自衛消防組織の編成に化学消防自動車を数えるとき、その車両はどんな消防車でもよいとお考えでしょうか。
実は「化学消防自動車」と呼べるかどうかにも、消火の放射能力や搭載する薬剤の量まで細かい基準があります。
泡を出す車と粉末を出す車では基準の中身も変わり、台数の割合にも決まりがあります。
この記事では危険物の規制に関する規則第65条が定める、化学消防自動車として数えるための性能基準を整理します。
うちにある消防車を化学消防自動車として数えてもいいのか、正直よくわからないんです。
ただの消防車ではだめですよ。
規則第65条に決められた性能基準を満たす必要があります。
性能基準って、具体的にはどんな内容なんでしょうか。
放射能力・設備の固定・備蓄量など、全部で5つの基準があります。
順番に見ていきましょう。
- 自衛消防組織に数える化学消防自動車は、ただの消防車ではなく規則が定める性能基準を満たす車両でなければなりません。
- 具体的な基準は危険物の規制に関する規則第65条が定めています。
- 泡を放射する車は毎分2,000リットル以上、粉末を放射する車は毎秒35キログラム以上の放射能力が必要です。
- 薬液槽や粉末槽、加圧用ガス設備は車体に固定しておく必要があります。
- 化学消防自動車の台数のうち、三分の二以上は泡を放射するタイプでなければなりません。
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目次
化学消防自動車と名乗るだけでは足りないのか

ですがどんな消防車でも「化学消防自動車」として数えられるわけではありません。
危険物の規制に関する政令第38条の2第2項は、自衛消防組織に置く化学消防自動車の消火能力・設備の基準を総務省令に委ねています。
その総務省令にあたるのが、危険物の規制に関する規則第65条です。
条文は号ごとに、放射能力・設備の固定・備蓄量・台数の割合・移送取扱所固有の装備という5つの基準を定めています。
まずは最初の基準である放射能力から見ていきます。
車が化学消防自動車って呼べるかどうかは、見た目だけでは判断できないんですね。
見た目では判断できません。
規則第65条の基準を満たしているかで判断します。
放射能力はどんな基準を満たす必要があるのか

まずは泡と粉末、それぞれの放射能力を確認します。
泡を放射する車は毎分2,000リットル以上の放水能力、粉末を放射する車は毎秒35キログラム以上の放射能力が最低ラインです。
この数値を下回る車両は、たとえ現場で使えても化学消防自動車としては数えられません。
自社の車両にカタログ値や検査記録が残っているか、まず確認してください。
数値が確認できない車両は、メーカーや納入業者に問い合わせて裏付けを取っておくと安心です。
うちの車、カタログにその数値が書いてあったか記憶が曖昧です。
車検証だけでは分かりません。
納入時の仕様書や検査記録を確認しておきましょう。
薬剤槽の固定と備蓄量はどう決まっているのか

薬剤を積む設備の作りと、積んでおく量にも基準があります。
泡を放射する車は消火薬液槽と混合装置を、粉末を放射する車は粉末槽と加圧用ガス設備を、車体に固定しておく必要があります。
積んでおくべき量にも下限があり、泡は24万リットル以上の泡水溶液に相当する薬液、粉末は1,400キログラム以上の量です。
薬剤は使うたびに補充する運用になりがちですが、常時この量を下回らないようにする管理が求められます。
補充のタイミングと在庫量を記録に残しておくと、点検のときに確認しやすくなります。
薬剤って、使った分だけ後から補充すればいいと思っていました。
それでは基準を割る時間帯が出てきます。
常に下限を上回る在庫管理が必要です。
実務で見落としやすいのはどこか

移送取扱所を持つ事業所には、さらに追加の装備が必要になります。
化学消防自動車全体の台数のうち、三分の二以上は泡を放射するタイプでなければなりません。
粉末タイプだけで台数をそろえても、この割合を満たさなければ編成として認められません。
また移送取扱所の配管の延長を基準に算定した車両は、容量1,000リットル以上の水槽と放水銃等の追加装備も必要です。
複数の指定施設を持つ事業所は、車両ごとにどの基準で数えられているかを一台ずつ確認してください。
粉末の車を多めに置いていたんですが、それだと割合を満たさないんですね。
そうなります。
三分の二以上を泡タイプにする点は見落としやすいので注意してください。
明日からなにを確認すればよいのか

一台ずつ順番にチェックすれば、抜け漏れを防げます。
①放射能力がカタログ値・検査記録で確認できるか、②薬液槽や粉末槽が固定されているか、③備蓄量が下限を上回っているかの順に見ていきます。
台数全体では、泡タイプが三分の二以上を占めているかも忘れずに確認します。
移送取扱所の配管基準で算定した車両があれば、水槽と放水銃等の追加装備の有無も確認してください。
自社だけで判断が難しい項目は、所轄消防署や納入業者に相談しながら進めるのが確実です。
まずは車両台帳から、一台ずつ確認してみます。
その順番なら迷いません。
放射能力の記録から始めてみてください。
よくある質問
まとめ
車両台帳の確認から、さっそくやってみます!
ぜひ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第38条の2(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する規則第65条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





