ボイラーや給湯器は、炎が消えたり温度が上がりすぎたりしたときに自分で止まるようにできています。
その止まる仕組みは、メーカーの気配りではなく消防法令が求めているものです。
ところが条文を開くと、いちばん先に「必要に応じ」という言葉が置かれています。
この記事では火を使う設備にどんな安全装置が求められるのかを条文から解説します。
立入検査で安全装置のことを聞かれました。
消防法にそこまでの決まりがあるのでしょうか。
あります。
令第5条第1項第10号を受けた省令のたった一条にまとまっています。
必要に応じというのは誰が決めるのでしょうか。
号のひとつひとつに設備の側の条件が書き込まれています。
その条件に当たるかどうかで要否が変わります。
- 火を使う設備の安全装置は消防法施行令第5条第1項第10号を受けた省令第15条に置かれています。
- 号は八つあり、設備の名前で名指しされているのは六つの設備だけです。
- 残りは燃料の種類と熱源の種類という設備の外側の括りで拾われています。
- 気体燃料や液体燃料を使う設備にはイからホまでの五つの装置が並びます。
- 柱書きの必要に応じという言葉は省令の中でこの条にしか置かれていません。
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目次
火を使う設備の安全装置はどの条文で求められているのか

入口になるのは消防法のたった一条です。
消防法第9条が火を使用する設備の位置と構造と管理を市町村の条例に委ね、その条例をつくるときの基準を令第5条第1項が十一の号に分けています。
そのうち第10号が安全装置の号で、具体の中身はそのまま総務省令へ送られています。
受けているのが平成14年総務省令第24号の第15条で、見出しは安全を確保する装置等です。
実際に義務を課すのは市町村の条例なので、条番号や運用の細かなところは自治体ごとに違うことがあります。
省令を読んでも条例とは違うのですね。
省令は条例をつくるときの基準を示すものです。
手元の条例と読み比べると早く分かります。
どの設備にどの装置が求められるのか

号ごとに、どの設備を指すのかが先に書かれています。
| 号 | どの設備を指しているか | 求められる装置 |
|---|---|---|
| 第1号 | 燃焼装置に過度の圧力がかかるおそれのあるもの | 異常燃焼を防止するための装置 |
| 第2号 | 気体燃料又は液体燃料を使用するもの | イからホまでの五つの装置 |
| 第3号 | 電気を熱源とするもののうち内部の温度が過度に上昇するおそれのあるもの | 自動的に電力の供給を停止できる装置 |
| 第4号 | ふろがま(気体燃料又は液体燃料を使用するものに限る) | 空だきをした場合に自動的に燃焼を停止できる装置 |
| 第5号 | ボイラー | 蒸気の圧力が異常に上昇した場合に自動的に作動する安全弁その他の安全装置 |
| 第6号 | 乾燥設備 | 室内の温度が過度に上昇したことを示す非常警報装置又は熱源の自動停止装置 |
| 第7号 | 簡易サウナ設備及び一般サウナ設備 | 温度が異常に上昇した場合に直ちに熱源を遮断できる手動及び自動の装置 |
| 第8号 | 放電加工機 | イからニまでの四つの装置 |
ふろがまとボイラーと乾燥設備と簡易サウナ設備と一般サウナ設備と放電加工機で、残りの号は設備の名前を出しません。
第1号は燃焼装置の状態で括り、第2号と第3号は燃料や熱源の種類で括っています。
省令第3条は対象火気設備等を21種類あげていますが、第15条はそのすべてに号を割り当てているわけではありません。
自分の建物の設備がどこに当たるかは、まず名前で探し、見つからなければ燃料と熱源で探すと早く行き着きます。
うちにあるのはボイラーと乾燥設備です。
どちらも名指しされている設備です。
安全弁と非常警報装置が付いているかから確かめてください。
気体燃料や液体燃料を使う設備には何が要るのか

ここだけがイからホまで五つに枝分かれしています。
イは炎が立ち消えしたときに安全を確保できる装置ですが、屋外に設けるもので風雨等により口火とバーナーの火が消えない措置があるものはただし書きで外れます。
ロとハとニは、未燃ガスが滞留するおそれ・内部の温度が過度に上昇するおそれ・電気で燃焼を制御する構造という設備の側の条件を先に置いています。
条件もただし書きも付いていないのはホの一つだけで、点火及び燃焼の状態が確認できる装置は気体燃料か液体燃料を使う設備なら横並びで求められます。
のぞき窓や表示灯がこれに当たるかどうかまでは条文が書いていないので、判断は所轄消防署に確かめてください。
のぞき窓のことを言っているのですね。
条文は装置の形までは指定していません。
それでも確認できる状態にしておくことが先です。
装置を付けなくてよいのはどんなときか

柱書きの言葉と、号に付いたただし書きです。
省令の全文を数えると、必要に応じが出てくるのは第15条の柱書きの一か所だけです。
おそれのあるものにあってはという書き出しも省令の中で四か所しかなく、その四か所とも第15条の中にあります。
要否を決めているのは条文の外にある裁量ではなく、号に書き込まれた設備の側の条件だと読めます。
そのうえでただし書きは二つで、屋外で風雨に備えた措置があるものと、薪を熱源とする簡易サウナ設備で消火器を置いた場合です。
消火器を置けばサウナの装置は要らないのでしょうか。
外れるのは薪を熱源とする簡易サウナ設備だけです。
一般サウナ設備はこのただし書きの外にあります。
明日からなにを確認すればよいのか

装置は付いていても、使えない状態になっていることがあります。
はじめに点火及び燃焼の状態が確認できる装置の前に、荷物や台車が置かれていないかを見ます。
次にサウナ設備があるなら手動の装置に立ったまま手が届くかを確かめ、薪を熱源とする簡易サウナ設備なら消火器の位置も併せて見ます。
そのうえで、自動で止まったあとに誰がどう復帰させるのかを消防計画の火気管理の欄に書いておくと、担当者が代わっても手順が残ります。
装置が動かないまま使い続けていた場合にどう扱われるかは条文に書かれていないので、所轄消防署に相談してください。
装置の前に台車を置いたままでした。
よくあることです。
今日のうちに台車の置き場所を決めてしまってください。
よくある質問
まとめ
装置の前の荷物をどけてきます!
必要に応じの中身は号に書かれた設備の側の条件です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条・第5条の2
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第2条・第3条・第15条・第16条・第18条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





