給油取扱所へ燃料を運ぶタンクローリーの単独荷卸しについて、消防への確認が増えています。
乗務員が危険物取扱者の立会いなしで荷卸しを行える制度ですが、条件を満たさなければ認められません。
実際に異なる油種を誤って地下タンクへ注入する事故が起き、消防庁は安全対策設備の基準を見直しています。
通知が示したのは設備と教育訓練の両方がそろって初めて単独荷卸しが認められるという線引きです。
うちのスタンドでも、運転手さんが一人で荷卸ししていくことがあります。
あれは本当に大丈夫なのでしょうか。
一定の条件を満たした場合に限って認められています。
設備と教育のどちらか一方だけでは足りません。
うちの設備がその条件を満たしているのか、正直分かっていません。
そこから確認していきましょう。
対象・設備・予防規程・確認の順に、通知の中身を見ていきます。
- 単独荷卸しを行えるのは給油取扱所・地下タンクを有する製造所や一般取扱所・地下タンク貯蔵所に限られます
- 対象になる危険物はガソリン・灯油・軽油・重油の4種類だけです
- 荷卸しにはコンタミ防止装置など5種類の安全対策設備の設置が前提になります
- 乗務員・運行管理者・危険物保安監督者への教育訓練が欠かせません
- 予防規程(または単独荷卸し実施規程)に定めていない状態で行っていると消防機関から中止を指導されます
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目次
単独荷卸しの通知はなぜ改正されたのか

その後、油種を取り違えて地下タンクへ注入する事故が相次いだことで、内容が大きく見直されています。
異なる油種を誤って地下タンクへ注入してしまう、いわゆるコンタミ事故が発生したことが直接のきっかけです。
消防庁は平成27・28年度に危険物保安技術協会で検討委員会を開き、安全対策設備と教育訓練のあり方を調査しました。
その結果を踏まえた平成30年3月消防危第44号の改正で、設備に求める機能と教育内容が具体的に拡充されています。
つまり単独荷卸しは、一度認められた制度がそのまま続いているのではなく、事故のたびに条件が積み上がってきた制度だということです。
単独で荷卸しって、そんなに新しい話じゃない気がしていました。
制度自体は平成17年からありますが、中身は事故のたびに更新されています。
どの施設のどの荷卸しが単独荷卸しの対象になるのか

対象になる施設と危険物は、通知のなかであらかじめ絞り込まれています。
給油取扱所のほか、地下タンクを持つ製造所・一般取扱所、そして地下タンク貯蔵所が対象です。
危険物もガソリン・灯油・軽油・重油の4種類だけに限られており、それ以外の危険物では単独荷卸しは認められません。
地上タンクへの荷卸しや、対象外の危険物を扱う施設は通知の対象外なので、従来どおり立会いが必要になります。
自社の施設がどの区分に当てはまるかを最初に確認しておくと、以降の設備・教育の話がスムーズに進みます。
うちは地上タンクなので、対象にはならないんですね。
はい。
地上タンクは今回の単独荷卸しの対象には含まれません。
安全対策設備は何を備えればよいのか

通知は具体的な安全対策設備を5種類挙げています。
コンタミ防止装置は油種の取り違えそのものを防ぐ装置で、過剰注入防止設備とあわせて乗務員1人でも安全に操作できることが条件です。
タンク貯蔵量表示装置と照明設備は、荷卸し中の状況を乗務員自身が確認できるようにするための設備です。
防災設備は事故が起きたときの初動を支える設備一式で、給油取扱所等の見取図・消火器・乾燥砂または油吸着材・緊急用電話・通報連絡の手順書までがセットになります。
新設だけでなく、既存の設備が平成30年の改正基準を満たしているかも、あわせて点検しておく必要があります。
消火器や乾燥砂まで、荷卸しのためだけに用意するんですか。
はい。
乗務員が一人で対応する分、初動対応の備えが手厚く求められます。
予防規程を整えないまま行うとどうなるのか

単独荷卸しを行う給油取扱所等は、予防規程にもその仕組みを書き込む必要があります。
予防規程を立会荷卸しのままにしていたり、単独荷卸し実施規程を作らずに運用していたりすると、消防機関から即座の中止指導を受けます。
予防規程には危険物の規制に関する規則第60条の2に沿って、教育・設備の維持管理・実施方法・異常時対応・体制の各項目を書き込むことが求められています。
それでも改善が見られない場合は、危険物保安監督者の解任命令や施設の使用停止命令まで検討されるという重い措置につながります。
「設備は入れたが書類は後回し」という状態が、実務でいちばん見落とされやすい落とし穴です。
設備さえ入れておけば大丈夫だと思っていました。
それだけでは足りません。
予防規程への記載までそろって初めて認められます。
明日から単独荷卸しのなにを確認すればよいのか

根拠になるのは、教育や設備の維持管理を予防規程の記載事項として求めた条文です。
石油供給者又は運送業者は、安全対策設備と教育訓練の仕組みを構築し、乗務員へ知識・技術を証明する書類を交付する役目を負います。
給油取扱所等の所有者等は、停車・作業場所の確保、設備の維持管理、危険物保安監督者と従業員への教育訓練を担当します。
どちらの立場でも、教育訓練の実施記録と設備の点検記録を残しておくことが、指導を受けたときの説明材料になります。
自社がどちらの立場に当たるかを整理し、予防規程の添付書類が最新の状態になっているかを確認するところから始めてください。
つまり、うちは給油取扱所側として設備の維持管理と教育が中心になるんですね。
そのとおりです。
記録を残しておけば、確認を求められたときにも慌てずに済みます。
よくある質問
まとめ
対象・設備・予防規程・確認の4点を見ればいいと分かりました。
すっきりしました。
その4点を最初に整理しておけば、単独荷卸しの導入や見直しがスムーズに進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 給油取扱所等における単独荷卸しに係る運用について(平成17年10月26日 消防危第245号 消防庁危険物保安室長)
- 「給油取扱所等における単独荷卸しに係る運用について」の一部改正について(平成30年3月30日 消防危第44号 消防庁危険物保安室長)
- 消防法第10条第4項
- 危険物の規制に関する規則第60条の2第1項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





