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家庭用ガス機器はなぜ合格表示品を選ぶべきなのか|消防庁の設置基準が定める禁止設置と工事の資格を解説

家庭用ガス機器はなぜ合格表示品を選ぶべきなのか|設置基準が定める禁止設置と工事の資格

家庭のガス機器を買い替えるとき、設置基準まで意識する方は多くありません。
消防庁は昭和58年、機種の多様化に対応するため「ガス機器の設置基準」を全国の消防機関に示しました。
基準は合格表示品の使用や禁止される設置場所、接続工事の資格まで細かく定めています。
この記事では、対象になるガス機器と実務で見落としやすい禁止設置を解説します。

古いガス湯沸器を、そろそろ買い替えようと思っているんですが。
何を確認すればいいですか。

まずは合格表示が付いた機器かどうか確認してください。

設置場所は業者に任せておけば大丈夫ですよね。

いいえ、設置禁止の場所もあるので一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • 消防庁は昭和58年、財団法人日本ガス機器検査協会の調査研究を踏まえて「ガス機器の設置基準について」(昭和58年1月8日 消防予第2号)を通知しました。
  • 対象は都市ガス・液化石油ガスを使う一般住居用のガス機器で、検定合格表示やJIS表示など公的な合格表示を受けたものに限られます。
  • 開放式・半密閉式のガス湯沸器は、ガスこんろの直上や浴室内への設置が禁止されています。
  • ガス機器の接続工事は、液化石油ガス設備士や熟練した配管技能者など有資格者が行うべきこととされています。
  • この基準は平成17年8月の消防予第215号改正まで複数回見直されており、現在も火災予防条例の運用の土台になっています。

ガス機器の設置基準が求める合格表示の確認・禁止設置の回避・有資格者による接続工事・点検の4つのポイントを示した図解

ガス機器の設置基準はなぜ改正を重ねてきたのか

様々な種類のガス機器が並ぶ様子と、消防庁の職員が基準書類を確認しているイラスト
家庭のガスこんろや給湯器は、年々機種や構造が増えています。
消防庁はこの変化に対応するため、基準づくりに動きました。
ガス機器の設置基準について(通知)(昭和58年1月8日 消防予第2号 消防庁予防救急課長、改正:昭和62年7月消防予第104号・平成元年11月消防予第128号・平成2年9月消防予第132号・平成7年3月消防予第37号・平成17年8月消防予第215号) 近年、一般の住居で用いられるガスを消費する機器(以下「ガス機器」という。)については、機種及び構造がきわめて多様化してきており、その設置方法も、従来のガス機器の設置方法の範ちゅうでは、捉えきれなくなりつつある。(略)このため、消防庁は、通商産業省及び建設省と協力して、財団法人日本ガス機器検査協会に設置された「ガス消費機器設置基準調査委員会」において、その設置方法等に関する調査研究を行ってきたところであるが、このたび、別添「ガス機器の設置基準」としてまとめられたので送付する
この基準は、増え続けるガス機器の種類に対応するために作られました。
背景には、都市ガス・液化石油ガスを問わず、家庭用ガス機器の機種や設置方法が急速に多様化してきた事情があります。
消防庁は財団法人日本ガス機器検査協会に調査委員会を設け、通商産業省・建設省とも協力して基準をまとめました。
昭和58年の策定以降、平成17年の改正まで複数回見直され、現在の火災予防条例の運用にもつながっています。

消防庁がガス機器の基準まで作っているんですか。

はい、火災予防条例の土台になっているんです。

どんなガス機器が対象になるのか

ガスこんろや給湯器などの機器に合格表示のラベルが貼られている様子のイラスト
対象になるガス機器には条件があります。
まずは適用範囲と、必要な表示を確認します。
2 適用 2-1 適用範囲 本書は、都市ガス及び液化石油ガスを使用する家庭用又はこれに準ずる用途のガス機器の設置に関して規定するものである。 2-2 対象ガス機器等 本書を適用するガス機器等は、次のいずれかの合格表示を施したものである。(略)(財)日本ガス機器検査協会(JIA)、(財)日本エルピーガス機器検査協会(LIA)等の公的検査機関の行う検査合格表示品
対象は、一般家庭で使う都市ガス・液化石油ガス機器に限られます。
ガスこんろ・ガス湯沸器・ガスふろがま・ガスストーブ・ガス衣類乾燥機などが代表例です。
飲食店などの業務用ガス機器は、別の基準(業務用ガス機器の設置基準について)で扱われます。
機器を選ぶときは、検定合格表示やJIS表示など、いずれかの合格表示があるかをまず確認してください。

中古で買ったガスコンロなんですが、対象になりますか。

合格表示があれば対象です。
表示を確認してみてください。

設置基準は具体的に何を求めているのか

ガス湯沸器を壁から一定の距離を空けて設置している様子のイラスト
合格表示のほかにも、設置場所そのものに関する決まりがあります。
代表的な禁止設置を確認します。
3-5-3 ガス湯沸器のガスこんろ等の直上設置の禁止 開放式及び半密閉式ガス湯沸器は、ガスこんろ、ガスレンジ等の直上等、燃焼排ガスの上昇する位置に有効な防護措置なしに設置しないこと。 3-5-4 ガス湯沸器の浴室内設置 開放式及び半密閉式ガス湯沸器は、浴室内に設置しないこと。 3-5-5 屋外用ガス機器の屋内設置 屋外用ガス機器は、屋内に設置しないこと
ガス湯沸器は、ガスこんろの真上や浴室の中に置いてはいけません。
燃焼排ガスの熱を受け続ける位置や、換気の悪い浴室内は、不完全燃焼による一酸化炭素中毒の危険が高まるためです。
屋外専用の表示があるガス機器も、屋内へ持ち込んで使うことは認められていません。
このほか、壁や家具など可燃材料との離隔距離も、機器の種類ごとに細かく定められています。

給湯器はお風呂の中に置いた方が省スペースになりそうなんですが。

それは禁止された設置です。
別の場所を検討しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

資格を持つ作業員がガス機器を接続する様子と、無資格の人物が配管を触ろうとしている様子を並べたイラスト
機器を選び、置き場所を決めても、工事のやり方を誤ると基準を満たしません。
接続工事にも決まりがあります。
2-2-1 ガス接続 金属管、金属フレキシブルホース、LPガス燃焼器接続用継手付ホース又は機器接続ガス栓を用いてガス機器を接続する工事は、液化石油ガス設備士が行うこと。金属管、金属可とう管、強化ガスホース又は機器接続ガス栓を用いてガス機器を接続する工事は、熟練した配管技能者が行うものとする。 2-2-3 電気接続 ガス機器の電気接続工事は、コード(移動電線)等による軽微な接続工事を除き、電気工事士が行わなければならない
ガス機器の接続工事は、誰が行ってもよいわけではありません。
ガスの接続は液化石油ガス設備士や熟練した配管技能者、電気の接続は電気工事士が担うこととされています。
水道に直結する機器の給水接続も、水道事業者が指定する工事者が行うものとされています。
自分で配管をつなぎ替えたり、資格の無い業者に依頼したりすると、この基準を満たさなくなります。

知り合いに頼んで自分たちで配管をつなげようと思っていました。

それは基準に反します。
有資格者に依頼してください。

明日からなにを確認すればよいのか

住人がガス機器の合格表示ラベルを確認しながら点検チェックリストに記入している様子のイラスト
最後に、実際に確認すべきポイントを整理します。
新しく機器を選ぶときと、今ある機器を見直すときの両方で使えます。
6-1-6-1-1 経年ガス用ゴム管の使用禁止 ひび割れ、軟化等老化したガス用ゴム管は用いないこと
まずは今使っている機器に合格表示があるかを確認しましょう。
新しく機器を選ぶときは、検定合格表示やJIS表示のあるものを選んでください。
接続を業者に依頼するときは、有資格者かどうかも確認しておくと安心です。
ガス用ゴム管にひび割れや硬化がないかも、あわせて点検しておきましょう。

これで買い替えのときも安心して選べます。

ぜひ合格表示を確認してから選んでみてください。

よくある質問

Q業務用のガス機器も同じ基準が適用されるのか?
Aいいえ、業務用ガス機器には別の基準「業務用ガス機器の設置基準について」が定められており、対象や離隔距離の数値が異なります。
Q合格表示の無い並行輸入品のガス機器は使えないのか?
A基準は検定合格表示やJIS表示などいずれかの合格表示があるものを対象としており、表示の無い機器は基準を満たしません。
Qガス湯沸器を浴室の外に出せば設置場所の制限は無くなるのか?
A浴室外でも、燃焼排ガスの上がるガスこんろの直上など、有効な防護措置のない位置への設置は認められません。
Q自分でガス機器の配管をつなぎ替えてもよいのか?
A認められません。ガスの接続工事は液化石油ガス設備士や熟練した配管技能者が行うこととされています。

まとめ

消防庁は昭和58年、「ガス機器の設置基準について」(昭和58年1月8日 消防予第2号)を通知し、家庭用ガス機器の設置方法を全国で統一する指導方針を示しました
対象は都市ガス・液化石油ガスを使う一般住居用のガス機器で、検定合格表示やJIS表示などの合格表示品に限られます。
開放式・半密閉式のガス湯沸器は、ガスこんろの直上や浴室内への設置が禁止されています
屋外用ガス機器を屋内に設置することも認められていません。
ガス機器の接続工事は、液化石油ガス設備士や熟練した配管技能者、電気工事士など有資格者が行うこととされています
ひび割れや老化したガス用ゴム管は使用してはならないとされています。
この基準は平成17年8月の消防予第215号改正まで複数回見直され、火災予防条例の運用の土台になっています

合格表示の見方までよく分かりました。

ガス機器の点検まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • ガス機器の設置基準について(通知)(昭和58年1月8日 消防予第2号 消防庁予防救急課長、改正:昭和62年7月消防予第104号・平成元年11月消防予第128号・平成2年9月消防予第132号・平成7年3月消防予第37号・平成17年8月消防予第215号)
  • 消防法第9条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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