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サーバー室にスプリンクラーヘッドは要らないのか|通信機器室に求められる消火設備と自動火災報知設備を解説

サーバー室にスプリンクラーヘッドは要らないのか|通信機器室に求められる消火設備と自動火災報知設備を解説

サーバーやネットワークの機器だけを収めた部屋の天井を見上げて、スプリンクラーヘッドが一つも付いていないことに気づいた方は少なくありません。
付け忘れではなく、消防法施行令消防法施行規則がそう組み立てているからです。
そのかわり、部屋の床面積が一定の広さに届くと、別の消火設備と自動火災報知設備が義務になります。
この記事では通信機器室に何がどこから必要になるのかを条文だけで確かめます

うちのビルは機器室だけスプリンクラーが付いていないんです。
工事のときに省かれたのではないかと気になっています。

省かれたのではなく、消防法施行規則がヘッドを設けなくてよい部屋として並べています。
そのかわり、広さによっては別の消火設備が必要になります。

別の消火設備というのは何を指すのでしょうか。
水をまく設備ではないという理解で合っていますか。

消防法施行令第13条が挙げているのは不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備と粉末消火設備です。
まずは部屋の床面積を測るところから始めましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行令第13条第1項は建物が何項かではなく部分の種類と床面積で消火設備を求めます
  • 通信機器室は床面積500平方メートル以上になると、不活性ガス消火設備かハロゲン化物消火設備か粉末消火設備のいずれかが必要になります。
  • 同じ500平方メートルという境目で、消防法施行令第21条第1項第15号により自動火災報知設備も必要になります。
  • スプリンクラーヘッドは消防法施行規則第13条第3項で通信機器室に設けなくてよい部分として並べられています
  • 常時人がいる部屋には不活性ガス消火設備を設けてはならないと、消防法施行規則第19条第5項が定めています。

通信機器室に必要になる設備を広さと消火設備と警報設備と散水設備の順に確かめる手順を示した図解

消防法にいう通信機器室とはどんな部屋なのか

空調機と機器ラックと入口の扉が並ぶ通信機器室のイラスト
消火設備の基準は、建物の用途だけで決まるわけではありません。
部屋の種類と床面積で直接に義務がかかる仕組みが用意されています。
【消防法施行令第13条第1項】次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分には、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のうち、それぞれ当該下欄に掲げるもののいずれかを設置するものとする
部分の種類で決まります
この表は、上欄に防火対象物又はその部分を並べ、下欄に消火設備を並べる形をとっています。
上欄には道路の用に供される部分や自動車の修理又は整備の用に供される部分や駐車の用に供される部分が並び、通信機器室もそのひとつです。
つまり建物が(15)項の事務所であっても(4)項の物販店舗であっても、表の上欄に当たる部分があれば、その部分について義務が生じます。
なお通信機器室そのものを定義した規定は、消防法施行令にも消防法施行規則にも見当たりません。

建物の用途が事務所でも、部屋の種類で決まるということですね。
建物全体の話だと思い込んでいました。

そのとおりです。
まずは図面で部屋の名称と床面積を押さえてください。

通信機器室はどの広さから設備が要るのか

通信機器室の床面積を巻尺で測る場面と自動火災報知設備の受信機を並べたイラスト
義務がかかる境目は、部屋の床面積です。
しかも同じ広さで、二つの設備が同時に効いてきます。
【消防法施行令第13条第1項の表】別表第一に掲げる防火対象物の通信機器室で、床面積が五百平方メートル以上のもの / 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
【消防法施行令第21条第1項】自動火災報知設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
十五 前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の通信機器室で床面積が五百平方メートル以上のもの
境目は500平方メートルです
消防法施行令第13条第1項の表も消防法施行令第21条第1項第15号も、床面積500平方メートル以上という同じ数字を置いています。
つまり通信機器室がその広さに届いた時点で、消火設備と自動火災報知設備が同時に必要になります。
第15号は前各号に掲げるもののほかという書き出しなので、建物全体には自動火災報知設備の義務が無くても、この部分だけで義務が生じます。
建物の延べ面積ではなく、その部屋の床面積で見る点に注意してください。

うちの機器室は400平方メートルほどなので、まだ届いていません。
間仕切りを外して広げたら一気に変わるということですね。

はい。
広げる計画が出た段階で、設置届まで見越して設計者に相談してください。

選べる消火設備は不活性ガスとハロゲン化物と粉末のどれか

無人の機器室の噴射ノズルと人が座る機器室のガス容器に禁止の印が付いたイラスト
三つの中から選べると読めますが、実際には選べない場合があります。
分かれ目は、その部屋に常時人がいるかどうかです。
【消防法施行規則第19条第5項】全域放出方式又は局所放出方式の不活性ガス消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。
一 駐車の用に供される部分及び通信機器室であつて常時人がいない部分には、全域放出方式の不活性ガス消火設備を設けること
一の二 常時人がいない部分以外の部分には、全域放出方式又は局所放出方式の不活性ガス消火設備を設けてはならない
【消防法施行規則第20条第4項第1号】駐車の用に供される部分、通信機器室及び指定可燃物(可燃性固体類及び可燃性液体類を除く。)を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分には、全域放出方式のハロゲン化物消火設備を設けること
人がいる部屋では選択肢が一つ落ちます
消防法施行規則第19条第5項第1号の2は、常時人がいない部分以外の部分に不活性ガス消火設備を設けてはならないと書いています。
運用の担当者が詰めていて常時人がいる通信機器室では、不活性ガス消火設備という選択肢が消えることになります。
ハロゲン化物消火設備を選ぶ場合も、消防法施行規則第20条第4項第1号により全域放出方式に限られます。
どれを選ぶかで機器への影響も復旧の手間も変わるので、部屋の使い方を設計者に正しく伝えておくと後戻りがありません。

人が常にいるかどうかで、選べる設備が変わるんですね。
うちは担当者が机を置いて作業している部屋なので気をつけます。

その視点で合っています。
人の配置を変えるときは、消火設備の前提が崩れていないか確かめてください。

スプリンクラーヘッドを省ける部屋と設備が要る部屋はどこがずれるのか

天井にスプリンクラーヘッドが並ぶ事務室と噴射ノズルだけの機器室を並べたイラスト
冒頭の疑問には、ここで答えが出ます。
ただしヘッドを省ける部屋の並びと、消火設備が要る部屋の書き方は同じではありません。
【消防法施行令第12条第2項第1号】スプリンクラーヘッドは、(略)総務省令で定める部分に、それぞれ設けること
【消防法施行規則第13条第3項】令第十二条第二項第一号の総務省令で定める部分は、次の各号に掲げる部分以外の部分とする
二 通信機器室、電子計算機器室、電子顕微鏡室その他これらに類する室
四 発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている場所
ヘッドのほうは省けます
消防法施行規則第13条第3項は、各号に掲げる部分以外の部分にヘッドを設けると書いているので、通信機器室電子計算機器室にはヘッドが要りません。
ここで見落としやすいのが、言葉のずれです。
ヘッドを省ける並びには電子計算機器室その他これらに類する室まで書かれているのに、消防法施行令第13条と消防法施行令第21条第1項第15号は通信機器室としか書いていません。
自分の部屋がどちらの言葉に当たるかで結論が変わるので、図面と機器の一覧を持って所轄消防署に確かめてください。

ヘッドが無い理由は分かりましたが、名前の違いで結論が変わるのは怖いです。
うちの点検票にはサーバー室としか書かれていません。

呼び名ではなく、実際に何を置いているかで見られます。
図面と機器の一覧を用意して相談するのが早道です。

明日からなにを確かめればよいのか

点検票を持つ担当者と機器ラックと書類の置かれた机を並べたイラスト
確かめる順番は決まっています。
広さを押さえてから、届出と点検の記録をたどります。
【消防法施行規則第31条の3第1項】(略)当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事が完了した場合において、その旨を工事が完了した日から四日以内に消防長又は消防署長に(略)届け出なければならない
【消防法施行規則第31条の6第3項】防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行った結果を、維持台帳(略)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない
まず床面積を測ります
図面で通信機器室の床面積を出し、500平方メートルに届いているかを確かめます。
届いているなら、消火設備と自動火災報知設備の設置届が出ているかを維持台帳で探し、検査済証まで揃っているかを見ます。
次にその部屋に常時人がいるかどうかを実態で確かめ、現に置かれている消火設備の方式と食い違っていないかを照らします。
点検結果の報告は建物の用途に応じて1年に1回または3年に1回なので、次の期限を今日のうちにカレンダーへ入れておきましょう。

維持台帳を開いて、設置届と検査済証から確かめてみます。
広さは図面で測ればよいのですね。

その順番で大丈夫です。
台帳に抜けがあれば、工事をした会社に控えが残っていることがあります。

よくある質問

Q通信機器室が500平方メートル未満なら消火設備は何も要らないのですか?
A消防法施行令第13条第1項の表と消防法施行令第21条第1項第15号による義務は生じません。ただし建物の用途や階数によって消火器具や自動火災報知設備が別の規定で必要になることがあるので、建物全体の基準と併せて確かめてください。
Q通信機器室にスプリンクラーヘッドを設けてはいけないのですか?
A消防法施行規則第13条第3項が定めているのは設けることを要しないということであり、設けてはならないとは書かれていません。実際にどうするかは設計上の判断になるので、設計者と所轄消防署にご相談ください。
Q常時人がいるかどうかは誰がどう決めるのですか?
A条文には常時人がいない部分という言葉が置かれているだけで、判断の手順までは書かれていません。実際の勤務の形から見ることになるので、所轄消防署にご確認ください。
Qサーバー室という呼び名でも条文の通信機器室に当たりますか?
A消防法施行令にも消防法施行規則にもサーバー室という言葉はありません。消防法施行規則第13条第3項第2号は通信機器室と電子計算機器室その他これらに類する室と並べているので、呼び名ではなく実際に何を置いているかで見られます。

まとめ

消防法施行令第13条第1項は建物の用途ではなく部分の種類と床面積で消火設備を求める
通信機器室は床面積500平方メートル以上で不活性ガス消火設備かハロゲン化物消火設備か粉末消火設備が必要になる
同じ広さで消防法施行令第21条第1項第15号により自動火災報知設備も必要になる
消防法施行規則第19条第5項は常時人がいない部分以外に不活性ガス消火設備を設けてはならないと定める
ハロゲン化物消火設備は消防法施行規則第20条第4項第1号により全域放出方式に限られる
スプリンクラーヘッドは消防法施行規則第13条第3項で通信機器室に設けなくてよい部分として並べられている
ヘッドを省ける室の並びと消火設備が要る部屋の書き方はずれているので所轄消防署に確かめる

これで機器室の天井を見上げても慌てずに済みます。
まずは床面積から確かめてみます。

その一歩で十分です。
迷うところがあれば無料のお見積りから㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者

青木 俊輔

青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、一般社団法人予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る

学歴

  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了

保有資格

  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令第12条第2項第1号
  • 消防法施行令第13条第1項
  • 消防法施行令第21条第1項第15号
  • 消防法施行規則第13条第3項
  • 消防法施行規則第19条第5項
  • 消防法施行規則第20条第4項
  • 消防法施行規則第31条の3第1項
  • 消防法施行規則第31条の6第3項
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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