消防用設備等を増設したとき、検査済証は新しくもらえるものなのでしょうか。
一括して交付してもらえる範囲や、届出前からある古い設備の扱いにも決まりがあります。
軽微な工事で済ませた場合の検査済証がどうなるのかも、気になるところです。
質疑応答が示したのは検査済証は設備の単位ではなく実務の単位で交付されるという考え方です。
検査済証って、設備ごとに全部もらえるものなんですか。
まとめて一枚で済むこともあります。
うちは前からある古い建物なんですが、それでも届出は必要ですか。
それも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 検査済証は原則設備等ごとに交付されるが、同時期設置なら一括して交付できます
- 一括交付の範囲は棟単位か敷地単位かで決まります
- 施行日前からの既設設備は点検・報告の制度で管理されます
- 第17条の3の2の対象外でも市町村が独自に検査制度を設けられます
- 軽微な工事でも技術基準への適合が確認できれば交付されます
▼
目次
検査済証は消防用設備等ごとに交付されるのか

一枚にまとめてもらえる場合があるのかが気になります。
検査済証は、届出のあった消防用設備等ごとに交付するのが基本の考え方です。ただし絶対のルールではなく、時期を同じくして設置されたものについては、一括して検査し、一枚の検査済証にまとめて交付してもさしつかえないとされています。
複数の設備を同時に増設する工事であれば、わざわざ設備ごとに何枚もの検査済証を発行してもらう必要はありません。
逆に言えば、設置の時期がずれる工事については、この一括の扱いは前提になっていません。
複数の消防用設備等を同時に増設する予定があるなら、届出の段階で一括交付を希望する旨を消防機関に伝えておいてください。
同時に増設するならまとめてもらえるんですね。
一括交付を希望するなら
伝えておいてください。
一括して交付する検査済証はどの範囲でまとめられるか

同じ敷地に建物が複数あるとき、まとめる単位はどこまで広がるのでしょうか。
消防用設備等には、棟ごとに設置が決まるものと、敷地全体で1つとして設置が決まるものがあります。前者は棟単位で、屋外消火栓等の後者は敷地単位で、それぞれ一括して検査済証を交付してよいとされています。
つまり「同一敷地内なら全部まとめられる」という単純な話ではありません。
設備の性質によって、まとめる範囲そのものが変わってくる点に注意が必要です。
複数棟の敷地で一括交付を考えるなら、どの設備が棟単位でどの設備が敷地単位かを、先に消防機関に確認しておいてください。
屋外消火栓は敷地全体でまとめられるんですね。
設備の性質ごとに
確認しておいてください。
施行日前から設置されている設備等にも届出や検査は必要か

その古い設備についても、今さら届出と検査を受けなければならないのでしょうか。
第17条の3の2は、あくまで設置のタイミングで届出・検査を求める制度です。施行日より前から設置されていた設備等には、この届出・検査の制度をあらためて適用するのではなく、第17条の3の3の点検及び報告の制度で維持管理を確認していくという整理です。
古い設備だからといって、届出・検査の手続きが後から必要になるわけではありません。
一方で、点検・報告の義務そのものがなくなるわけでもない、という点も見落とせません。
建物に設置時期の異なる設備が混在しているなら、それぞれどちらの制度で管理されているのかを維持台帳で確認してください。
古い設備は今から届出が必要になるんですか。
点検・報告の制度で管理されています。
第17条の3の2の対象外の防火対象物の検査はどう扱われるか

それ以外の小規模な建物では、検査という仕組み自体がまったく無いのでしょうか。
第17条の3の2の対象に入らない防火対象物であっても、検査そのものが存在しないわけではありません。市町村が独自に条例又は行政指導で検査制度を設けることができ、その場合に検査済証を交付するかどうかも市町村の判断に委ねられています。
つまり対象外イコール「何のチェックも受けない」ではなく、あるかないかは自治体ごとに違うということです。
条例に基づく検査であれば、行政指導の検査より強い位置づけになります。
自分の建物が第17条の3の2の対象かどうか分からない場合は、所轄の消防機関に条例や行政指導による検査制度の有無を確認してください。
対象外だと何のチェックも無いと思っていました。
自治体ごとに制度の有無が違います。
軽微な工事でも検査済証は交付されるか

その場合でも、きちんとした検査済証をもらえるのでしょうか。
軽微な工事では、試験結果報告書や図書の確認によって検査を行うことが認められています。その確認の結果、技術基準に適合していると認められれば、通常の検査と同じように検査済証を交付してよいとされています。
検査の方法が簡略化されていても、検査済証という結果が発行されないわけではありません。
むしろ検査済証の有無は、工事の規模の大小ではなく、技術基準への適合が確認できたかどうかで決まります。
軽微な工事を終えたら、検査済証が発行されているかどうかを届出の記録とあわせて確認しておいてください。
簡単な検査でも検査済証はもらえるんですね。
適合が確認できたかどうかで決まります。
よくある質問
まとめ
検査済証の扱い、思っていたより奥が深いんですね。
単位と時期を意識して
確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等検査済証の交付単位について(昭和50年6月16日 消防安第65号)
- 消防用設備等の届出等に関する運用について(平成9年12月5日 消防予第192号 通称「192号通知」)
- 消防法第17条の3の2、第17条の3の3、消防法施行令第35条、消防法施行規則第31条の3
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





