段が接続しない非常用エレベーターの乗降ロビーは退避経路がないため、原則として拠点にしないとしている
  • 鈴鹿市は避難階にも原則として拠点を求め、上階からの落下物がなく外から容易に進入できるときは政令第32条で省略できるとしている
  • 乗降ロビーと特別避難階段の付室を兼ねる拠点は15平方メートル以上とし、鈴鹿市は印なし、埼玉県央広域は●、大阪市は両方あれば兼用とする行政指導(◆)として書いている
  • 非常用の照明装置は鈴鹿市では行政指導(▲)で、埼玉県央広域は印なしで求め、放水口と非常コンセントの保護箱まで書いている

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鈴鹿市の加圧式消火活動拠点について、鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準で、階段のない乗降ロビーは原則として拠点にしない、避難階は原則として拠点を設ける、ロビーと付室の兼用は床面積15平方メートル以上、非常用の照明装置は行政指導で求めることを並べた図解

加圧防排煙設備の消火活動拠点とはどんな部屋なのか

階段室のすぐ隣にある小さな前室に天井から外気を送り込み、その奥に広い売場が広がっているイメージ
加圧防排煙設備は、排煙設備に代えて使える設備として平成21年総務省令第88号が定めたものです。
使える建物は、令別表第一の(4)項か(13)項イの地階・無窓階で床面積が1,000平方メートル以上のものなど、省令第2条第1項の4つの条件を満たすものに限られます。
加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成21年消防庁告示第16号)第2 第1号(抜粋)
加圧式消火活動拠点 (略)避難階段の階段室(略)と連絡する室、(略)特別避難階段の付室その他これらに類する室で、給気により加圧し、火災によって発生する熱や煙の影響を受けないよう措置されたものをいう。
拠点の要件は告示が5つ並べています。
省令から鈴鹿市の基準までは、次の順でつながっています(省令はe-Govの現行条文、告示は総務省消防庁が公表している現行の本文で確かめました)。
  1. 消防法施行令第29条の4第1項が、必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等を総務省令に任せる
  2. 省令第88号第2条第1項が、排煙設備に代えて加圧防排煙設備を使える建物を決め、第3項が細かな基準を消防庁長官に任せる
  3. 告示第16号の第2 第1号が拠点の定義を、第3 第5号が拠点の要件を決める
  4. 鈴鹿市の基準 第18の2の7が「告示第3第5号⑴関係」として、拠点の置き方や部屋の設備を項目ごとに足す
告示第3 第5号の要件は、階の各部分から一の遮煙開口部まで50m以下、床面積10平方メートル以上で消火活動に支障のない形、一の防火区画に接する外周の長さは外周の2分の1以下、避難・通行・運搬以外に使わない、耐火構造の壁と床で区画する、の5つです。
告示と、同じ日に出た消防予第380号の通知には、乗降ロビー・避難階・15平方メートル・照明の言葉は出てきません。
明日やることは、設計図で拠点に当たる部屋に階段室か特別避難階段の付室がつながっているかを確かめることです。

拠点は階段とつながった部屋が前提なのですね。

そうです。
そこで問題になるのが、階段のない非常用エレベーターのロビーです。

階段がつながらない非常用エレベーターの乗降ロビーは拠点にできるのか

階段がつながっていないエレベーターの乗降ロビーが売場の中に独立していて、禁止の印を付けたイメージ
非常用エレベーターの乗降ロビーも、区画され消防隊が使う部屋という点では拠点に似ています。
鈴鹿市の基準は、階段がつながっていない乗降ロビーをどう扱うかをはっきり書いています。
鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18の2 7⑴(要旨)
階段が接続しない非常用エレベーターの乗降ロビーは、退避経路が確保されないことから、原則として、加圧式消火活動拠点として設定してはならない。ただし、乗降ロビーから避難階段までの経路が短く、通路を耐火構造の床・壁か常時閉鎖式の特定防火戸で区画し、消防隊員が退避するときなど消防活動上支障がないと認める場合は、この限りでない。
理由は消防隊の退避経路です。
拠点で活動している消防隊が下がるときに、そのまま階段へ逃げられる形でなければならないという考え方で、この項目に行政指導の印はありません(原本の画像で確かめました)。
例外は、避難階段までの通路の区画と経路の短さがそろい、消防本部が支障なしと認めた場合だけです。
埼玉県央広域の基準 第18の2の8⑴もほぼ同じ文で、拠点には「ならないこと」と書き、ただし書も同じ3つの条件です。
大阪市・堺市・津市・四日市市・東大阪市の基準には、この扱いを書いた項目が見当たりません。
明日やることは、乗降ロビーを拠点にする計画なら、避難階段までの通路が耐火構造か特定防火戸で区画されているかを図面で確かめることです。

ロビーが行き止まりだと隊員が逃げられないということですね。

そのとおりです。
次は拠点を置く階の話です。

避難階にも消火活動拠点は要るのか

道路に面した1階のガラスの出入口の前に消防車が止まっている建物のイメージ
告示第3 第5号⑴は、防火対象物の階ごとに、各部分から50m以内に遮煙開口部が来るよう拠点を設けるとしています。
地上へ直接出られる避難階まで同じように拠点が要るかは、告示には書かれていません。
鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18の2 7⑵(要旨)
原則として、避難階にも加圧式消火活動拠点を設ける。ただし、上階からの落下物がなく、消防隊がその防火対象物の外から容易に進入できる場合は、政令第32条の規定を適用して、避難階に加圧式消火活動拠点を設置しないことができる。
鈴鹿市は避難階も原則どおりです。
省略できるのは、上階からの落下物がないことと、外から容易に進入できることの2つがそろうときで、その根拠を政令第32条(特例)と明記しています。
埼玉県央広域の8⑵も、50mの要件のなお書きで避難階にも原則必要とし、同じ2つの条件で設置しないことができるとしていますが、政令第32条という言葉は使っていません。
大阪市の第3 4には避難階の項目がなく、津市は省令・告示・通知に従うと書くだけです。
消防本部(基準の位置)階段のない乗降ロビー避難階の拠点
鈴鹿市(第4章 第18の2 7⑴⑵)原則として拠点にしない(印なし)原則として設ける・政令第32条で省略可(印なし)
埼玉県央広域(第4章 第18の2 8⑴⑵)拠点にならない(印なし)原則として必要・設置しないことができる(印なし)
大阪市(第8章 第6節 第3 4)記載なし記載なし
堺市・津市記載なし記載なし(津市は省令・告示・通知に従う)
四日市市・東大阪市加圧防排煙設備の項目なし
明日やることは、避難階に拠点を置かない計画なら、外の進入路と上階からの落下物の対策を説明できる資料をそろえ、特例として相談することです。

避難階を外すには特例として認めてもらう手順が要るのですね。

鈴鹿市では政令第32条の適用として扱われます。
次は部屋の広さです。

乗降ロビーと付室を兼ねる拠点は何平方メートル要るのか

エレベーターの扉と階段への鉄の扉が同じ1つの部屋に面していて、乗降ロビーと付室を兼ねているイメージ
高い建物では、非常用エレベーターの乗降ロビーと特別避難階段の付室を1つの部屋にまとめることがあります。
告示の床面積の要件は10平方メートル以上の1つだけで、兼用する場合の数字はありません。
鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18の2 7⑶(要旨)
非常用エレベーターの乗降ロビーと特別避難階段の付室を兼用する場所を加圧式消火活動拠点とする場合、告示第3第5号⑵に規定する床面積は15平方メートル以上とする。
兼用なら15平方メートル以上です。
鈴鹿市はこの項目に印を付けておらず、凡例でいう法令基準(法令の解釈や運用基準を含む)として書かれています。
埼玉県央広域は8⑷のなお書きで同じ15平方メートルを書き、法令基準に行政指導を加えたことを示す●を付けています。
大阪市は第3 4(1)で、非常用エレベーターと特別避難階段の両方がある場合は乗降ロビーと付室を兼用し、15平方メートル以上とすることを行政指導(◆)として求めています。
同じ15平方メートルでも、鈴鹿市と埼玉県央広域は「兼用するなら」の条件、大阪市は「兼用すること」そのものを求める書き方です(15平方メートルの由来はどの本部の基準にも書かれていません)。
消防本部(基準の位置)兼用の拠点の床面積書き方と印
国(告示第3 第5号⑵)10平方メートル以上兼用の定めなし
鈴鹿市(7⑶)15平方メートル以上兼用する場合(印なし)
埼玉県央広域(8⑷)15平方メートル以上兼用する場合(●)
大阪市(第3 4(1))15平方メートル以上両方あれば兼用する(◆)
堺市・津市・四日市市・東大阪市記載なし-
明日やることは、拠点の床面積を壁の内側で測った数字と、その部屋がロビーと付室を兼ねるかどうかを設計者に確かめることです。

同じ15平方メートルでも、印の意味が本部ごとに違うのですね。

はい、凡例まで読むと求め方の強さが分かります。
最後は部屋の中の設備です。

拠点には非常用の照明や放水口も要るのか

小さな前室の天井に非常用の照明があり、壁に赤い消防用の箱と灰色の電気の箱が付いているイメージ
拠点では消防隊が暗い中でホースをつなぎ、資機材の電源をとることになります。
告示第3 第5号には、拠点の中に置く設備の定めはありません。
鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18の2 7⑸
非常用の照明装置を設けること。▲
鈴鹿市の照明は行政指導です。
鈴鹿市の凡例で▲は行政指導基準で、関係者に義務を課すものではなく任意の協力で実現するものと説明されています。
埼玉県央広域は8⑺で非常用の照明装置が設けられていることを印なしで書き、さらに8⑶で、拠点に連結送水管の放水口と非常コンセント設備の保護箱を、政令第29条・第29条の2の基準に従うかその例により設けることを求めています。
放水口と保護箱を拠点の項目に書いているのは、比べた中では埼玉県央広域だけでした。
項目鈴鹿市埼玉県央広域大阪市
階段のない乗降ロビー原則として拠点にしない拠点にならない記載なし
避難階の拠点原則として設ける(政令第32条で省略可)原則として必要記載なし
兼用の床面積15平方メートル以上15平方メートル以上(●)両方あれば兼用・15平方メートル以上(◆)
非常用の照明装置設ける(▲)設けられていること記載なし
放水口・非常コンセントの保護箱記載なし設けられていること記載なし
明日やることは、拠点の天井に非常用の照明があるか、放水口と保護箱がどの部屋に付くかを図面で確かめ、足りなければ早めに消防本部へ相談することです。

行政指導でも、暗い拠点では活動しにくいですね。

そうですね。
照明の位置は消防検査の前に設計者と決めておきましょう。

よくある質問

Qどんな建物なら加圧防排煙設備を使えますか?
A省令第88号第2条第1項は、(4)項か(13)項イの地階・無窓階で床面積1,000平方メートル以上、特定主要構造部が耐火構造、吹抜きや階段などの区画、スプリンクラー設備などの設置の4つをそろえた場合としています。(13)項イのうち機械装置で駐車させるものは除かれます。
Q鈴鹿市の印なしの項目は守らなくてもよいのですか?
A逆です。鈴鹿市の凡例では印なしが法令基準(法令の解釈や運用基準を含む)で、▲が行政指導、●が法令基準に行政指導を加えたものです。乗降ロビー・避難階・15平方メートルの3つは印なしで書かれています。
Q拠点の扉の圧力についても鈴鹿市の基準に定めがありますか?
A7⑹で、圧力調整装置は遮煙開口部の戸のうち隣接室や一般室の天井から80cmを超えて離れた部分に設けるとし、近くの壁に設ける場合の必要開口面積の式も示しています。
Q設計で迷ったときに参考になる資料はありますか?
A鈴鹿市の基準は13で、設計法と設計例は日本消防設備安全センターの運用ガイドラインを参考にするとしています。最終的な判断は鈴鹿市消防本部に確認してください。

まとめ

✔加圧式消火活動拠点は、避難階段の階段室と連絡する室や特別避難階段の付室などを給気で加圧した部屋
✔国の告示は50m以下・10平方メートル以上・外周の2分の1以下・用途の限定・耐火構造の区画を求める
✔鈴鹿市では、階段が接続しない非常用エレベーターの乗降ロビーは原則として拠点にしない
✔避難階にも原則として拠点を設け、省略するときは政令第32条の特例として扱う
✔乗降ロビーと付室を兼ねる拠点は15平方メートル以上で、大阪市は両方あれば兼用を求める
✔非常用の照明装置は鈴鹿市では行政指導で、埼玉県央広域は放水口と保護箱まで書いている
✔拠点の位置と広さは設計の早い段階で図面を持って消防本部に相談する

まず拠点が階段とつながっているかを図面で確かめます!

避難階と床面積もあわせて見ておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令 第28条・第29条の4・第32条(e-Gov法令検索)
  • 排煙設備に代えて用いることができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成21年総務省令第88号)第2条(e-Gov法令検索)
  • 加圧防排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成21年消防庁告示第16号・平成28年消防庁告示第13号改正)第2・第3(総務省消防庁)
  • 排煙設備に代えて用いることができる必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令等の公布について(平成21年9月15日 消防予第380号・総務省消防庁)
  • 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第1章 総則(凡例)、第4章 第18の2 加圧防排煙設備 7・13(鈴鹿市消防本部)
  • 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第4章 第18の2 加圧防排煙設備 8(埼玉県央広域消防本部)
  • 大阪市消防局 消防用設備等の設置に係る運用基準 第8章 第6節 加圧防排煙設備 第3 4(大阪市消防局)
  • 堺市消防同意・消防用設備等審査基準 第20 排煙設備(堺市消防局)
  • 津市予防事務審査検査基準 5-19 排煙設備 7(津市消防本部)

※本記事は鈴鹿市消防本部などが公表している審査基準・運用基準と、消防法施行令・総務省令・消防庁告示に基づく一般的な解説です。鈴鹿市の▲と埼玉県央広域の●は行政指導を含む基準、大阪市の◆は行政指導基準を表し、記号は原本の画像で確かめました。表は要旨を自分の言葉でまとめたもので、「記載なし」としたものは各本部の加圧防排煙設備・排煙設備の節を確認した範囲の結果です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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