消防用設備等や防火対象物の点検は、多くの建物で毎年のように実施されています。
「点検さえしていれば大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。
実は点検結果を消防長又は消防署長に報告しなければ、それだけで別の違反になります。
この記事では、消防法第8条の2の2と第17条の3の3が定める報告義務と、第44条が定める罰則の仕組みを、実際の条文にもとづいて解説します。
うちは毎年ちゃんと点検はしています。
これで大丈夫ですよね。
いいえ、それだけでは足りません。
点検の結果を報告することまで含めて義務になっています。
え、点検さえしていれば報告は別にいいと思っていました。
はい、消防法第44条は報告をしないこと自体を罰する条文です。
点検だけでは義務を果たしたことになりません。
- 消防法第8条の2の2第1項と第17条の3の3は、点検の実施だけでなく報告までを義務としています
- 点検をしても報告をしなければ、それだけで第44条の罰則の対象になります
- 対象になるのは防火対象物点検と消防用設備等点検の2つの制度です
- 虚偽の報告をした場合も、報告をしなかった場合と同じ号で処罰されます
- 違反すると30万円以下の罰金又は拘留に処せられます
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目次
点検をしても報告しなければ違反になるのか

けれども、点検をすること自体は義務の半分にすぎません。
消防法第8条の2の2第1項は特定の防火対象物について防火対象物点検とその報告を、第17条の3の3は消防用設備等点検とその報告を、それぞれ義務づけています。
どちらも「点検させ、その結果を報告しなければならない」という同じ構造の条文です。
点検表や記録を作成しただけで終わらせず、消防長又は消防署長への提出まで済ませる必要があります。
点検の記録は、毎年ちゃんとファイルに残しています。
それは点検の実施記録ですね。
そのうえで、消防署への報告まで済んでいるかを確認しましょう。
どちらの点検報告にこの規定が及ぶのか

まずは自分の建物がどちらに当たるのかを整理しておきましょう。
一方で消防用設備等点検の報告義務は、消防用設備等の設置対象になる防火対象物であれば原則としてすべてに及びます。
つまり多くの建物は消防用設備等点検の報告義務だけを負い、収容人員300人以上などの要件を満たす建物は防火対象物点検の報告義務もあわせて負うことになります。
自分の建物がどちらに当てはまるかを、まず確認しておく必要があります。
うちは収容人員が300人を超えているので、両方の報告が必要ということですね。
そうですね、防火対象物点検と消防用設備等点検の両方の報告義務を負うことになります。
報告をしない・虚偽報告をするとどうなるのか

この違反には明確な罰則が定められています。
点検を実際に行っていても、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければ、この規定に該当します。
逆に報告書だけを取り繕って実態と異なる内容を提出した場合も、同じ第44条第十一号の対象です。
点検の実施と報告の提出は、どちらも欠かせない別々の義務だと理解しておく必要があります。
報告書の中身が実態と少し違っていても、罰則の対象になるんですか。
はい、虚偽の報告も報告をしなかった場合と同じ号で罰せられます。
実務で見落としやすいのはどこか

点検済票の交付とも混同しないよう整理しておきましょう。
第8条の2の2第2項の表示(点検済票)は、点検基準に適合していると認められた場合に付することができる任意の制度にすぎません。
これに対して報告そのものはしなければならない義務であり、基準に適合していてもいなくても、結果を消防長又は消防署長に報告する必要があります。
消防設備士等に点検作業そのものを委託していても、報告する義務が防火対象物の関係者から消防設備士等へ移るわけではありません。
点検は業者にお願いしているので、報告も業者がやってくれていると思っていました。
委託していても、報告の義務自体は関係者に残ります。
提出まで確認しておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

防火管理者として、次の点を確認しておきましょう。 点検と報告は別の作業として、それぞれ期限を管理しておく必要があります。
以下のポイントを、点検計画にあわせて確認しておきましょう。
- 自分の建物が防火対象物点検の対象(収容人員300人以上など)に当たるかどうか
- 消防用設備等点検の報告期限を把握しているか
- 点検の実施記録だけでなく、消防長又は消防署長への報告書の提出まで完了しているか
- 消防設備士等に点検を委託している場合も、報告の提出状況を自分で確認しているか
- 点検済票の掲示(第8条の2の2第2項)と報告義務(同条第1項)を混同していないか
今日の点検から、報告の提出状況まで確認します。
それがいいですね、期限の管理が漏れを防ぐ一番の対策です。
よくある質問
まとめ
点検と報告が別の義務だということが、これでよく分かりました。
点検と報告の管理は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第8条の2の2(防火対象物点検及び報告)
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
- 消防法施行令第4条の2の2(点検を要する防火対象物)
- 消防法第44条・第45条(罰則)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





