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給油取扱所でスマートフォンは使えるのか|携帯型電子機器の規格と留意点を解説

給油取扱所でスマートフォンやタブレットを使ってよいかを示すアイキャッチ画像

最近ではガソリンスタンドの現場でも、タブレット端末やスマートフォンを使って接客や在庫管理を行う場面が増えてきました。
一方でガソリンなどの可燃性蒸気が漂う給油空地には、他の職場にはない特有の危険があります。
平成30年に消防庁が出した通知は、この携帯型電子機器の使用について、機器の規格と使い方の留意事項を示したものです。
どんな機器なら使えて、どう使えばよいのかを、現行の通知に沿って整理します。

最近スタッフがタブレットを持って接客したり在庫を確認したりしているんですが、給油空地でも使わせて大丈夫なんでしょうか。

使えますよ。ただし機器の規格と使い方に条件があるんです。
まずはその条件から見ていきましょう。

条件というのは、どんな機器なら使えるかということですか。

そうです。防爆構造か、決められた安全規格に適合しているかがポイントになります。
この記事でその条件と使い方を整理していきます。

この記事の結論
  • 給油空地で携帯型電子機器を使うときは、防爆構造か決められた安全規格への適合が必要です(平成30年消防危第154号)
  • 防爆構造でない機器は、通知が定める4つの国際・日本工業規格のいずれかに適合するものに限られます
  • 機器には肩掛け紐等の落下防止措置を講じる必要があります
  • 危険物の取扱作業中の者が機器を同時に操作することは認められません
  • 使用する機器の仕様や非常時の対応は予防規程の添付書類に明記する必要があります

給油取扱所で携帯型電子機器を使うには規格適合品に限ること、肩掛け紐等の落下防止措置を講じること、取扱作業中は同時操作を禁止すること、予防規程に明記することを示した図解

なぜ携帯型電子機器の使用に留意事項が出されたのか

給油空地でタブレットを使う店員と燃料を給油する車のイメージ
タブレット端末やスマートフォンは、今やガソリンスタンドの現場でも当たり前の道具になっています。
しかし給油空地という場所には、他の職場にはない特有の危険があります。
「給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合の留意事項等について」(平成30年8月20日 消防危第154号 消防庁危険物保安室長) 近年、タブレット端末等の携帯型の電子機器(以下「携帯型電子機器」という。)は、接客、施設や在庫の管理、点検など様々な業務に利用されているところであり(略)、給油取扱所におけるAI・IoT等の新たな技術の活用が求められているところである。一方、給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合には、電気火花等によりガソリン等の可燃性蒸気に着火しないようにするとともに、適切な給油作業等の妨げとならないようにすることが必要となる
可燃性蒸気に電気機器の火花が触れると、火災につながるおそれがあります。
タブレットやスマートフォンは接客や在庫管理、点検など多くの業務で使われるようになりました。
一方で給油空地はガソリン等の可燃性蒸気が漂う場所であり、静電気や機器内部の電気的な火花が着火源になり得ます。
そこで消防庁は一般に流通している携帯型電子機器で実験を行い、その結果に基づいて留意事項をまとめました。
つまりこの通知は、便利さと安全性を両立させるための線引きを示したものです。

タブレットぐらいなら火花なんて出ないと思ってました。

静電気や機器内部の電子回路が、思いがけず火花を生むことがあります。
だからこそ規格への適合が条件になっているんです。

どの機器が対象になるのか

業務用のタブレットとスマートフォンのイメージ
「対象になる機器」と聞くと身構えてしまいますが、線引き自体はシンプルです。
私物か業務用かではなく、機器そのものの構造と規格で判断します。
「給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合の留意事項等について」(平成30年8月20日 消防危第154号) 1 給油空地等で使用する携帯型電子機器は、防爆構造のもの又は下記のいずれかの規格に適合するものとすること。(1)国際電気標準会議規格(IEC)60950-1(2)日本工業規格(JIS)C6950-1(情報技術機器-安全性-第1部:一般要求事項)(3)国際電気標準会議規格(IEC)62368-1(4)日本工業規格(JIS)C62368-1(オーディオ・ビデオ、情報及び通信技術機器-第1部:安全性要求事項)
対象になるのは、私物か業務用かを問わず、給油空地等で使うすべての携帯型電子機器です。
タブレット端末だけでなく、スマートフォンや業務用の携帯端末も同じ扱いになります。
判断のポイントは、機器が防爆構造かどうか、防爆構造でなければ決められた安全規格に適合しているかどうかです。
市販の一般的な機器の多くは、この規格のいずれかに適合していることが多いとされています。
導入前に、使っている機器の仕様書で規格の記載を確認しておくと安心です。

うちで使っているタブレットとスマホ、両方対象になりますか。

はい、業務で使う携帯型の電子機器はどちらも対象です。
まずは仕様書で規格への適合を確認してみてください。

どのような使い方が求められるのか

肩掛け紐を付けたタブレットと給油中の車のイメージ
規格に適合していても、使い方を誤れば意味がありません。
通知は使い方についても3つの留意点を示しています。
「給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合の留意事項等について」(平成30年8月20日 消防危第154号) 2 給油空地等における携帯型電子機器の使用は、業務上必要な範囲において、以下の点に留意して行うこと。(1)携帯型電子機器の落下防止措置を講ずること(肩掛け紐付きカバー等)。(2)危険物の取扱作業中の者が同時に携帯型電子機器の操作を行わないこと。(3)火災や危険物の流出事故が発生した場合は、直ちに当該機器の使用を中止し、安全が確認されるまでの間、当該機器を使用しないこと
危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第60条の2第1項第11号 (予防規程に定めなければならない事項) 災害その他の非常の場合に取るべき措置に関すること
使い方のルールは、落下防止・同時操作の禁止・非常時の使用中止の3つです。
まず機器には肩掛け紐付きカバー等の落下防止措置を講じます。
次に、給油や容器への詰め替えなど危険物の取扱作業中は機器を同時に操作しないことが求められます。
そして火災や危険物の流出事故が起きたときは、直ちに機器の使用を中止し、安全が確認されるまで使わないようにします。
これらは危険物の規制に関する規則第60条の2第1項第11号が定める「災害その他の非常の場合に取るべき措置」の一部として予防規程に位置づけられています。

規格に適合していれば、あとは自由に使っていいんでしょうか。

いえ、落下防止のひもと、給油中は操作しないという使い方のルールも一緒に守る必要があります。
非常時にすぐ使用をやめることも忘れないでください。

実務で見落としやすいのはどこか

ノズルと機器を同時に操作する店員と機器を置いて給油する店員のイメージ
規格と使い方さえ守れば終わり、というわけではありません。
予防規程の手続きと、新しい機器との関係に見落としやすい落とし穴があります。
「給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合の留意事項等について」(平成30年8月20日 消防危第154号) 3 次の(1)から(3)に掲げる事項について、予防規程の添付書類等で明らかにすること。この場合において、上記1に示す規格への適合性を確認するため、予防規程の認可の申請の際に、使用する携帯型電子機器の仕様書等を申請書に添付させること。(1)携帯型電子機器の仕様、当該携帯型電子機器への保護措置(2)携帯型電子機器の用途、使用する場所及び管理体制(3)携帯型電子機器の使用中に火災等の災害が発生した場合に取るべき措置
「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における可搬式制御機器の使用に係る運用について」(令和2年3月27日 消防危第87号) 可搬式の制御機器は、「給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合の留意事項等について」(平成30年8月20日付け消防危第154号)の1に掲げる規格等に適合するものとし、肩掛け紐付きカバーやアームバンド等の落下防止措置を講ずること
仕様書の添付を忘れると、予防規程の認可申請そのものが止まってしまいます。
規格への適合を確認するために、申請書には使用する携帯型電子機器の仕様書等の添付が必要です。
もう一つの落とし穴は、可搬式の給油許可端末(タブレット等でノズルの使用を許可する機器)にも同じ規格と落下防止の基準が及ぶことです。
セルフスタンドで可搬式の制御機器を新たに導入するときも、この通知の規格と使い方の条件を満たしているかを確認する必要があります。
「携帯型電子機器の話とは別」と思って見落とすと、後から手続きのやり直しになりかねません。

申請のときに何か出す書類が増えるということですか。

そうです。仕様書を添付しないといけません。
可搬式の給油許可端末を導入するときも、同じ基準でつまずきやすいので気をつけてください。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストと申請書類のイメージ
難しく見える話も、確認する手順に落とし込めば単純です。
今日からできる4つの確認を、順番に見ていきましょう。 規格の確認、落下防止、同時操作の禁止、予防規程の書類、この4つを順に確認しましょう。
まず、今使っている、またはこれから使うタブレットやスマートフォンの仕様書で規格の記載を確認します。
次に、肩掛け紐付きカバー等の落下防止措置を用意し、危険物の取扱作業中は機器を操作しない運用をスタッフに周知します。
続いて、予防規程の添付書類に機器の仕様・用途・非常時の対応を書き加え、認可の申請が必要な場合は仕様書等を添付します。
可搬式の給油許可端末を新たに導入する予定があれば、同じ規格と落下防止の基準を満たしているかもあわせて確認してください。

何から手をつければいいですか。

まず今使っている機器の規格を確認して、予防規程の書類に落とし込むところからです。
よくある質問もまとめておきます。

よくある質問

Q私物のスマートフォンを給油空地で使ってもよいか?
A業務上必要な範囲であれば、私物か業務用かは問われません。ただし防爆構造か決められた安全規格への適合が条件になるため、規格を確認できない私物は業務用に管理された端末に統一するほうが安全です。
Q防爆構造でない機器は絶対に使えないのか?
A使えます。防爆構造でなくても、通知が示す4つの国際・日本工業規格のいずれかに適合していれば使用できます。市販の一般的な機器の多くはこの規格に適合しているとされています。
Q可搬式の給油許可端末にも同じ基準が適用されるのか?
A適用されます。令和2年に出された通知で、可搬式の制御機器もこの通知が示す規格と落下防止措置に適合させることが明記されました。
Q予防規程の変更届は必要か?
A携帯型電子機器の仕様・用途・非常時の対応を予防規程の添付書類に明記し、認可の申請の際には機器の仕様書等の添付が必要です。

まとめ

給油空地で携帯型電子機器を使うときは、防爆構造か決められた安全規格への適合が必要です
防爆構造でない機器は、通知が定める4つの国際・日本工業規格のいずれかに適合するものに限られます
機器には肩掛け紐付きカバー等の落下防止措置を講じる必要があります
危険物の取扱作業中は機器を同時に操作しないことが求められます
火災や危険物の流出事故が起きたら、直ちに機器の使用を中止します
予防規程の添付書類に機器の仕様・用途・非常時の対応を明記し、申請時に仕様書等を添付します
可搬式の給油許可端末にも、同じ規格と落下防止の基準が適用されます

機器を導入する前に規格から確認する流れがよく分かりました。
これでスタッフにも自信を持って説明できます。

規格の確認と落下防止、この2点を押さえれば実務は回ります
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参考・出典

  • 「給油取扱所において携帯型電子機器を使用する場合の留意事項等について」(平成30年8月20日 消防危第154号 消防庁危険物保安室長)
  • 「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における可搬式制御機器の使用に係る運用について」(令和2年3月27日 消防危第87号)
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第60条の2第1項第11号
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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