マンションの管理人室には、管理人が昼間しかいないなど、常時人がいないことがあります。
共同住宅用自動火災報知設備の住棟受信機は、防災センター等がなければ管理人室に置くのが原則です。人がいない管理人室にも置けるのかが問題になります。
国の告示は「火災表示を容易に確認できる場所」と書くだけで、何をすればその場所になるのかは書いていません。
鈴鹿市の審査基準が決めた四つの措置を、国の告示から番号つきでたどり、埼玉県央広域・堺市・大阪市とも比べます。
管理人が昼間しかいない小さなマンションです。
住棟受信機は管理人室に置いてよいのでしょうか。
人がいない時間があっても、置ける道は国の告示にあります。
ただし、火災表示を容易に確認できるための措置が要ります。
その措置は、国が決めているのですか。
いいえ、告示は「容易に確認できる場所」と書くだけです。
中身は、鈴鹿市の基準が決めています。
- 国の告示は、防災センター等がない場合は住棟受信機を管理人室に設け、管理人室に常時人がいない場合は「火災表示を容易に確認できる場所」に設けることができると書いている
- 鈴鹿市の基準は、その場所を四つの措置のいずれかを講じた場所と決めている。開錠する構造が二つ、警戒区域表示を外から確認できる場所に設けるものが二つである
- 鈴鹿市の「防災センター等」は、第4章 第10の準用で管理人室も挙げているが、玄関ホールを例にした後段は準用から外している
- 埼玉県央広域はほぼ同じ四つの措置を書き、堺市は「自動的に解錠される等の措置」の一文、大阪市は無人の管理人室だけを定めた項が見当たらない
- 同じ敷地に複数の棟があるときの一括監視は別の定めで、鈴鹿市と埼玉県央広域は三つの場合を書いている。最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認する
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目次
国の告示は常時人がいない管理人室に住棟受信機を置くことを認めているのか

置き場所は(二)、棟ごとに設けるかどうかは(三)です。
(二) 規則第十二条第一項第八号に規定する防災センター等がない場合は、管理人室に設けること。ただし、当該管理人室に常時人がいない場合は、火災表示を容易に確認できる場所に設けることができる。
「防災センター等」は、消防法施行規則 第12条 第1項 第8号が定めた言葉です。
…防災センター(…管理する場所をいう。以下同じ。)、中央管理室(建築基準法施行令第二十条の二第二号に規定する中央管理室をいう。)、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。以下「防災センター等」という。)に設けること。
そこで告示は、防災センター等がなければ管理人室、その管理人室にも常時人がいなければ「容易に確認できる場所」へ、二段階で置き場所を認めています。
ただし、「容易に確認できる」とは何かは、告示に書かれていません。
具体的な中身は、各本部の基準が補っています。
管理人が毎日はいない建物は、どこに置けばよいのでしょう。
告示は「容易に確認できる場所」とだけ書いています。
具体的な措置は、管轄の基準で確かめます。
鈴鹿市の基準は「容易に確認できる場所」を何で決めているのか

全文は次のとおりで、四つの措置が並びます。
18号告示第3第6号⑵ただし書きに規定する「火災表示を容易に確認できる場所」とは、次の(ア)から(エ)までのいずれかの措置を講じた当該場所をいう。
(ア) 常時人がいない管理人室の出入口を外部から容易に開錠できる構造としたもの
(イ) 常時人がいない管理人室の出入口を共同住宅用自動火災報知設備の作動と連動して開錠する構造としたもの
(ウ) 常時人がいない管理人室内の住棟用受信機の警戒区域表示を管理人室の外部から容易に確認できる場所に設けたもの
(エ) (ア)から(ウ)までのほか、共用部分から住棟用受信機の警戒区域表示を容易に確認できる場所に設けたもの
(ア)と(イ)は、管理人室に入れるようにする措置です。(ア)は外部から容易に開錠できる構造、(イ)は共同住宅用自動火災報知設備の作動と連動して開錠する構造です。
(ウ)と(エ)は、警戒区域表示を外から見えるようにする措置です。(ウ)は管理人室の外部から確認できる場所、(エ)は共用部分から確認できる場所に設けるものです。
四つは「いずれか」で、全部をそろえる書き方にはなっていません。 国の告示が書いているのは「火災表示を容易に確認できる場所」だけです。
入れるようにするか、外から見えるようにするかという具体策は、鈴鹿市の基準の側にあります。
管理人室に人がいない時間がある建物は、四つのうちどれで説明するかを、受信機の位置とあわせて設計図に書き込んでおくと、相談が早く進みます。
開錠の仕組みか、外から見える表示か、どちらかを選ぶのですね。
はい、四つのうちいずれかを講じた場所と書かれています。
どれにするかは、建物の造りに合わせて決めましょう。
鈴鹿市でいう防災センター等には管理人室も入るのか

たどる順番は次のとおりです。
- 告示第18号 第3 第6号(二)が、「規則第12条第1項第8号に規定する防災センター等」がない場合は管理人室に設けると書く
- 鈴鹿市の第5章 第9 4⑴アが、その防災センター等を「第4章 第10 自動火災報知設備 第3⑴ア(後段を除く。)を準用する」とする
- 準用先の第4章 第10 第3⑴アが、「防災センター等」を防災センター・中央管理室・守衛室・管理人室の四つとする
- 準用先のアには、防災センター等が存しない場合は玄関ホール等でよいとする後段があるが、住棟受信機では「後段を除く」ので、その例は借りない
省令第24条第2号ニに規定する「防災センター等」とは、次の(ア)から(エ)までに掲げる場所をいう。なお、防災センター等が存しない場合は、火災表示を容易に確認できる場所(例:共同住宅における玄関ホール、店舗の事務室等)をいう。
(ア) 防災センター
(イ) 中央管理室
(ウ) 守衛室
(エ) 管理人室
ただし、規則第12条の定義は「常時人がいる場所に限る」でした。
常時人がいる管理人室なら防災センター等に並び、常時人がいない管理人室は告示(二)ただし書きと4⑴イの措置で見る、と読むと筋が通ります。
この読み方は基準に直接書かれたものではないので、迷うときは所轄の消防署に確かめてください。
玄関ホールを例にした後段は、住棟受信機の読み方からは外れているのですね。
はい、準用は「後段を除く」と書かれています。
置き場所の判断は、四つの措置のほうで考えましょう。
埼玉県央広域・堺市・大阪市は同じ決まりなのか

津市・四日市市・東大阪市は、特定共同住宅等の基準が手元の資料に見当たらず、ここでは比べられません。
まず埼玉県央広域の(イ)です。鈴鹿市と同じ4⑴イに、同じ並びで四つの措置があります。
18号告示第3第6号⑵に規定する「当該管理人室に常時人がいない場合は、火災表示を容易に確認できる場所に設けることができる」は、次のいずれかによること。
(イ) 常時人がいない管理人室の出入口が、共同住宅用自動火災報知設備の作動時に、自動的に開錠する構造であるもの
((ア)(ウ)(エ)は省略)
常時人がいない管理人室に住棟受信機を設置する場合、火災時に管理人室の出入口が自動的に解錠される等の措置を講ずること。
| 項目 | 鈴鹿市 | 埼玉県央広域 | 堺市 | 大阪市 |
|---|---|---|---|---|
| 定めの場所 | 第5章 第9 4⑴イ | 第5章 第9 4⑴イ | 特定共同住宅等 Ⅵ 7(3) | 無人の管理人室だけを定めた項は見当たらない |
| 措置の数 | 四つのいずれか | 四つのいずれか | 「自動的に解錠される等の措置」の一文 | 記載は見当たらない |
| 開錠の書き方 | (ア)外部から容易に開錠/(イ)作動と連動して開錠 | (ア)外部から容易に開錠/(イ)作動時に自動的に開錠 | 火災時に自動的に解錠される等 | 記載は見当たらない |
| 警戒区域表示を外から確認できる場所 | (ウ)管理人室の外部/(エ)共用部分 | (ウ)(エ)で同じ | 書かれていない | 記載は見当たらない |
| 防災センター等の意味の借り先 | 第4章 第10 第3⑴ア(後段を除く) | 第4章 第10 4⑴ア(ただし書きを除く) | 7(1)で第3章 第1節 第12 自動火災報知設備のⅡ 1を準用 | 第6の柱書で、告示と自動火災報知設備の基準の例による |
違いは(イ)の字句で、鈴鹿市は「作動と連動して開錠する」、県央は「作動時に、自動的に開錠する」と書きます。
この二つに意味の差があるとは書かれておらず、言い回しの違いに見えます。
堺市は自動的に解錠される等の一文で、表示を外から確認する措置は書いていません。
大阪市は、共住の節に無人の管理人室だけを定めた項が見当たりません。
市ごとに書き方が違うなら、どれを見ればよいのでしょう。
建てる場所を所管する本部の基準です。
管轄の消防本部が違えば、措置の選び方も変わります。
同じ敷地に複数の棟があるときは何を確かめればよいのか

ただし、同じ敷地に二以上の棟があって、円滑な対応ができる場合は例外です。
鈴鹿市は、その場合を4⑴ウで三つに分けています。
18号告示第3第6号⑶ただし書きに規定する「当該共同住宅等の火災発生時に、円滑な対応ができる場合」とは、次の(ア)から(ウ)までのいずれかの場合をいう。
(ア) 同一敷地内の人が常駐する防災センター等で、当該敷地内に存する複数の特定共同住宅等を24時間、一括監視し、かつ、火災発生時に迅速な対応を講ずる体制が構築される場合
(イ) 同一敷地内の防災センター等で、…警備会社等によって24時間、一括監視し、かつ、…体制が構築される場合
(ウ) (ア)又は(イ)による監視体制を構築し、…隣接する敷地等に設けた防災センター等で一括監視する場合
(ア)は同じ敷地内の防災センター等に人が常駐し、24時間一括監視する場合です。
(イ)は同じ敷地内の防災センター等を、警備会社等が24時間一括監視する場合です。
(ウ)は、(ア)か(イ)の体制を整えたうえで、隣接する敷地等の防災センター等で一括監視する場合です。 埼玉県央広域のウも三つの場合で、同じ並びです。
この二つのウの文には、副受信機や同時通話装置の語は出てきません。
堺市と大阪市がこの場面で何を求めているかは、別の記事で手順をたどっています。 最後に、設計前の確かめ方を順に並べます。
- 管理人室に常時人がいない時間があるかを確かめる。常時いるなら防災センター等との関係を、いない時間があるなら四つの措置のどれにするかを決める
- 開錠する構造((ア)(イ))にするか、警戒区域表示を外から確認できる場所((ウ)(エ))にするかを、建物の造りで選ぶ
- 同じ敷地に複数の棟があるときは、一括監視の三つの場合のどれに当たるかを確かめる
- 管轄が埼玉県央広域・堺市・大阪市なら、その基準の書き方で確かめる
- 最新の版と個別の扱いを、所轄の消防署・消防本部に確かめる
棟が複数なら、受信機は一か所にまとめられるのですか。
一括監視と迅速な対応の体制があれば、棟ごとでなくてよい場合があります。
三つの場合のどれに当たるかを確かめましょう。
よくある質問
まとめ
管理人室に人がいない時間があるか、四つの措置のどれにするかを、設計図に書き込みます!
迷う点は、早めに消防署へ相談しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 平成18年消防庁告示第18号「共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準」(消防庁)
- 消防法施行規則 第12条(e-Gov法令検索)
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第5章 第9 共同住宅用自動火災報知設備・第4章 第10 自動火災報知設備
- 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第5章 第9 共同住宅用自動火災報知設備・第4章 第10 自動火災報知設備
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」特定共同住宅等 Ⅵ 共同住宅用自動火災報知設備
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」特定共同住宅等
※本記事は各消防本部が公表している基準と、消防法令に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたもので、「見当たらない」としたものは公表資料を確認した範囲の結果です。常時人がいる管理人室の読み方は筆者の読み解きで、基準に直接書かれたものではありません。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





