防火対象物点検の結果が点検基準に適合していれば、建物に防火基準点検済証を掲げられます。
特例認定を受けた建物では防火優良認定証になり、いずれも消防法上の表示として扱われます。
ところが掲げる場所や記載する名義や材質については、条文に細かい定めがありません。
質疑応答が示したのは様式どおりに作れば誰が作ってもよく客観的に使う限り広告にも使えるという扱いです。
点検済証は入口の1か所だけに貼るものですか。
複数の箇所に付けても差し支えありません。
あの表示、広告に使ってもいいんでしょうか。
そこも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
この記事の結論
- 同じ建物の複数の箇所に表示を付しても差し支えありません
- 管理権原者が法人なら法人名を記載します
- 様式に基づき作成されていれば誰が作成しても差し支えありません
- 材質に定めはなく場所に応じた耐久性のある材質が望ましいとされます
- 広告等の営業活動でも内容どおり客観的に使う限りは差し支えありません
▼
目次
表示は建物の複数の箇所に付けてもよいのか

入口が複数ある建物やテナントが分かれている建物では、何枚まで付けられるのかが気になります。
問45 一の防火対象物の複数の箇所に表示を付してもよいか。
答 お見込みのとおり。
表示は1枚だけという制限が置かれていないため、来館者が目にする場所が複数あるなら、それぞれに付けることができます。
出入口が正面と裏手に分かれている建物や、エントランスの内側にも掲げたい場合には現実的な答えです。
ただし、掲げた枚数だけ管理の手間も増えます。認定が失効したときはすべての表示を外すか消印を付す必要があるため、どこに何枚付けたのかを控えておくほうが安全です。
表示を増やすなら、付けた場所の一覧を管理台帳やファイルに残しておいてください。
裏口にも付けて問題ないんですね。
付けた場所の一覧を残しておいてください。
管理権原者が法人のとき表示に書くのは法人名でよいのか

管理権原者が会社の場合、社長の個人名を書くのか会社名を書くのかで迷います。
問46 表示に記載する管理権原者の氏名について、管理権原者が法人である場合にあっては、法人名を記載することとしてよいか。
答 管理権原者が法人の場合にあっては、法人名を記載すること。なお、法人の代表者の氏名を併せて記載しても差し支えない。
「してよいか」という問いに「記載すること」と答えているので、法人の場合は法人名が原則だという読み方になります。
代表者の氏名は、併せて記載しても差し支えないという扱いです。書き添えるのは自由ですが、法人名なしで代表者名だけというかたちは想定されていません。
実務では、代表者が交代しても法人名だけなら表示を作り直す必要がありません。併記する場合は、交代のたびに手を入れることになります。
表示を新しく作るときは、法人名だけにするか代表者名も併記するかを先に決めておいてください。
社長の名前ではなく会社名なんですね。
法人名だけなら代表者の交代でも作り直しが不要です。
表示は誰が作成するのか

実際に誰が作るのか、どこで手に入れるのかが問題になります。
問49 表示は誰が作成するのか。
答 消防法施行規則別表第1及び第1の2により定められた様式に基づき作成されれば、誰が作成しても差し支えない。なお、表示の入手先等については、表示を付することを希望する者の便宜を図るため、別途通知する。
表示は消防機関から交付されるものではなく、様式に基づいて作成されていれば作り手を問わないという整理です。
管理権原者が自分で手配することも、業者に発注することもできます。逆に言えば、独自のデザインで作ったものは表示として扱われません。
様式は消防法施行規則別表第1及び第1の2に定められています。作る前に、寸法や記載欄が様式どおりかを確認する必要があります。
表示を手配するときは、規則の別表の様式と現物を並べて突き合わせてください。
消防署がくれるものではないんですね。
規則の別表の様式と現物を突き合わせてください。
表示の材質に決まりはあるのか

素材に決まりがあるのか、紙で足りるのかは実務で必ず出てくる疑問です。
問50 表示の材質は。
答 材質については、特に定めがないことから、どのような素材を使用しても差し支えないが、表示を付する場所に応じた耐久性のある材質であることが望ましい。
金属でも樹脂でも紙でも、材質そのものが理由で不適当になることはありません。定めが置かれていないためです。
ただし回答は付する場所に応じた耐久性を望ましいとしています。屋外の壁に紙を貼れば、雨や日射で読めなくなります。
表示の内容が読み取れなくなれば、掲げている意味がありません。掲げている間ずっと読める状態を保てる素材を選ぶのが妥当です。
屋外に付けるなら、耐候性のある板材で作るかカバーを付けるかを検討してください。
屋外に紙を貼るのはまずいですね。
付ける場所に合った耐久性で選んでください。
表示を広告に使ってもよいのか

チラシやウェブサイトに載せることが許されるのかが気になるところです。
問51 広告等の営業活動に表示を利用してもよいか。
答 表示をその内容どおり客観的に使用する限りにおいては差し支えない。ただし、表示の意義を拡大解釈するような(例えば、防火対象物の安全性が将来にわたって確保されているような印象を与える等)利用の仕方は好ましくない。
点検の結果が基準に適合していたという事実をそのまま伝えるだけなら、広告に載せても構わないという扱いです。
線を越えるのは意義を拡大解釈する使い方です。回答は例として、安全性が将来にわたって確保されているような印象を与えるものを挙げています。
表示は点検を行った時点の状態を示すものであって、この先ずっと安全だという保証ではありません。絶対に安全だといった言い方に踏み込むと、好ましくない使い方になります。
広告に載せるなら、いつの点検の結果なのかが読み手に分かる書き方にしてください。
事実をそのまま書くなら問題ないんですね。
いつの点検の結果かが分かる書き方にしてください。
よくある質問
Q表示は建物に何枚まで付けられますか?
A回答は、複数の箇所に付しても差し支えないとしています。枚数の上限は示されていません。
Q管理権原者が会社の場合は社長名を書きますか?
A回答は、法人の場合は法人名を記載することとしています。代表者名の併記も差し支えありません。
Q表示は消防署からもらえますか?
A回答は、様式に基づき作成されれば誰が作成しても差し支えないとしています。入手先は別途通知とされています。
Q表示を紙で作ってもよいですか?
A回答は、材質に定めはないが場所に応じた耐久性のある材質が望ましいとしています。
まとめ
✔同じ建物の複数の箇所に表示を付せます
✔付けた場所は失効時に外す必要があるので控えておきます
✔管理権原者が法人なら法人名を記載します
✔代表者の氏名は併せて記載しても差し支えありません
✔様式に基づいて作成されていれば誰が作成しても差し支えありません
✔材質に定めはなく場所に応じた耐久性が望ましいとされます
✔共通するのは様式どおりに作り事実どおりに使うという視点です
裏口にも付けて、屋外用の板で作り直します。
広告に載せるときの書き方も気をつけます。
様式どおりに作って
事実どおりに使ってください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月12日 消防安第122号 防火安全室長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防法第8条の2の2・第8条の2の3
- 消防法施行規則別表第1・別表第1の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





