自主表示対象機械器具等とは、動力消防ポンプや消防用ホースなど、政令で指定された消防用の機械器具等を指します。
検定対象機械器具等とは違い、製造者や輸入者が自ら形状等を確認して表示を付ける仕組みです。
ただし表示を誤って使うと、総務大臣から除去や回収を命じられ、拒めば罰則の対象にもなります。
この記事では自主表示制度が販売業者や工事業者にどこまで義務を課しているのかを消防法の条文に沿って整理します
うちで使っている消防用ホースにも、自主表示のマークが付いているはずなんですが。
はい、動力消防ポンプや消防用ホースなど6品目が対象です。
表示の意味から一緒に確認しましょう。
表示さえ付いていれば、もう安心ということでしょうか。
そうとは限りません。
紛らわしい表示には総務大臣の命令が及びます。
- 動力消防ポンプ・消防用ホース・消防用吸管・結合金具・エアゾール式簡易消火具・漏電火災警報器の6品目が自主表示対象機械器具等に指定されている
- 表示を付けられるのは製造又は輸入を業とする者が自ら検査して確認した場合だけである
- 何人も紛らわしい表示を付けてはならず、違反があれば総務大臣が除去や消印を命じることができる
- 重大な支障が生ずるおそれがあるときは、除去だけでなく自主表示対象機械器具等そのものの回収が命じられることがある
- 報告や立入検査を拒んだり除去命令に違反すると30万円以下の罰金又は拘留、回収命令に違反すると1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になる
▼
目次
自主表示対象機械器具等とは何を指すのか

消防用の機械器具等には、国の検定を受ける仕組みとは別に、製造者が自ら確認する仕組みがあります。
これが自主表示対象機械器具等です。
対象になるのは政令が指定した6品目だけです。
消防法施行令第41条は動力消防ポンプ・消防用ホース・消防用吸管・結合金具・エアゾール式簡易消火具・漏電火災警報器の6品目を自主表示対象機械器具等に指定しています。
これに対して消火器や住宅用防災警報器、閉鎖型スプリンクラーヘッドなどは検定対象機械器具等という別の区分で、国が登録した検定機関が個別に検査します。
自主表示対象機械器具等は、次条の表示が付いていなければ販売や販売目的の陳列そのものができません。
まずは自分の建物にある設備がどちらの区分に当たるのかを確かめておきましょう。
検定対象機械器具等とは別の仕組みなのですね。
はい、確認する主体が違います。
次は誰が表示を付けられるのかを見ていきましょう。
表示は誰がどうやって付けるのか

表示を付けられるのは誰でもよいわけではありません。
条文には自ら確認する者の範囲がはっきり書かれています。
表示を付けられるのは製造や輸入を業とする者だけです。
自らの責任で技術上の規格に適合するかどうかを検査し、適合すると確認できた場合に総務省令で定める表示を付けます。
条文が「何人も」と定めているとおり、この禁止は販売店や工事業者を含む誰にでも及びます。
検査に係る記録の作成と保存も製造者や輸入者に義務付けられており、あとから経緯を確認できるようにされています。
自分で表示を作って貼り直すような行為は、たとえ善意であっても認められません。
何人もというのは、販売店だけの話ではないのですか。
そのとおりです。
製造者や輸入者以外の人が表示を付けることも禁じられています。
紛らわしい表示があるとどんな命令が出るのか

表示が付いていても、それが正しいとは限りません。
紛らわしい表示に対しては、国が直接動く仕組みが用意されています。
命令を出すのは総務大臣です。
対象は販売業者等の事務所・事業所・倉庫にある在庫品で、店頭に並ぶ前のものも含まれます。
命じられる措置は表示の除去または消印の2通りで、いずれも紛らわしい表示そのものを無効化する処分です。
命令の対象になるのは表示を付けた本人だけでなく、それを保管している販売業者等も含まれる点に注意が必要です。
仕入れた製品の表示に見覚えのない形式が混じっていたら、その時点で確認しておくと安心です。
紛らわしい表示があると、どんな命令が出るのでしょうか。
総務大臣が除去や消印を命じることができます。
倉庫にある在庫も対象になります。
重大な支障のおそれがあるときは何が命じられるのか

除去や消印だけでは済まない場合もあります。
危険の程度によっては、製品そのものを追う命令に発展します。
回収命令は除去命令よりも重い措置です。
表示のない自主表示対象機械器具等が既に販売され、あるいは工事に使われてしまった場合が対象になります。
火災の予防・警戒・消火・人命の救助等に重大な支障が生ずるおそれがあると認められることが発動の条件です。
命じられるのは回収そのものに限らず、支障の発生を防止するために必要なその他の措置も含まれます。
販売した後だからといって責任が消えるわけではないことがこの条文の核心です。
除去だけでは済まないこともあるのですね。
重大な支障のおそれがあれば回収命令まで及びます。
販売した後でも対象になります。
検査を拒んだらどうなるのか

命令に従わなかったときの手当ても用意されています。
確認の手段と、拒んだ場合の扱いを見ておきましょう。
報告や立入検査を拒むと罰則の対象になります。
消防法第44条第16号は、この報告や立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者を30万円以下の罰金又は拘留に処すると定めています。
同条第17号は、除去命令に違反した者にも同じ罰則を科していますが、回収命令に違反した場合は第44条ではなく第41条第7号が適用され、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金というより重い罰則の対象になります。
立ち入る職員は身分を示す証明書を提示する義務があり、提示を求めること自体は正当な対応です。
明日からは、仕入れの記録と表示の写しを保管し、確認を求められたらすぐ出せるようにしておきましょう。
検査を断ることはできないのでしょうか。
正当な理由なく拒めば罰則の対象です。
身分証の提示を求めることはできますが、検査自体は拒めません。
よくある質問
まとめ
表示ひとつでここまで責任が変わるとは知りませんでした!
表示の確認は導入前の一手間で済みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の16の2・第21条の16の3・第21条の16の5・第21条の16の6・第21条の16の7・第41条第7号・第44条第16号・第44条第17号 e-Gov法令検索
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第41条(自主表示対象機械器具等の範囲) e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





