大きな建物の防災センターには、専門の講習を修めた要員が交代で詰めています。
その経験があるのだから自衛消防組織の統括管理者もその人に任せられる、と考えたくなるところです。
ところが法令は、防災センターの経験だけでは足りず追加講習まで求めています。
この記事では統括管理者に準ずる者と認められるまでの道のりを整理します。
防災センターの要員に長く入っている社員がいます。
統括管理者に充てても構いませんか。
そこは一段の手続が挟まります。
昔の防災センター要員講習だけでは足りないと決められています。
足りないというのは、もう一度はじめから受け直すということですか。
いいえ、短い上乗せの講習が用意されています。
ただし受けられる期限が決まっているので順に見ていきましょう。
- 統括管理者に充てられる人には条文に書かれていない第三の道があります
- その道を開いているのが消防法施行規則第4条の2の13第3号の消防庁長官が定める者です
- 旧制度の防災センター要員講習を修了した人が対象になります
- その修了から5年以内に追加講習まで終えていなければ準ずる者になれません
- 追加講習の本講習を受けた日から5年以内に再講習を受け続けます
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目次
統括管理者になる道は講習と実務経験の2つだけなのか

入口になるのは消防法施行令ですが、その先は施行規則に預けられています。
1つ目は消防法施行令第4条の2の8第3項第1号の自衛消防組織の業務に関する講習を修了する道で、これがいちばん多く使われます。
残りは同項第2号の準ずる者で、その中身を書いているのが上の規則第4条の2の13です。2つ目にあたる同条第1号と第2号は、市町村の消防職員なら一年以上、消防団員なら三年以上の管理監督の経験を求めています。
3つ目が同条第3号で、ここだけは年数を書かずに消防庁長官へ委ねています。つまり告示を見に行かないと中身が分かりません。
まずは自分の建物の統括管理者がこの3つのどの道で充てられているのかを、選任のときの記録に当たって確かめてください。
規則を読んだときは2つしか道が無いと思っていました。
よくある読み落としです。
末尾に消防庁長官が定める者と書いてあれば告示が別にあります。
準ずる者と認められるのはどんな人か

名指しされているのは、いまは廃止された古い制度の講習を修了した人です。
1つ目が平成6年消防庁告示第10号の講習を修了していることで、この告示は消防計画に定める教育のうち防災センター要員に対するものを定めた件でした。消防庁予防課長の通知(平成20年9月24日 消防予第238号)も、この講習を防災センター要員講習と呼んでいます。
2つ目が、最後にその講習を受けた日から5年以内に追加講習まで修了していることです。
つまり防災センター要員講習の修了証が1枚あるだけでは準ずる者になりません。追加講習の修了と2枚そろってはじめて統括管理者に充てられます。
社内に古い修了証が残っている人がいるなら、その日付を書き出して追加講習の記録が続いているかを見てください。
廃止された告示の講習が今も効いているのですね。
制度が切り替わるときの受け皿として残されました。
古い修了証は捨てずに保管しておいてください。
追加講習ではなにをどれだけ学ぶのか

一日を空ける必要はない分量です。
上の表の時間を足すと3時間で、そのあとに30分の効果測定が続きます。半日で終わる組み立てです。
科目の並びを見ると、防災センターの実務では手薄になりがちなところが選ばれています。防災管理の意義と制度改正の概要、要員の役割と責任、そして地震災害時の対応と訓練の実施方法です。
つまり監視や設備の操作ではなく、組織を動かす側の知識を上乗せする講習だと読めます。
受講の申込先は都道府県知事か消防長か総務大臣の登録を受けた法人なので、所在地の消防本部の案内を先に確かめてください。
つまり半日で済む講習ということですね。
それなら業務の調整もつきます。
時間は基準なので実施団体で前後します。
効果測定があることだけは伝えておいてください。
追加講習を修了すればそれで終わりなのか

追加講習は一度きりの手続ではありません。
ここでいう再講習は追加講習専用のものではなく、消防法施行規則第4条の2の14第1項が定める自衛消防業務再講習そのものです。
同条第3項によれば、再講習は制度改正の概要と災害事例の研究と総合訓練を扱い、講習時間はおおむね4時間とされています。
そして告示の第四は、再講習を受けた日以降も同じだと念を押しています。つまり5年の区切りは一度で終わらず、その先もずっと繰り返されます。
統括管理者の名前と本講習の日付を並べた一覧を作り、期限の前年に声がかかるようにしておくと抜けません。
修了証を金庫にしまったきりになっていました。
日付を見返してみます。
それがいちばん確実です。
担当が代わっても分かるように写しを一か所にまとめてください。
明日からなにを確かめればよいのか

資格は届出の場面で書面として求められます。
1つ目は、統括管理者がどの道で充てられているかを選任の記録で特定することです。講習の道なら自衛消防組織の業務に関する講習の修了証、準ずる者の道なら旧制度の修了証と追加講習の修了証がそろっているかを見ます。
2つ目は、追加講習の本講習を受けた日から数えて再講習の期限が来ていないかを確かめることです。
3つ目は、その写しを設置の届出に添えた書面と突き合わせることです。届出のときの書面と手元の修了証が食い違っていれば、どちらかが更新されていません。
統括管理者を交代させたときは資格を証する書面も入れ替わるので、人事の異動と同じ流れで届出まで進むよう社内の手順を決めておいてください。
届出に添えた書面まで見直す発想がありませんでした。
そこがそろえば消防署からの問い合わせにも即答できます。
年に一度は同じ確認を回してください。
よくある質問
まとめ
古い修了証と追加講習の関係がやっと分かりました。
さっそく人事の記録を見に行きます。
日付が並べば期限の管理も楽になります。
自衛消防組織の体制づくりでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5・第36条第7項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の8第3項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の13・第4条の2の14・第4条の2の15
- 消防法施行規則第4条の2の13第3号に基づき同条第1号及び第2号に掲げる者に準ずる者を定める件(平成20年消防庁告示第14号)
- 消防庁予防課長「消防法施行規則の一部を改正する省令の公布に伴う関係告示の公布について」(平成20年9月24日 消防予第238号)
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





