指定数量の5分の1以上、指定数量未満の危険物は少量危険物と呼ばれ、市町村の火災予防条例で基準が決まっています。
地下タンクで灯油や軽油をためる場合は、条例の第31条の5第2項が7つの号で位置・構造・設備を定めています。
津市消防本部は、この7つの号の中身を「少量危険物及び指定可燃物の規制に関する指導運用指針」の分冊 地下タンク編で、厚さや検査の方法まで具体的に示しています。
津市の分冊を号ごとにたどり、条例(例)と指定数量以上の地下タンク貯蔵所の基準と比べます。
津市の工場で、非常用発電機の燃料を地下タンクにためる計画があります。
量は指定数量未満なのですが、何に気をつければよいのでしょうか。
少量危険物の地下タンクは、火災予防条例の基準に従って設けます。
津市はその中身を、タンク室の厚さまで指針で決めています。
工事が終わったあとに、消防の検査もあるのですか。
津市の分冊には、配筋から現地調査まで6つの検査の参考例が載っています。
まず条例の号と指針の対応から見ていきます。
- 少量危険物の地下タンクは火災予防条例第31条の5第2項の7つの号が基準で、津市は分冊 地下タンク編で号ごとに中身を示している
- 津市は原則としてタンク室に入れ、タンク室は厚さ0.2m以上のコンクリート造とし、タンクとの間に0.1m以上あけて乾燥砂などを詰めるとしている
- 自動車が上を通る場所では厚さ0.2m以上の鉄筋コンクリートのふたを支柱で支え、通らない場所は厚さや強度の特別な規定はないとしている
- 漏えい検査管は2か所以上で、1m以内に並ぶタンクは共有でき、電気的腐食のおそれのある場所の配管は電気防食をする
- 検査は配筋・据付け・配管の圧力など6項目が参考例で、多くは施工写真や試験結果の提出で省略できる
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目次
津市では少量危険物の地下タンクをどう埋めることになっているのか

津市の分冊は、この号を「原則としてタンク室」と読み、例外を3つ並べています。
地下タンクは、原則として地盤面下に設けられたコンクリート造等のタンク室内に設置すること。ただし、次のア、イ又はウによる場合はこの限りではない。
ア 危険物の漏れを防止することができる構造(危規則第24条の2の5で規定された構造)。
イ タンクを二重殻タンクとするもの(危政令第13条第2項で規定された構造)。
ウ 第4類の危険物のタンクで、その外面がエポキシ樹脂、ウレタンエラストマー樹脂、強化プラスチック又はこれらと同等以上の防食性を有する材料により保護されている構造。
アの危険物の規制に関する規則第24条の2の5は、タンクを防水の措置をした厚さ15cm(側方と下方は30cm)以上のコンクリートで包む構造で、いわゆるプレコンタンクがこれに当たります。
イの危険物の規制に関する政令第13条第2項は、鋼板か強化プラスチックで外側をもう一重囲い、すき間の漏れを検知する二重殻タンクです。
ウは条例(例)の第1号ただし書と同じ外面の保護ですが、条例(例)にある「腐食し難い材質で造られている場合」は分冊には挙がっていません。
また本編の第8 4は、タンクを二重殻タンクか漏れ防止構造にするよう指導するとしています。
分冊は、条例の号ごとに国の規則や本編の項目を借りているので、次の順に読むと追いやすくなります。
- 津市火災予防条例 第31条の5第2項 第1号〜第7号(埋設方法・ふた・基礎・タンクの構造・液量計・配管・漏えい検知)
- 分冊 地下タンク編 1⑴〜⑺ が号ごとに中身を書き、⑻ で電気的腐食を足している
- ⑴ア → 危規則第24条の2の5/⑴イ → 危政令第13条第2項/⑴エの防水 → 危規則第24条第1号・第2号を準用
- ⑺ 二重殻タンクの漏れ検知 → 危規則第24条の2の2の例による
- ⑻ 電気防食 → 本編 第4 11⑸(配管の腐食防止の項目)を借りる
二重殻タンクなら、タンク室を造らなくてもよいのですね。
はい、例外のイに当たります。
どの方式を選ぶかで、次に見るタンク室やふたの基準が変わります。
タンク室とふたはどんな造りにするのか

津市の分冊は、⑴エでタンク室の厚さと防水を、⑵でふたと支柱を決めています。
エ タンク室の構造は、厚さ0.2m以上のコンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する鉄筋コンクリート造とし、雨水や地下水が浸入しないように防水措置を施すこと。(略)
⑵ 第2号(従荷重による損傷防止)
「直接荷重がかからないようにふたを設ける」とは、厚さ0.2m以上の鉄筋コンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造のふたを設け、鉄筋コンクリート造の支柱又は鉄筋コンクリート管を使用した支柱等により、当該ふたを支えることができると認められる場合は、この限りではない。
(略)
従って、自動車等が通過しない場所については、厚さや強度の特別な規定はないもの。
防水の措置は、危規則第24条の第1号(水密コンクリート等)と第2号(目地や接合部から水が入らない措置)を準用し、JASS8の防水工事や止水板などを例に挙げています。
ふたの下の乾燥砂に接する面には、コンクリートの水分が砂にしみ込まないようルーフィング等を敷くとしています。
ふたと下部スラブの参考例は鉄筋13mm・250ピッチ・かぶり厚さ50mmで、支柱は最小横寸法20cm以上、軸方向鉄筋12mm以上を4本以上とし、基礎とふたの鉄筋に連結します。
条例の第2号はもともと自動車等の荷重を受けるおそれのあるタンクが対象なので、車が通らない場所では厚さや強度の特別な規定はないと読み替えています。
設計の段階で、タンクの上を車が通るかどうかを配置図に書き込み、ふたと支柱の計算書を用意するかを決めておきます。
| 項目 | 条例(例)第31条の5 | 津市の分冊 | 指定数量以上(危政令第13条) |
|---|---|---|---|
| 埋め方 | タンク室か漏れ防止構造(第4類の外面保護等は除く) | 原則タンク室・例外はア〜ウの3つ | タンク室(第1項)・二重殻(第2項)・漏れ防止構造(第3項) |
| タンク室の厚さ | 「コンクリート造等」 | 0.2m以上 | 荷重に対して安全な強度(危規則第23条の4) |
| タンクとの間 | 定めなし | 0.1m以上・乾燥砂か人工軽量骨材 | 0.1m以上・乾燥砂(第1項第2号) |
| ふた | 車の荷重を受けるおそれがあれば設ける | 0.2m以上の鉄筋コンクリートを支柱で支える | 二重殻を直接埋めるとき0.3m以上(第2項第2号イ) |
| 漏れの検知 | 2か所以上の管等 | 2か所以上・1m以内なら共有可 | 総務省令で定める設備(第1項第13号) |
車が通らない裏庭なら、ふたの厚さは決まっていないのですね。
はい、分冊は特別な規定はないとしています。
ただ、あとで駐車場に変わることもあるので、使い方は早めに決めておきます。
タンク本体と固定のしかたで見落としやすいのはどこか

分冊は、固定の方法と、鋼板以外の金属で造るときの板厚まで示しています。
ア 「地下タンクは、堅固な基礎の上に固定されていること」とは、タンクを直接基礎に固定するのではなく、締め付けバンド及びアンカーボルト等により固定するものとする。(略)
イ タンクとタンク室との間には、0.1m以上の間隔をとり、当該タンク室には、乾燥砂又は人工軽量骨材を充填すること。
⑷ (略)ア 「同等以上の強度を有する金属板」とは、次式により算出された数値以上の板厚を有するものをいう。(式・表は略)
タンクは基礎へじかに留めず、締め付けバンドとアンカーボルトで固定し、バンドやボルトにも錆止めをします。
0.1mの間隔と乾燥砂は指定数量以上の地下タンク貯蔵所(危政令第13条第1項第2号)と同じ数字で、津市は人工軽量骨材も認めています。
タンクは厚さ3.2mm以上の鋼板(SS400)が基本で、ほかの金属は板厚=√(400÷引張強さ)×3.2の式で換算し、分冊の参考値はステンレス鋼(SUS304・SUS318)2.9mm以上、アルミニウム合金のA-5052P-H34は4.2mm以上、A-5053P-H32は3.7mm以上です。
圧力タンクは最大常用圧力が46.7キロパスカル以上のもので、計量口を設けるときは直下の底板にタンクと同じ材質・板厚の当て板を溶接し、配管はすべてタンクの頂部から取ります。
ステンレスやアルミのタンクを選ぶときは、構造明細書の板厚がこの換算値を下回っていないかを先に確かめます。
つまりアルミのタンクだと、鋼板より厚くしないといけないのですね。
そうです、引張強さが小さいぶん板厚が増えます。
次は、埋めたあとの漏れをどう見つけるかです。
漏れの検知と電気による腐食にはどう備えるのか

分冊は⑺で管の数と共有を、⑻で配管の電気的腐食を扱っています。
(略)漏えい検査管を設ける場合は、地下水位の位置等を考慮して、適切な位置に2箇所以上設けること。
また、2以上の地下タンクを1m以内に接近して設ける場合は、漏えい検査管を共有して差し支えないもの。
(略)
⑻ 地下に設置する配管のうち、電気的腐食のおそれのある場所に設置する配管にあっては(略)電気防食措置を行う。(対地電位又は地表面電位こう配の測定をした結果、当該測定値が判定基準値未満(対地電位:最大電位変化幅50mV未満、地表面電位こう配:1m当たりの最大電位変化幅5mV未満)である場所を除く。)
本編の第8 3は、漏えい検査管を金属か硬質塩化ビニールで造り、長さは地盤面からタンク基礎まで、小孔のある二重管(タンクの水平中心線より上は小孔のない単管でもよい)とし、上端は水が入らずふたを開けやすい構造にするとしています。
二重殻タンクの場合は、危規則第24条の2の2の例により、殻と殻のすき間で漏れを検知する設備になります。
⑻が借りている本編の第4 11⑸は、直流電気鉄道の軌道や変電所からおおむね1kmの範囲などを電気的腐食のおそれがある場所としています。
分冊の届出書類の一覧も、その場所の例を近鉄沿線・変電所からおおむね半径1kmとしており、測定値が判定基準値未満なら電気防食は要りません。
敷地が線路や変電所に近いときは、配管の経路を決める前に対地電位などの測定を手配しておきます。
線路の近くかどうかで、配管の工事が変わるのは知りませんでした。
迷う場所なら、先に電位の測定をしておくと話が早いです。
最後に、届出と検査の流れを見ます。
届出と消防の検査はどう進むのか

検査は工事の順番どおり、スラブの配筋からタンクの据付け、配管、現地調査へと進みます。
3 埋設部分配管圧力検査 ※試験結果及び施工写真提出で省略可能
配管経路、配管材質等及び常用圧力の1.5倍の圧力を20分以上加圧し、溶接部分、フランジ部分から漏れがないか確認(石鹸水をかけ目視確認)(略)
4 露出部分配管圧力検査(略)
※ピット配管支持物等で10cm以上嵩上げしてあるものは露出配管とみなす。
1は下部スラブの配筋(支柱)、2はタンクの据付け、3は埋設部分の配管の圧力、4は露出部分の配管の圧力、5は上部スラブの配筋、6は現地調査です。
1〜5は施工写真や試験結果を出せば省略できるとされ、配筋は径とピッチを測っている写真、据付けはタンク検査済証と構造明細書で確かめます。
埋設部分の配管は確認のあと溶接部にペトロラタムテープ2.2mm以上と接着性ビニルテープ0.4mm以上を巻き、現地調査では消火器・標識・掲示板と、二重殻タンクならリークモニターの作動を見ます。
届出書類は、少量危険物貯蔵届出書・配置図・構造明細書・タンク検査済証・浮力や支柱の計算書・配管図・地下タンク図面・電気防食試験結果など13項目が並んでいます。
分冊は令和2年4月1日施行で、それより前に届け出た施設は位置・構造・設備を変えない限り従前の例によるので、埋め戻す前に写真を撮る工程を施工計画に入れておきます。
埋めてしまったら配筋は見られないので、写真が大事なのですね。
そのとおりで、径とピッチを測っている写真が求められます。
施工業者さんと撮る場面を先に決めておくと安心です。
よくある質問
まとめ
タンクの方式と車の通り道を図面に書いて、津市消防本部に相談してみます!
届出書類の13項目をそろえておくと、協議が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 津市消防本部「少量危険物及び指定可燃物の規制に関する指導運用指針(分冊 地下タンク編)」1⑴〜⑻・2・3・4 https://www.info.city.tsu.mie.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/295/syouryoukikennbututikatannku.pdf
- 津市消防本部「少量危険物及び指定可燃物の規制に関する指導運用指針(本編)」第4 11・第8 https://www.info.city.tsu.mie.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/295/syouryoukikennbutuoyobisiteikanennbutu.pdf
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号)第31条の4・第31条の5 https://www.fdma.go.jp/laws/laws/items/20230531_joureirei.pdf
- 危険物の規制に関する政令 第13条(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する規則 第23条の4・第24条・第24条の2の2・第24条の2の5(e-Gov法令検索)
※本記事は津市消防本部が公表している指導運用指針と、火災予防条例(例)・危険物の規制に関する政令及び規則に基づく一般的な解説です。指針の文章・数字は原本の画像で確かめ、長い部分は(略)で省きました。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





