大きなビルなどで防災管理点検に合格すると、建物に掲げられる表示があります。
よく似た場面で使われる特例の認定証もあり、見た目や出し方が違うのに同じものだと思い込んでいる例が少なくありません。
表示を掲げるには、条文が定める二つの条件を満たしている必要があります。
掲げられる表示の条件と、混同しやすい二つの証の違いを順番に見ていきます。
うちの建物にも点検済みの表示が貼ってありますが、これは特別に優秀と認められた証なんでしょうか。
いえ、それは通常の点検に合格した証で、特例の認定証とは別のものです。
まずは表示の仕組みから確認しましょう。
表示があれば、うちは特例の認定を受けているということですよね。
表示だけでは特例認定を受けたことにはなりません。
次はその条件から見ていきましょう。
- 防災管理点検に合格した建物には消防法第36条第1項が読み替えて準用する法第8条の2の2第2項の表示を掲げられます
- この表示は防災基準点検済証と呼ばれ、建物の管理者が自分で掲げる合格の証です
- 掲げるには年1回の点検実施と施行規則第51条の14の基準適合という二つの条件が必要です
- 様式は別表第五で、点検日から1年後の年月日・権原者の氏名・点検資格者の氏名等を記載します
- 消防長等の検査を経て交付される優良認定証(特例認定)とは別の制度なので混同してはいけません
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目次
防災管理点検に合格したら何が出せるのか

この表示は建物の管理者自身が掲げる、いわば自己申告の証です。
消防法第36条第1項は、防火対象物点検の根拠となる第8条の2の2を防災管理点検にも読み替えて準用しており、その第2項が表示の根拠になっています。
現場では防災基準点検済証という名称で呼ばれることが多く、東京消防庁など各消防局の案内でもこの呼び方が使われています。
点検を済ませて基準に適合していれば、消防署の確認を待たずに掲げられる点が、後述する特例認定との大きな違いです。
まずはこの表示が「年に1回の点検の合格証」であるという位置づけを押さえておきましょう。
うちの表示は自分たちで貼ったものですが、これは正式なものなんでしょうか。
はい、条件を満たしたうえで掲げていれば正式な表示です。
次はその条件を見ていきましょう。
どの条件を満たせば表示を掲げられるのか

どちらか一方だけでは表示を掲げられません。
一つ目は、点検そのものを年に1回行っていることです。防火対象物点検と同じ頻度が防災管理点検にも準用されています。
二つ目は、規則第51条の14が定める五つの基準に適合していることで、防災管理者の選任届出や消防計画に基づく実施状況、避難施設・防火戸の管理状況などが対象になります。
点検を欠かさず行いながら、基準にも適合し続けることが表示を維持する前提になります。
次は、この条件を満たした表示に実際どんな内容が書かれるのかを見ていきましょう。
年に1回で足りるんですか。
もっと頻繁にしないといけない気がしていました。
基本は年1回です。
ただし基準の中身も忘れずに確認しましょう。
表示にはどんな様式でなにが書かれるのか

建物の見やすい場所に掲げることも定められています。
記載されるのは、点検を行った日から起算して1年後の年月日、建物の権原を有する者の氏名、そして点検を行った防災管理点検資格者の氏名です。
有効期限が「点検日から1年後」という単純な数え方になっているのは、点検そのものが年1回のサイクルで行われる仕組みと揃えられているためです。
現場ではこの表示を防災基準点検済証と呼ぶことが多く、後述する特例認定の証とは見た目も呼び方も異なります。
掲げたら終わりではなく、次の点検のたびに年月日を書き換えて更新していく表示だと理解しておきましょう。
期限が来たらどうすればいいですか。
次の点検を済ませて基準に適合していれば、年月日を書き換えて掲げ直します。
防災基準点検済証と優良認定証はどう違うのか

この二つを混同すると、実務で思わぬ誤解を招きます。
これまで説明した防災基準点検済証は、点検資格者による点検と基準適合を条件に、建物側が自分で掲げる表示でした。
一方、優良認定証(特例認定)は消防長又は消防署長の検査を経て初めて交付され、認定を受けると点検報告の頻度が一定期間軽くなる優遇措置が伴います。
点検済証を掲げているからといって特例認定を受けた建物だと消防署に説明してしまうと、後の確認で食い違いが生じます。
どちらの表示が掲げられているかを見れば、その建物が「通常の点検で合格した建物」か「特例認定まで受けた建物」かを区別できます。
うちに貼ってあるのは、金の縁取りがない普通のプレートでした。
それは通常の点検済証です。
特例の優良認定証とは別物なので安心してください。
表示を掲げるまでに何を確認すればよいのか

順番を押さえておけば迷いません。
- 防災管理点検資格者に依頼し、年1回の点検を実施する
- 点検結果を防災管理維持台帳に記録し、保存する
- 結果が施行規則第51条の14の基準に適合しているかを確認する
- 適合していれば、別表第五の様式で防災基準点検済証を作成する
- 建物の見やすい場所に掲げ、次の点検の年月日を控えておく
途中で抜けやすいのは、点検結果を防災管理維持台帳に記録し保存する手順で、これを怠ると次の点検や報告のときに困ります。
基準への適合が確認できたら、別表第五の様式に沿って表示を作成し、建物の見やすい場所に掲げます。
掲げたあとは次の点検の予定日を控え、1年後には更新の点検を済ませておきましょう。
まずは今の表示がいつの点検に基づくものかを確認するところから始めてみてください。
台帳への記録まではあまり意識していませんでした。
表示だけでなく台帳の記録・保存も忘れずに行いましょう。
よくある質問
まとめ
防災基準点検済証と優良認定証の違いがよく分かりました。
まずは今の表示がいつの点検に基づくか確認します。
点検資格者選びや台帳の整備でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第36条
- 消防法第8条の2の2
- 消防法第8条の2の3
- 消防法第8条の2の4
- 消防法施行規則第51条の12
- 消防法施行規則第51条の14
- 消防法施行規則第51条の15
- 消防法施行規則第51条の16
- 東京消防庁「防災管理点検報告制度(概要)」
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





