大きなビルや商業施設のように多くの人が出入りする建物には、消防法第8条の2の5に基づいて自衛消防組織を置く義務があります。
では、その建物がさらに防災管理対象物にも当たっている場合、自衛消防組織の業務はどう変わるのでしょうか。
実は消防法第36条第7項と施行令第49条の読み替えによって、業務の書き先が防火管理と防災管理の2つの消防計画に分かれます。
この記事では自衛消防組織の業務が火災とそれ以外の災害でどう書き分けられるかを条文から確認します。
うちのビルは自衛消防組織を置いていますが、実は防災管理者も選任しています。
この場合、自衛消防組織の業務はどこに書けばいいのでしょうか。
実はその組み合わせの建物は、法律の作り方として必ず出てきます。
火災の業務と火災以外の災害の業務で、書く消防計画が分かれるんです。
今までは防火管理の消防計画に1つまとめて書いていました。
それでは足りないということですか。
条文に読み替えの規定が用意されているので、順番に確認していきましょう。
- 自衛消防組織はもともと火災の被害の軽減のためだけに業務を行う組織です
- 防災管理対象物(令第46条)は自衛消防組織を置く対象物(令第4条の2の4)と同じ集合です
- 消防法第36条第7項により、自衛消防組織の業務は火災その他の災害の被害軽減にまで広がります
- 施行令第49条の読み替えで、火災の業務は防火管理、火災以外の業務は防災管理の消防計画に書きます
- 防災管理側の中身は施行規則第51条の10が定め、単独設置3号・共同設置+4号という構成です
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目次
自衛消防組織の業務はもともと何を対象にしているのか

まず条文が定める本来の業務範囲を確認します。
初期消火・通報・避難誘導という動きが、火災の被害の軽減のためだけに定められているのが元の姿です。
この業務内容は権原者が定めた防火管理者が、防火管理に係る消防計画の中に書き込みます(令第4条の2の6)。
つまり自衛消防組織そのものは独自の計画書を持たず、書く場所は防火管理の消防計画1本でした。
ところが、この建物が防災管理対象物にも当たると、話がここで変わってきます。
うちは自衛消防組織を置いていますが、防災管理者も選任しています。
業務はやっぱり1つの計画にまとめて書くんですよね。
実はそう単純ではありません。
まず、その組み合わせがなぜ起きるのかを確認しましょう。
防災管理対象物はなぜ必ず自衛消防組織を持つのか

その理由は建物の規模を測る条文が共通しているからです。
令第46条は防災管理を要する建物を「第4条の2の4の防火対象物」と定めていますが、この第4条の2の4は自衛消防組織を置く義務のある建物の規模基準そのものです。
つまり、防災管理対象物に指定された時点で、その建物は必ず自衛消防組織設置防火対象物でもあります。
別々の制度のように見えますが、条文の作り方としては同じ入り口を共有しているだけです。
だからこそ、防災管理者が選任された建物では、自衛消防組織の業務の書き方にも防災管理側の視点が必要になります。
防災管理対象物になった時点で、自衛消防組織も自動的に対象になっているということですか。
そのとおりです。
令第46条が指す先が自衛消防組織の規模基準と同じ条文なので、両方が重なります。
令第49条の読み替えで業務はどの消防計画に分かれるか

そのための読み替え規定が用意されています。
条文上は令第4条の2の6の「防火管理者」を「防災管理者」に読み替え、書く先そのものを分けています。
さらに令第4条の2の7の「火災の被害」は「火災その他の災害の被害」に広がるので、対象になる災害の範囲そのものも変わります。
書く中身は規則第51条の10が定めていて、単独設置なら活動要領・教育訓練など3号、共同設置ならこれに加えて協議会や統括管理者の選任など4号です。
これは防火管理側の規則第4条の2の10とほぼ同じ骨格ですが、防災管理側の言葉で読み替えられた別条文です。
防火管理者と防災管理者で、条文の文言まで書き換わるんですね。
はい。
「火災」か「火災以外」かで担当する人と書く計画がきれいに分かれます。
自衛消防組織の業務を1つの計画にまとめて書いていないか

実務で見落としやすい落とし穴を確認します。
法第36条第7項が業務の範囲を「火災その他の災害」に広げている以上、火災以外の災害に対応する部分は防災管理の消防計画側で定めなければ条文の要求を満たしません。
防火管理の消防計画だけを更新して満足してしまうと、防災管理側の消防計画には自衛消防組織の記載が抜けたままになります。
逆に、両方の計画に同じ内容をそのまま重複して書いてしまうのも正確ではなく、火災の活動要領は防火管理側、火災以外の活動要領は防災管理側と中身を分けて書くのが条文の求める形です。
どちらか一方にしか目が向いていないと、書類としては存在していても要求を満たしていない状態になります。
うちは防火管理の消防計画だけに自衛消防組織の全部の業務を書いていました。
それでは火災以外の災害に対応する部分が抜けています。
防災管理の消防計画にも書き分けてください。
自分の建物ではどちらに書けばよいのか

規則が定める中身を条文で最後に確認します。
まず自分の建物が令第4条の2の4の規模基準(自衛消防組織設置防火対象物)に当たるかを確認します。
次に、その建物が防災管理対象物(令第46条)にも当たっているかを確認してください。
両方に当たるなら、防火管理の消防計画には火災対応の活動要領(規則第4条の2の10)、防災管理の消防計画には火災以外の災害対応の活動要領(規則第51条の10)を、それぞれ書き分けます。
共同設置の場合はどちらの計画にも協議会や統括管理者に関する事項が加わるので、2つの計画を並べて条文の号ごとに照らし合わせてください。
2つの計画を並べて照らし合わせるだけで済むんですね。
はい。
火災か火災以外かで担当を分けて考えれば、書き漏れを防げます。
よくある質問
まとめ
自衛消防組織の業務が、火災とそれ以外でこんなにきれいに分かれるとは思っていませんでした。
うちの建物も両方の計画を見直してみます。
令第46条・第49条・規則第51条の10の3つを追えば、書く場所は迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第36条第7項
- 消防法第8条の2の5第1項
- 消防法施行令第46条
- 消防法施行令第49条
- 消防法施行令第4条の2の4
- 消防法施行令第4条の2の6
- 消防法施行令第4条の2の7
- 消防法施行規則第51条の10
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





