立入検査で防災センターに入った検査員が、まず受信機の前の床を見ることがあります。
段ボールや脚立が置かれていると、その場で写真を撮られることもあります。
消防法は消防用設備等について、設置するだけでなく維持することまで関係者に求めているからです。
受信機のまわりの状態そのものが 自動火災報知設備の維持の問題になります
受信機の前に置いていた荷物のことを立入検査で言われました。
設備そのものは正常に動いているのに、なぜ指摘されるのでしょうか。
動くかどうかとは別に、消防法施行規則が維持の基準を置いているためです。
受信機の付近に操作上支障となる障害物がないことは、その基準にはっきり書かれています。
壁に貼ってある図面のことも聞かれました。
あれは掲示しておかないといけないものだったのですね。
それが警戒区域一覧図です。
受信機の付近に備えておくことと定められているので、外したままにはできません。
- 自動火災報知設備には設置の基準とは別に維持の基準が置かれています
- 受信機の付近に操作上支障となる障害物がないことが求められています
- 操作部の各スイッチが正常な位置にあることも維持の基準です
- 受信機の付近には警戒区域一覧図を備えておくこととされています
- 感知器は火災の感知を妨げるような措置がなされていないことが求められます
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目次
自動火災報知設備は設置したあとも基準がかかるのか

ところが消防法の条文は、設置と維持を並べて書いています。
自動火災報知設備を設置する建物は消防法施行令第21条で定められ、設置の細目は消防法施行規則第24条に置かれています。
そのうえで規則は第24条の2という別の条を立て、維持に関する技術上の基準をまとめています。
つまり工事のときに満たしていればよい基準と、日々の状態として保たなければならない基準が、条を分けて書き分けられているということです。
立入検査で受信機のまわりを見られるのは、この第24条の2があるからだと考えるとわかりやすくなります
設置の基準と維持の基準が別々にあるとは知りませんでした。
点検業者に任せていれば足りると思っていました。
点検は決められた周期で行うものです。
維持のほうは日々の状態の話なので、建物側で見ておく部分が残ります。
受信機のまわりはどこまで空けておくのか

規則が求めているのは、その床の状態そのものです。
規則は何メートル空けなさいという書き方をしておらず、操作上支障となる障害物がないことと定めています。
そのため扉が最後まで開くか、盤面のスイッチに手が届くか、火災の表示を正面から読めるかが判断のもとになります。
もう一つのロは、地区音響を止めたままにしていないかという話につながる項目で、スイッチが定位から外れていると盤面に注意を促す表示が出ます。
スイッチ注意の表示が点いたままの受信機は、火災が起きても想定どおりに働かないおそれがあるので、見つけたらその場で戻すか点検業者に連絡してください
盤面に注意の表示が出ていたのを見たことがあります。
あれは故障ではなかったのですね。
スイッチが定位から外れていることを知らせる表示です。
どのスイッチが戻っていないかわからないときは、触らずに点検業者へ連絡してください。
受信機のそばに警戒区域一覧図はいるのか

その番号を建物の場所に置き換えるための図面が必要になります。
規則は警戒区域一覧図を受信機の付近に備えておくことと定めていて、これは設置のときだけの話ではなく維持の基準として置かれています。
ただし書きがあり、総合操作盤が設置されている場合は要しないとされていますが、総合操作盤があるのは大規模な建物に限られます。
またアナログ式の中継器や受信機を使っている建物では、表示温度等設定一覧図も付近に備えておくこととされています。
改装で部屋の名称や区画が変わったのに図だけが古いままという建物は多いので、間取りを変えた記憶があるなら図と現場を突き合わせてください
一覧図はテナントが入れ替わったときのままになっています。
部屋の名前が今と違っていても問題ないでしょうか。
火災のときに場所を探せない図では役に立ちません。
区画を変えたなら感知器の配置も動いている可能性があるので、あわせて点検業者に見てもらってください。
感知器や発信機で見落としやすいのはどこか

規則は感知器と発信機についても維持の基準を置いています。
ほこりよけや塗装養生のためにかぶせた袋をそのままにしている建物がありますが、これは火災の感知を妨げる措置にあたります。
イのほうは配置の話で、炎感知器以外は感知区域が、炎感知器は監視空間または監視距離が適正であることを求めています。
監視空間は規則第23条第4項第7号の四ロに置かれた言葉で、壁で区画された区域の床面から高さ1.2メートルまでの空間を指すので、そこに背の高い棚を入れると条件が変わります。
発信機についても附近に操作上支障となる障害物がないように維持することとされているので、押しボタンの前に什器を寄せる置き方は避けてください
厨房の感知器に油よけの袋をかけたままにしていました。
汚れを防ぐためだったのですが、外したほうがよいのですね。
すぐ外してください。
汚れが問題になる場所には、その環境に合う感知器の種別があるので点検業者に相談するのが早道です。
明日からなにを確認すればよいのか

電源まわりは表示の色で見分けられるようになっています。
床の荷物をどけるだけで、規則が求める操作できる状態に戻ります。
次に盤面を見て電源の表示が点いているか、注意を促す表示が出ていないかを確かめ、非常電源や予備電源に異常の表示が出ていないかもあわせて見ておきます。
そのうえで一覧図が現在の間取りと合っているかを確かめ、合っていなければ次の点検のときに業者へ伝えてください。
気づいたことは日付と写真で残しておくと、立入検査で聞かれたときにそのまま説明の材料になります
つまり盤の状態と部屋の状態の両方を見ておけばよいのですね。
同じ位置から写真を撮って残しておきます。
その進め方で問題ありません。
毎回同じ位置から撮っておくと、荷物が少しずつ増えていく変化にも気づけます。
よくある質問
まとめ
さっそく受信機の前の荷物を片づけます。
警戒区域一覧図が今の間取りと合っているかも見てきます。
よい進め方です。
自動火災報知設備の点検や改修でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第4条第1項(立入検査)
- 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持)
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
- 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)
- 消防法施行規則第23条(自動火災報知設備の感知器等に関する基準)
- 消防法施行規則第24条(自動火災報知設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則第24条の2(自動火災報知設備の維持に関する技術上の基準)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





