新幹線の高架ホーム、原木と組み立てた家具、地下ピット式の駐車装置。
形も用途もまったく違う工作物や物品が、同じ消防法の網にかかっています。
令第32条の特例や特殊可燃物の規制など、判断の基準は実は共通しています。
質疑応答が示したのは形や規模ではなく機能と危険性で規制が決まるという考え方です。
新幹線のホームにも消防用設備が要るんですか。
要ります。ただし免除される場合もあります。
駐車装置やジェットスキーの保管庫はどうですか。
それも含めて5つの実例を順に見ていきます。
この記事の結論
- 新幹線の高架ホームや車両基地は令第32条を適用し自動火災報知設備を免除できる場合があります
- 原木は特殊可燃物の対象外ですが製材した木材や半製品は対象になります
- 家具店舗の陳列品や倉庫保管の家具類も特殊可燃物の規制対象になります
- 昇降ピット式の三段駐車装置は(13)項イの防火対象物に該当します
- ジェットスキー用の保管庫は(14)項の防火対象物に該当します
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目次
新幹線の高架ホームは自動火災報知設備を省略できるか

高圧の架線の上という危険な場所に、感知器をどう設置すればよいのでしょうか。
問 プラットホーム及び車両基地着発収容庫は、豪雪地のため上屋及び外壁を設ける構造であるので、防火対象物として消防用設備を設置しなければならないと思われる。自動火災報知設備を設置する場合、トロリー線(高圧3万ボルト)上であり、また高所(約10メートル)であるため、補修及び保守点検が困難であり、極めて危険性が高いものと考えられる。このことにより、自動火災報知設備の感知器の設置についてどのように取り扱うべきか。
答 プラットホーム及び車両基地着発収容庫は、消防法施行令第32条を適用し、自動火災報知設備を免除してさしつかえないものと解する。
質問は代替の感知器を使えないかという相談でしたが、回答は令第32条を適用して自動火災報知設備そのものを免除するという、一段踏み込んだ形で示されました。
高圧の架線の直上かつ高所という特殊な条件があってこその判断であり、誰にでも使える一般的な免除ではありません。
保守点検が構造上著しく危険な設備があるなら、代替機器の検討にとどまらず、そもそも設置を要しないケースに当たらないか所轄消防署に確認してください。
減光式の感知器に変えるだけかと思っていました。
設置そのものを
要しないケースに当たるか確認してください。
原木や製材した木材はどこまで特殊可燃物になるか

丸太のままの原木と、製材した木材とでは、扱いが分かれるのでしょうか。
問 消防法施行令第3条及び火災予防条例準則別表第4に定める特殊可燃物の品名のうち、木材加工品の解釈について、原木(立ち木を切り出した丸太の状態のもの)、製材した木材・板・柱材等、半製品(製材した木材、板等を用いて組立てたもので、完成品の一部品となるもの)は、それぞれ同表に定める木材加工品に該当するか。
答 原木は該当しない。製材した木材、板、柱材等及び半製品は、お見込みのとおり木材加工品に該当する。
立ち木を切り出しただけの原木は木材加工品に該当しませんが、製材した板や柱材、さらに組み立て途中の半製品は特殊可燃物の規制対象になります。
同じ木材でも、加工の段階が進むほど規制の対象に近づくという考え方です。
木材を貯蔵・取扱う施設を管理しているなら、原木のまま置いてあるのか製材済みなのかを区別したうえで、特殊可燃物の届出や消火器の配置が必要かを確認してください。
丸太のままなら規制の対象外なんですね。
原木か製材済みかを
区別したうえで確認してください。
家具店舗の陳列品や倉庫保管品も特殊可燃物の規制対象になるか

店舗に並ぶ陳列品や、倉庫に積まれた在庫品も、同じように扱われるのでしょうか。
問 完成した家具類が木材加工品に該当する場合、家具店舗、展示場等の陳列品も規制の対象としてよいか。倉庫に保管された家具類も規制の対象としてよいか。また、半製品、完成品の数量算定要領は、木材の実容積か、それとも空間容積も含んで算定すべきか。
答 家具店舗、展示場等の陳列品も、倉庫に保管された家具類も、お見込みのとおり規制の対象としてよい。数量の算定要領は、木材の実容積により算定されたい。
店頭の陳列品も倉庫の保管品も、完成した家具類である以上は特殊可燃物の規制対象から外れません。数量を数えるときは、家具の間の隙間を含めた空間容積ではなく、木材そのものの実容積で算定します。
展示のためか保管のためかという用途の違いは、規制の有無を分ける理由にはならないということです。
家具を扱う店舗や倉庫を管理しているなら、陳列と保管を問わず数量を実容積で見積もり、特殊可燃物の基準量を超えていないか確認してください。
展示品なら対象外かと思っていました。
数量は
木材の実容積で確認してください。
昇降ピット式の三段駐車装置は防火対象物のどの項になるか

地下にピットを掘って三段に停める方式は、どの項の防火対象物になるのでしょうか。
問 大規模な共同住宅の建築計画に伴い、居住者の駐車場を確保するため機械昇降による三段方式の駐車装置を屋外にピットを設けて設置する計画がある。当該駐車装置は、消防法施行令別表第一(13)項イの防火対象物に該当するか。該当する場合、床面積の算定及び階数はどうなるのか。ピット内に収容する車両台数が10台以上となった場合、令第13条第1項に掲げる消火設備の設置を必要とするのか。
答 お見込みのとおり。床面積は、パレット部分を床として認識することが困難な場合にあっては、1台につき15平方メートルとして算定するものとする。階数は、地上1階建と見なすものである。10台以上の場合の消火設備についても、お見込みのとおり設置を必要とする。
昇降ピット式の三段駐車装置は(13)項イの防火対象物です。パレットを床として扱いにくい構造でも、1台あたり15平方メートルという一定の面積を割り当てて算定し、階数は地上1階建とみなします。
台数が10台以上になれば、通常の駐車場と同じく消火設備の設置義務も生じます。
機械式の駐車装置を計画しているなら、パレットの構造にかかわらず床面積の算定方法を確認し、収容台数に応じた消火設備の要否も併せて検討してください。
パレットが床じゃなくても面積は数えるんですね。
収容台数に応じて
消火設備の要否も確認してください。
ジェットスキー用の保管庫は防火対象物の何項になるか

似たような収納施設でも、対象物の種類によって項が変わることがあります。
問 ジェットスキー用の保管庫は令別表第1の何項に掲げる防火対象物に該当するか。
答 令別表第1(14)項に該当する。
自動車を保管する施設が(13)項イだったのに対し、ジェットスキー用の保管庫は(14)項の倉庫として扱われます。自走できる乗り物かどうかが、項を分ける一つの目安になっています。
似たレジャー用品の収納施設でも、乗り物としての性質次第で該当する項が変わるということです。
マリンレジャー用品の保管施設を計画しているなら、自走の可否も踏まえて該当する項を確認してください。
自動車の保管庫と項が違うんですね。
自走できるかどうかで
該当する項を確認してください。
よくある質問
Q令第32条の特例はどんな設備でも使えますか?
A今回の新幹線ホームの回答は、高圧の架線の直上かつ高所という特殊な条件があってこその判断です。誰でも使える一般的な減免ではなく、個別に所轄消防署の判断を確認する必要があります。
Q自分で切った木を敷地内に置いておけば規制されませんか?
A回答が対象外としたのは丸太のままの原木だけです。製材した時点で木材加工品として特殊可燃物の規制対象になるため、加工の段階で扱いが変わることに注意してください。
Qパレット式の駐車装置はすべて1台15平方メートルで算定しますか?
A回答はパレットを床として認識することが困難な場合の算定方法です。パレットの構造によって床として扱える場合は、実際の面積で算定することになります。
Q水上バイク以外のレジャー用品の保管庫も(14)項になりますか?
A今回の回答はジェットスキー用の保管庫についてのものです。品目によって判断が変わることがあるため、個別に所轄消防署へ確認してください。
まとめ
✔新幹線の高架ホームは令第32条で自動火災報知設備を免除できる場合があります
✔原木は特殊可燃物の対象外、製材した木材や半製品は対象になります
✔家具店舗の陳列品や倉庫保管品も規制対象で実容積で算定します
✔昇降ピット式の三段駐車装置は(13)項イに該当します
✔パレットが床とみなせない場合は1台15平方メートルで算定し階数は1階建とみなします
✔ジェットスキー用の保管庫は(14)項の防火対象物にあたります
✔共通するのは形ではなく機能と危険性で規制が決まることです
形も用途も違う工作物でも、見るところは同じなんですね。
うちの施設も一つずつ確認してみます。
形ではなく
機能と危険性から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 上越新幹線建設に伴う建築物の取扱いについて(昭和54年9月4日 消防予第166号 消防庁予防救急課長から新潟県総務部長あて回答)
- 特殊可燃物の規制に関する疑義について(昭和57年2月5日 消防予第33号 消防庁予防救急課長から徳島県生活環境部長あて回答)
- 三段方式(昇降ピット式)駐車装置の取扱いについて(平成3年5月30日 消防予第117号 消防庁予防課長から和歌山県総務部長あて回答)
- 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成14年9月30日 消防予第281号 予防課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防法施行令別表第1・第3
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





