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防火対象物点検と防災管理点検の特例認定を両方受けるとどんな表示が出せるか|複合特例認定の要件と効力満了日を解説

両方の特例認定に合格した建物を表すオフィスビルのイメージ

大きなビルでは、防火対象物点検にも防災管理点検にも、それぞれ3年間点検や報告が要らなくなる特例認定という仕組みがあります。
単独で受ける特例認定には、それぞれ専用の認定証が用意されています。
けれども条文をよく読むと、両方の特例認定を受けた建物だけがもらえる、もう一段階別の表示があります。
複合特例認定表示の条件と、そこに潜む効力満了日の落とし穴を順番に見ていきます

うちは防火対象物点検の特例認定を受けていて、点検も報告も3年間は要らないと聞きました。防災管理点検にも同じような認定があるなら、両方受けたらどうなるんですか。

はい。両方の特例認定を受けた建物には、複合特例認定表示という別建ての表示が用意されています。
まずは対象になる条件から確認しましょう。

うちは複数のテナントが入っている複合ビルなので、少し不安です。

権原が分かれている建物には建物全体で満たすべき条件があります。
効力が失われる日の数え方にも注意点があるので、順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防火対象物点検の特例認定と防災管理点検の特例認定、両方に合格した建物には消防法第36条第5項の複合特例認定表示を掲げられます
  • 複合特例認定表示は単独の認定証とは別に、別表第八の専用様式で作られます
  • 出すためには建物全体で両方の特例認定を受けていることが条件です
  • 効力が失われる日は二つの特例認定のうちいずれか早い日を基準に決まります
  • この表示に紛らわしい表示を付けると除去や消印を命じられることがあります

単独の認定はそれぞれ別々の表示になり両方受けると複合の表示になり効力満了は早い方が基準であることを示した図解

防火対象物点検と防災管理点検の特例認定を両方受けるとどんな表示が出せるのか

建物の壁に取り付けられた二枚の個別の認定証と、その横に立つ一枚の大きな複合の認定証を示したイメージ
防火対象物点検にも防災管理点検にも、それぞれ専用の特例認定があります。
けれども両方を受けた建物には、もう一段階別の表示が用意されています。
消防法第三十六条第五項 第一項の建築物その他の工作物のうち第八条の二の二第一項の防火対象物であるものにあつては、(略)同条第一項の規定による認定と併せて第一項において準用する同条第一項の規定による認定を受けた場合((略))に限り、総務省令で定めるところにより、当該認定を受けた日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができる。
両方の特例認定を受けた建物だけが、専用の複合特例認定表示を掲げられます。
消防法第8条の2の3(防火対象物点検の特例認定)と、第36条が読み替えて準用する第8条の2の3(防災管理点検の特例認定)は、本来それぞれ別の認定証を出す制度です。
第36条第5項は、この二つの特例認定を両方受けた建物に限って、もう一枚の特別な表示を認める規定です。
第36条第4項の複合表示が毎年の点検に対する表示であるのに対し、この複合特例認定表示は3年間有効な特例認定に対する表示という違いがあります。
まずはこの表示が、単独の認定証の上位互換ではなく別建ての制度だと理解しておきましょう。

複合特例認定表示は、防火対象物点検の特例認定証の代わりになるものではないんですね。

はい、あくまで両方受けた証として追加で出せる表示です。
次はその条件を見ていきましょう。

複合の特例認定表示を出すにはどんな条件が必要なのか

権原の境界を点線で示した建物と、その先に立つ一枚の認定証を示したイメージ
複合特例認定表示は、単独の認定証よりも確認すべき範囲が広くなります。
権原が分かれている建物では、さらに注意が必要です。
消防法第三十六条第五項(括弧書) 当該建築物その他の工作物の管理について権原が分かれているものにあつては、当該建築物その他の工作物全体が同項の規定による認定と併せて第一項において準用する同条第一項の規定による認定を受けた場合に限る。
権原が分かれている建物は、建物全体で両方の特例認定を受けていなければ対象になりません。
特例認定そのものを受けるには、消防法第8条の2の3第1項が定める、管理を開始してから3年が経過していること、過去3年以内に命令や取消しを受けていないこと、点検基準への適合状況が優良であることという三つの要件を満たす必要があります。
防災管理点検側の特例認定も、消防法施行規則第51条の16によって同じ枠組みの要件が準用されています。
一部のテナントだけが特例認定を受けていても、建物全体としての条件は満たせません。
まずは自分の建物の権原がひとつなのか、複数に分かれているのかを確認しましょう。

うちは複数のテナントが入っていますが、その場合はどうなりますか。

権原が分かれている建物では、建物全体で両方の特例認定が揃って初めて対象になります。
まずは管理権原の範囲を整理しましょう。

表示にはどんな様式でなにが書かれるのか

認定証の様式を拡大鏡で確認する場面と、隣に置かれたペンを示したイメージ
複合特例認定表示は単独の認定証とは別の様式で、記載する内容も定められています。
掲示する場所にもルールがあります。
消防法施行規則第五十一条の十九第一項 法第三十六条第五項の表示は、別表第八に定める様式により行うものとし、建築物その他の工作物の見やすい箇所に付するものとする。 同条第二項 法第三十六条第五項の総務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。一 (略)認定の効力が失われる日又は(略)認定の効力が失われる日のいずれか早い日 二 (略)権原を有する者の氏名 三 認定を行つた消防長又は消防署長の属する消防本部又は消防署の名称
複合特例認定表示は別表第八の専用様式で作られ、建物の見やすい場所に掲げます。
記載されるのは、効力が失われる日にあたる年月日、権原を有する者の氏名、認定を行った消防長又は消防署長の属する消防本部又は消防署の名称です。
第36条第4項の複合表示が点検資格者二人の氏名を記すのに対し、複合特例認定表示は認定を行った消防本部・消防署の名称を記す点が異なります。
様式そのものも別表第七ではなく別表第八で、見た目も点検の複合表示とは区別されています。
次は、この効力が失われる日の数え方に潜む見落としを確認しましょう。

認定証と点検の複合表示は、様式も記載事項も違うんですね。

はい。次は効力が失われる日の数え方を説明します。

効力が失われる日はどちらの認定を基準に計算されるのか

早い日付が強調された二つのカレンダーと本物の認定証、その横に置かれた偽物の認定証に禁止マークが付いたイメージ
複合特例認定表示の効力が失われる日は、単独の認定証とは違う数え方をします。
紛らわしい表示を付けることも禁止されています。
消防法施行規則第五十一条の十九第二項第一号 法第八条の二の三第四項第一号(括弧書を除く。)の規定により認定の効力が失われる日又は法第三十六条第一項において準用する法第八条の二の三第四項第一号(括弧書を除く。)の規定により認定の効力が失われる日のいずれか早い日
消防法第三十六条第六項 第八条の二の二第三項及び第四項の規定は、前二項の表示について準用する。(準用される規定)同条第三項 何人も、(略)表示を付してはならず、又は同項の表示と紛らわしい表示を付してはならない。 同条第四項 消防長又は消防署長は、(略)紛らわしい表示が付されているものについて、(略)権原を有する者に対し、当該表示を除去し、又はこれに消印を付するべきことを命ずることができる。
複合特例認定表示の効力が失われる日は、二つの特例認定のうち先に効力を失う方の日が基準になります。
特例認定は認定を受けてから3年で効力を失う仕組みですが、防火対象物点検側と防災管理点検側で認定を受けた時期がずれていれば、複合特例認定表示は先に切れる方に合わせて終わります。
たとえば防火対象物点検側の認定を4月に、防災管理点検側の認定を10月に受けた場合でも、複合特例認定表示は4月を基準にした3年後で終わり、10月を基準にするより短くなります。
また、この表示に似せた紛らわしい表示を付けることは禁止されており、違反すると消防長又は消防署長から除去や消印を命じられることがあります。
複合特例認定表示の期間を無駄にしないためには、二つの特例認定を受ける時期をできるだけ近づけておくことが実務上のコツです。

認定を受けた時期がずれていると、複合特例認定表示の期間が短くなるんですね。

そのとおりです。二つの特例認定を同じ時期に受けることで、期間を無駄にせずに済みます。

複合の特例認定表示を受けるにはどう進めればよいのか

チェックリストを持つ担当者と、認定証が取り付けられた建物を示したイメージ
複合特例認定表示を受けるまでの流れは、単独の特例認定とほぼ同じ手順の積み重ねです。
順番を押さえておけば迷いません。
  • 自分の建物が防火対象物点検・防災管理点検の両方の特例認定の対象になるか、所轄の消防署に確認する
  • 防火対象物点検の特例認定(消防法第8条の2の3)と、防災管理点検の特例認定(第36条第1項準用)をそれぞれ申請する
  • 権原が分かれている建物では、テナントも含めた建物全体で両方の認定を受ける
  • 二つの特例認定を受ける時期をできるだけ近づけ、効力が失われる日が早まりすぎないようにする
  • 両方の認定を受けたら、消防長又は消防署長に確認したうえで複合特例認定表示を掲示する
複合特例認定表示までの道のりは、対象確認から掲示までの一本の流れです。
途中でつまずきやすいのは、権原が分かれている建物で一部のテナントだけが特例認定を受けて満足してしまうケースです。
建物全体がそろって初めて複合特例認定表示の対象になることを、申請する前に関係者へ周知しておくと後戻りが減ります。
まずは所轄の消防署に、自分の建物が両方の特例認定の対象になるかどうかを確認するところから始めましょう。

流れが分かれば、あとは順番に進めるだけですね。

はい。まずは所轄の消防署への確認から始めましょう。

よくある質問

Q防火対象物点検の特例認定を受けていれば防災管理点検の特例認定は不要ですか?
Aいいえ、対象になる建物では両方の特例認定が別々に必要です。複合特例認定表示は、その両方を受けた建物だけが追加で掲げられる別建ての表示です。
Q複合特例認定表示の効力が失われる日はどう数えますか?
A防火対象物点検側と防災管理点検側、先に効力を失う方を基準に決まります。両方の認定を受ける時期を近づけておくと表示の期間を長く使えます。
Q権原が分かれている建物でも複合特例認定表示は出せますか?
A出せますが、建物全体で両方の特例認定を受けている必要があります。一部のテナントだけが認定を受けていても対象にはなりません。
Q複合特例認定表示に似せた表示を付けるとどうなりますか?
A紛らわしい表示は禁止されており、消防長又は消防署長から除去や消印を命じられることがあります。

まとめ

複合特例認定表示は消防法第36条第5項に基づく、両方の特例認定を受けた建物専用の表示です
単独の認定証とは別に、別表第八の専用様式で作られます
権原が分かれている建物は建物全体で両方の特例認定を受けていることが条件です
効力が失われる日は二つの特例認定のうちいずれか早い日を基準に決まります
第36条第4項の複合表示(毎年の点検)とは別の制度で、記載事項も認定を行った消防本部・消防署の名称など異なります
この表示に紛らわしい表示を付けると除去や消印を命じられることがあります
まずは所轄の消防署に、自分の建物が両方の特例認定の対象になるかを確認しましょう

複合特例認定表示の条件と、効力が失われる日の数え方がよく分かりました。
まずは自分の建物が両方の特例認定の対象になるか確認します。

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参考・出典

  • 消防法第36条
  • 消防法第8条の2の3
  • 消防法施行規則第4条の2の8
  • 消防法施行規則第51条の16
  • 消防法施行規則第51条の19
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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