非常用発電機やボイラーの燃料タンクは、据えた日から何年も触らないままになりがちです。
ところが立入検査では、タンクの板の厚さや開閉弁の位置まで見られます。
これらを決めているのは市町村の火災予防条例で、もとになる基準は省令のたった一条にまとまっています。
この記事では燃料タンクと配管の構造に何が求められるのかを条文から解説します。
非常用発電機の燃料タンクについて板の厚さを聞かれました。
どこを見れば分かるのでしょうか。
板厚は容量の区分ごとに表で決められています。
その容量はタンクの大きさそのものではありません。
タンクの大きさとは違うのですか。
容量は内容積の90パーセントの量だと条文が定義しています。
ここを取り違えると表を一段読みちがえます。
- 燃料タンクと配管の構造は消防法施行令第5条第1項第8号を受けた省令第13条に置かれています。
- 板厚は容量の区分ごとに0.6ミリメートルから3.2ミリメートルまで表で決められています。
- その容量は燃料タンクの内容積の90パーセントの量だと同じ号が定義しています。
- タンク直近には容易に操作できる開閉弁を設け、配管かタンクにろ過装置を設けます。
- 六つの号のうち四つにただし書きがあり板厚と水抜きの二つには例外がありません。
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目次
燃料タンクと配管の構造はどこで決められているのか

入口になるのは消防法のたった一条です。
燃料を漏らさないことと、異物を取り除くことです。
その二つを果たすための具体の号が、第1号から第6号まで並んでいます。
気をつけたいのは配管の側で、建築設備を除くと括弧書きで外されています。
建物の設備として造られた配管まで同じ号で読むわけではないので、どこからが対象火気設備等の配管に当たるのかは所轄消防署に確かめてください。
燃料タンクだけ別に条があるのはなぜでしょうか。
距離や位置とは別に漏らさない構造そのものが求められているためです。
令第5条第1項は号ごとに違う角度から設備を見ています。
板厚は何によって決まるのか

その大きさの区切りが表になっています。
| 燃料タンクの容量 | 板厚 |
|---|---|
| 5リットル以下 | 0.6ミリメートル以上 |
| 5リットルを超え20リットル以下 | 0.8ミリメートル以上 |
| 20リットルを超え40リットル以下 | 1.0ミリメートル以上 |
| 40リットルを超え100リットル以下 | 1.2ミリメートル以上 |
| 100リットルを超え250リットル以下 | 1.6ミリメートル以上 |
| 250リットルを超え500リットル以下 | 2.0ミリメートル以上 |
| 500リットルを超え1,000リットル以下 | 2.3ミリメートル以上 |
| 1,000リットルを超え2,000リットル以下 | 2.6ミリメートル以上 |
| 2,000リットルを超えるもの | 3.2ミリメートル以上 |
いちばん小さい区分は5リットル以下で、それでも0.6ミリメートル以上の板が要ります。
いちばん大きい区分は2,000リットルを超えるもので、3.2ミリメートル以上です。
材質は鋼板又はこれと同等以上の強度を有する金属板と書かれているので、鋼板そのものでなくてもかまいません。
そのうえで気密に造ることまで同じ号が求めているので、厚みだけを満たしても足りない点に注意してください。
表は容量だけで決まり燃料の種類は関係ないのですね。
第1号は燃料の種類で書き分けていません。
ただし金属管の号のように燃料で分かれる号も同じ条にあります。
表の入口になる容量はどうやって数えるのか

条文はその場で容量を定義しています。
内容積の90パーセントの量が容量だと、括弧書きで定義されています。
たとえば内容積110リットルのタンクなら、容量は99リットルなので40リットルを超え100リットル以下の区分に入ります。
内容積の数字のまま表を引くと100リットルを超える区分で読むことになり、求められる板厚が1.2ミリメートルではなく1.6ミリメートルに見えてしまいます。
この定義には以下この条において同じと添えられているので、第13条の中だけで通用する数え方だという点も押さえておいてください。
内容積の九割が容量ということですね。
そのとおりです。
先に内容積を容量に換算してから表を引いてください。
実務で見落としやすいのはどこか

外れるかどうかを決めているのは、タンクの置き方と材質です。
板厚の第1号と、水抜きの第4号には例外が書かれていません。
一方で開閉弁は地下に埋設するタンクなら求められず、ろ過装置は設備の側に付いていれば重ねて設ける必要がありません。
さび止めも、アルミニウム合金やステンレス鋼のようにさびにくい材質で造られていれば講じなくてよいとされています。
さらに第13条の外にも号があり、屋外のタンクは省令第14条第1号で通気管や通気口の先端から雨水が入らないものとされ、液体燃料を使うもの(ストーブを除く)に係るタンクを屋内に設けるときは省令第16条第1号で不燃材料で造られた床上に設けることとされています。
うちのタンクは屋内の機械室に置いてあります。
床は何でもよいのでしょうか。
液体燃料を使う設備のタンクなら不燃材料で造られた床上とされています。
板張りの上に直接置いていないかを見てください。
明日からなにを確認すればよいのか

どれも工具を持たずに目で追える項目です。
はじめにタンクの銘板か図面で内容積を確かめ、その90パーセントを容量として表の区分に当てます。
次にタンクの外面を一周して、さびと塗装の傷みを見ます。
そのあと配管をたどり、タンク直近の開閉弁に手が届くかどうかと、ろ過装置がタンク側と設備側のどちらに付いているかを控えます。
最後に屋外のタンクなら通気管の先端の向き、屋内のタンクなら床の材質を見て写真に残しておくと、次の立入検査で説明が早く済みます。
内容積は銘板を見れば分かるのでしょうか。
銘板や仕様書に書かれていることが多いです。
見当たらなければメーカーか所轄消防署に確かめてください。
よくある質問
まとめ
タンクの銘板と床の材質を見てきます!
容量は内容積の90パーセントの量で数えます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第2条・第13条・第14条・第16条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





