建築基準法の質疑応答には、天幕を張った休憩所や簡易宿泊所のように、防火管理者にとって身近な建物の判定基準が並んでいます。
名称や外見だけでは、それが建築基準法上の建築物にあたるのか、旅館としての扱いを受けるのかが分かりません。
学校の講堂や百貨店の屋上に設ける設備も、用途や構造の見方ひとつで規制の掛かり方が変わってきます。
質疑応答が示したのは名称ではなく実際の構造と使われ方で判定するという一貫した考え方です。
うちの敷地に建てたテント張りの休憩所も、消防法上の防火対象物になるんですか。
屋根の造りしだいで判定が変わります。
簡易宿泊所やうちの保養所も、旅館と同じ扱いになるんですか。
そこも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 天幕やビニルの屋根でも取りはずし自由でなく雨覆いの効用を果たせば建築物として扱われます
- 学校の講堂は使われ方しだいで学校校舎にも集会場にもなります
- 寮や保養所という名称でも、実質が旅館と同じなら旅館として扱われます
- 簡易宿泊所も建築基準法上は旅館に含まれるものとして扱われます
- 百貨店屋上の設備塔屋は用途によって階数への算入・不算入が分かれます
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目次
屋根をテントやビニールでふいた建物は建築物になるか

床板を張った造りでも、それだけで建築基準法上の建築物と決まるわけではありません。
天幕やビニルの屋根は、それだけで仮設建築物と決まるわけではありません。
取りはずしが自由にできるか、雨覆いとしての効用を果たさない日除け専用であるかどうかが分かれ目になります。
恒久的に固定され雨をしのぐ構造であれば、建築基準法上の建築物として扱われ、消防法上も防火対象物としての義務がかかってきます。
自分の敷地にある簡易テントや倉庫代わりの覆いも、まずこの取りはずしの可否という基準で見直してください。
うちの駐車場に置いてるテント倉庫も対象になるんでしょうか。
固定して雨をしのぐ造りなら対象になります。
学校の講堂は集会場と学校舎のどちらとして扱われるか

その講堂を集会場として見るのか、学校舎として見るのかで基準の当てはめ方が変わってきます。
体操場としても使う教室に近い講堂は学校校舎として扱われます。
舞台と客席を備え、一般の集会にも使うオーディトリアムであれば集会場として扱われることになります。
消防法の令別表第1でも、学校と集会場では設置すべき消防用設備等の基準が変わってきます。
体育館的な使い方なのか、外部に開放する集会施設なのかを、まず利用実態で切り分けてください。
うちの体育館は講堂として届け出た方がいいんでしょうか。
使われ方で校舎か集会場かが決まります。
温泉地の寮や保養所は旅館として扱われるか

名前だけを見て旅館の規制から外れると考えるのは早計です。
社宅や寮、保養所という名前がついていても、それだけで旅館から外れるわけではありません。
設備や利用のされ方が旅館業法上の旅館と同じであれば、旅館類似施設として旅館の規定を適用してよいとされています。
消防法上も旅館は(5)項イの特定用途にあたるため、防火管理者の選任や消防用設備等の基準が一段厳しくなります。
社宅や保養所という看板だけで安心せず、実際の利用形態を確認してください。
社員寮を保養所として貸し出したら扱いは変わりますか。
実質が旅館と同じなら旅館として扱われます。
簡易宿泊所は建築基準法上の旅館に含まれるか

建築基準法の側ではどの用途に含めて扱うのかが問題になります。
簡易宿泊所は旅館業法上の許可区分ですが、建築基準法ではそれ自体を独立した特殊建築物として定義していません。
設備や利用のされ方が旅館と同じであれば、建築基準法上も旅館に含まれるものとして扱われます。
旅館として扱われると、(5)項イの特定防火対象物としての消防法上の義務も一緒についてきます。
簡易宿泊所を営む建物は、旅館業法の許可だけでなく建築基準法・消防法双方の基準で見直してください。
簡易宿泊所の看板を出しているだけでも旅館と同じ扱いになるんですね。
建築基準法上は旅館に含まれます。
百貨店の屋上に設ける機械室は物見塔に含まれるか

どちらも同じ「塔屋」ですが、建築基準法上の扱いは同じではありません。
展望室や客が上がる展望台を含む塔屋は、施行令にいう物見塔等には含まれないと扱われ、通常の階として数えられます。
一方、空調機械室のような設備専用の塔屋は物見塔等に含まれるため、水平投影面積の合計が建築面積の8分の1以下なら階数に算入しなくてよいとされています。
この不算入の考え方は、現行の建築基準法施行令第2条第1項第8号(当時は第5号ロ)に引き継がれており、無窓階の判定や避難計算の土台になります。
屋上に設ける設備が客用なのか機械専用なのかで、階数や面積の数え方が変わることを覚えておいてください。
屋上の空調室外機置き場も階数に数えられるんですか。
設備専用なら一定割合まで数えなくてよいとされます。
よくある質問
まとめ
うちのテント倉庫も、まず取りはずしができるかどうかから確認してみます。
名称や見た目だけで判断していました。
名称ではなく
構造と使われ方で見直してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 屋根を天幕、ビニル等でふいた建築物について(昭和37年9月25日 住指発第85号 建設省住宅局建築指導課長から香川県土木部長あて回答)
- 学校の講堂の取扱いについて(昭和25年12月11日 住指第684号 建設省住宅局建築指導課長から広島県建築部長あて回答)
- 旅館類似の寮又は保養所について(昭和28年3月23日 住指発第349号 建設省住宅局建築指導課長から神奈川県建築部長あて回答)
- 簡易宿泊所の取扱いについて(昭和39年9月19日 住指発第168号 山口県土木部長あて通達)
- 百貨店の屋上部分の取扱いについて(昭和31年6月11日 住指受635号 北海道建築部長経由札幌市建設部長あて回答)
- 建築基準法第2条・第27条・第61条、建築基準法施行令第126条第2項、現行の建築基準法施行令第2条第1項第8号
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称、条文番号等は当時のものです。その後の改正により運用や条文番号が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄の特定行政庁または消防署にご確認ください。





