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特定建築物定期調査の結果はどう報告され次回に活きるのか|書類の中身から特定行政庁への提出まで解説

特定建築物定期調査の報告書を依頼者に説明する調査員

特定建築物定期調査は、現地での調査が終わればそれで完了というわけではありません。
調査で分かった状況を依頼者に分かりやすく説明し、同じ内容を特定行政庁へ報告するところまでが調査員の仕事です。
報告の時期や書類の様式は建物や自治体によって異なり、思い込みで進めると見落としが生じやすい領域でもあります。
本記事では、報告の仕組みから書類の中身、見落としやすい落とし穴、次回調査への備えまでを5つの視点で解説します

定期調査が終わったら、それでもう報告は済んだと思っていました。
依頼者の私たちが何かする必要ってあるんでしょうか。

実は調査後にも依頼者への説明や書類の受け渡しといった大切な工程があるんです。
まずは報告の仕組み自体から見ていきましょう。

なるほど、報告書って特定行政庁に出すだけのものだと思っていました。
依頼者にも関係がある話なんですね。

はい、報告の時期や書類の中身には見落としやすいポイントもあります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 報告義務は所有者・管理者が負うが、報告書の取りまとめは建築物調査員が行う
  • 報告の時期は建物の用途・構造・延べ面積等に応じて特定行政庁が個別に定める
  • 報告は報告書・概要書・調査結果表の3点が基本の様式となる
  • 特定行政庁が独自の様式を定めている場合は、そちらが優先される
  • 提出した報告書は依頼者にも渡され、次回調査の資料として保管される

特定建築物定期調査 結果報告の流れを示すインフォグラフィック

特定建築物定期調査の報告はなぜ二段階になるのか

依頼者に調査結果を説明する調査員
調査が終わっても、特定建築物定期調査の仕事はそこで終わりではありません。
結果をまとめて依頼者に説明し、その内容を特定行政庁へ報告するところまでが調査員の役割です。
調査を行った結果は、誰に対してどのように報告することが建築基準法第12条第1項で義務づけられているか。
建築基準法第12条第1項により、対象となる建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)は、国土交通省令で定めるところにより建築物調査員等にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならないとされる。
調査の結果は、依頼者と特定行政庁の両方に届けるものです
法律上の報告義務そのものは建築物の所有者・管理者が負っていますが、実際に結果を取りまとめ、報告書として整えるのは調査員の仕事です。
調査員はまず依頼者に結果を分かりやすく説明し、そのうえで特定行政庁へ提出する報告書等も依頼者へ渡します。
つまり同じ調査結果が、依頼者への説明資料と特定行政庁への報告書という二つの役割を同時に果たしていることになります。
この二段階の仕組みを理解しておくと、報告書がなぜこれほど丁寧に作られるのかが見えてきます。

行政に出す報告書と、うちに説明してもらう内容って、別のものだと思っていました。
同じ書類だったんですね。

はい、同じ報告書を両方にお渡ししています。
だからこそ内容を丁寧に整えているんです。

報告の時期はどうやって決まるのか

報告時期の間隔を確認する調査員
報告の時期は、すべての建築物で一律に決まっているわけではありません。
建築物の用途や構造、延べ面積などに応じて、特定行政庁ごとに定められています。
特定建築物定期調査の報告の時期は、どのような基準で決まるとされているか。
建築基準法施行規則第5条第1項により、報告の時期は建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね6か月から3年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期とされる。ただし、新築又は改築に係る検査済証の交付を受けた場合等については、その直後の時期を除くものとされる。
報告の周期は、一律の「毎年」ではありません
建物の用途・構造・延べ面積などに応じて、特定行政庁が概ね6か月から3年の間で個別に定めています。
不特定多数が利用する建物ほど、周期が短く設定される傾向があります。
また、新築や改築の完了検査で検査済証を受け取った直後は、その直後の報告時期が除かれる特例があります。
竣工したばかりの建物でも、最初の報告がいつになるのかは特定行政庁への確認が欠かせません。

うちの建物、毎年報告しないといけないと思い込んでいました。
建物ごとに違うんですね。

周期は建物ごとに特定行政庁が定めています。
次回の時期は報告書控えでご確認いただけます。

報告書には何を記載し何を添えるのか

報告書類一式を確認する調査員
依頼者に提出する報告書類は、様式が細かく定められています。
特定行政庁へ提出する書類と同じものを、そのまま依頼者にも渡す点も特徴です。
建築基準法第12条第1項の規定による報告は、どのような書類で構成すると定められているか。
建築基準法施行規則第5条第3項により、報告は報告書及び定期調査報告概要書に、国土交通大臣が定める調査結果表を添えてするものとされる。ただし、特定行政庁が規則により別の様式を定めた場合は、その様式によるものとされる。
報告書は、決まった様式の組み合わせで成り立っています
基本となるのは報告書と定期調査報告概要書、そして国土交通大臣が定める調査結果表の3点です。
これに加えて、要是正や特記すべき事項がある場合は、状況を記す特記事項と現場写真も添付します。
ただし特定行政庁が独自の様式を規則で定めている場合は、そちらが優先されます。
調査員は、この一式をそのまま依頼者にも提出し、依頼者の手元にも調査の記録が残るようにします。

書類がいろいろあって、正直どれが大事なのか分かっていませんでした。
写真まで添付されるんですね。

はい、指摘箇所は写真付きの特記事項で残します。
次回調査の資料としても活用できます。

実務で見落としやすいのはどこか

特定行政庁ごとの様式の違いに気づく調査員
報告の実務では、思い込みによる見落としが起きやすい場面があります。
とくに時期と様式の2点は、建物ごとに確認し直す必要があります。
特定行政庁ごとに報告の実務上の取り扱いが異なる場合、調査員はどのように対応すべきとされるか。
建築基準法施行規則第5条第3項ただし書及び第4項により、報告書の様式や添付書類について特定行政庁が独自に規則で定めた場合はその定めによるものとされ、調査員は各特定行政庁の規則を個別に確認して報告書等を作成する必要があるとされる。
「前回と同じ書き方で出せば大丈夫」とは限りません
報告の時期は検査済証の交付日から自動的に計算されるものではなく、特定行政庁が個別に指定する時期に従います。
様式についても、国が定める標準様式のほかに特定行政庁独自の様式を使う自治体が少なくありません。
複数の自治体で建物を担当する調査員ほど、この差異を見落としやすくなります。
依頼者への説明を書類の受け渡しだけで済ませてしまうと、是正の優先度が伝わらないまま報告だけが進んでしまう点にも注意が必要です。

系列の別の建物では違う様式を使うと聞いて、少し戸惑っていました。
自治体ごとに違うことがあるんですね。

はい、建物ごとに様式や時期を毎回確認しています。
思い込みでは進めないようにしています。

調査後は報告と資料整備をどう進めればよいのか

次回調査に向けて資料を整理する調査員
報告を終えたら、そこで業務が完結するわけではありません。
次回の調査に備えて、記録を整理しておくところまでが一連の流れです。
定期調査の報告を終えた後、次回の調査に備えてどのようなことが重要とされているか。
今回の調査による報告書は建築物の記録そのものであり、その整理とまとめにあたっては建築物の履歴が分かるように配慮することが必要であるとされ、所有者又は管理者はこれらの書類を今後の維持管理に役立てるため保管することが重要であるとされる。
報告を終えた後の流れは、大きく3つの動きで整理できます
判定基準に沿って結果を整理し、要是正や特記事項を写真とともにまとめたうえで、依頼者に分かりやすく説明し改善のアドバイスを添えます。
続いて特定行政庁ごとの様式と提出方法を確認し、期限内に報告書一式を提出します。
提出した報告書の写しは依頼者にも渡し、建物の記録として次回調査まで保管してもらいます。
こうして記録をつなげておくことで、次に調査する調査員が別の会社であっても、建物の履歴を引き継げるようになります。

報告書を出して終わりだと思っていましたが、保管まで考える必要があるんですね。
次の調査でも役立つとは知りませんでした。

はい、報告書控えは建物の記録として保管をおすすめしています。
次回の調査もスムーズになります。

よくある質問

Q定期調査の報告は誰が特定行政庁に提出する義務を負うのですか?
A建築基準法第12条第1項により、報告義務を負うのは建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)です。ただし実際に調査を行い報告書を取りまとめるのは、一級建築士・二級建築士または建築物調査員資格者証の交付を受けた建築物調査員です。
Q報告の時期はどの建物も同じ間隔なのですか?
Aいいえ。建築基準法施行規則第5条第1項により、報告の時期は建築物の用途・構造・延べ面積等に応じて、概ね6か月から3年の間で特定行政庁が個別に定めるとされています。
Q新築したばかりの建物でも、すぐに定期調査の報告が必要になるのですか?
A新築や改築の完了検査で検査済証の交付を受けた場合等は、その直後の報告時期が除かれる特例があります。最初の報告がいつからになるかは特定行政庁への確認が必要です。
Q依頼者に渡す報告書と特定行政庁に提出する報告書は違うものですか?
Aいいえ。特定行政庁へ提出する報告書等は、そのまま依頼者にも提出されます。同じ書類が説明資料と行政への報告書の両方の役割を果たします。

まとめ

報告義務を負うのは建築物の所有者・管理者だが、実務は建築物調査員が担う
報告の時期は建物の用途・構造・延べ面積等に応じて特定行政庁が個別に定める
報告の間隔は概ね6か月から3年の範囲で特定行政庁が指定する
新築・改築直後は検査済証交付後の直後の時期が報告対象から除かれる特例がある
報告書は報告書・概要書・調査結果表の3点が基本で、特定行政庁独自の様式が優先される場合もある
要是正や特記事項は写真付きの特記事項としてまとめ、依頼者にも同じ書類を渡す
提出後は報告書を建物の記録として保管し、次回調査に備える

報告書が次の調査にもつながっていくと分かって安心しました。
次回もよろしくお願いします!

私たちも報告から資料整備まで丁寧に対応いたします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第1項(e-Govで現行条文を確認)
  • 建築基準法施行規則第5条第1項・第3項・第4項(e-Govで現行条文を確認)

※本記事は建築基準法及び同施行規則の現行条文をもとに、特定建築物定期調査の結果報告と資料整備に関する一般的な考え方を解説したものです。報告の時期や様式、添付書類の具体的な取り扱いは特定行政庁ごとに異なります。実際の報告にあたっては、建築物調査員等の専門資格者および所轄の特定行政庁にご確認ください。

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