3階建て以上の共同住宅では、住戸のキッチンにあるガスせんにも建築基準法施行令で特別な基準が課されています。
一戸建てや低層のアパートとは違い、ガスせんの構造そのものが条文で指定されているのです。
金属管で接続しなければならないのか、それとも別の方法でよいのか、条文をたどらないと判断がつきません。
条文を読み解くと、実は金属管接続以外にも認められた方法があることが見えてきます。
うちのマンションは4階建てなんですが、キッチンのガスせんにも何か特別な基準があるんでしょうか。
あります。
3階以上の共同住宅の住戸に設けるガスせんには、構造の基準が定められています。
金属の管でつながっていないとだめということですか。
金属管接続が原則ですが、別の方法で足りる場合もあります。
順番に見ていきましょう。
- 建築基準法施行令第129条の2の4第1項第8号により、3階以上の共同住宅の住戸に設けるガスせんには構造の基準があります
- 基準を満たす方法のひとつはねじ接合できる金属管や強化ガスホースを使うことです
- 過流出安全弁など、ガスが過流出したときに自動的に止まる機構を備える方法でもかまいません
- ガス漏れ警報設備を基準どおりに設置すれば、この構造基準そのものが適用除外になります
- バルコニーなど漏れたガスが滞留しない場所のガスせんはそもそも対象外です
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目次
3階以上の共同住宅のガスせんはなぜ特別な基準があるのか

ところが一定の高さを超える共同住宅になると、話が変わります。
対象になるのは、3階以上の階を共同住宅として使っている建築物の住戸です。
2階建て以下の共同住宅や、一戸建て住宅にはこの基準は適用されません。
高さのある共同住宅ほどガス漏れによる被害が住戸をまたいで広がりやすいことが、基準が上乗せされる理由と考えられます。
自分の建物が対象に当たるかどうかは、まず階数を確認するところから始めます。
うちは5階建てのマンションです。
やっぱり対象になりますよね。
はい、対象になります。
3階以上であれば、規模を問わず基準がかかります。
どの場所のガスせんが対象になるのか

すべてのガスせんが同じ基準の対象になるわけではありません。
キッチンなど、壁や天井に囲まれた室内に設けるガスせんがこれに当たります。
一方、バルコニーなど外気に開放されていて漏れたガスがたまりにくい場所のガスせんは、この基準の対象から除かれています。
給湯器の元栓がバルコニーに出ているケースは対象外になりやすい一方、キッチンや洗面所などの屋内のガスせんは対象になりやすいところです。
自分の住戸のどのガスせんが屋内にあるかを、まず洗い出してみてください。
バルコニーの給湯器のガスせんも対象になるんですか。
漏れたガスがたまりにくい場所なら対象外です。
屋内のガスせんを優先して確認してください。
ガスせんの構造基準は何を求めているのか

条文が挙げる方法は2つです。
第一号は、ゴムホースではなく金属管や金属フレキ管でねじ接合する方法です。
第二号は、ガスが異常に流れ出たときに自動的に止まる機構を備える方法で、こちらは接続材料そのものは問いません。
どちらか一方を満たしていれば足り、両方を備える必要はありません。
設備を入れ替えるときは、どちらの方法で基準を満たすのかを施工業者に確認しておくと手戻りがありません。
うちのガスせんはゴムホースでつながっているんですが、それだと基準を満たさないんですか。
対象の住戸なら単なるゴムホース接続では基準を満たしません。
金属管か安全弁の機構が必要です。
ガス漏れ警報設備を付ければ基準を満たさなくてよいのか

ただし、免除されるための条件は決して緩くありません。
ここでいう基準どおりとは、検知部の設置位置や警報音の大きさなど、告示が細かく定める要件をすべて満たすことです。
ガスせんからの水平距離や天井からの高さなど、検知部を置ける場所も限定されています。
「警報器を置いておけばよい」という理解だけで設置すると、実は要件を満たしておらず、ガスせんの構造も警報設備もどちらも基準を満たさない状態になりかねません。
警報設備で代える場合は、設置基準の細目まで確認してから進めることが欠かせません。
警報器さえ置けばガスせんはそのままでいいってことですか。
置く場所や性能が告示の基準どおりである必要があります。
自己判断で設置するのは避けてください。
実務で何を確認すればよいのか

確認しておきたいポイントを整理します。
- 自分の建物が3階以上の共同住宅に当たるかどうか
- 住戸のどのガスせんが屋内(対象)で、どれがバルコニー等(対象外)か
- 屋内のガスせんが金属管等での接続か過流出安全弁のどちらかを満たしているか
- いずれも満たしていない場合、基準どおりのガス漏れ警報設備で代えられているか
対象になる場合は、住戸のガスせんが金属管接続か過流出安全弁のどちらかを満たしているかを確認します。
どちらも満たしておらず、ガス漏れ警報設備も基準を満たしていない場合は、早めにガス事業者や設備業者へ相談してください。
古い建物では、リフォーム時にガスせんが交換されておらず基準を満たしていないケースもあります。
判断に迷う場合は、管理会社やガス事業者に現地確認を依頼することをおすすめします。
まずはうちのガスせんがどちらのタイプか確認してみます。
それが確実です。
分からない場合はガス事業者に相談してください。
よくある質問
まとめ
まずはうちのガスせんが金属管接続かどうか確認してみます!
分からないときはガス事業者や設備業者に相談するのが確実です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第129条の2の4第1項第8号
- 三階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備の基準(昭和56年建設省告示第1099号、昭和62年建設省告示第1925号改正)
- 国土交通省 建築基準法関係告示
※本記事は公表されている法令および国の告示に基づく一般的な解説です。建物ごとの設備状況によって対応が異なる場合があります。個別の判断は施工業者やガス事業者にご確認ください。





