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特定建築物定期調査の調査員はどんな心構えで臨むのか|維持保全の推進から依頼者との信頼・調査助手の掌握まで解説

特定建築物定期調査の調査員が丁寧に説明する様子

特定建築物定期調査を担当する調査員には、劣化を見抜く技術力だけでなく、依頼者との関わり方についての心得も定められています。
建築物調査員の業務基準では、「調査資格者としての心得」「業務遂行上の心得」「調査実施上の心得」という区分のもとに、日頃の姿勢そのものが位置づけられています。
身分証明や立会いといった現場の作法とは別に、調査員が普段から意識している考え方を知っておくと、依頼者側も調査の受け止め方が変わってきます。
本記事では、維持保全の推進から依頼者との信頼、調査結果の公正、現場運営まで、調査員の心構えを5つの視点で解説します

調査員さんって、劣化を見つけて回るだけの人だと思っていました。
実はもっと細かい心得があるんでしょうか。

はい、調査員には維持保全の啓発や依頼者との信頼づくりまで含めた心得があるんです。
建築物調査員の業務基準にもそのことがきちんと定められています。

へえ、そこまで決まっているとは知りませんでした。
具体的にどんな心構えなのか気になります。

大きく分けると維持保全の推進・技術の研さん・依頼者との信頼と公正・丁重な言動・現場運営の5つです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 調査員は建築物の維持保全そのものを所有者や管理者に啓発する役割も担う
  • 防火・避難分野の技術は日々進歩しており、継続的な研さんが求められる
  • 調査は目に見えない技術的判断であるため、依頼者への説明を重ねながら信頼を築く
  • 調査結果は維持保全の起点になるため、誠実な公正さが欠かせない
  • 調査対象の関係者には常に謙虚に接し、調査助手の言動も調査員自身が掌握する

特定建築物定期調査 調査員の心構えを示すインフォグラフィック

建築物の維持保全の推進とは何をすることか

建築物の維持保全の推進を説明する調査員
特定建築物定期調査の調査員は、劣化を見つけて報告するだけの役割ではありません。
建築物の所有者や管理者に対して、日頃からの維持保全の大切さを伝えることも調査員の心得の一つです。
建築物の維持保全に関心の低い所有者や管理者に対して、調査員はどのような心得を持つべきとされるか。
建築物の維持保全について、関心の低い所有者、管理者等に対して、建築物の安全の重要性、防災技術、定期調査報告制度の啓発普及に努めることが重要である。
調査員は劣化を見つける専門家であると同時に、防災への理解を広める啓発者でもあります
所有者や管理者のなかには、点検を「言われたからやるもの」としか捉えていない方も少なくありません。
そこで調査員は、劣化の指摘だけでなく、なぜ維持保全が必要なのかを丁寧に説明する姿勢を持っています。
たとえば外壁のひび割れひとつでも、放置すれば落下事故につながりかねないことを、専門用語を避けて伝えます。
調査の場は、次の点検までの維持管理を所有者自身に意識してもらう機会でもあります。

うちの建物も古いので、ひび割れとか気になっていました。
調査の時に色々教えてもらえるんですね。

はい、調査は劣化の指摘だけで終わりません。
今後の維持管理のヒントもお伝えします。

調査技術の研さんはなぜ欠かせないのか

調査技術を研さんする調査員
防火や避難の分野は日々研究が進んでおり、数年前の知識では通用しないこともあります。
調査員には、技術の更新に追いつくための継続的な学びが欠かせません。
なぜ調査業務において技術の研さんが特に重要とされるか。
防災工学、特に防火・避難は日常安全や耐久性についても研究が進みつつあるため、業務を適正に実施し合理化を図るためにも技術を研さんすることが重要である。また、新聞、テレビ等で日常報ぜられる災害事故例は、具体的事例として自己の技術研さん資料として直接有効であり、依頼者への説明用としても最も納得させ易いものである。
調査員の知識は一度身につけたら終わりではなく、更新し続けるものです
防災工学の分野、なかでも防火・避難に関する研究は、耐久性の視点も含めて日々進んでいます。
古い基準のまま調査を続ければ、実態に合わない見落としが生まれかねません。
新聞やニュースで報じられる建物の事故事例は、調査員にとって具体的な学びの材料にもなります。
こうした事例は、依頼者へ調査の必要性を説明するときにも説得力を持ちます。

調査員さんって、資格を取ったらそれで終わりだと思っていました。
ずっと勉強を続けているんですね。

建物の事故事例からも学び続けています。
その知識が調査の説得力につながるんです。

依頼者の信頼と調査結果の公正はどう両立するのか

依頼者に調査結果を説明し信頼を得る調査員
調査という仕事は、形に残る製品ではなく、目に見えない技術的な判断の積み重ねです。
だからこそ調査員は、依頼者への説明と結果の公正さの両方を大切にしています。
調査員が依頼者の信頼を得て、かつ結果の公正を保つために意識していることは何か。
この業務は物的な成果物でなく目に見えない技術的知恵による成果物であるだけに、その評価は先ず依頼者の信頼を基盤にする必要があり、当初から最後の結果報告等に至るまでそれぞれの段階において依頼者へ説明し納得を受けることが重要である。また、この調査は維持保全の基点になるものであるだけに、公正を欠いた場合はこれに続く段階で大きな問題に拡がるおそれがあるため、自己の技術能力を最大限に生かすとともに誠意をもって当たり公正を期することに努めなければならない。
信頼と公正さは、調査という仕事の評価そのものを支える土台です
調査の成果は劣化の有無や程度についての専門的な判断であり、依頼者が自分の目で確かめにくいものです。
だからこそ調査員は、調査の各段階で状況を説明し、依頼者の納得を積み重ねながら進めます。
一方で調査は今後の維持保全の基点になるため、判定に手心を加えることは許されません。
自己の技術力を尽くし、誠意をもって公正に当たることが調査員には求められます。

正直、調査結果って専門的すぎて自分では確かめようがないです。
ちゃんと公正に見てもらえているのか少し不安でした。

だからこそ調査員は、各段階でしっかり説明することを大切にしています。
結果は誠実な判断に基づくものなので安心してください。

丁重かつ慎重な言動とはどういうことか

丁重にお辞儀をして応対する調査員
調査は、建物が実際に使われている状態のなかで行われます。
そこで働く人や利用者への配慮も、調査員に求められる心得の一つです。
調査員は、調査対象の建築物の関係者に対してどのような態度で臨むべきとされるか。
常に謙虚な態度を持ち、粗野な言動は厳に慎しむ。また調査のために必要とする以外の無用の言動は差し控える。必要によって立会人、同行者以外の従業員に直接に質問する時も、詰問的態度は絶対に避ける。
調査員は、建物の利用者にとって見慣れない来訪者であることを忘れません
調査に必要な範囲を超えた言動は控え、常に謙虚な姿勢を保ちます。
立会人や同行者以外の従業員に直接質問する場面でも、詰問的な態度は避けるべきとされています。
現場で働く人にとって、調査は日常業務の合間に割り込む出来事です。
丁重な言動は、調査への協力を得やすくする実務上の工夫でもあります。

調査の日はスタッフも忙しいので、正直ちょっと身構えてしまいます。
威圧的な感じだと困るなと思っていました。

調査員は謙虚な態度を心がけるとされています。
詰問のような聞き方はしないので安心してください。

調査助手の掌握と日程調整はなぜ調査員の責任なのか

調査助手に指示し日程表を確認する調査員
調査には助手が同行することもあり、その言動の責任は調査員自身が負います。
また、調査日程は現場の都合で変わることも多く、事前の連携が欠かせません。
調査に助手が同行する場合、調査員はどのようなことに責任を持つべきとされるか。
調査に助手を使用する場合は、予め調査上の心得を十分に納得させ遵守させるとともに調査中は完全に自己の指揮下に置き、その言動を掌握する。また、調査日程等は必ずしも確定されず実施中に変更する必要が生ずることも多いため、十分に管理者等と連携・協議しなければならない。
助手の言動も、調査員自身の責任として扱われます
調査に助手を使う場合、調査員はあらかじめ心得を十分に納得させ、遵守させておく必要があります。
調査中は助手を完全に自分の指揮下に置き、その言動を掌握し続けます。
調査日程は確定的なものではなく、現場の状況で変更が必要になることも少なくありません。
そのため調査員は、建物の管理者等と十分な連携・協議を重ねながら日程を調整します。

調査の日って急に変わることもあるんですか。
助手の人まで見てもらえるのは安心です。

日程は現場の状況に応じて事前に連携しながら決めます。
助手の言動も調査員がしっかり管理しています。

よくある質問

Q調査員が所有者に維持保全の説明をするのは義務なのですか?
A維持保全そのものの努力義務は建築基準法上、所有者や管理者の側にあります。そのうえで調査業務基準では、関心の低い所有者等への啓発普及に努めることが調査員の心得として位置づけられています。
Q調査員の技術研さんは資格取得後も必要なのですか?
Aはい。防火・避難分野は研究が進み続けているため、資格取得後も新聞やニュースの事故事例などから学び続けることが調査員の心得として求められています。
Q調査結果の公正さは誰が確かめているのですか?
A最終的には特定行政庁への報告というかたちで確認される仕組みになっていますが、それ以前に調査員自身が誠意をもって公正を期することが心得として求められています。
Q調査当日、助手や日程変更にはどう対応してもらえますか?
A助手の言動は調査員が責任をもって指揮下に置き、掌握するとされています。日程変更が生じる場合も、建物の管理者等と事前に連携・協議したうえで調整されます。

まとめ

調査員は劣化診断だけでなく、建築物の維持保全そのものを啓発する役割も担う
防火・避難分野の技術は日々進歩しており、継続的な研さんが調査員の心得とされる
調査は目に見えない技術的判断の積み重ねであり、各段階での説明が依頼者の信頼を築く
調査結果は維持保全の起点になるため、誠実な公正さが欠かせない
調査対象の関係者には常に謙虚な態度で接し、詰問的な言動は避けるべきとされる
調査に助手が同行する場合、その言動の掌握は調査員自身の責任である
調査日程は変更が生じうるため、管理者等との事前の連携・協議が欠かせない

調査員さんがどんな心構えで来てくれるのか、よく分かりました。
次の調査が楽しみです!

私たちも同じ心構えで丁寧な説明を心がけています。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第8条第1項・第12条第1項(e-Govで現行条文を確認)
  • 建築基準法施行規則第5条第2項(e-Govで現行条文を確認)

※本記事は建築基準法及び同施行規則の現行条文をもとに、特定建築物定期調査を担当する調査員の一般的な心構えを解説したものです。調査当日の具体的な進め方や対応は、調査を依頼する業者や建築物の状況によって異なります。実際の調査にあたっては、建築物調査員等の専門資格者にご確認ください。

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