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建物の下を道路が通っていても消火設備は要るのか|道路の用に供される部分の面積基準と区画の特例を解説

建物の下を道路が通り抜けている建物の外観

ビルの1階を車道がまっすぐ通り抜けている建物や、屋上に車路が載っている建物を見かけることがあります。
その部分は建物の一部でありながら、関係者以外の車がふだんから走っている場所です。
消防法施行令はここを道路の用に供される部分と呼び、床面積が一定以上になると特別な消火設備を求めています。
しかも求められるのは消火設備だけではありません

うちのビルは1階を市道が通り抜けています。
あの車道の部分も消防の設備の話に入ってくるのでしょうか。

入ってきます。
消防法施行令には道路の用に供される部分という区分があって、床面積で設備が決まります。

あそこは外とつながっていて雨も吹き込む場所です。
それでも建物の中と同じように見るのですね。

同じではありません。
広さの線も選べる設備も道路の部分だけの決まりで、区画すれば外れる特例まで用意されています。

この記事の結論
  • 消防法施行令にいう道路は道路法による道路に限られず、自動車の通行が可能な道路まで含まれる
  • 道路の用に供される部分は屋上部分が600平方メートル以上それ以外が400平方メートル以上で消火設備の対象になる
  • 選べるのは水噴霧と泡と不活性ガスと粉末の四種類で、ハロゲン化物消火設備は下欄に並んでいない
  • 同じ面積の線で自動火災報知設備もかかり、連結送水管は面積を問わず対象になる
  • 開口部のない耐火構造の床又は壁で区画しひさし等の措置をとれば適用されない規定がある

建物を通る道路の部分にかかる消火設備と自動火災報知設備と連結送水管をまとめた図解

消防法にいう道路の用に供される部分とはどこを指すのか

建物の下を道路が通り抜けている様子とその道路を走る車を示した図
道路と聞くと敷地の外を思い浮かべますが、消防法施行令が見ているのは建物の中を通る道路です。
まずどんな道路がこれに当たるのかを確かめます。
消防法施行規則第31条の8 令第十三条第一項の総務省令で定める道路は、次の各号の一に該当するものをいう。
一 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路
(略)
四 前各号に掲げるもののほか、交通の用に供される道路で自動車(道路運送車両法第二条第二項に規定するものをいう。)の通行が可能なもの
建物の中を通る道路も対象になります
消防法施行規則第31条の8は、消防法施行令第13条第1項がいう道路を四つの号で示しています。
道路法による道路のほか、土地区画整理法や都市計画法などによる道路、港湾法や道路運送法による道路が並びます。
そして第四号が交通の用に供される道路で自動車の通行が可能なものまで拾っているので、公道に限られません。
建物のどの範囲が道路の用に供される部分なのかを、まず平面図の上で線を引いて確かめてください。

敷地の中の通路でも道路になることがあるのですか。
公道だけだと思っていました。

第四号があるので公道には限られません。
車が通り抜けられる道かどうかで見ることになります。

道路の部分はどの広さから消火設備が要るのか

屋上に道路がある建物と下の階を道路が通り抜ける建物を並べた図
線を引いたら次は面積です。
屋上にあるかそれ以外かで基準の広さが変わります。
消防法施行令第13条第1項の表 別表第一に掲げる防火対象物の道路(車両の交通の用に供されるものであつて総務省令で定めるものに限る。以下同じ。)の用に供される部分で、床面積が、屋上部分にあつては六百平方メートル以上、それ以外の部分にあつては四百平方メートル以上のもの
屋上とそれ以外で線が違います
屋上部分は600平方メートル以上、それ以外の部分は400平方メートル以上が基準です。
数えるのは床面積で、道路として使われている部分の広さを見ます。
屋上のほうが基準の数字が大きいので、下の階や地階の道路のほうが早く基準に届きます。
延べ面積ではなくその部分の床面積なので、建物全体の規模とは切り離して測ってください。

車路の面積は測ったことがありませんでした。
図面の寸法から出せばよいですか。

それで結構です。
道路として使われている範囲を平面図で囲って床面積を出してください。

道路の部分ではどの消火設備を選ぶことになるのか

水噴霧のヘッドとガスの容器と粉末の貯蔵タンクを並べた図
基準に届いたら設備を選びます。
選べる種類は条文の下欄に書かれています。
消防法施行令第13条第1項 次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分には、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のうち、それぞれ当該下欄に掲げるもののいずれかを設置するものとする
同項の表のうち道路の用に供される部分の下欄 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備又は粉末消火設備
五種類のうち四種類から選ぶことになります
本文が挙げるのは水噴霧消火設備と泡消火設備と不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備と粉末消火設備の五種類です。
このうち道路の用に供される部分の下欄に並ぶのは四種類で、ハロゲン化物消火設備は入っていません。
下欄に並んでいるのはこの四種類なので、設備を決めるときはまずここから選ぶことになります。
既存の建物で車路に何が付いているのかを、消防用設備等点検結果報告書で確かめておいてください。

駐車場と同じ設備でよいと思っていました。
道路の部分だけ選べる種類が違うのですね。

下欄の並びが違います。
設計図書で何が選ばれているかを見ておくと話が早いです。

消火設備のほかにかかる設備を見落としていないか

天井の感知器と受信機と連結送水管の送水口を並べた図
道路の部分にかかるのは消火設備だけではありません。
同じ面積の線でかかる設備と、面積を問わずかかる設備があります。
消防法施行令第21条第1項第十二号 前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の道路の用に供される部分で、床面積が、屋上部分にあつては六百平方メートル以上、それ以外の部分にあつては四百平方メートル以上のもの
同令第29条第1項第五号 前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物で、道路の用に供される部分を有するもの
自動火災報知設備は同じ広さの線でかかります
消防法施行令第21条第1項第十二号が挙げる数字は、消火設備の表とまったく同じ600平方メートルと400平方メートルです。
一方で連結送水管は同令第29条第1項第五号にあり、面積の条件が付いていません。
道路の用に供される部分を有していれば、その一点で設置の対象になるという書き方です。
放水口の位置も同条第2項第一号ニで水平距離25メートル以下と定められているので、車路の長さによって必要な数が変わります。

連結送水管まで面積に関係なく入ってくるとは思いませんでした。
うちのビルにも送水口があります。

道路の部分があるだけで対象です。
送水口の表示と放水口の位置を一度たどっておいてください。

明日からなにを確かめればよいのか

開口部のない壁で仕切られた道路の部分と外壁にひさしが付いた建物を並べた図
最後に、外れる道が用意されていることを押さえます。
区画とひさしがそろえば適用されない規定があります。
消防法施行規則第33条 令第三十一条第二項第二号の総務省令で定める防火対象物の道路の用に供される部分は、次の各号に掲げる要件を満たすものとする。
一 防火対象物の道路の用に供される部分とその他の部分とが、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されていること
二 防火対象物の道路の用に供される部分の開口部に接する外壁は、耐火構造のひさし、床、そで壁その他これらに類するものにより、延焼防止上有効な措置がとられていること
同条第2項 前項の防火対象物の道路の用に供される部分については、屋上部分にあつては令第二章第三節第二款から第六款までの規定、その他の部分にあつては令第十三条から令第十六条まで、令第十八条、令第二十一条及び令第二十九条を除く令第二章第三節第二款から第六款までの規定は、適用しない。
屋上とそれ以外で外れる範囲が違います
屋上部分は第二款から第六款までの規定がまとめて適用されません。
それ以外の部分では令第13条から第16条まで・第18条・第21条・第29条が除かれているため、ここまで見てきた設備はそのまま残ります。
除かれている条に第17条は含まれていません。第17条はハロゲン化物消火設備の基準で、道路の下欄にもこの設備は並んでいませんでした。
明日はまず平面図で道路の部分を囲み、床面積と区画とひさしの有無を確かめて、判断に迷うところは所轄消防署にご確認ください。

区画すれば設備が要らなくなる場合があるのですね。
うちの車路は壁で仕切られていません。

区画とひさしの両方が要件です。
まずは今の造りを図面で確かめるところから始めましょう。

よくある質問

Q敷地の中の私道でも道路の用に供される部分になりますか?
Aなることがあります。消防法施行規則第31条の8第四号は交通の用に供される道路で自動車の通行が可能なものを掲げており、道路法による道路に限っていません。実際に当たるかどうかは所轄消防署にご確認ください。
Q屋上の車路が600平方メートルに届かなければ何も要らないのですか?
A消火設備と自動火災報知設備はその面積が基準ですが、連結送水管は別です。消防法施行令第29条第1項第五号は道路の用に供される部分を有するものとだけ定めており、面積の条件が付いていません。
Q選べる消火設備にハロゲン化物消火設備が入っていないのはなぜですか?
A理由までは条文に書かれていません。分かるのは、消防法施行令第13条第1項の本文が挙げる五種類のうち、道路の用に供される部分の下欄に並ぶのが水噴霧と泡と不活性ガスと粉末の四種類だという事実です。
Q区画すれば必ず設備が要らなくなるのですか?
A必ずではありません。消防法施行規則第33条第2項が適用しないとしているのは、屋上部分では令第二章第三節第二款から第六款までの規定ですが、それ以外の部分では令第13条から第16条まで・第18条・第21条・第29条が除かれています。

まとめ

消防法施行令にいう道路は道路法による道路に限られず、自動車の通行が可能な道路まで含まれる
道路の用に供される部分は屋上部分が600平方メートル以上それ以外が400平方メートル以上で消火設備の対象になる
選べるのは水噴霧と泡と不活性ガスと粉末の四種類でハロゲン化物消火設備は下欄に並んでいない
自動火災報知設備も同じ600平方メートルと400平方メートルの線でかかる
連結送水管は面積の条件がなく道路の用に供される部分を有していれば対象になる
連結送水管の放水口までの水平距離は25メートル以下と定められている
開口部のない耐火構造の床又は壁による区画とひさし等の措置があれば適用されない規定がある

明日いちばんに平面図で車路の範囲を囲って床面積を出してみます。

そこまで出れば次の打ち合わせが早く進みます。
迷うところがあれば㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第13条第1項・第21条第1項第十二号・第29条第1項第五号及び第2項第一号・第31条第2項第二号
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の8・第33条
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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