漏電火災警報器は、ラスモルタル造など特定の構造の建物にかかる設備です。
増築で用途が増えたとき、建物全体に要るのかどうかが分かりにくくなります。
契約電流容量という基準も、電力会社の契約の仕方によっては読み取れません。
質疑応答が示したのは用途と構造と電流容量を一つずつ確かめるという手順です。
住宅に診療所を増築したら、建物全体に漏電火災警報器が要ると言われました。
そこまで必要なのでしょうか。
確かめる価値があります。
同じような例で設置することを要しないとされた回答があります。
漏電ブレーカーを付けているので、それで代えられませんか。
そこは代えられません。
用途と構造と電流容量について、5つの回答を順に見ていきます。
- 木造住宅に耐火構造の診療所を増築した例では設置することを要しないとされました
- 木造モルタルの(11)項と(6)項ハが並ぶ例でも設置することを要しません
- (6)項ロの部分に必要となる場合はその部分への電気供給幹線に変流器を設けてよいとされました
- 漏電しゃ断器では代替できず、遮断機構付きの漏電火災警報器を設置します
- 契約が負荷電力容量による場合はボルトアンペア値に換算して標準電圧で除すと定められました
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目次
住宅に診療所を増築したら要るか

電気の引込口が1つなら、建物全体で判断されるのか。
(木造モルタルの住宅2階建215平方メートルに、RC造2階建の(6)項イ330平方メートルを接続。建物全体の電気引込口は低圧受電で1か所)
(注)ア 既存住宅部分は、診療所増築後も住居のみの用に供している。
イ 1階、2階とも住宅と診療所間の往来可能、防火区画なし。
条件は厳しく見えます。防火区画がなく、住宅と診療所を行き来できる状態です。それでも設置は不要とされました。
判断の材料になっているのは構造です。増築した診療所は耐火構造でした。漏電火災警報器は、ラスモルタルのように壁の中に金属を含む構造で意味を持つ設備です。
つまり用途が増えたことだけでは設置義務に直結しません。構造を先に見る必要があります。
自分の建物でやることは1つです。増築部分の構造が何かを建築確認の書類で確かめる。用途だけで判断されていたら、根拠を聞いてください。
用途ではなく構造を先に見るんですね。
この設備はそこが出発点です。
増築部分の構造を建築確認の書類で確かめてください。
木造モルタルの複合用途はどうか

用途が2つ並び、電気の引込口は1つという形です。
(木造モルタルの(11)項400平方メートルと、木造モルタルの(6)項ハ250平方メートルが接続。建物全体の電気引込口は低圧受電で1か所)
今度は両方とも木造モルタルです。それでも設置は不要とされました。
構造の条件は満たしていても、それだけでは足りません。用途ごとに定められた面積の基準に届いていない、という読み方になります。
前の問と合わせると手順が見えてきます。構造を見て、次に用途を見て、その用途に定められた面積に届くかを見る。この順番です。
建物が複数の用途に分かれているなら、用途ごとの面積を一覧にしておいてください。増床のたびに結論が変わり得ます。
構造だけでも用途だけでも決まらない、ということですね。
その3つがそろって決まります。
用途ごとの面積を一覧にしておいてください。
増床のたびに結論が変わり得ます。
変流器はどこに設ければよいか

そのとき、建物全体の引込口に変流器を付けるしかないのか。
(木造モルタルの(11)項400平方メートルと、木造モルタルの(6)項ロ350平方メートル。建物全体の電気引込口は低圧受電で1か所。(6)項ロへの電気供給幹線が分岐している)
答えているのは後段だけです。つまり変流器を(6)項ロへの電気供給幹線に設けてよいかという問いに対して、そのとおりと返しています。
実務では大きな意味があります。建物全体の引込口に付けると、関係のない部分の電流まで拾うことになります。必要な部分の幹線に付ければ、その部分だけを見張れます。
工事の規模も変わります。分岐後の幹線に取り付けるほうが、引込口をさわるより手が入りやすい場合があります。
見積りを取るときは、変流器をどこに付ける前提かを図面で示してもらってください。位置によって費用も監視範囲も変わります。
必要な部分だけを見張れば足りるということですね。
そのとおりです。
変流器をどこに付ける前提か図面で示してもらってください。
漏電しゃ断器で代えられるか

検知するという点では同じに見えます。
当該場所には遮断機構付き、漏電火災警報器を設置されたい。
設置対象物であれば、漏電火災警報器そのものが必要になります。しゃ断器を付けているから不要、という整理にはなりません。
そのうえで実務的な答えが添えられています。遮断機構付きの漏電火災警報器を設置されたい。2台並べるのではなく、両方の機能を持つものを入れる形です。
役割が違うことを押さえておくと納得しやすくなります。しゃ断器は電気を切るための装置、警報器は人に知らせるための設備です。
既にしゃ断器が付いている建物では、警報器の機能があるかを確かめてください。見た目が似ていても別のものです。
切ることと知らせることは別なんですね。
そこが分かれ目です。
既設のしゃ断器に警報の機能があるか確かめてください。
契約電流容量はどう読み替えるか

しかし電力会社によっては、契約が電流ではなく電力で結ばれています。
手順は3段です。まず負荷の力率を1としてボルトアンペア値に換算する。契約が最初からボルトアンペアなら、その値をそのまま使います。
次に標準電圧の値で除す。出てきた値を契約電流容量として扱います。
高圧受電設備の場合だけ条件が2つ足されます。需要係数0.6を乗じること、そして除すのは低電圧側の標準電圧であること。
建物側でできるのは、電力会社との契約書の写しを手元に置いておくことです。契約が電流なのか電力なのかで、業者に渡す情報が変わります。
契約書を見ないと判断できないということですね。
そこが起点になります。
電力会社との契約書の写しを手元に置いておいてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
よくある質問
まとめ
確かめる順番が分かりました。
すっきりしました。
建物の構造、用途ごとの面積、そして電力会社との契約。
この3つをそろえれば要否の判断ができます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 電気火災警報器の設置について(昭和42年7月6日 自消丙予発第49号 予防課長から石川県総務部長あて回答)
- 漏電火災警報器と漏電しや断器は併設が必要か(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 漏電火災警報器の設置基準について(昭和57年3月5日 消防予第55号 消防庁予防救急課長から広島県総務部長あて回答)
- 消防法施行令第22条第1項
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は昭和42年から昭和57年当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。電気火災警報器は現在の漏電火災警報器にあたります。図を前提とした回答を含み、その後の改正により運用が変わっている場合もあります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





