BLOG

火を使う設備は雨水やほこりをどこまで防げばよいのか|屋外の燃料タンクと風道の給気口の基準を解説

火を使う設備は雨水やほこりをどこまで防げばよいのか|屋外の燃料タンクと風道の給気口の基準を解説

建物の外に置いた燃料タンクや充電スタンドは、雨ざらしのまま何年も使われます。
その中に雨水やほこりが入ると、火を使う設備は思わぬ動きをします。
消防法令はそこにも構造の決まりを置き、七つの号に分けて書いています。
この記事では雨水やほこりが入らない構造とはなにを指すのかを条文から解説します。

屋外に置いた蓄電池盤の雨対策を立入検査で聞かれました。
そこまで法令に書いてあるのでしょうか。

書いてあります。
令第5条第1項第9号を受けた省令の一条にまとまっています。

その条を開いたのですが、うちのキュービクルの名前が見当たりませんでした。
それなら関係ないということでしょうか。

そこが落とし穴です。
その条だけでなく特例の表まで見ないと決まりません。

この記事の結論
  • 雨水やほこりが入らない構造の基準は消防法施行令第5条第1項第9号を受けた省令第14条にあります。
  • 号は七つ並んでいますがただし書きは一つも置かれていません
  • 屋外に設ける燃料タンクは通気管や通気口の先端から雨水が入らないものとします。
  • 風道の給気口はじんあいの混入を防止するものとします。
  • 電気を使う設備は省令第17条の表によって残る号が一つだけになります。

令の第九号から省令第14条の七つの号と第17条の表をたどって残った号が自分の設備の基準になるまでの四つの手順をまとめた図解

雨水やほこりが入らない構造はどこで決められているのか

役所の建物と雨やほこりを浴びる屋外の機械を並べて条例の基準が降りてくる道筋を表した図
雨仕舞いは建築の話だと思われがちですが、消防法令の側にも構造の決まりがあります。
まず入口の条文を見てください。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第1項 (略) 九 対象火気設備等は、その種類ごとに総務省令で定めるところにより、その風道、燃料タンク等について、ほこり、雨水その他当該対象火気設備等の機能に支障を及ぼすおそれのあるものが入らないようにするための措置が講じられた構造とすること。 省令第14条 令第五条第一項第九号の規定により、対象火気設備等は、次の各号に定めるところにより、ほこり、雨水その他当該対象火気設備等の機能に支障を及ぼすおそれのあるものが入らないようにするための措置が講じられた構造としなければならない。
入口は令第5条第1項第9号です。
そこでは風道燃料タンク等という部位が名指しされ、ほこりと雨水が入らない構造にすることが求められています。
これを受けた省令が第14条で、柱書きは令の文言をほぼそのまま繰り返しています。
違うのは次の各号に定めるところによりという文言が入っている点で、具体の中身は七つの号に振り分けられています。
実際に義務を課すのは市町村の火災予防条例なので、条番号や表現は自治体ごとに違うことがあります。

ほこりと雨水が同じ条文に並んでいるのですね。

どちらも機能に支障を及ぼすものとして一括りにされています。
入ってはいけない場所が部位の側から決められています。

七つの号はどの設備にかかるのか

燃やす設備と電気を使う設備を仕切りで分けて号のかかり方が前半と後半で違うことを表した図
号は七つありますが、すべての設備に横並びでかかるわけではありません。
それぞれの号が設備の名前を呼んでいます。
省令第14条 (略) 二 炉(熱風炉に限る。)、ふろがま、温風暖房機、乾燥設備及び一般サウナ設備にあっては、その風道の給気口は、じんあいの混入を防止するものとすること。 三 ふろがまにあっては、かま内にすすが付着しにくく、かつ、目詰まりしにくいものとすること。 四 温風暖房機にあっては、加熱された空気に、火粉、煙、ガス等が混入しないものとすること。
七つの号は前半と後半で顔つきが変わります。
第1号から第4号までは燃やす側で、屋外の燃料タンクと、炉と、ふろがまと、温風暖房機と、乾燥設備と、一般サウナ設備を呼んでいます。
第5号から第7号までは電気を使う側で、蓄電池設備と、ネオン管灯設備の変圧器と、急速充電設備が並びます。
省令第3条は対象火気設備等を21種類あげていますが、第14条が名前を出しているのは八種類だけです。
名前の出てこない設備には、この条の中で当てはまる号がありません。

ボイラーやストーブは出てきませんね。

この条で名前を呼ばれているのは八種類だけです。
自分の設備の名前を先に探すのが早道です。

屋外の燃料タンクの通気管はなにを求められているのか

先端が上を向いた通気管と先端を下に向けた通気管を並べて雨水が入らない形を比べた図
最初の号は、屋外に置いた燃料タンクだけを呼んでいます。
その呼び方も限定的です。
省令第14条 (略) 一 燃料タンクを屋外に設ける場合にあっては、その通気管又は通気口の先端から雨水が浸入しないものとすること。
条文が押さえているのは先端の一点です。
タンク全体ではなく通気管又は通気口の先端から雨水が浸入しないことだけが書かれています。
屋外に設ける場合という条件が付いているので、屋内に置いたタンクはこの号から外れます。
先を下に向けるか覆いを付けるかといった方法までは条文に書かれていませんので、形は問われず結果として雨水が入らなければ足ります。
第14条には号が七つ並んでいますがただし書きは一つも置かれていませんので、号にあたる設備であればその号がそのままかかります。

つまり先端だけを見ればよいのですね。

ただし屋外のタンクに限った号です。
置き場所の確認が先になります。

電気を使う設備で残る号が一つだけになるのはなぜか

屋外の蓄電池盤とネオン管灯設備の変圧器と急速充電設備を並べて設備ごとに残る号が違うことを表した図
後半の三つの号は、屋外に置く電気の設備を呼んでいます。
ところがこの三つは、そのまま読むと当てになりません。
省令第14条 (略) 五 屋外に設ける蓄電池設備にあっては、その筐体は雨水等の浸入防止の措置が講じられたものとすること。 六 ネオン管灯設備の変圧器を雨のかかる場所に設ける場合にあっては、屋外用のものを選び、導線引き出し部が下向きとなるように設ける等、雨水の浸透を防止するために有効な措置が講じられたものとすること。 七 急速充電設備にあっては、その筐体は雨水等の浸入防止の措置が講じられたものとすること。 同第17条 令第五条第三項の規定により、次の表の上欄に掲げる対象火気設備等については、それぞれ同表の下欄に掲げる規定は適用しない。
第14条は第17条の表と一緒に読みます。
第17条は八つの設備を上欄にあげ、それぞれについて適用しない規定を下欄に書いています。
火花を生ずる設備と、放電加工機と、変電設備と、舞台装置等の電気設備については、第14条が丸ごと適用されません
残る四つは自分の号だけが生き残る形になっており、内燃機関を原動力とする発電設備は第1号、蓄電池設備は第5号、ネオン管灯設備は第6号、急速充電設備は第7号だけがかかります。
省令第17条が上欄にあげる設備第14条で残る号
火花を生ずる設備残らない
放電加工機残らない
変電設備残らない
舞台装置等の電気設備残らない
内燃機関を原動力とする発電設備第1号
蓄電池設備第5号
ネオン管灯設備第6号
急速充電設備第7号
適用されないからといって水を気にしなくてよいわけではありません。
省令第16条第5号は変電設備や蓄電池設備について、水が浸入し又は浸透するおそれのない位置に設けることを別に求めています。

表を見ないと自分の設備の基準が分からないのですね。

第14条だけを読んで終わらせないでください。
外れる号は設備ごとに違います。

明日からなにを確認すればよいのか

点検票を持つ人が屋外の燃料タンクの通気管と壁の給気口を見て回る様子を表した図
確認の順番は決まっています。
設備の名前から入ってください。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第1項 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。 省令第16条 (略) 五 燃料電池発電設備、変電設備、内燃機関を原動力とする発電設備及び蓄電池設備(建築設備を除く。)にあっては、水が浸入し、又は浸透するおそれのない位置に設けること。
見る順番は名前と表です。
はじめに自分の設備が省令第3条の21種類のどれに当たるかを決め、次に第14条の七つの号に名前が出ているかを探します。
名前が出ていたら第17条の表を開き、その号が外れていないかを確かめます。
残った号があれば、屋外の燃料タンクの通気管の先端、風道の給気口、ふろがまのかま内、屋外に置いた設備の筐体の順に現物を見ます。
令第5条第1項第11号は周囲の整理及び清掃にも触れているので、落ち葉や砂の溜まりも点検票に入れておくと立入検査で説明しやすくなります。

名前と表の二段構えで見ればよいのですね。

迷ったら所轄消防署に条例の条番号を確かめてください。
条文の並びは自治体ごとに違います。

よくある質問

Q屋内に置いた燃料タンクにも通気管の基準はかかりますか?
A省令第14条第1号は燃料タンクを屋外に設ける場合に限って先端からの雨水の浸入を求めています。屋内のタンクはこの号からは外れますが、燃料の漏れの防止と異物の除去は令第5条第1項第8号を受けた別の条で求められています。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Q蓄電池設備の筐体にはどんな措置をすればよいのですか?
A条文は雨水等の浸入防止の措置としか書いておらず、材料や工法といった具体の方法までは示していません。対象は屋外に設けるものに限られており、屋内に置く蓄電池設備は第5号から外れます。実際に何をもって足りるとするかは所轄消防署にご確認ください。
Q変電設備は第14条が適用されないので雨の対策は不要ですか?
Aそうではありません。省令第17条の表で第14条は適用されませんが、省令第16条第5号が変電設備について水が浸入し又は浸透するおそれのない位置に設けることを求めています。構造の側では外れても位置の側で別に効きます。
Q第14条にただし書きはありますか?
Aありません。第14条には号が七つ並んでいますがただし書きは一つも置かれていません。号の適用を外す仕組みは条の中ではなく、省令第17条の表の側に置かれています。

まとめ

雨水やほこりが入らない構造の基準は令第5条第1項第9号を受けた省令第14条にあります。
求められるのは風道や燃料タンク等に支障となるものが入らないことです。
号は七つで第1号から第4号までが燃やす側の設備を呼んでいます。
第5号から第7号までは屋外に置く電気の設備です。
省令第3条の21種類のうち第14条が名前を出すのは八種類だけです。
電気を使う設備は第17条の表によって残る号が一つになります。
自分の設備の名前を第14条で探すところから点検を始めてください。

さっそく通気管の先端を見てきます!

名前を探してから表を見る順番だけ守ってください
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第14条・第16条・第17条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
火を使う設備は雨水やほこりをどこまで防げばよいのか|屋外の燃料タンクと風道の給気口の基準を解説
建物の外に置いた燃料タンクや充電スタンドは、雨ざらしのまま何年も使われます。 その中に雨水やほこりが入ると、火を使う設備は思わぬ動きをします。 消防法令はそこにも構造の決まりを置き、七つの号に分けて書いています。 この記...