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固定注油設備で詰め替える一般取扱所はなぜタンク容量4000リットルが上限なのか|地下専用タンクと空地の基準もあわせて解説

固定注油設備で危険物を詰め替える一般取扱所を解説する記事のアイキャッチ画像、注油設備で車両タンクへ注入する施設内の写真

固定した注油設備を使って、容器やタンクへ危険物を詰め替えるだけの一般取扱所には、消防法令上の特例が用意されています。
基準は空地の広さやタンクの容量、設備の基準まで細かく分かれており、思い込みで判断すると許可申請でつまずきます。
特に似た号との違いや、他の基準を準用している部分は見落としやすい落とし穴です。
この記事では危険物の規制に関する規則第二十八条の五十九を条文から読み解き、詰替え作業だけの一般取扱所に本当に必要な要件を整理します。

うちの工場、危険物を容器に詰め替えるだけの設備が一台あるんですが。
これも一般取扱所として許可がいるんでしょうか。

固定した注油設備で詰替えや注入だけを行う一般取扱所には、専用の特例基準があります。
まずは対象になる条件を確認しましょう。

似たような号がいくつかあると聞いたんですが、何が違うんですか。

はい、対象になる危険物の種類タンクの容量が号ごとに変わります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 固定した注油設備で危険物を容器に詰め替え、又は車両タンクに注入する一般取扱所は、規則第二十八条の五十四第五号の特例対象です
  • 対象は引火点四十度以上の第四類危険物に限られ、車両タンクは4000リットル以下という上限があります
  • 危険物を取り扱うタンクは容量30,000リットル以下の地下専用タンク一種類に限られます
  • 固定注油設備そのものは給油取扱所の基準を準用しており、距離基準もそこに含まれます
  • 周囲の塀・出入口の防火設備・屋根等の面積制限まで、複数の要件を満たす必要があります

固定注油設備で詰め替える一般取扱所はなぜタンク容量に上限があるのかを示す四列のインフォグラフィック、対象の設備の確認・空地の基準の確認・地下タンクの容量の確認・給油設備の基準の確認という手順を示す

固定注油設備で詰め替える一般取扱所とは何か

固定注油設備で詰め替える一般取扱所とは何か
まず、この特例の対象になる施設の定義を確認します。
号四との違いも合わせて押さえておきます。
令第十九条第二項第五号に掲げる一般取扱所 専ら固定した注油設備によつて危険物(引火点が四十度以上の第四類の危険物に限る。)を容器に詰め替え、又は車両に固定された容量四千リットル以下のタンク(容量二千リットルを超えるタンクにあつては、その内部を二千リットル以下ごとに仕切つたものに限る。)に注入する一般取扱所で指定数量の倍数が三十未満のもの(危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第五号)
対象は固定注油設備を使う詰替えと注入だけです。
専ら固定した注油設備によって、危険物を容器に詰め替えるか、車両に固定された容量4000リットル以下のタンクに注入する一般取扱所が対象で、扱えるのは引火点四十度以上の第四類危険物に限られます。
指定数量の倍数は三十未満まで。三十以上になると、この号の特例は使えません。
似た号に「専ら車両に固定されたタンクへ危険物を注入する一般取扱所」(規則第二十八条の五十四第四号)がありますが、こちらは危険物の種類やタンク容量に制限が無く、号五とは別の特例です。
号ごとの対象を取り違えないよう、まず自分の施設がどちらの号に当たるかを確認してください。

うちは車両タンクへの注入もするんですが、タンクの大きさに決まりがあるんですか。

はい、車両タンクは4000リットル以下という上限があります。
まずは扱う量が号五の範囲に収まるか確認しましょう。

容器用とタンク用で空地の広さはどう変わるのか

容器用とタンク用で空地の広さはどう変わるのか
対象になったら、次は空地の基準です。
号一が定める広さの考え方を確認します。
一般取扱所には、固定注油設備のうちホース機器の周囲(懸垂式の固定注油設備にあつては、ホース機器の下方)に、容器に詰め替え、又はタンクに注入するための空地であつて、次のイ又はロに掲げる区分に応じそれぞれイ又はロに定める広さを有するものを保有すること。イ 危険物を容器に詰め替えるための固定注油設備 容器を安全に置くことができ、かつ、当該容器に危険物を安全かつ円滑に詰め替えることができる広さ ロ 危険物を車両に固定されたタンクに注入するための固定注油設備 タンクを固定した車両が当該空地からはみ出さず、かつ、当該タンクに危険物を安全かつ円滑に注入することができる広さ(略、危険物の規制に関する規則第二十八条の五十九第二項第一号)
空地の広さは用途ごとに個別に決まります。
容器詰替え用は容器を安全に置いて詰め替えられる広さ、車両タンク用はタンクを固定した車両が空地からはみ出さずに注入できる広さと、目的に応じた実質基準になっています。
この空地には、漏れた危険物が浸透しない舗装(第二号)と、危険物や可燃性蒸気が滞留せず空地外へ流出しない排水設備(第三号)もあわせて必要です。
容器用とタンク用の両方を持つ施設では、それぞれの空地を別々に確保しなければなりません。
車両が出入りする動線まで含めて広さを検討してください。

容器用とタンク用、両方の空地が必要になるんですね。
兼用はできないんでしょうか。

条文はそれぞれの用途に応じた広さを求めているので、個別に確保するのが基本です。
次はタンク自体の基準を見ていきましょう。

地下専用タンクの容量はなぜ制限されるのか

地下専用タンクの容量はなぜ制限されるのか
この号の一般取扱所は、タンクの設け方にも制限があります。
号四・五が定める内容を確認します。
一般取扱所には、固定注油設備に接続する容量三万リットル以下の地下の専用タンク(以下「地下専用タンク」という。)を地盤面下に埋没して設ける場合を除き、危険物を取り扱うタンクを設けないこと。地下専用タンクの位置、構造及び設備は、地下タンク貯蔵所の地下貯蔵タンクの位置、構造及び設備の例によるものであること(略、危険物の規制に関する規則第二十八条の五十九第二項第四号・第五号)
タンクは地下専用タンク一種類しか置けません。
危険物を取り扱うタンクは、固定注油設備に接続する容量30,000リットル以下の地下専用タンクを地盤面下に埋没して設ける場合を除いて設置できず、地上タンクや簡易タンクは想定されていません。
この地下専用タンクの位置・構造・設備は、地下タンク貯蔵所(令第十三条)の地下貯蔵タンクの基準にならう形で定められています。
配管も、固定注油設備に危険物を注入するのはこの地下専用タンクからの配管に限られ、他のタンクや配管を後付けで接続することはできません。
容量を増やしたい場合は、この号の特例そのものが使えなくなる可能性があるので、事前に所轄消防署へ確認してください。

地下タンクを増やせば容量を大きくできますか。
まとめて増やしたいんですが。

号五は地下専用タンク一基を前提とした基準です。
容量を増やす計画があるなら、先に相談することをおすすめします。

固定注油設備はなぜ給油取扱所と同じ基準を借りるのか

固定注油設備はなぜ給油取扱所と同じ基準を借りるのか
設備そのものの基準にも特徴があります。
号七・八が定める内容を確認します。
固定注油設備は、令第十七条第一項第十号に定める給油取扱所の固定注油設備の例によるものであること。固定注油設備は、道路境界線から次の表に掲げる固定注油設備の区分に応じそれぞれ同表に定める距離以上、建築物の壁から二メートル(一般取扱所の建築物の壁に開口部がない場合には、当該壁から一メートル)以上、敷地境界線から一メートル以上の間隔を保つこと(略、危険物の規制に関する規則第二十八条の五十九第二項第七号・第八号)
固定注油設備そのものは給油取扱所の基準を借りています。
一般取扱所の号五にはこの設備専用の技術基準が無く、令第十七条第一項第十号が定める給油取扱所の固定注油設備の例による、という準用の形で成り立っています。
距離基準も同様で、道路境界線・建築物の壁・敷地境界線からそれぞれ定められた間隔を保つ必要があり、注油ホースの全長が長いほど道路境界線からの距離も伸びる表になっています。
懸垂式の固定注油設備を設ける場合は、地下専用タンクからの危険物の移送を緊急に止められる装置も別途必要です。
一般取扱所の基準だけを見ていると見落としがちなので、給油取扱所側の条文もあわせて確認してください。

一般取扱所なのに、ガソリンスタンドの基準まで見るんですね。
気づきませんでした。

はい、令第十七条の給油取扱所の基準を準用している点が見落としやすい落とし穴です。
最後に周囲の基準をまとめます。

周囲の塀や出入口は何を満たせばよいのか

周囲の塀や出入口は何を満たせばよいのか
最後に、実務で確認すべき手順を整理します。
順番にチェックしてください。
(危険物の規制に関する規則第二十八条の五十九第二項第十号・第十一号・第十二号・第十三号・第十四号に基づく確認手順)
  • 高さ二メートル以上の塀又は壁(耐火構造又は不燃材料、開口部なし)で周囲を囲んでいるかを確認する
  • 敷地境界における輻射熱が告示の基準を満たしているかを確認する
  • 出入口に防火設備を設けているかを確認する
  • ポンプ室その他危険物を取り扱う室が、給油取扱所のポンプ室の基準に適合しているかを確認する
  • 屋根等の水平投影面積が敷地面積の三分の一以下に収まっているかを確認する

塀の高さや出入口まで、細かく決まっているんですね。
図面と照らし合わせてみます。

はい、塀・出入口・ポンプ室・屋根まで一通り確認してください。
不明な点は所轄消防署にご相談ください。

よくある質問

Q号五と号四(車両に固定されたタンクへの注入)はどう違うのですか?
A号四は液体の危険物全般を対象にタンク容量の上限が無いのに対し、号五は引火点四十度以上の第四類危険物に限られ、車両タンクも4000リットル以下という上限があります。
Q地下専用タンクの容量を30,000リットルより大きくすることはできますか?
A号五の特例はこの容量を前提に組み立てられているため、30,000リットルを超えると号五の対象外になり、別の基準での検討が必要です。
Q固定注油設備の基準がわからないときはどうすればよいですか?
Aこの号は令第十七条第一項第十号の給油取扱所の固定注油設備の例によるので、給油取扱所の技術基準もあわせて確認してください。
Q空地の舗装や排水設備は省略できますか?
Aできません。空地の舗装(第二号)と排水設備(第三号)は号一の空地に必須の要件で、取扱量にかかわらず求められます。

まとめ

固定した注油設備で危険物を容器に詰め替え、又は車両タンクに注入する一般取扱所は、規則第二十八条の五十四第五号の特例対象です
対象は引火点四十度以上の第四類危険物のみで、指定数量の倍数三十未満に限られます
空地の広さは容器用車両タンク用で別々に、目的に応じた広さを確保します
空地には舗装と排水設備もあわせて必要です
タンクは容量30,000リットル以下の地下専用タンク一種類しか設置できません
固定注油設備そのものは給油取扱所の基準(令第十七条第一項第十号)を準用しています
周囲の塀・出入口の防火設備・ポンプ室・屋根等の面積制限まで、あわせて確認が必要です

詰替えだけの施設でも、号ごとの違いまで確認すれば整理できそうです!

まずは対象になる号かどうかから確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十一条第一項・第五項
  • 危険物の規制に関する政令第十九条第一項・第二項第五号
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四第五号
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十九
  • 危険物の規制に関する政令第十三条(地下タンク貯蔵所の基準)
  • 危険物の規制に関する政令第十七条第一項第十号(給油取扱所の固定注油設備の基準)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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