防火対象物点検報告の義務は、特例認定を受けている間は免除されます。
ところが何が免除されて何が残るのかを取り違えると、必要な報告を落としてしまいます。
用途が変わったときや火災が起きたときに認定がどうなるのかも、あわせて押さえておきたいところです。
質疑応答が示したのは防火対象物点検報告は免除されるが消防用設備等点検報告は残るという線引きです。
特例認定を取ったら、点検はもうしなくていいんですよね。
免除されるのは防火対象物点検報告だけです。
用途を変えたら認定はどうなるんですか。
そこも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
この記事の結論
- 用途変更で対象物でなくなれば認定は当然に失効します
- 失効したときは防火優良認定証の除去や消印を指導されます
- 火災の発生そのものを理由に認定を取り消すことはできません
- 認定を受けていても消防用設備等点検報告は必要です
- 認定の3年間は防火対象物点検報告の点検も報告も免除されます
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目次
用途が変わって対象物でなくなると認定はどうなるのか

用途が変わって義務の対象から外れたとき、認定そのものはどうなるのでしょうか。
問37 認定を受けた防火対象物が用途変更等により消防法第8条の2の2第1項に規定する防火対象物でなくなった場合、認定はどうなるのか。
答 消防法第8条の2の2第1項の防火対象物でなくなった場合、消防法第8条の2の3第1項柱書きにより、当然に認定が失効することとなる。なお、この場合において防火優良認定証が付されているときは、防火優良認定証の除去又は防火優良認定証に消印を付すよう指導し、応じない場合は消防法第8条の2の3第8項に基づきこれを命ずることになる。
取消しの処分を受けるのではなく、対象物でなくなった時点で当然に失効するという整理です。
気をつけたいのは、認定が失効しても防火優良認定証が壁に残っていることです。回答は、除去するか消印を付すよう指導し、応じなければ命ずることになるとしています。
実態と合わない表示を掲げ続けると、命令の対象になりうるということです。用途変更のときに看板や表示まで手が回らないと起こりやすい落とし穴です。
用途を変える予定があるなら、認定証の扱いも工事の段取りに入れておいてください。
認定証を外すところまで要るんですね。
用途変更の段取りに認定証の扱いも入れてください。
火災が起きたら認定は取り消されるのか

安全のお墨付きを取り上げるべきだという発想も出てきそうなところです。
問40 認定を受けた防火対象物で火災が発生した場合、当該認定を取り消すことができるか。
答 火災の発生そのものを理由として認定を取り消すことはできない。
認定の取消しは、消防法第8条の2の3第6項に定められた取消要件に該当するかどうかで判断されます。
火災が発生したという事実自体は、その要件として並んでいません。だから火災を理由に取り上げることはできないという回答です。
一方で、火災のあとの検査で取消要件に当たる事実が確認されれば、そちらを理由に取消しが検討されることになります。火災そのものと、そこで確認された事実は別だと整理しておくのが正確です。
火災が起きたあとは、認定の心配より先に是正すべき指摘が出ていないかを確認してください。
火災が起きたら即取消しではないんですね。
取消要件に当たるかどうかで判断されます。
認定を受けても消防用設備等点検報告は必要なのか

しかし消防法には点検報告の制度が二つあり、免除の範囲はそのうち一方に限られます。
問43 認定を受けた防火対象物の消防用設備等点検報告は必要であるか。
答 お見込みのとおり。
特例認定で免除されるのは防火対象物点検報告のほうだけで、消防用設備等点検報告はそのまま残ります。
根拠になる条文も別で、防火対象物点検報告は消防法第8条の2の2、消防用設備等点検報告は消防法第17条の3の3です。制度が二本立てになっているので、片方が免除されても他方は動き続けます。
現場でよく起きる勘違いは、認定証が付いたのを見て点検全般が不要になったと考えてしまうことです。消火器や自動火災報知設備の点検と報告は変わりません。
認定を受けたあとも、消防用設備等の点検の周期と報告の期限はそのままカレンダーに残してください。
消火器や自火報の点検はそのままなんですね。
消防用設備等の点検と報告は変わりません。
認定の3年間は防火対象物点検報告の点検も報告も免除されるのか

点検が残るなら費用も手間もかかり続けることになります。
問44 認定期間である3年間は、防火対象物点検報告の点検及び報告の両方が免除になるのか。
答 お見込みのとおり。
報告書の提出だけが省けるのではなく、点検そのものも認定期間中は行わなくてよいという扱いです。
これが特例認定を取る実務上のメリットになります。防火対象物点検資格者に依頼する費用と立会いの手間が、認定期間のあいだ発生しません。
ただし免除は認定期間である3年間に限られます。期間が切れれば点検も報告も戻ってくるので、更新の段取りを忘れると空白が生まれます。
認定を受けた日から3年後の期限を、いま担当者の予定表に入れておいてください。
報告だけでなく点検も省けるんですね。
3年後の期限を予定表に入れてください。
次の認定申請はいつから出せるのか

いつから出せるのか、早すぎると損をしないのかが気になるところです。
問29 既に認定を受けている防火対象物は、いつから認定の申請をすることができるか。
答 申請が可能となる時期について法令上の定めはなく、認定後、いつでも認定に係る申請をすることができる。ただし、この場合、標準処理期間内に認定又は不認定の通知を行うことになるため、消防法第8条の2の3第4項第1号に基づき既に受けている認定が3年を経過する前に失効する場合がある。
法令上の制限はないので、認定を受けた直後でも次の申請を出すことはできます。
ただし、申請すると消防機関は標準処理期間の内に認定または不認定の通知を出します。その通知が出た時点で、前の認定が3年を待たずに失効する場合があるとされています。
つまり、早く出しすぎると認定期間を丸ごと使い切れないということです。期限のかなり前に出す意味はありません。
更新の申請は、管轄の標準処理期間を確認したうえで、期限から逆算した時期に出してください。
早く出せば安心というわけでもないんですね。
期限から逆算した時期に出してください。
よくある質問
Q用途変更で対象物でなくなったら手続が必要ですか?
A回答は、当然に認定が失効するとしています。防火優良認定証の除去や消印を指導されます。
Q火災が起きたら認定は取り消されますか?
A回答は、火災の発生そのものを理由として取り消すことはできないとしています。取消要件への該当で判断されます。
Q認定を受ければ消防用設備等の点検も不要になりますか?
A回答は、消防用設備等点検報告は必要であるとしています。免除されるのは防火対象物点検報告だけです。
Q認定期間中は点検だけでも行う必要がありますか?
A回答は、点検及び報告の両方が免除になるとしています。義務としては行わなくてよい扱いです。
まとめ
✔用途変更で対象物でなくなれば認定は当然に失効します
✔失効後は防火優良認定証の除去や消印を指導されます
✔指導に応じなければ消防法第8条の2の3第8項に基づき命じられます
✔火災の発生そのものでは認定を取り消せません
✔認定を受けても消防用設備等点検報告は必要です
✔認定の3年間は防火対象物点検報告の点検も報告も免除されます
✔共通するのは免除の範囲と期限を取り違えないという視点です
消防用設備等の点検は続けないといけませんね。
3年後の期限も予定表に入れておきます。
免除される範囲と期限を取り違えず
更新の段取りまで決めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月12日 消防安第122号 防火安全室長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防法第8条の2の2・第8条の2の3
- 消防法第17条の3の3
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





