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防火対象物の用途はどう判定されるか|複合用途・保育園・共同住宅の区分を解説

建物の用途はどう判定されるのか

消防法上の義務は、建物の用途区分によって変わります。
複合用途なのか、単独の用途なのか。境目はどこにあるのか。
保育園や共同住宅のように、名前だけでは決まらない例もあります。
質疑応答が示したのは用途は建物の実態で決まり、名称や経営主体では決まらないという考え方です。

うちのアパート、住宅公団ではなく個人経営なんですが、共同住宅として扱われますか。

経営主体は関係ありません。
階段や廊下を共用しているかどうかで決まります

1階が遊技場で2階が食堂の建物は、どう区分されるんですか。

それも含めて5つの事例を順に見ていきます。

この記事の結論
  • 遊技場と食堂が階を分けて入る建物は令別表第1(16)項の複合用途に該当します
  • 児童福祉法上の保育所は令別表第1(6)項の児童福祉施設に該当します
  • 倉庫・事務室・娯楽室等が混在する建物は令別表第1(15)項として規制されることがあります
  • 共同住宅は階段・廊下等の共用で決まり、経営主体は問われません
  • 壁や床だけを共有する長屋は共同住宅には該当しません

遊技場と食堂が階を分けて入る建物はどう区分されるか

1階部分が遊技場2階部分が食堂の防火対象物は消防法施行令別表第1(16)項に該当することを示したイメージ
収容人員の算定は、用途区分が決まらないと始まりません。
階ごとに違う用途が入っている建物は、まずそこを確認する必要があります。
問1 1階部分は遊技場に、2階部分は食堂に使用している防火対象物は、消防法施行令別表第1(16)項に該当するか
答 お見込みのとおり。
階で用途が分かれれば複合用途です
遊技場と食堂は、それぞれ別の項に当たる用途です。同じ建物の中に階を分けて両方入っていれば、令別表第1(16)項の複合用途防火対象物として扱われます。
テナントが違う用途である以上、面積の大小や階数にかかわらず、この判定は動きません。
自分の建物にテナントが複数入っているなら、まず各テナントの用途を一覧にしてください。用途がひとつでも異なれば、複合用途としての扱いが始まります。

階数が少なくても用途が違えば複合扱いなんですね。

その通りです。
各テナントの用途を一覧にしてください

保育園は児童福祉施設として扱われるか

児童福祉法上の保育所である場合は消防法施行令別表第1(6)項の児童福祉施設に該当することを示したイメージ
保育園という名前だけでは、区分は決まりません。
根拠になる法律に照らして、どの施設に当たるかを見る必要があります。
問2 保育園は、消防法施行令別表第1(5)項に該当するか、又は同表(6)項の児童福祉施設に準ずる施設として取り扱うべきか
答 設問の防火対象物が児童福祉法(昭和23年法律第164号)第39条に規定する保育所である場合には、消防法施行令別表第1(6)項の児童福祉施設に該当する。
判定の鍵は児童福祉法上の位置づけです
「保育園」という呼び方ではなく、児童福祉法第39条に規定する保育所に当たるかどうかで判定されます。当たれば(6)項の児童福祉施設です。
逆に言えば、保育所に類する施設でも法的な位置づけが違えば、別の区分になる可能性があります。
自分の施設が保育所に当たるか迷うなら、児童福祉法上の認可・認定の根拠を確認してください。名称だけでは判定できません。

「保育園」という名前では決まらないんですね。

そこがポイントです。
児童福祉法上の認可の根拠を確認してください

用途が混在する建物はどの区分になるか

倉庫事務室娯楽室食堂等が混在する木造2階建ての建物は令別表第1(15)項の防火対象物として規制されることを示したイメージ
倉庫、事務室、娯楽室、食堂……。ひとつの棟に色々な用途が混ざることがあります。
その場合、どの区分を当てはめるべきか、選択肢が複数ある事例です。
問 同一敷地内に木造防火2階建延べ面積687.5㎡の同一棟に倉庫、事務室、組合事務所、会議室、更衣室、娯楽室、食堂等に混用する建築物が改築されることになつたが、当該対象物は令別表第1の(12)項イ工場として規制すべきか、(15)項の防火対象物として規制すべきか、それとも実態により(16)項の混在用途建築物として規制すべきか
答 (2)お見込みのとおり。(令別表第1(15)項の防火対象物として規制する)
選択肢は3つあり、選ばれたのは(15)項でした
問いには工場・(15)項・混在用途の3つの候補が挙がっていましたが、答えは(15)項でした。用途がいくつも混ざっていても、自動的に(16)項の複合用途になるわけではありません。
倉庫や事務室が主体で、生産設備を伴う工場としての実態が薄いなら、(15)項(その他の事業場)としてまとめて規制されることがあります。
用途が混ざった建物を持っているなら、どの用途が主体かを整理したうえで、候補となる区分を複数挙げて所轄消防署に相談してください。

用途が混ざっていても必ず複合用途になるわけではないんですね。

ここは事例ごとの判断です。
候補を複数挙げて所轄消防署に相談してください

共同住宅は経営主体で扱いが変わるか

共同住宅とは階段廊下等を共用する共同建の集合住宅をいい経営主体とは別段の関係がないことを示したイメージ
共同住宅にもいろいろな経営形態があります。
公団が経営していれば共同住宅で、個人経営なら違う、ということはあるのか。
問1 消防法施行令別表第1に掲げる防火対象物のうち「共同住宅」には、日本住宅公団又は住宅協会の経営に係る鉄筋アパートが含まれるか
答 共同住宅とは、階段、廊下等を共用する共同建の集合住宅をいうものであつて、経営主体とは別段の関係はない。
経営主体は判定に関係ありません
共同住宅かどうかを決めるのは、階段・廊下等を共用しているかという建物の構造です。公団が経営していようと、個人が経営していようと、この基準に変わりはありません。
つまり、鉄筋アパートも個人経営のアパートも、構造が同じなら同じ扱いになります。
自分の建物の区分を確認するなら、経営者や運営者を調べるのではなく、階段・廊下が各戸の共用になっているかを図面で確認してください。

公団でも個人経営でも、構造が同じなら同じ扱いなんですね。

その通りです。
階段・廊下が共用かどうかを図面で確認してください

壁や床だけを共有する長屋は共同住宅になるか

壁又は床のみを共有するいわゆる長屋は共同住宅には該当しないことを示したイメージ
前の問いで、階段・廊下の共用が共同住宅の判定基準だと分かりました。
では、壁や床だけを共有する長屋はどうなるのか。
問2 もし共同住宅に含まれないとすれば、上記に準ずる様式の個人経営のアパートも除いてよいか。また、一部木造の長屋式住宅についてはどうか
答 前段は前問により承知されたい。
後段 壁又は床のみを共有するいわゆる長屋は、共同住宅には該当しない。
共用するものの種類で結論が分かれます
階段・廊下を共用していれば共同住宅、壁又は床のみを共有しているなら長屋として扱われ、共同住宅には該当しません。
見た目が似ていても、共有しているのが「通る場所」か「仕切りの面」かで判定が変わるということです。
自分の建物が長屋か共同住宅か迷うなら、各戸が外の階段・廊下を経由せず直接屋外に出られるかを確認してください。それができれば長屋型に近い可能性があります。

を共有しているだけなら長屋、ということですね。

そこが分かれ目です。
各戸が直接屋外に出られるかを確認してください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

よくある質問

Q階ごとに用途が違う建物は必ず複合用途になりますか?
A回答は、遊技場と食堂が階を分けて入る事例について令別表第1(16)項に該当するとしています。
Q「保育園」であれば必ず児童福祉施設になりますか?
A回答は、児童福祉法第39条に規定する保育所である場合に該当するとしています。名称だけでは判定されません。
Q用途が混在する建物は自動的に複合用途になりますか?
A回答は、倉庫・事務室・娯楽室等が混在する事例について令別表第1(15)項として規制する扱いを示しています。事例ごとの判断です。
Q個人経営のアパートは共同住宅として扱われませんか?
A回答は、共同住宅の判定に経営主体とは別段の関係はないとしています。個人経営でも構造が同じなら共同住宅です。

まとめ

階で用途が分かれる建物は令別表第1(16)項の複合用途になります
保育所は児童福祉法第39条に規定するものであれば(6)項に該当します
用途混在の建物は必ずしも複合用途にはなりません
共同住宅の判定は階段・廊下等の共用で、経営主体は問われません
壁や床だけを共有する長屋は共同住宅には該当しません
用途区分は名称ではなく建物の実態で判定されます
迷ったら建物の実態を図面で整理してから相談してください

用途は名前ではなく実態で決まるんですね。
うちの建物も見直してみます。

用途の数、根拠法令、共用部分の種類。
この3点を整理しておくと判定の相談がスムーズです
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成19年9月3日 消防予第317号 予防課長から各都道府県消防防災主管部長・東京消防庁・各指定都市消防長あて)
  • 複合用途対象物とされない事例について(敦賀市消防長あて回答)
  • 共同住宅の範囲について(昭和37年3月24日 自消丙予第25号 予防課長から大阪府民生部長あて回答)
  • 消防法施行令別表第1
  • 児童福祉法(昭和23年法律第164号)第39条
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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